水戸黄門
 
里見浩太朗 主演   06年7月24日〜12月18日   毎日 月曜夜8時から

前回までのあらすじ

第20話/最終回『祇園の夜の大騒動!』(12月18日)
 京に着いた黄門様一行は、第七話で結婚した黄門様の姉の孫・前田利久(渡辺大)の結婚相手の父である松平因幡守(永井秀和)に会いに、京都所司代に赴く。そこには、利久とその妻となった菊(藤井麻衣子)も来ていた。再開を喜ぶ黄門様を、因幡守は祇園に誘う。すぐに発つつもりだった黄門様だったが、祇園に行ったことがないと言う利久の後学のためにと言われて断れない。
 因幡守行きつけの料亭の女将・紫乃(志乃原良子)に、面白い話はないかと尋ねた因幡守。長作が、福井藩用人・牟婁勘太夫(森次晃嗣)の急ぎの人形の注文に、順番待ちで三ヶ月かかると言って、怒らしたという。長作(沼田爆)は、昼間、京人形を買いたいと言った黄門様に、菊が紹介してくれた高名な人形師だった。黄門様は、急ぎの注文というところに、悪事の匂いを感じ取る。
 翌日、利久が祇園に行ったと知った菊は、激怒。祇園がどういうところか自分で確かめると、昔、屋敷に奉公に来ていて仲良くなった長作の娘・お久美(歌原奈緒)に着物を借りて出かける。一方、賄賂に使うためにどうしても長作の人形を手に入れたい牟婁は、手下のやくざ者・藤造(西田良)に、博打に来ていた長作の次男・佐吉(佐野泰臣)を脅させ、お久美をさらう手伝いをさせる。ところが佐吉は、お久美の着物で歩いている菊を見間違えて、菊をさらってしまう。
 助さんと格さん、それに本人の希望で利久が助けに行くが、利久の不用な行動で失敗。さらに警備が厳しくなってしまう。人形が出来上がり渡すまでは、菊の命は無事と見た黄門様は、引渡しの現場に乗り込み、牟婁たちを懲らしめる。
 実は紫乃は、金沢にいる菊の実母の姉だった。因幡守は祇園に遊びに来ていたわけではなく、紫乃から菊の母の様子を聞いていたのだった。また、佐吉も長作の思いを知り、改心。
 黄門様一行は、西山荘に向けて帰路を急ぐのだった。

第19話『浪花娘情けの恩返し』(12月11日)
 高野山に詣でる途中、黄門様一行は行き倒れの娘と出会う。遠くの茶店の品書きまで読んでしまう目のいい娘・お花(山田花子)に紹介された、高野豆腐のおいしい店・清水を訪れた一行。だが、今にもつぶれそうなその店は、お花の叔父・清三(宮川大助)の店だった。
 幼い時に両親を亡くしたお花は、引き取られた先々で役立たずと言われ、転々としてきたが、最後に面倒を見てくれた侍・新田新兵衛(重松収)が、上司にだまされ切腹させられた後、お地蔵さんから夢の中で、「高野山で一旗上げよ。清三を頼れ」というお告げを受けて、ここに来たのだった。お花の話を聞いた黄門様たちは、店を盛り立てようとお手伝い。お花の作った小さいお品書きの注文を、お花が遠くから読み取ることが評判になり、清三の料理の味とともに、店は大繁盛。
 そんな店の繁盛に目を付けた不動坂の浪六(田畑猛雄)の子分が、清水に押し入ってくる。が、お花の啖呵に助さんと格さんが追い出す。お花は高野山に見回りに来た町奉行の中田監物(大河内浩)に助けを求めるが、邪険に扱われてしまう。お娟と鬼若とアキは、そんな浪六のところに、猿のように身の軽い男、錠前破り、腕の立つ浪人が集まっているのを見て、よからぬことを企んでいるのではと警戒する。
 高野山では、本殿改築のため寄進を募っていた。儲けが出た清三も寄進し、町名主の甚右衛門(小倉一郎)のところには、二千両もの大金が集まる。それを心配した中田に、甚右衛門は南蛮渡りの三桁の数を合わせるダイヤル式の鍵を使っていることを説明。だがその数を記した紙が風に飛ばされてしまい、女人堂の高い塔の鬼瓦に引っかかってしまっているという。
 実は中田は浪六と手を組み、二千両を狙っていた。だが錠前破りが使えないと知った中田は、浪六から聞いたお花の千里眼に目をつける。
 中田から、荒くれ者に立ち向かった功績を称えて腰元に召抱えたいと言われたお花。浮かれるお花に、黄門様はうまい話には裏があると教えるが、お花は聞く耳もたない。中田はお花を女人堂に連れて行き、引っかかっている紙に書かれた数を読ませる。黄門様の言葉を思い出したお花は、嘘の数字を読み上げる。中田は用済みになったお花を浪六たちに始末させようとする。実は中田は、お花の恩人・新田の仇でもあった。そこに助さんと格さんたちが助け出す。
 町名主の家に忍び込んだ浪六たち。だが、鍵が開かない。そこにお花を連れた黄門様たちが現れる。浪六たちを懲らしめた黄門様は、そのまま中田の屋敷に乗り込み、お花も参加して懲らしめる。

第18話『若君救った女将の秘密』(12月4日)
 三木を訪れた黄門様一行。黄門様の育ての親・三木仁兵衛の先祖の墓がここにあり、念願だった墓参りができた黄門様だったが、その帰り道、若侍が数人の浪人者に襲われているところに出くわす。助さんと格さんが助けに入り、浪人たちを追い払うが、若侍は肩を斬られていた。側にいた本陣の女将・りく(栗原小巻)に勧められるまま、若侍を本陣に運び込む。
 若侍の怪我を献身的に看護するりく。若侍の身形、浪人たちが抜け道を使って明石藩に逃げて行ったことから、黄門様は、若侍が明石藩の若君・松平翔之介(福士誠治)だと見抜く。そしてりくが、生母だと察する。
 翔之介の父がまだ金沢にいたころ、りくはお手つきとなり翔之介を産んだが、正室に子がないことに遠慮して、りくは身を引いた。そのことを知らない翔之介は、りくを母のようだと感謝して慕うが、りくは名乗り出るつもりはないと言う。そんなりくに、黄門様は、自分も幼少のころに母と別れさせられさびしい思いをしたが、その後再会したときは、本当に嬉しかったと話し、名乗り出るようにと諭す。
 明石藩の世継ぎである翔之介の命を狙う者たちについて黄門様たちが相談しているのを、屋根裏から一人のくノ一が盗み聞きしていた。それに気づいた黄門様は一計を案じ、助さんを翔之介に化けさせおとりにしようとするが、その時すでにりくがおとりになって出かけていた。おとりのりくを、くノ一・胡蝶(夕渚麻里瑛)の吹き矢が襲う。
 一方、湯女に化けたお娟は、翔之介の叔父の松平直利(大竹周作)たちが翔之介を亡き者にして藩の実権を握ろうとしていることを聞き出し、逆に翔之介が小野藩の彩姫(多岐川華子)と見合いを兼ねた盛大なお茶会を開こうとしていることを吹き込む。
 見合いは直利たちの見守る中、和やかに進み、翔之介は舞を披露しようと立ち上がる。面をつけて出てきた翔之介に、胡蝶が物陰から毒を塗った吹き矢を飛ばす。それを扇で打ち落とした翔之介。実は翔之介は黄門様と入れ替わっていた。面の中から現れた黄門様を、曲者と襲い掛かる直利の家来たち。それを黄門様一行は懲らしめる。
 りくは翔之介に、母の証であるお守り袋を見せる。母として城に来てほしいと頼む翔之介に、りくは人にはそれぞれに生きる道があると、辞退する。

第17話『男度胸の鬼退治』(11月27日)
 岡山に着いた黄門様。出会ったばかりの魚屋の青年・太吉(二反田雅澄)に、祖父になってほしいと頼まれる。太吉は、網元の娘のお光(小西美帆)と祝言を挙げたいが、お光の父親に「おまえには足りないものがある」と断られてしまったのだ。幼くして両親を亡くした太吉は、自分に足りないものは身寄りだと考えたのだ。
 しかしお光と一緒にいるところを、幼いころからいじめられていた廻船問屋橘屋の息子の松之助(平野貴大)に絡まれた太助は、反抗もできずにお光から、「足りないのは意気地よ」と怒鳴られてしまう。一念発起した太助は、助けてくれた助さんに、けんかの仕方を教えて欲しいと弟子入り。助さんから「武道の基本は明鏡止水」と教わるが、明鏡止水の意味が分からない。格さんからその意味を説明されるが、その途中で居眠りしてしまう。
 一方、近隣では、特産物の備前焼を積んだ船が難破したと偽り横領し、密かに売りさばかれていた。
 黄門様に肝試しを言いつけられ、人気のないところにある鬼の首塚まで行かされた太吉は、そこでお光の悲鳴を聞く。猟師たちの借金を盾に婚姻を迫る橘屋に困り、なんでも願いを叶えてくれるという鬼の首塚に願掛けに来ていたお光は、松之助たちが横領した備前焼を隠す現場を見てしまい、殺されそうになっていた。太吉は無我夢中でお光を助けて逃げる。
 黄門様は太助を説得し「鬼退治に参りましょう」と。太助は鬼若、アキ、新助をお供に橘屋へ。太助は刀を持つ松之助に立ち向かい、一矢報いる。黄門様たちも、橘屋の横領の後ろ盾・勘定奉行の榊兵馬(大林丈史)の屋敷に乗り込み、懲らしめる。

第16話『銘酒を守った頑固者』(11月20日)
 今回の話は、本当に広島でロケが行われました。
 安芸の宮島を訪れた黄門様一行。そこで熱心に参拝する老人と出会う。彼は広島一と謳われる銘酒・宮錦の杜氏で六兵衛(長門裕之)という。
 旧知の間柄である広島藩元藩主・浅野光晟(寺田農)から広島藩で酒比べを行う話を聞いた黄門様。だが六兵衛は、量産できない宮錦は出さないと言う。それに六兵衛の弟子の清吉(伊東孝明)は反発する。そして六兵衛が出さないなら、自分が作った酒を酒比べに出させてほしいと言い出す。
 六兵衛は清吉の腕を認めつつも、清吉が慢心して酒作りに手を抜くことを恐れていた。六兵衛の頑固さの中にある真意を知った清吉は反省し、また六兵衛も素直に清吉に出品の許可を出す。
 一方、酒比べで優勝して藩御用達の地位を狙う鳴門屋(二瓶鮫一)と城代家老の鷺沼三太夫(栗塚旭)は結託して、出品された宮錦に酢を混ぜる。審査のために長州藩より招かれた毛利吉就(堀内正美)がそれを飲んで顔をしかめたところに、本物の宮錦を持った黄門様が駆けつけ、再審査を申し入れる。だが突然現れた黄門様たちを鷺沼は狼藉者扱いし、斬り捨てるよう命じる。
 鷺沼たちを懲らしめた黄門様一行。再飲した吉就は宮錦を褒め称え、宮錦はその名を守った。

第15話『お娟が挑んだ女の対決』(11月13日)
 徳山に先行するお娟は、突然飛んできた枝を避けたとたん、役人たちに取り囲まれる。役人たちの頭・浅水真二郎(冨家規政)は、お娟の顔を見て驚き、手形を確認して謝罪する。彼らは、国に帰る藩主・毛利元次(江藤潤)を襲った女を追っていた。そしてただ者じゃない身のこなしのお娟に疑いをかけたのだった。
 その女とは、甲賀崩れの忍で、蛍火(棚橋幸代)という。徳山藩では近々先代の十七回忌法要を予定していた。元次が再び城外に出るその日、蛍火が襲ってくるだろうと黄門様は予想する。
 お娟は朝水の亡くなった妻に瓜二つだという。朝水は元次に、本来なら切腹になる失態を犯した時に命を助けられたことがあった。そのため、なんとしても殿を守りたいと言う朝水に、黄門様たちも心動かされる。
 法要の時に、先代の残した宝櫃を開けることを元次は提案。だがその宝櫃をしまってある蔵が、何者かに開けられた形跡があることに気づいた浅水の同僚の大河内半蔵(柄沢次郎)が殺される。元次以外に蔵を開けられるのは、家老の中島図書(成瀬正孝)だけ。中島が宝櫃の中身を横領し、それが発覚するのを恐れ、元次の命を狙っていると、黄門様は気づく。
 法要の場に、それぞれ変装してもぐりこんだ黄門様一行。だがその場に蛍火ももぐりこんでいた。蛍火の放ったクナイから、一行は元次を守る。蛍火は捕らえられる前に自害。しかし口封じに殺されそうになったところを助けた中島の手下から、中島の悪事は露見。黄門様は懲らしめる。

第14話『父子結んだ石州和紙』(11月6日)
 津和野に向かう黄門様一行は、坂道で重そうな荷車を引く女性を見て、手伝おうとするが、側にいた男に断られてしまう。女はお小夜(長山洋子)といい、義父の源造(綿引勝彦)の元で、亡くなった夫に代わり紙すきの修行をしていた。荷車を引くのも足腰を鍛える修行の一つだったのだ。
 源造の元を、津和野紙の吟味役を務める勘定奉行・雨宮甚三郎(大橋吾郎)が訪ねてくる。二ヶ月程前から京、大坂で長州紙が話題になっているという。それが津和野紙に似ているというのだ。彼の持ってきた紙を見た源造とお小夜は、それが津和野紙であること、そして自分と性が合わずに出て行った次男の恭平が漉いたものではないかと気づく。藩の特産品である津和野紙を横流ししている者がいれば死罪である。
 義弟の恭平(村井克行)の居所を突き止めたお小夜は、横流しのことを聞くが、恭平は知らないと言う。騙されているのではと心配するお小夜だが、恭平は気にせず、それよりも親父と勝負を申し込むと言い出す。
 お小夜から恭平の申し込みを聞いた源造は、実は歳で手がいうことをきかなくなっていると告白。お小夜は義父に代わって自分が勝負に出ると宣言する。黄門様は勝負の行司を買って出る。
 黄門様は二人の漉いた紙にそれぞれ印をつけさせ、その印を隠し、恭平に自分が漉いた紙を当てさせる。恭平が選んだのはお小夜の漉いた紙だった。恭平は自分の知らない間に腕を上げ、かつては嫌っていた父の紙に近づいていたのだった。お小夜のとりなしで、二人は仲直りをする。
 紙の横流しをしているのは紙を取りまとめている庄屋の藤左衛門(津村鷹志)と、その後ろにいる郡奉行・大槻権蔵(南条弘二)、次席家老・栗栖典膳(中原丈雄)だった。それを突き止めた黄門様は、彼らを懲らしめ、城代家老・榊彦兵衛(勝部演之)に彼らの処分を託す。

第13話『お江戸から来た凸凹家族』(10月30日)
 黄門様一行にくっついてきていた新助の姿が見当たらない。鬼若とアキの話では、新助は一人で萩へ向かったという。気になった黄門様たちも萩へと向かう。
 萩では、名産の萩焼きの材料になる土のとれる土地を、春木屋儀兵衛(出光元)が買い占め、土の一手販売を職人たちに強いようとしていた。だが彼らの中心的人物の、藩への献上も認められた一ツ釜の太兵衛(石立鉄男)に断られ、春木屋は太兵衛を襲おうとする。
 一方、黄門様たちは、町中で権太(魁三太郎)とおかつ(重田千穂子)の夫婦に追いかけられている新助を見つける。実は二人は新助の両親で、はるばる江戸から新助に稼業を継がせようと探しにきたのだった。二人の過保護に思う気持ちに耐えられず逃げ出す新助。
 新助は太兵衛を訪ね、彼を手伝いながら、「いまどのへいすけ」という人物について聞く。実は権太の父で、新助にとっては祖父にあたるへいすけは、ずっと昔に引くに引けないケンカに巻き込まれ、江戸所払いになっていた。権太は幼い自分と母を置いて去った父を恨んでいたが、新助は彼が名を太兵衛と変えて萩にいるという噂を聞いて、父と合せたいと思い、やって来たのだった。太兵衛は、新助の祖父がずいぶんと前に死んでいること、立派な人物で、追われていた自分に手形をくれ、逃がしてくれたことを話す。
 その裏では春木屋が、権太夫婦に先立って新助を探しに来ていた安五郎(桜金造)に、彼の生き別れた父親だと名乗り出ていた。職人たちを抑えることで私腹を肥やそうとする町奉行・保坂頼母(原口剛)の入れ知恵で、春木屋の息子を殺し、その罪を太兵衛に着せようとしていたのだ。騙された安五郎は、父と信じた春木屋に頼まれ、新助を通じて太兵衛の焼いた椀を手に入れる。
 用済みになり殺されかけた安五郎と真助を助けに入ったお娟。
 そうとは知らない奉行の配下が、太兵衛の椀が現場に落ちていたのが証拠と、安五郎殺しの下手人として、太兵衛を捕らえに来る。そこに現れた黄門様一行と安五郎、新助。町奉行と春木屋の悪事は露見し、黄門様は彼らを懲らしめる。
 新助から太兵衛の話を聞き、父への思いを変えた権太。もっと黄門様について旅がしたいと言う新助を、権太とおかつは快く送り出す。

第12話『母と呼ばせた大相撲』(10月23日)
 出雲大社でおみくじを引き、結果に一喜一憂する黄門様一行。借金苦に首を吊ろうとしている女を見つけて、助ける。黄門様は女の言うままに、三両も渡してしまう。実は黄門様の引いたおみくじには、人助けで気運好転とあったのだ。
 ところが松江城下に着いた一行は、さきほどの女が蕎麦屋で酒を飲んで上機嫌になっているのを見てしまう。だまされたと知って怒る格さんに、黄門様は様子を見ましょうと、なだめる。が、格さんの小言に黄門様はすねて宿を飛び出してしまう。
 料亭で狼藉をはたらく藩のお抱え力士・黒龍山(高山謙二)の一団に行き会った黄門様。彼の弟子の与兵衛(両國宏)は、黒龍山をいさめようとして、破門になってしまう。
 一文なしになり空腹で倒れていた与兵衛を助けたのは、首吊りの女・お時(烏丸せつこ)だった。与兵衛は、もうすぐ行われる勧進相撲で優勝して藩のお抱え力士になることが夢だったが、黒龍山の元を破門になった今、支度金の一両も用意できないと、夢をあきらめようとしていた。話を聞いたお時は、また首吊り狂言をして、一両を稼ごうとする。
 お時は、相撲好きだった夫と息子を火事で亡くし、それ以来勧進相撲が行われるところを巡って金を稼ぎ、孤児院に寄付をする生活をしていた。与兵衛に死んだ息子を重ね合わせ、稽古をして勧進相撲に出るようにと励ます。
 黄門様の一両で勧進相撲に出た与兵衛は、順調に勝ち進む。それを見て慌てたのは黒龍山だった。彼は、勘定奉行・片山内膳(深江章喜)と物産問屋・大前屋彦六(北町嘉朗)と手を組み、勧進相撲の寄付金にかこつけて、町の人々から金を巻き上げていた。与兵衛が優勝して悪事が露見することを恐れた彼らは、勝利祝いの帰りの与兵衛を襲う。
 怪我を負った与兵衛は、お時の反対を押し切って相撲に出て、肩の傷を狙う黒龍山の攻めにも耐えて、見事勝ちを収める。
 結果に慌てる大前屋と、それを切り捨てようとしてもめる片山のところに現れた黄門様一行。勧進相撲にたかるねずみを退治する。与兵衛はお抱え力士になるよりもお時の側にいることを望み、「おっかさん」と呼ぷ。

第11話『美人壷振り恋の償い』(10月16日)
 鳥取砂丘を歩く黄門様たち一行の後を、新助がついてくる。新助が言うには、たまたま行き先がいっしょなだけということだが…。足をすべらし砂丘を転がり落ちて足を痛めた新助を、格さんが背負って行くことに。鳥取城下に入った格さんたちに、ぶつかってきた若者が。彼は謝りもせず憎まれ口を叩いて去ってしまう。
 潮風にあたりにと、宿を出た黄門様と助さん。居酒屋へと向かう二人を、新助が呼び止め、賭場へと案内する。そこには粋な女壷振り・お葉(池上季実子)と、先ほどの若者・直太郎(筒井万央)が。お葉はやくざ者にあこがれて出入りしている直太郎を子供扱いし、連れ出し帰らせる。
 直太郎は廻船問屋・汐見屋徳兵衛(中島久之)の息子だった。そして徳兵衛はその昔、お葉が江戸で芸者をしていた時に恋仲だった男だった。直太郎を送っていった先で徳兵衛と出会い驚いたお葉は、一文なしになって賭場から出てきた黄門様たちを酒に誘う。
 駆け落ちの約束までしていた徳兵衛とお葉だったが、お葉は、徳兵衛の父親の知り合いだった恩人に頼まれ、徳兵衛との待ち合わせ場所に行けなかった。次男だった徳兵衛は婿養子としてこの汐見屋の主になり、今はその妻も亡くしていた。
 一方、海産物問屋・浜北屋宗兵衛(入川保則)は町奉行・松浪忠三郎(和崎俊哉)と結託して、商いの手を広めようと、廻船問屋・汐見屋を狙う計画を立てる。松浪は、やくざの親分・鮫蔵(草薙良一)に、直太郎を使い、汐見屋が預かっている藩に収める貴重な「千鳥の棗」を盗み出させる。借りるだけだと言われた直太郎は、鮫蔵に認められたい一心で、お葉がだまされていると忠告するのも聞かず、棗を盗み出す。
 松浪に呼び出された徳兵衛。松浪たちの企みに気づいた徳兵衛がやられそうになったところで、黄門様一行が現れ、松波たちを懲らしめる。
 直太郎は改心し、まじめに店の仕事をするようになる。徳兵衛はまだお葉に心があるが、お葉はここにいると夢を見てしまうと、身を引き、また一人で旅に出てしまう。

第10話『夫婦の絆は河内節』(10月9日)
 天橋立まで来た黄門様一行。大阪弁の女と調子のいい男の二人連れと出会う。股覗きをしていて崖から落ちそうになった男を助ける。
 夜、寝入りっ鼻に、太鼓と河内音頭で起こされた一行。宿の隣室にいたのは、昼間の二人連れ。河内の染物問屋の女主人・おみつ(中村美律子)と、おけらの新助(松井天斗)という風来坊だった。旅先で出会った二人は気が合い、一緒に旅をしているという。
 絹織物の問屋・清水屋の若い主人の清七(宮川一朗太)に店を案内してもらった黄門様。そこの織子のおその(芳賀優里亜)の織る反物はすばらしく、安値で売る清水屋は評判だった。
 宮津の家老・磯貝監物(西沢利明)の後ろ盾を持つ大橋屋久兵衛(上杉祥三)は、その評判の清水屋の織物に目をつけ、清七に手を組むように迫るが、清七は拒否。
 大橋屋は清水屋の嫌がらせに、織子の一人の借金を法外な利子をつけて五十両払えと迫る。話を聞いた清七は、なんとかすると言いながらも、仕入れをしたばかりで手持ちの金がない。そこにおみつが、おそのに「あんたの死んだ父が残した五十両だ。好きに使い」と金を出す。おそのの母は、旅人と恋に落ち、そして生まれたのがおそのだった。その旅人が、おみつの死んだ夫であり、おみつは死ぬ前に彼から真相を聞かされ、金を託されたのだった。
 大橋屋の嫌がらせは続き、清水屋への火付け騒ぎに乗じて、おみつとおそのがさらわれてしまう。閉じ込められた蔵の中で、おみつに聞かせたおそのの河内音頭を聞き取った新助によって、二人の監禁場所がわかり、乗り込んだ黄門様一行。磯貝と大橋屋を懲らしめる。

第9話『御老公の悪党志願!』(9月18日)
 小浜の手前の茶屋で休憩中の一行。黄門様と助さんが昨夜、酒を飲みに行ったことで、格さんの機嫌が悪い。言い訳に黄門様は「助さんが誘ってきた」と。が、助さんは「ご隠居の方から誘ってきたのに、もう忘れたんですか?」。年寄り扱いされたことに怒り、一人で行ってしまう黄門様。
 黄門様が一人で歩いていると、「潰し屋伝兵衛」に間違えられ、襲われる。軽く追い払ったところで、今度は町奉行から駕籠で迎えられる。
 町奉行の佐伯倉之助(野崎海太郎)から接待を受ける黄門様。彼は藩御用達の物産問屋・春日屋を取り潰そうと、回船問屋の赤城屋寅蔵(曽我廼家文童)を使っていたがうまくいかず、大店潰しの名人・潰し屋伝兵衛を江戸から呼んだという。その伝兵衛と、黄門様を間違えていた。町奉行の黒幕を探るため、そのまま伝兵衛になりすました黄門様。お座敷にいたお娟とともに、春日屋へ様子を探りに行く。
 一方格さんは、黄門様を探す最中に、赤城屋に襲われている春日屋の者を助けた縁で、春日屋に世話になっていた。そして黄門様の思惑を知った助さんは、赤城屋の用心棒に。鬼若とアキは、本物の伝兵衛(常泉忠通)を足止めに。ところが伝兵衛はアキをまいて、町奉行に会い、春日屋の娘・お志野(宇恵さやか)を誘拐する。
 黄門様も、自分こそが本物の伝兵衛だと言い張ったため、困った町奉行は、黒幕の家老の檜垣元左衛門(浜田晃)に相談に。伝兵衛は二人とも牢に入れられてしまう。
 お志野を助けて欲しいと、裏でつながっているとも知らずに奉行所に訴え出た春日屋の女主人のお峯(宇都宮雅代)。そこにお娟の手引きで牢を抜け出した黄門様が現れ、悪事を暴き、一同を懲らしめ、一件落着。

第8話『助っ人アキの越後獅子』(9月11日)
 アキと鬼若は、道中、風邪がぶり返して動けなくなっている越後獅子のおちか(尾高杏奈)と、その弟の三太(張沢紫星)、親方の直助(斉藤暁)と出会う。自分が行かないと待っている小屋主に迷惑がかかると無理をしようとするおちかに、アキは代役を申し出る。
 一方、黄門様たちは、襲われている旅芸人一座を助ける。彼らを襲ったのは、彼らが出演する庄楽座の付近一帯買占めを計る、町奉行の後藤助左衛門(近藤洋介)と両替商の赤座屋源兵衛(石山輝夫)の手の者だった。買占めに抵抗する庄楽座の主・庄兵衛への圧力のため、出演する芸人を襲ったのだった。
 黄門様たちの活躍で、無事に幕が開いた庄楽座。アキと三太の越後獅子も人気を博し、庄兵衛は直助に、もうしばらく留まる気はないかと持ちかける。直助は、おちかと三太を頼むと頭を下げ、翌朝、「旅に出る」と書置きを残し去ってしまう。
 直助は、昔、盗賊の一味にいたことがあり、霞の源七という頭目の顔を知っていた。が、犯罪に手を染めるのが怖くなり抜け出した直助は、その後、両親を流行り病で亡くし途方にくれていた越後獅子の兄弟と出会う。おちかと三太には、おなつという妹がおり、三年前に霞の源七が点けた火に巻かれて死んだ。赤座屋源兵衛が源七だと気づいた直助は、おなつの敵討ちをしようとする。
 返り討ちに合いそうになっていた直助を助けた助さんと格さん。直助から話を聞いた黄門様は、庄楽座に乗り込んできた奉行と源兵衛たちを、庄楽座の人たちとともに懲らしめる。

第7話『狙われた百万石の婚礼』(9月4日)
 黄門様の姉である明芳院(淡島千景)の孫、加賀藩前田家の若君・利久(渡辺大)との婚礼のため、金沢へ向かう京都所司代松平家の息女・菊姫(藤井麻衣子)の行列を、茂みから狙う怪しい者たちがいた。しかし彼らが襲う前に、行列は雲助たちの乱闘に巻き込まれる。供の者たちが雲助たちを追い払ったときには、駕籠の中の菊姫は消えていた。
 実はその雲助たちを雇ったのは菊姫。婚儀の前にどうしても自由な時間が欲しくて、一芝居打ったのだった。町娘の姿に化けようとした菊姫を、怪しい侍たちが襲う。そこに駆けつけたお娟と鬼若、アキ。お娟は菊姫を金沢入りした黄門様のところへ連れて行く。
 菊姫は、婚礼前に金沢名物の花水引職人の娘だった実母に会いたかったと言う。菊姫を明芳院に託し、黄門様は助さんと格さんに実母探しを命じる。
 一方、菊姫を狙うのが隣国の大聖寺藩の次席家老・仙石主善(磯部勉)であり、その後ろには柳沢吉保がいることを突き止めた黄門様たち。彼らを懲らしめる。
 菊姫に祝いの品が届いていると案内した黄門。そこには、菊の花を模した花水引を献上する菊姫の実母・さと(根本りつ子)がいた。菊姫は正室の子として育てられたため、名乗り出ることはできなかったが、そうと察した二人は涙を流す。

第6話『印籠の故郷守る師弟愛』(8月28日)
 輪島では、輪島塗の職人たちが、浜辺で御陣乗太鼓を練習していた。が、そこに役人たちが止めに入る。職人たちを手厚く保護するため、太鼓の練習は禁止にするというが、その実は代官・塚本典膳(中丸新将)の職人たちの先生である若月泰山(林隆三)への嫌がらせだった。
 印籠を作った泰山の元を訪れた黄門様一行。そこで泰山と、その弟子の一人、伊之吉(前田耕陽)の作品を見て、感嘆する。伊之吉は行き倒れていたところを助けられ、弟子になってまだ五年と経験は浅いが、泰山の後継ぎと言われるほど腕がよく、また泰山の娘・ゆり(内田もも香)とも恋仲だった。
 塚本は、結託した新川屋十兵衛(中村方隆)の店で、この先輪島塗の一切の取引を行うと触れを出す。買占めによって不当な扱いを受けることを恐れた職人たちは、七尾に逗留している郡奉行に直訴しようと企むが、そこを一網打尽に捕らえられてしまう。
 一方、怪しげな行商人風の男二人を見たお娟。彼らは実は九州のある藩の者で、家老どおしの勢力争いに勝つため、産業復興のために輪島塗の技を盗もうと伊之吉を泰山の元へ送り込んだ密偵だった。
 密偵二人は伊之吉に藩へ帰るよう命令するが、伊之吉は泰山の元で修行するうちにその技に心酔し、泰山に恩を感じていた。その泰山が苦しんでいるの見捨てて帰れない、待ってほしいと頼む伊之吉の前に、塚本が現れる。実は伊之吉の潜入には、塚本もかんでいたのだった。兄弟子たちとゆりの命を盾に取られ、帰国を受け入れる伊之吉。
 真実を話そうとする伊之吉を泰山はさえぎり、技を受け継いで欲しいと言う。伊之吉は郡奉行に訴え出ようと旅立つが、それをゆりが追いかけてくる。ゆりの決意を受け取り、二人で歩きだそうとしたところで、塚本たちと密偵に取り囲まれる二人。そこに黄門様たちが駆けつけてくる。
 悪人たちを懲らしめ、駆けつけた郡奉行に引き渡した黄門様。技を盗みに来たことに罰を下して欲しいと進み出る伊之吉に、それを庇おうとする泰山とゆりを見て、黄門様は罪とはなんのことやらと、とぼけ、伊之吉は再び泰山の元で修行の日々を送れることになる。

第5話『美人女医は暴れん坊』(8月21日)
 富山にて、一人先行していた助さんは、病み上がりで働かされていた人足を助けようとして、荒くれ者たちに取り囲まれていた女性を助けに入る。ところが彼女は助さんにお礼を言うどころか、助けてくれなどと言った覚えはないと、つんとして去ってしまう。
 一方、黄門様たちは名物のイカの鉄砲焼きに舌鼓を打っていた。格さんに食べ過ぎを注意された黄門様は、ムキになってもう一杯食べてしまう。案の定、途中で腹痛を起こした黄門様。通りがかった医者に助けを求めようとしたところ、道斎先生(中田浩二)は藪医者だから止めたほうがいいと、子供に止められる。迎えに来た助さんに連れられて、黄門様は子供のお勧めの医者へ向かう。が、そこにいたのは先ほどの女性・板垣綾(藤あや子)だった。
 綾は、近所の人たちから綾先生と呼ばれ、貧乏人からは治療代を取らないことで慕われている女医だった。黄門様に言われ、綾を手伝っているうちに助さんは、綾が口と手が出るのが早く男勝りだが、実は男と比べられるのが嫌でそんな性格になってしまったことを自分でも反省しており、何よりも患者を思う心優しい人だと分かる。
 そのころ富山では、薬問屋が藩に収める上納金が値上がりし、結果薬が値上がり、綾も心を痛めていた。
 一方、綾のことを快く思わない道斎は、荒くれ者たちに綾の診療所に付け火をさせる。だが、鬼若の活躍で、道斎の仕組んだことだとばれ、実は上納金の値上げを企んだ家老の時村将監(亀石征一郎)と繋がっていた道斎は、悪事の発覚を恐れた時村から切られる。
 死にかけたところを綾のところに運び込まれた道斎は、すべてを話す。それを知った綾は、一人で時村に直訴しに行くが、助けに追いかけた助さんとともに捕まってしまう。綾の代わりに道斎を守ろうとする町人たちに業を煮やした時村は、見せしめに綾を処刑しようとするが、そこに黄門様たちが現れ、時村たちを懲らしめる。
 綾と助さんは互いに心引かれながらも別れを告げ、一行はまた旅立つのだった。

第4話『塩の道は絶体絶命!』(8月14日)
 糸魚川へ向かう黄門様一行は、塩の道と呼ばれる街道で塩を運ぶ歩荷(ぼっか)が山賊に襲われているのを助ける。山賊を蹴散らした後、山陰から覗く男を見つけて、歩荷の一人・ともゑ(宮本真希)が「久吉兄ちゃん」と叫ぶが、男は逃げてしまう。
 久吉(金山一彦)は両親を亡くした後、歩荷の仁助(山田吾一)に面倒を見てもらうようになり、仁助の孫娘のともゑと兄妹のように暮らしていた。だが街道に山賊が出るようになり、代官に訴えたが何もしてもらえず、自分たちで隠れ家を見つけようと、仁助と久吉は山に入った。しかし逆に山賊に見つかり、追いつめられて、崖を綱を使って降りようとし、仁助は落ちて死んだという。仁助の握っていた綱は刃物で切られていたため、久吉が自分だけ助かるために綱を切って仁助を殺し、自分は山賊の手引きをしているのではないかと、ともゑたちは考えていた。
 街道に山賊が出るため、みな怖がって歩荷をする者がなく、代官からは松本が塩不足だとせっつかれ、塩問屋が困っているとアキから聞き、黄門様たちは歩荷に志願する。ともゑも加わり、塩を運ぶ最中、またも山賊が。逃げる中、久吉と出会った一行は、久吉から話を聞く。
 あの日、仁吉と久吉は山中で、代官・黒岩勘太夫(黒部進)が山賊の頭・不動岩の十郎太(片桐竜次)とつながっているのを見てしまう。だが逃げた二人がつかまった綱が、二人分の体重でちぎれかける。その時、仁助が久吉だけでも助けようと、自ら綱を切り、落ちたのだ。久吉は黒岩と山賊のつながりの証拠を見つけるまでは、山を下りられないと言う。
 黒岩と十郎太は、松本が塩不足になったところで塩を高値で売り、利益を得ようとしていた。お娟の調べや、ともゑの無謀な行動で、それが分かった黄門様たち。奪った塩を売りに出発しようとするところに現れ、代官と山賊たちを懲らしめる。

第3話『手抜き普請の悪退治』(8月7日)
 善光寺に着いた黄門様一行。門前町でショバ代をせしめるやくざ者の百足の源三(岩尾正隆)たちを見て、懲らしめる。
 一行は、通りすがりの寺子屋で、利発で愛嬌のある少年・亀吉(戸島俊季)と、彼を見守っている宮大工の松五郎(螢雪次朗)と出会う。亀吉は宿で働くおつる(岡まゆみ)と松五郎の子だったが、酒癖の悪い松五郎に愛想を尽かし、おつるが亀吉を連れて家を出ていた。だが亀吉がまだ父を慕っていることを一行は知る。
 一方、江戸から善光寺の参門の改修普請を命じに、寺社奉行がやってくる。住職(小池榮)の前で、一切をお任せいただきたいと代官の沢井内膳(小沢象)が申し出る。
 住職の口添えで、普請の棟梁を命じられた松五郎。亀吉はそんな父を誇りに思う。だが普請費用の横領を企む沢井から、安普請の手抜き工事を命じられ、また門前で商いしている者から普請費用を強制的に負担させられているという話を知った松五郎は、棟梁を断る決意をする。そんな松五郎を、おつるは見直すが、それを知った沢井の手下の源三が、亀吉を攫ってしまう。
 亀吉を助けるため、沢井の元へ向かった松五郎とおつる。その条件で棟梁を引き受けると言いかけた時、黄門様が割って入る。亀吉を助け出し、沢井と源三たちを懲らしめた黄門様一行。黄門様は、沢井を松五郎に謝らせる。アキと格さんが盗み出した裏帳簿を見て駆けつけてきた寺社奉行によって、沢井たちは引っ立てられ、一件落着。

第2話『母子逢わせた達磨さま』(7月31日)
 高崎へ向かう途中の黄門一行は、宿場町で荷車の荷崩れに巻き込まれそうになった女を見る。しかもその人足たちが女に刃物を向けているのを見て、助けに入る。
 腹を刺された女は、おさき(八木小織)という高崎で生糸問屋を営む絹川屋の女主人だった。傍の宿で働く少女・千代(土田真里恵)の勧めもあり、黄門たちはその宿におさきを連れて世話になる。
 千代は三年前、二歳の時に生き別れた母を捜して信州から出てきて、生き倒れていたところをこの宿の主人に助けられたという過去があった。唯一の手がかりの首のあざを見せ、いつか出会った時に母の助けになるようにと、客からもらった心づけを貯めているという千代に、黄門たちは心を打たれる。
 傷も治っていないのに、宿を抜け出し高崎に戻ろうするおさき。実は絹川屋は、死んだ夫の弟・唐木屋鹿兵衛(大河内浩)と、彼と結託した勘定奉行・疋田万之助(伊藤高)によって、のっとられようとしていたのだ。お娟、鬼若、アキの働きで、おさきの命を狙ったのも彼らだと知った黄門。その悪事を暴き、おさきを助ける。
 また、おさきが千代の母だと気づくが、おさきの怪我を診た医者から胃に気になるしこりがあると聞かされた黄門は、おさきを高崎藩の御典医のところへ連れて行く。胃のしこりは命に別状がないと言われたおさきの前に、千代を連れてきた黄門。涙の母子対面となる。

第1話『加賀百万石への旅立ち』(7月24日)
 西山荘の黄門は、加賀で行われるかわいがっていた孫の婚礼が気になっていた。しかし姉から、簡素に執り行うので出席しないで欲しいという文が来て、落ち込む。そこへ助さんの母・静江(池内淳子)に、以前屋敷で働いていた日光の竹造(大出俊)から、遊びに来てほしいと誘いの文が。助さんに目配せをして、母の日光行きに同行するように勧めた黄門。孫の婚礼が無事に行われる祈願を日光東照宮でと、一人でついてくる。そこに鬼若、アキ、お娟も加わり、黄門の企みに気づいた格さんも追いついて、いつもの旅に。
 日光では、奉行所目付役・森岡庄太夫(誠直也)が、日光東照宮の改築費用五千両を盗んだとして、配下の深見十蔵(末吉宏司)を血眼になって探していた。以前の森岡は温厚な人物だったのに、最近人が変わったようだと聞いた一行。それぞれに一芝居打って、森岡に近づこうとするが助さんもお娟も格さんも失敗する。
 一方、襲われる深見を助けた鬼若とアキ。その様子を見ている影の軍団のような黒装束の怪しい者たちが。
 深見から、無実であること、思い当たるのは夜回りの時に聞いた森岡の密談だけと聞いた黄門。もしかすると本当に人が変わったのかもと当たりをつけ、留守にしている奉行の一族と森岡しか入れないという祠が、五千両の隠し場所ではないかと推測する。
 奉行の一族と従者に化けた静江と黄門。森岡に疑われるも、静江のとっさの機転の勧進帳の芝居で信用を取り付け祠に案内される。五千両を見つけた二人だが、それは罠だった。取り囲まれた黄門たちを、鬼若とアキが助けに入る。二人を逃がしたものの、祠の中で黒装束に囲まれた鬼若とアキ。そこに助けに現れた夜叉王丸(山口馬木也)、彼らが極悪非道の甲賀の抜け忍の一派だと教える。
 無事に逃げ出した黄門たちは、奉行所に乗り込み懲らしめ、久米の化けの皮を剥がし、一件落着。

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