出雲の阿国
 
菊川怜 主演   06年1月13日〜2月17日   NHK 金曜夜9時15分から

各回ごとのコメント

第6回「神の踊り子」(2月17日放送・最終回)
 三九郎(堺雅人)は、遊女屋を経営するようになった九蔵(津田寛治)に小屋を売り払い、有り金を持ってお菊(原田夏希)と逃げてしまう。九蔵が、残された一座の踊り子たちは遊女をしなくても、遊女たちに踊りを教えてくれれば給金を払うと約束してくれたので、阿国と傳介(鈴木一真)、阿国を慕うお松(櫻谷由貴花)以外は、ここに残ると言い出す。
 阿国たち三人は、北野天神に新たに小屋を建てるが、労咳にかかった傳介が倒れてしまう。着物を売り、薬を買い、必死の看病で傳介は持ち直したところに、付近の物売りたちから踊ってほしいと頼まれる。はじめは着物がないと断った阿国だが、花売りの花を持って踊り始める。
 評判を呼んだ阿国の元に、江戸まで行ったが名を上げられず、戻ってきた三九郎(堺雅人)が現れる。打ちひしがれていた三九郎は、「ええ踊りじゃった」と告げて、出て行ってしまう。
 三九郎と共に京に戻ってきていたお菊は、色恋のもつれで殺される。お菊を看取った阿国は、彼女の遺髪を持って出雲に帰ることを決意。傳介とお松と旅立つが、途中、美作で傳介は病に倒れる。自分を育ててくれたおばばの言いつけ、「決してかぶくな」という言葉を守らなかったから、お菊やみんなを不幸にしてしまったと、生まれてきたことを嘆く阿国に、傳介は「わしは阿国に出会えて幸せだった」と告げ、息を引き取る。
 出雲に帰り着いた阿国。だが彼女も病にかかっていた。そして阿国が大坂で初めて踊ったと言われる1月25日、38才の生涯を閉じる。

第5回「恋の亡霊」(2月10日放送)
 慶長八年に誕生した『阿国歌舞伎』は大評判で、阿国は天下一の名を欲しいままにする。が、三九郎(堺雅人)はお菊(原田夏希)とべったりで、落ち込む阿国を傳介(鈴木一真)が慰める。
 一座の公演中、突然、横笛を吹き鳴らす、派手な着物に派手な刀を差した男が現れた。彼は有名なかぶき者・名護屋山三郎(永澤俊矢)。阿国は彼の笛に合わせて踊り、山三郎も毎日公演に現れ、二人は恋に落ちる。
 三九郎と違い、「踊りを辞めたければ辞めればよい。ここで一緒に暮らそう」と言ってくれた山三郎に、阿国は毎晩、山三郎のところで過ごすようになる。
 だが、阿国が手に入れた「天下一」の称号に触発された山三郎は、自らも「城を建てる」という夢があったことを思い出す。その夢を聞いた阿国は「つまらん」と取り合わないが、山三郎は阿国に品々を残し、仕官を求めて旅へと出てしまう。
 またもや失恋で抜け殻のようになった阿国。傳介は慰めようとするが、阿国が山三郎を待っていることを知って、それ以上声を掛けられなかった。
 やがて阿国の元に、山三郎が仕官先の争いで死んだとの知らせが入る。落ち込んだ阿国。だが彼の遺品となった派手な着物と派手な刀を身に付け、かぶき者・名護屋山三郎を舞ってみせる。その様子を舞台袖から見ていた三九郎は「あれは化け物じゃ」ともらす。落ちても這い上がり、飽きられても新しいものを生み出す阿国の力に「もう手が届かん」と。
 阿国に白旗の三九郎。何を思ったか、お菊と共謀して一座を売り払う。どこに行くのか三九郎?

第4回「姉と妹」(2月3日放送)
 阿国たちが出雲から出てきて九年が過ぎた。そこに淀川の堤の普請に駆り出された阿国の許嫁・九蔵(津田寛治)が逃げてくる。阿国に詰め寄る九蔵だが、そこに訪ねてきた傳介(鈴木一真)が夫だと名乗り追い返す。傳介は梅庵が亡くなったので、自分も一座に加わりたいとやってきたのだ。
 傳介から豊臣秀吉の天下も長くなく、次は徳川家康だと聞いた三九郎(堺雅人)は、愕然とする。三九郎は、昔、家康がひいきにしていた一座にいたが、家康について三河に引き上げるという一座の方針が嫌で飛び出し、梅庵のところに来たのだった。
 一座は四条河原で小屋を立て、人気を博すが、目標を失った三九郎は自暴自棄な生活を送っている。三九郎が遊女屋に通い、その店で下働きをしている九蔵を見た、阿国は心を痛める。そこに出雲で阿国によく懐いていた血のつながらない妹・お菊(原田夏希)が訪ねてくる。自分も踊りたいというお菊に、阿国は喜んで教えるが、お菊は心の底では「必ず帰ってくる」と約束をしながら自分を置き去りにした阿国を恨んでいた。
 御所で踊りを献上することになった一座は、阿国に「天下一の踊り子」という言葉をもらえたが、三九郎は満足しない。その三九郎にお菊が近づき「あたしをしこまんか」と持ちかける。
 三九郎とお菊の情事を目撃してしまった阿国は、「もう女子は嫌になった」と髪をばっさり。男装で舞いを始める。が、お菊と阿国の張り合いで舞台はむちゃくちゃ、狂言用の女装で出てきた傳介が機転を利かし、自分が女舞をするから阿国に男舞をしろとささやく。このハプニングに、観客は大受け。「日本最初の演劇は、喜劇から始まった」とナレーションが入るが、それでいいのか、古典芸能?

第3回「天下一」(1月27日放送)
 京に着いた一行の前に現れた、三九郎(堺雅人)と六年間連れ添ったという、おあん(石橋奈美)。三九郎に責め寄る阿国だが、反対に出雲にいる婚約者・九蔵のことを言われてしまう。三九郎はおあんを冷たく突き放すが、あきらめきれないおあんは、阿国に嫌がらせを繰り返す。
 秀吉に舞を見せて気に入られれば「天下一」の芸人になれると、梅庵(織本順吉)にお金を渡してまで、機会をうかがっていた三九郎だが、梅庵に阿国との仲を知られてしまう。
 ならばと、秀吉の行列が通る五条大橋の川原に常設の小屋掛けをした三九郎。舞台が橋から見えるようにと準備万端。とうとう、秀吉の目を止めさせることができたが、今ひとつの反応。それが次第に悪い噂となって伝わり、梅庵を激怒させてしまい、縁切りされる。どうする、三九郎?
 一方、阿国の舞を見たおあんは、楽しかったと笑顔を見せ、いつか三九郎は必ず阿国を裏切ると、忠告する。一方の阿国も、三九郎とずっと一緒にいたいという思いで苦しんでいたが、かぶき者の自分は明日をも分からない身、今日を思うさま楽しむ、と吹っ切れる。

第2回「涙と微笑み」(1月20日放送)
 梅庵(織本順吉)が湯治に行っている間の出来事。豊臣秀吉が身ごもった側室のために城を建てると聞いて、どうしても見に行きたいと出かける阿国。阿国は三九郎(堺雅人)の子を身ごもっていたが、梅庵に二人のことを隠すように言われて、言い出せなかった。
 城を建ててもらえる一方で、誰にも祝ってもらえない子もいる、という想いから出かけたが、身重の体には寒風吹きさらす十里の道は厳しく、途中で倒れる。後を追いかけてきた傳介(鈴木一真)に助けられるも、子は流れてしまう。
 帰ってきた傳介から阿国のことを聞いた三九郎。妊娠に気づいていながら止めなかったことを傳介に責められるが、「どうしろと言う」と苦渋の表情。しかしその一方で、「早く治ってもらわねば困る」と阿国の起きられる日を心配。翌日、阿国を見舞った三九郎は、「すまなかった」と涙を流す。
 阿国を出世の道具として見ながらも、愛情も持っている三九郎。阿国の体も治り、梅庵に呼ばれ京に行った一行に、「三九郎!」と親しげに叫んで駆け寄ってきた娘がいた。三九郎の真意は?

第1回「かぶく女」(1月13日放送)
 生まれた時には親は死に、出雲で拾い子として育てられた阿国。育ての父に連れられ、村の娘たちと大坂に踊りの興行に出稼ぎに来たところを、豊臣秀吉の御伽衆・梅庵(織本順吉)に見初められ、世話になることに。そこで出会った鼓打ちの三九郎(堺雅人)と阿国は恋に落ちる。
 芸人どうしの恋を禁じているという梅庵の話を聞いて、「三九郎と一緒に居れるなら踊れなくてもいい」という阿国に、三九郎は「踊っているお前に心惹かれたのだ」と、あくまで隠すように強要。三九郎は、阿国と組めば世の中の表舞台に立てると、利用しようとしている?
 阿国は三九郎恋しさのため、踊り続けることを決意といった感じだが、今後どうなるのかが楽しみ。
 増岡徹の語りが、一途なストーリーと絡まって、なにやら絵本のような雰囲気を醸し出す不思議な作品。こちらもどう転ぶか、今後が楽しみです。

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