各回のコメント
最終回「武士の剣」(5月25日)
襲いかかる十兵衛から逃げた円条寺業平(杉本哲太)は、院宣の下る十二日を明日に控え、一揆軍を前に最後の作戦を伝えていた。「院宣を出したら、すぐに戦を止めよ。さすれば浪人には仕官を、キリシタンには安寧の日々を約束する」と。そこに荒木又右衛門(嶋政宏)が割って入り、「戦を止めればそこで幕府軍に捕らえられる」と一揆軍に説く。混乱した浪人の一人が、指導者と仰ぐ天草四郎(崎本大海)の意見を聞くと出て行こうとしたところを、業平に斬られる。業平は「もうあとには引けないのだ」と。
幕府軍の陣に戻った十兵衛は、自分が院宣を奪うのを待たずに戦の準備が進められているのを見る。止めることができないと分かった十兵衛は、再び業平の元へ急ぐ。
一揆軍の別室では、四郎が業平に真相を聞きたいと詰め寄っていた。十兵衛と又右衛門から話を聞いて疑問を抱くようになっていた四郎を、業平は切り捨てる。そこに十兵衛が登場。倒れた四郎を見て、十兵衛は怒りの剣を抜く。だが業平は独特の剣法で強い。苦戦の末、わずかな隙を突き僅差で追い詰めた十兵衛に、業平は院宣を突きつけ、お上の院宣ごと斬れるものなら斬ってみろと啖呵をきる。ひるむ十兵衛。だが側にいた又右衛門が躊躇なく院宣ごと斬る。
共に行こうと言う十兵衛に、又右衛門は「手前の務めを果たします」と、自分が誘い付いて来てくれた同志たちを見捨てるわけにはいかないと原城に戻ると告げる。そして「最後の手合わせを」と、二人は昔のように剣を合わせる。
戦を止めることは叶わず、死に場所を求めた浪人と信念のために戦った者たち多くの死者を出し、島原の乱は終わった。
業平と通じていた老中・酒井忠行(布施明)は仏門に、参謀だった由比富士太郎(和泉元彌)は行方をくらませる。
江戸に戻った十兵衛は宗矩(夏八木勲)に、死んでいった者たちは親父殿のまつりごとの犠牲になったのだと言葉をぶつけ、腕づくでも隠居していただくと、詰め寄る。迎え撃つ宗矩。だが十兵衛には勝てず、うなだれる。十兵衛は将軍・家光に謁見し「良きまつりごとを」と忠告をし、また旅の生活へと戻る。第6回「誠の剣」(5月18日)
島原へと急ぐ十兵衛は、浪人たちの一団と出会う。彼らは幕府に改易された藩の者であり、その長の小林東十郎(勝野洋)に、一揆に加わったても勝てないと分かっているが、死に場所が欲しいと懇願され、力づくで止めようとしていた十兵衛は道を開ける。
その礼に土産を、と立ち向かって来る東十郎。泥の中での勝負となり、東十郎の操る鉄棒に十兵衛は刀を折られ苦戦。十兵衛は脇差で応戦、もつれこんだ結果、東十郎を刺す。
一方、黒幕である円条寺業平(杉本哲太)は、原城に立てこもる一揆勢を二月十二日まで持ちこたえさせれば、自分たちの勝ちだと繰り返していた。その日に朝廷からの「戦を止めよ」いう院宣を下す。幕府が静められなかった戦を朝廷が収めることによって、幕府の権威は地に落ち、その中枢である柳生宗矩(夏八木勲)と松平伊豆守(西郷輝彦)を失脚させるのが目的だった。この戦は農民のためでも浪人のためでもない、朝廷のためのものだと笑う。
業平の考えを知って、荒木又右衛門(嶋政宏)は自分がだまされていたことに気づく。又右衛門は十兵衛に会い、業平の計画を話す。
十兵衛は幕府側の総大将の松平に会い、業平の計画を話し、十二日までに戦を終わらせるため、一揆勢の農民、浪人が降伏すれば助け、キリシタンも命は助け国外追放にする、という約束を取り付ける。
十兵衛は天草四郎(崎本大海)と密会し、業平は十二日より後は彼らを見捨てるつもりだと説き、降伏するように説得する。だが四郎は、キリシタンでない者に去るように呼び掛けることはするが、キリシタンはどこにも行かない、神の御心に従うと、全面降伏は受け入れなかった。
十兵衛は最後の手段として、業平の元へ院宣を奪いに行く。だが業平も剣の使い手、また自分を斬れば院宣が表に出るようにしてあると言われ、十兵衛は本気で斬りかかれない。次回、最終回。どうなる、島原の乱?
第5回「戒めの剣」(5月11日)
島原で一揆が勃発。十兵衛は、豊後に行けという柳生宗矩(夏八木勲)からの命令を無視して、日向延岡藩に向かった。そこには、旧友である藩家老の青山外記(榎木孝明)がおり、元キリシタンである彼と、藩主・有馬左衛門佐(坂上忍)が一揆に加わらないようにするためだった。
だが外記の元には、先に荒木又右衛門(嶋政宏)が来ていた。又右衛門が言うように十兵衛が確認に来たことで、外記は有馬家が幕府から問題視されていることを悟る。
一方、宗矩の策略で、幕府から有馬家に、家臣はもちろん元家臣も一揆の間、領内から出ないことという無理難題を命じられる。有馬家は元は島原の藩主で家臣と領民にキリシタンが多くいたが、幕府に命じられて、泣く泣くキリシタンを厳しく取り締まったという過去があった。荷担してもしなくても有馬家が幕府に取って邪魔であり遅かれ早かれつぶされると考えた左衛門佐は、家の安泰のため、また多くのキリシタンだった家臣のため、一揆に荷担することを決意する。
再度、外記を説得する十兵衛。だが外記は反対に、宗矩が一揆を大きくして幕府の邪魔者を一掃しようとしているのではないかと考える。有馬家の安泰を約束する十兵衛に、外記は左衛門佐を説得し、もし駄目な時は自分が罪を被るので、武士として戦い斬ってほしいと頼む。
二人で説得に当たるも、戦支度を整えた左衛門佐は聞く耳持たず。外記はすべては自分が仕組んだことと名乗りを上げ、十兵衛と斬り合う。僅差で斬られた外記。とどめを左衛門佐に頼むが、外記の忠義が分かった左衛門佐は刀を振り下ろせず。その刀で十兵衛はとどめを刺す。
直後、宗矩から十兵衛に急ぎの手紙が。そこには外記は切るな、と。荷担するつもりだった外記を切るなと言い、今までの荷担する気のなかった鈴鹿真太郎や山賀治右衛門を切れと言った宗矩に、十兵衛は外記の考えが正しかったことを痛感する。第4回「慈父の剣」(4月27日)
松江に来た十兵衛は、取り潰しになった堀尾家の家臣の老侍・山賀治右衛門(竜雷太)に会う。聞きたいことがあるという十兵衛に、話すことはないと、はじめは相手にしない治右衛門だったが、十兵衛の実直な性格を知り、「一晩泊まっていってほしい」と頼み、そうすれば翌朝には、どんな話にも答えようと約束する。
治右衛門は息子を亡くしており、その子と十兵衛を重ねていた。治右衛門の妻・とき(藤村志保)も十兵衛の訪問を喜び、二人して十兵衛に息子のように接し、穏やかな一夜を過ごす。
翌朝、島原の乱のことを聞かれた治右衛門は、将軍家に弓引くつもりはなく、家中に参加しようとする者があれば一命を賭して止めることを約束する。
治右衛門の息子は、堀尾家の御用金を着服した咎で切腹していた。しかし事実は、上役であった原田丹波(デビット伊東)が着服していたことを知って咎めようとして、反対に切られたのだった。原田がその事実を接触してきた荒木又右衛門(嶋政宏)に話すのを聞いた治右衛門は、原田に襲い掛かろうとするところを、又右衛門に原田を捕らえられてしまう。又右衛門は原田の身柄と引き換えに、家中の者を率いて島原の乱に加わることを強要する。
一方、十兵衛の元に、柳生宗矩(夏八木勲)から治右衛門を斬れと、命が届く。
十兵衛に敵討ちの検分役を頼んだ治右衛門は、甲冑姿で現れ、見事原田を斬る。そして島原の乱に加わることを告げ、十兵衛に襲い掛かる。戦でならした治右衛門の槍さばきと甲冑に苦戦し、また治右衛門を斬りたくないという思いから反撃できない十兵衛。しかし、死に花を咲かせたいいう老侍の意思が分かり、十兵衛は一夜は父と呼んだ治右衛門を斬る。次回は、一週休んで、5月11日。
第3回「望郷の剣」(4月20日)
島原の乱に鉄砲が渡るのを防ぐため、堺に向かった十兵衛。その堺では、天草四郎(崎本大海)が街中で堂々と教えを説き、奇跡を見せていた。天草は豪商・松浦屋正左衛門(江守徹)の世話になっており、そこに円条寺業平(杉本哲太)も現れる。業平は、松浦屋に鉄砲三千丁を頼む。
松浦屋は十兵衛を屋敷に招待する。そこで働く和泉太郎丸(蓉崇)と次郎丸(小橋賢児)の兄弟を紹介される。兄弟は、両親がキリシタンの咎で国外追放となり、るそんで生まれ育ち、両親死して後に松浦屋によって日本に来たのだった。
斬らないと約束をして、松浦屋に天草と会わせてもらった十兵衛。天草は自分が「みなを救うために生まれてきた」と言い、みなのために一揆を起こすのだと、曇りのない言葉を述べる。
業平は和泉兄弟に、両親や他のキリシタンたちの国外追放を将軍に進言したのは、柳生宗矩(夏八木勲)だと言い、仇として十兵衛を討てとそそのかす。十兵衛を斬らねば、松浦屋が殺されるとも。
役人の目から隠れて鉄砲を乗せた船を島原へ出そうとする松浦屋。そこに十兵衛が現れる。だが松浦屋をかばって、大陸渡りの剣(青竜刀?)を構えた和泉兄弟が立ちふさがる。兄弟の息の合った大陸の剣術。だが若い二人では、剣を極めし十兵衛の敵ではなかった。第2回「涙の剣」(4月13日)
柳生宗矩(夏八木勲)の命で美濃に向かった十兵衛。そこでは、先代当主が幼少で亡くなり、お家取り潰しとなり、二百人の浪人が剣術指南役だった鈴鹿真太郎(山口馬木也)を指導者として野盗まがいのことをしているという噂だった。
しかし話してみると真太郎は、しっかりとした人物で、新しい当主からの誘いも、元門弟たちを見捨てては置けないと断り、浪人たちと山林を切り開き、そこで生活しようとしていた。宗矩の命は真太郎を斬ることだったが、十兵衛は納得がいかない。
島原の乱を起こそうと画策する円条寺業平(杉本哲太)は、真太郎と二百人の浪人を戦力として利用しようと荒木又右衛門(嶋政宏)を使いに出す。
真太郎は先の当主が毒殺ではないかと疑い、仇を取ろうとしていた。そして近づいて来た又右衛門は、真太郎の許婚・きぬ(宮本真希)の兄・曽根半兵衛(根元博成)が毒を盛ったことを突き止める。又右衛門はキリシタンである真太郎に、毒殺を命じた真の仇は幕府であることを教え、島原の乱に加わることを強要する。
仇討ちの場で半兵衛に毒殺を命じた上司と、半兵衛を斬った真太郎は、三人目の敵である幕府の変わりに十兵衛に剣を向ける。鉄扇で応戦する十兵衛。しかし真太郎の剣に叩き落され、やむなく十兵衛は真太郎を斬る。きぬに抱かれ、真太郎は、キリシタンである自分は切腹をすることができないから、これでよかったのだと言い残し、息を引き取る。第1回「訣別の剣」(4月6日)
気ままな旅を続ける柳生十兵衛は、伊賀で鍵屋の辻の決闘の後、藤堂家預かりの身となっている兄弟子・荒木又右衛門(嶋政宏)と近山藤四郎(本宮泰風)に再開する。又右衛門は、隻眼になり剣の道を諦めかけた十兵衛を励ましてくれた人だった。
又右衛門と藤四郎は京の大納言に呼び出される。二人はそこで幕府に恨みを持つ公家・円条寺業平(杉本哲太)と老中・酒井忠行(布施明)から、このままでは家は断絶される、救ってほしければ、自分たちの計画に荷担し、十兵衛を斬るようにとおどされる。柳生を頼っても当主の宗矩(夏八木勲)は幕府の人間、それをネタに家をつぶされると。
一方、十兵衛は江戸の宗矩に呼ばれる。宗矩は、圧制に苦しむ島原で一揆が起こりそうなことを告げる。藩主を斬れば済むことと立ち上がりかけた十兵衛に、宗矩はただの一揆ではなく、キリシタン対幕府の戦いになると説明。その戦いを小規模で終わらせるために働くように命じる。
業平と酒井の計画は、その騒ぎに乗じて今の幕府を転覆させ、公家中心の幕府を作ることだった。
追い詰められた又右衛門と藤四郎は、柳生流からの破門を願い出、計画に参加することを決意。又右衛門は宗矩からもらった刀を折り、「わしは鬼になる」と。
藤四郎は遺髪を又右衛門に残し、旅立つ十兵衛の前に立ちふさがる。理由を言わず切り掛かる藤四郎に十兵衛は防戦一方。だが師範代も勤める藤四郎に次第に追い詰められ、やむなく十兵衛は藤四郎を斬る。
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