前回までのあらすじ
第四話「上総勝浦の大喧嘩!! 消えた三百両と哀しい母の愛…」(5月29日)
呉服小物問屋・白札屋の手代・忠吉(石母田史朗)が、店の金三百両を持って行方をくらます事件が起こる。それを知らずに八重とお参りに出かけた桑山十兵衛は、その帰り道、古着屋で豪奢な着物を買う羽振りのいい若者を見かける。彼は白札屋の封緘をされた包みを破った小判で代金を支払っていた。
再び巡察の旅に出た十兵衛。その途中で、忠吉と思しき若者が勝浦へ向かったという情報を得る。西国出身の忠吉は、勝浦から干鰯を運ぶ船に乗るつもりだと気づいた十兵衛は、その跡を追う。しかし忠吉の足取りは、勝浦に入ったところでぷっつりと消えていた。
勝浦の十手持ち・勝五郎(三浦浩一)の案内で十兵衛たちは大網元の津国屋に行く。が、主の祐右衛門(石田太郎)は、須崎屋為蔵(片桐竜次)のところへ行っており不在だった。須崎屋を訪ねた十兵衛は、祐右衛門と為蔵が言い争っているのを見る。為蔵は津国屋の地位を狙っており、祐右衛門は為蔵が借りた金を返さないことで怒っていた。
津国屋の下働きの仁平(宮川一朗太)が、妻のおたか(中島ひろ子)が田舎料理を振舞いたいと言って、十兵衛たちを自宅に招く。そこでおたかは、津国屋に向かう見かけない若者を見たと証言する。
翌朝、忠吉の遺体が見つかった。その顔は、十兵衛が古着屋で見かけた若者だった。勝五郎が津国屋に忠吉の聞き込みに行ったときに祐右衛門が焦っていたと話したこともあり、十兵衛たちは津国屋に再び訪れる。そして金蔵から、忠吉が持って逃げた金を見つける。十兵衛は祐右衛門を忠吉殺しの下手人として捕らえる。
だが祐右衛門は牢から脱走。為蔵が自分を陥れるために忠吉を殺したと考えた祐右衛門は、為蔵を襲う。駆けつけた十兵衛に祐右衛門は取り押さえられるが、刺された為蔵は、「忠吉を殺したのは俺じゃねぇ、俺が見つけた時には死んでいた」と言い残し、息を引き取ってしまう。
十兵衛は仁平の家へ向かう。そこには、子供に忠吉が着ていた着物を仕立て直した物を着せているおたかがいた。それを見られ、観念した仁平とおたかは真相を語る。
知り合いだった祐右衛門を訪ねて忠吉が津国屋に来たとき、入れ違いで祐右衛門は江戸に行っていた。仁平は親切心から忠吉を自分の家に泊めるが、忠吉が大事に抱えていた包みが気になり、寝ている隙に中をのぞいてしまう。仁平が金を取ろうとしていると思った忠吉は、仁平に襲い掛かり、仁平を助けるためにおたかは忠吉を刺してしまう。二人で忠吉の死体を埋めているところを須崎屋に見つかり、須崎屋は二人を脅して津国屋が不利になる嘘の証言をさせたのだった。
おたかの、子供にいい物を着せてやりたくてどうしても忠吉の着物を捨てられなかったという話を聞いた十兵衛は、事件を忠吉が死んだことで真相は闇に消えたとし、二人を見逃す。第三話「泣く子も黙る大悪党Vs八州廻り!! 情婦の涙と赤ん坊」(5月15日)
日光例幣使街道近くで違法を繰り返す賭場があると案内役の辰次(四方堂亘)から申告があり、桑山十兵衛は出向く。賭場に乗り込み、その場にいた者を取り押さえる十兵衛と配下たち。その賭場の胴元は木崎の喜三郎(火野正平)という、表向きは居酒屋の主人だが、裏では上州でも三本の指に入るほどの大貸元だった。だのに喜三郎は前科がない。その理由は、捕らえても子分が身代わりに名乗り出て釈放されるのと、報復を恐れて誰も捕らえようとしないからだった。粂蔵と五兵衛も十兵衛の身を案じて反対するが、十兵衛は毅然として喜三郎を江戸送りにする。
賭場の胴元は島流しと決まっている。しかしその後、桝吉(高杉亘)という男が胴元だと名乗り出て、喜三郎はただの客だと言い張ったため、喜三郎は五十叩きで釈放されてしまう。一方、十兵衛は何者かに鉄砲で狙われる。
悪党を許せぬ十兵衛は木崎へ旅立つ。そして喜三郎の報復を恐れる辰次とその家族とともに、喜三郎の居酒屋の向かいの木賃宿に腰を据える。
十兵衛は近隣の貸元を集め、目をつぶるから賭場を開いて稼ぎまくれと命じる。また案内役たちも集め、喜三郎には手を出さず、眼を離すなと命じる。そして近隣の賭場の上がりを強請りにきた喜三郎の子分を追い払い、居酒屋に来た客を追い返し、喜三郎の収入減を絶ち、じわじわと追い詰める。
十兵衛の泊まる木賃宿の主・お京(喜多嶋舞)は、元は喜三郎の情婦で、飽きられた後、桝吉に下げ渡された経歴をもっており、宿の本当の主は桝吉だった。そのことを知った十兵衛は、なぜ桝吉が命を張って喜三郎の身代わりになったか腑に落ちる。お京は喜三郎の子を身ごもっていたが、十兵衛はその子は桝吉との子だと諭す。
子分にも逃げられ孤立した喜三郎は、やけになり十兵衛に襲い掛かる。だが十兵衛は逆に喜三郎の足を斬り、殺してくれと言う喜三郎を江戸送りにする。そして桝吉は放免される。第二話「上州〜江戸、怒りの大捜査網! 神田で待っていた女」(5月8日)
巡察を終え、江戸へ向かおうとしていた桑山十兵衛は、宿泊した旅籠で、同じ八州廻りの山下左馬亮(石橋蓮司)が桐生宿の旅籠で宿代を踏み倒した上に、詫び料をせびっていったという話を聞く。どうせ偽者だろうと一笑した十兵衛だが、その山下は八州廻りの身分を証明する“御判物”という書付を見せたという。
江戸に戻った十兵衛は、上司の川端三五郎(笹野高史)に山下のことを聞く。山下は酒と女に目がない男だが、仕事は真面目で、五日前に帰還の予定だがまだ帰ってきていないと言う。思い当たることがあった十兵衛は、川端に黙って、山下を探しに行く。
最後に山下を案内した土地の十手持ちによると、中山道を下る途中で別れたと言う。そこに山下の偽者が栃木宿で捕まったという知らせを粂蔵が持ってくる。急ぎ駆けつけた十兵衛。だが捕まっていたのは、ぼろを着た山下本人だった。山下は実は足利宿におまち(メイサツキ)という女を囲っていて、そのおまちと会っているときに襲われ、身包みをはがれたのだった。御判物を取り返すのを十兵衛に任せて、山下はおまちを追って江戸に帰ってしまう。
その後、山下の偽者が豪農から三百両を強奪するという事件が起こる。十兵衛は現場に向かうが、手がかりはない。そうするうちに、木崎の旅籠に八州廻りが泊まっているという噂が聞こえてくる。駆けつける十兵衛。だがそこにいたのは、山下の偽者をまねた偽者の偽者で、百姓だった。大金を手に入れた山下の偽者たちがしばらくは地下に潜ると考えた十兵衛は、彼らをおびき出すため、捕まえた百姓たちを八州廻りの偽者と大々的に言いふらしながら江戸送りにする。
だが江戸までの道筋、怪しい者は現れなかった。そして江戸の神田まで来たとき、偽者の唐丸籠を見に来たおまちを捕らえる。だがおまちは、山下を襲った首謀者のことを、夫のばくち仲間で小川という名前としか知らなかった。おまちの話では、小川は山下が女に弱いことを知っていたという。十兵衛は川端に、最近、誰かに山下のことを話さなかったかと聞く。そして川端の主筋に旗本の小川家があり、そこの三男に部屋住みの半四郎(榊英雄)という男がいることを聞き出す。
半四郎に会いに行った十兵衛は、彼が山下の偽者だと確信する。手向かう半四郎を、十兵衛は小川半四郎ではなく山下の偽者として成敗する。第一話「関八州の悪党たちよ!刃向かう者は斬捨て御免!!」(5月1日)
中仙道・坂本宿で仕事を終え、江戸に戻ってきた桑山十兵衛。さっそく預かっていた八重を連れて現れた登喜の、「嫁をもらいなさい」という小言から逃げ出すように、旅の途中でかかった経費を請求しに出仕すると、上司の川端三五郎(笹野高史)からすぐに次の仕事を言い渡されてしまう。相模の厚木で、ばくち打ち同士の揉め事が起こっているというのだ。八重との触れ合いもそこそこに、またも十兵衛は旅に出る。
土地の十手持ちの勘助(神保悟志)によると、弥五郎(不破万作)が賭場を仕切っている管轄に、近隣の村の親分・彦次郎(菊池隆則)が割り込んできて揉め、いまにも切り合いになりそうになっているという。そしてその夜、弥五郎一家の代貸・為蔵(珠川真一)のずたずたに斬られた死体が見つかる。
為蔵殺しの現場からは、彦次郎の子分の熊吉の根付が見つかる。十兵衛たちは彦次郎が熊吉に為蔵を殺させたと考えるが、彦次郎は自分ではないと主張、そしてあの賭場は元々は自分たち一家のものたったと話す。そんな中、今度は熊吉の水死体が見つかる。
十兵衛たちはひとまず彦次郎を江戸に送ろうと考えるが、一緒に捜査していた役人・真田仁兵衛(羽場裕一)が示談にしてほしいと言い出す。護送の費用は村から出るため、出費を減らしたいと考えてのことだった。
彦次郎に三十両と、以後弥五郎の賭場に手を出さないという誓詞を出させることで、弥五郎は了承。殺された為蔵の女房・おさわ(星野真里)は金では納得できないとごねるが、真田がなだめる。
ところが彦次郎から受け取った三十両をおさわに届けに行った勘助が途中で斬られ、金を奪われてしまう。捜査のためにおさわの家を訪ねた十兵衛は、そこで真田からもらったのと同じタバコがあることに気づく。
十兵衛は偽の手紙で弥五郎とおさわを呼び出し、二人の言い合いから二人が結託していたことを暴き出す。そしてもう一人の黒幕も十兵衛は呼び出していた。それは真田だった。真田は元はまじめな役人だったが、働いても評価されないことに嫌気がさし、博打の上前をはねたりと悪事に手を染めたのだった。十兵衛を買収しようとした真田だが、断った十兵衛に斬りかかり、逆に成敗される。
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