新・桃太郎侍
  高島政宏 主演   06年7月25日〜9月5日   ABC  火曜夜7時から

各回ごとのあらすじ

最終話 「入れ替わった若君!?これが最後の鬼退治」(9月5日)
 誰かにあとをつけられている気がすると、挙動不審の桃太郎。お葉のことで呼び止めた蓑吉(ヒロミ)に、「俺と一緒に逃げてくれ」と手を握り走り出す。蓑吉に男色の気があると誤解される。
 塩問屋の讃岐屋の主人が辻切りに襲われ死亡する。つい先日も別の塩問屋が不審な死にかたをしたばかり。塩は丸亀産を扱う鳴海屋(石山輝夫)の専売となり、値段が上がる。
 あたり矢に、桃太郎を訪ねて二人の侍がやってくる。あたり矢の面々はさらに桃太郎の男色疑惑で盛り上がるが、二人が丸亀藩士だと聞き、桃太郎は酒の誘いに乗る。侍の名は、高木庫之助(伊藤洋三郎)と今井十郎(夏原遼)。酒の席で二人の上司である御側用人・黒崎陣太夫(清水○治)から、桃太郎は丸亀藩の若君として迎えたいと言われる。藩では江戸家老・神島伊織(津村鷹志)が実権を握り、若君は神島の言うがまま。神島を粛清するため、桃太郎に若君と入れ替わってほしいというのだ。若君になれば酒に女に金も欲しいだけ手に入ると言われ、桃太郎は一日考えさせてくれと、その場は去る。
 一方、讃岐屋の一人娘のお袖(三浦理恵子)に惚れていた、やくざで桃太郎の弟分の上州屋亀八(浪花勇二)は、なんとかしてやりたいと思っていた。そこに讃岐屋を切ったのが丸亀藩の侍だったと情報が入る。敵を取りたいと言うお袖に代わって、敵討ちに行こうとする亀八を、なだめる桃太郎。
 市中をお忍びで散策中の丸亀藩の若君・若木新太郎を見つけた桃太郎は、黒崎と神島のことを聞く。黒崎は最近、江戸に出てきた者で、神島はずっと余に仕えてきた信用の置ける者だと話す新太郎に、桃太郎は入れ替わりの計画を話し、黒崎たちの計画がうまくいけば、おまえは殺されるかも知れないから消えてろと言い放って、黒崎の元へ。
 若様に化けて、腰元たちにあたり矢名物の尻文字踊りを指導中の桃太郎に、話があると近づいてきた新太郎付きの腰元・志津(シルビア・グラブ)とお万(田村友里)。桃太郎は今夜の相手はこの二人に決めたと、他の者たちを下がらせる。
 閨で二人から、黒崎が藩を乗っ取ろうとしている話を聞いた桃太郎。二人を下がらせた後、若君と間違えている神島から、桃太郎が新太郎の双子の弟だと話される。その後、新太郎のことで丸亀藩江戸屋敷に忍び込んだ伊之助から、着物を受け取り、屋敷を抜け出す。
 一方、途方に暮れて街中を歩く桃太郎の着物を着た新太郎と出会った蓑助は、髷を見て仕官が決まった桃太郎だと思い込み、あたり矢に連れ帰る。桃太郎の仕官に、新太郎を取り囲んで浮かれるあたり矢の面々だが、お葉だけは桃太郎でないことに気づく。
 新太郎に話を聞こうと連れ出したお葉は、新太郎の命を狙う黒崎の手の者に襲われる。新太郎の刀を抜いて構えたお葉、「惚れた男からの預かり物だから切らせるわけにはいかないんだよ!」と啖呵をきり、駆けつけた伊之助の助けもあり、無事逃げ出す。
 借金の型に岡場所に売られることになったお袖は、鳴海屋に一人で敵討ちに行き、返り討ちにあう。そしてその敵を取りにいった亀八も切られ息を引き取る。
 怒りに燃える桃太郎。志津をさらわれ、罠と知りつつ一人助けに向かった新太郎が、鳴海屋で囲まれているところに降り立ち、「兄に代わって貴様を斬る!」と鬼退治。
 桃太郎が出生の秘密を知ったことを知り、「新二郎様、お許しください」と頭を下げる千代に、桃太郎は、できればずっと母上の子でいさせてくださいと、千代を抱きしめる。
 千代と伊之助を連れてあたり矢に現れた桃太郎。伊之助のことを千代が結婚したいぐらい大好きだとみなに紹介し、自分もお葉に「夫婦になろう」と求婚。「ならない!」と即答のお葉に抱きつく。
(※○は、糸偏に宏)

第七話 「岡っ引き殺し!?不良少年の恋」は、関東地域でのみ放送のため、未見。

第六話 「毒殺された奥女中 !! 姫君の秘めた決意 !?」(8月29日)
 桃太郎は気の合う三好屋の隠居・甚兵衛(桂小金治)とあたり矢で遊んでいた。甚兵衛はもうすぐ若月藩の奥女中として奉公に上がっている孫娘のおみよが宿下がりで帰ってくると上機嫌。ところがおみよはむくろとなって戻ってきた。突然の腹痛で死んだと言うのだ。
 一方、露天の西瓜を食い逃げしたと騒がれている娘(星井七瀬)を助けた桃太郎。「銭を見たことはあるが、持ったことはない」と話す娘に唖然としながらも、桃太郎は帰るところがないという娘をあたり矢に連れ帰る。話し方や態度から自分を姫だと思っていることが分かるが、娘はおまつという名前以外何も覚えていないと言う。
 その後桃太郎は、蓑吉(ヒロミ)からおみよが毒で死んだと教えられる。
 あたり矢では、みなで和気藹々とまんじゅうを食べているときに、「そのような物よく食せるな。毒でも入っていたらなんとする」と言ったおまつに、それまでも勝手わがままな振る舞いを見せられ我慢していたお葉が怒り出す。店を飛び出したおまつを、桃太郎は「毒」という言葉が気になり追いかける。
 働くところを探そうとしたが見つからず、生きていくのは大変だと思い知らされたおまつを見つけた桃太郎。愛嬌があればお葉も快く置いてくれると慰めていると、「松姫様〜」とすがりついてきた侍がいた。と、同時におまつに襲いかかる二人の刺客が。桃太郎は二人を蹴散らす。
 侍は若月藩の久保田又四郎(東根作寿英)と名乗り、桃太郎とお葉に、松姫を探しにきたと話す。若月藩では江戸家老の向井嘉門(原田大二郎)が、まだ赤ん坊の嫡子・鶴千代を擁立しようとし、邪魔者を消そうと画策していた。松姫のまんじゅうの毒見をした奥女中が死んだことで、身の危険を感じ、松姫は江戸屋敷を抜け出した。その松姫がおまつだった。
 剣の腕がからっきしの久保田を桃太郎は実家の千代に預け、おまつはあたり矢の新しい従業員として紛れ込ませることにする。が、向井が雇った始末屋の手は、あたり矢にまで伸びてくる。
 あたり矢に危険が及ぶと思ったおまつは人知れず抜け出し、死ぬ気でやればなんでもできると千代から教わった久保田とともに江戸屋敷に戻る。が、その途中襲われ、おまつはさらわれ、駆けつけた桃太郎の腕の中で久保田は絶命する。
 怒りに燃える桃太郎は花火の上がる江戸の町を走り、火の粉散る中、鬼を退治する。
 後日、若月藩の江戸屋敷に呼び出されたあたり矢の面々と蓑吉。事情がわからず恐れる彼らを横目に桃太郎とお葉はすまし顔。松姫に戻ったおまつから直々に礼を言われ、桃太郎には仕官を願われるが、桃太郎は断る。

第五話 「オランダ屋敷の謎!?騙された人買い女!」(8月22日)
 祭り見物に出かけた桃太郎とお葉。そこで不当にショバ代をせしめるヤクザを見つけ、やっつけた桃太郎。だが三百人の部下がいると聞いて、慌てて逃げるが勝ちと、お葉の手を引いて駆け出す。心の中では、お葉の手を握って走れることを感謝しながら。
 人気のないところまで逃げた二人の前に、瀕死の女性が現れる。彼女はなんとあたり矢で二ヶ月前まで働いていたおなつ(不二子)だった。おなつは「騙された」と言い残し、息を引き取る。
 あたり矢に、以前働いていたおみね(川上麻衣子)が、今度出す店におきく(竹本聡子)を引き抜きにやってくる。おなつのことで少し気になりつつも、おみねを信じておきくを送り出すお葉。
 一方、おなつの事件は、おなつと一緒になると迎えにきた、飾り職人の竜次(萩野崇)が怪しいとみて、桃太郎は彼を探していた。役者顔だったと特長を聞いた伊之助は、十年も前に盗人だったのを、竜次の姉に頼まれて足を洗わせた男だと思い出す。
 竜次は、回船問屋の辰己屋与兵衛(石立鉄男)と勘定奉行勝手方の江川頼母(大谷亮介)の手先として、長崎のオランダ屋敷に売る女を調達していた。その竜次の姉はおみねだった。おみねは竜次がカタギになったと言ったのを信じておきくを世話していた。改心を迫るおみねに、竜次は、島帰りにまっとうな暮らしができるかとすごむ。竜次は昔、おみねの金を奪った男を殺して島送りになったのだった。
 竜次の居所が分かったと知らせに来た伊之助だが、あたり矢に桃太郎はいなかった。それを聞いたお葉は、竜次に会わせてほしいと頼み込む。おみねのことを思い怒るお葉を、竜次は思わずお葉の腕を少し切りつけてしまう。逃げた竜次を追いかけた伊之助は、桃太郎と出会い、お葉のことを頼む。
 腕から血を流し呆然と座っているお葉を見つけた桃太郎は、お葉を背負って走り出す。「お葉死ぬな!お葉好きだ!この世で二番目に好きな女だ!」と叫びながら。
 おみねが再度、竜次を説得しているところに、売りに出す女がそろい竜次が邪魔になった辰巳屋から命令を受けた用心棒の倉持(木下通博)が現れ、二人を斬る。駆けつけた桃太郎とお葉。だが、二人は互いを思い合いながら死んでしまう。
 怒りに燃える桃太郎。霧雨の中、赤い着物を身にまとい、辰巳屋に乗り込み、鬼退治する。
 おきくもあたり矢に戻り、お葉から「二番目に好きって何よ!」と怒られる桃太郎。一番は母上だと気づいたお葉から、「いい年してばっかみたい」と平手打ちを食らう。
 一方家では、相変わらず仕官を迫る千代に、頼るツテもないと口答えする桃太郎。そこで丸亀藩の若君から江戸屋敷に遊びに来てほしいと言われていたことを思い出す。だが出生の秘密を隠したい千代から、それはなりませんと薙刀を突きつけられる。

第四話 「美しき偽りの花嫁 !! 徳川御三家の甘い罠」(8月15日)
 あたり矢の面々とお葉からもてている夢を見ていた桃太郎は、いいところで伊之助に起こされる。家の近くで付け火が多くて、千代が不安がっているのでしばらく帰ってきてほしいと。用心棒の仕事があるからと断ろうとした桃太郎に、現実のお葉は「休んでいいよ」と冷たい。
 街中で、スリに財布を掏られたと騒ぐ身なりのいい女性と出会った桃太郎。すぐさま取り返した桃太郎は、彼女の顔を見るなりまたもや一目惚れ。何か言いかけた彼女に、「名乗るほどの者じゃありません」と渋く決めて去ったものの、内心お茶ぐらいすればよかったとはげしく後悔。
 ところが家に帰ると、その彼女が千代と談笑している。彼女は紀州藩留守居役の娘で、玖美(芳賀優里亜)。千代とは芝居小屋で出会ったという。桃太郎のことを男らしく優しいと誉める玖美を千代も気に入り、桃太郎を婿入りさせたいと考える。
 家の周りでは相変わらず付け火や、借金に負われての一家心中、辻斬りなどの不幸が相次ぎ、引っ越す者が増えていた。その家や店を、口入屋の井筒屋伝兵衛(団時朗)が安く買い占めていた。
 桃太郎は玖美との逢瀬を繰り返し、とうとう父に会わせてほしいと結婚を申し込む。が、玖実は涙を流して走り去ってしまう。追いかけた桃太郎は、紀州藩江戸屋敷の前で用人を名乗る男から、玖実の父が部下の横領の責任を取ることになるという話を聞く。その金額は五百両。
 桃太郎から事情を聞いた千代は、自分がなんとかしようと、家の権利書を五百両で買うと言う井筒屋に証文もなしに渡してしまう。
 玖実の付き人が井筒屋に入っていくのを見たお葉は、桃太郎にだまされているのでは、と言い出す。玖実を信じつつも、紀州藩江戸屋敷に行くと、そんな娘はいないと追い返される。井筒屋はその辺り一帯を安く買い占め、一大歓楽地を作ろうとしていた。その買占めに一軒残っていたのが桃太郎の家だったのだ。
 街を走り回り、桃太郎は、場末で酒を飲む玖実を見つける。人を殺したり不幸にする井筒屋の片棒を担ぐなんてと怒鳴る桃太郎。だが玖実は桃太郎をだましたことは認めるが、井筒屋なんて知らないと突っぱねる。
 町娘の格好をした玖実とばったり出会った何も知らない千代は、お金は必ず私がなんとかします、と玖実を励ます。千代の無償の優しさを目の当たりにして、玖実はすべてを確かめようと一人井筒屋へ向かう。
 千代から、玖実に会ったが様子がおかしかったと聞いた桃太郎は、駆け出す。そして斬られて瀕死の玖実を見つける。玖実の看病をお葉に任せ、怒りに燃える桃太郎は井筒屋へ向かい、炎の中で鬼退治。
 傷の治った玖実は、桃太郎に何も告げずに旅立つ。玖実の心の中には芝居以上のものが宿っていたと信じていた桃太郎は「おかしい」と首をかしげる。

第三話 「桃さんVS金さん!? 父に誓った涙の友情…」(8月8日)
 あたり矢のお客の指物職人の清三(山上賢治)と楽しく騒ぐ桃太郎。だが清三は二人の娘が待っているからと帰ってしまう。残念がる桃太郎は、清三が忘れていった財布を見つけて、届けに走る。店からの帰り道、死体を担いで行く侍を見てしまった清三は、その侍に斬られてしまう。清三のなきがらを見つけた桃太郎は、途中すれ違った袴に血がついた二人の侍が下手人だと思うが、辻斬りの犯行として片付けられてしまう。
 清三の二人の娘を見舞った桃太郎は、おちか(西本利久)から、姉のおみつ(田島穂奈美)がたった一両の借金の形に連れて行かれたと聞き、追いかける。そこにはすでにやくざの亀八(浪花勇二)たち相手に戦っている侍が。二人してやくざを蹴散らし、おまけに桃太郎は降参して謝る亀八から侍の袴に泥がついたと洗い賃三両を巻き上げ、清三の借金を返す。
 侍は大岩金太郎(高知東生)と名乗った。桃太郎と金太郎で、すっかり意気投合した二人。そこに駆け寄ってきた金太郎の妹・早苗(今村恵子)に、桃太郎は一目惚れする。
 伊之助に連れて帰られそうになった桃太郎は、金太郎を見つけて一緒に連れ帰る。薙刀を構えていた千代だが、金太郎を見て慌てて矛を収め、金太郎の誠実な人柄を見て、和やかな雰囲気に。
 金太郎の父は出羽・舟形藩の藩士だったが、乱暴な藩主を諌め勘気を被り、家禄を半減、父と母を亡くした兄妹は苦労し、父を恨んでいると話す。だが、この度、国元から江戸屋敷に呼ばれ、剣術しか能がなく実直すぎて気の利かない自分を、留守居役の木田主膳(エド山口)が目を掛けてくれたと嬉しそうな金太郎。千代は金太郎の父を、立派な父だと言って誉める。
 金太郎は、国家老を斬るように木田から言われる。藩のためだと言われるが、金太郎は人を斬ることに引っかかりを感じる。
 桃太郎が見た侍二人が、木田の側近だと分かる。木田に疑いの目を向ける桃太郎と、木田を恩人だと思っている金太郎は喧嘩をしてしまう。だが、千代の言葉を思い出した金太郎は、木田の屋敷に行く。
 密かに藩政を調べた金太郎は、木田が不正をしているこに気づき、それを理由に国家老殺害を断る。しかしその帰り道、木田の家臣たちに襲われる。剣の腕は立つ金太郎だが、複数の弓で狙われ、致命傷を負う。
 金太郎と仲直りしようと駆けつけた桃太郎は、事切れる寸前の金太郎を発見する。すべてが分かった桃太郎は、木田の屋敷に乗り込み、斬る。
 金太郎の遺言で、早苗を頼むと言われた桃太郎だったが、早苗は国元に帰り、婿を取って家を継ぐと旅立つ。本当はお婿さんになりたかったんじゃないの?とあたり矢の面々からからかわれる桃太郎だが、いまさら侍奉公はできないと粋がる。

第二話 「母の秘密と鬼退治!堕ちた女の恋心」(8月1日)
 ナンパ中に、母に買ってもらった財布を擦られ、乱闘の末、財布を追って川に入った桃太郎。あたり矢でふんどし一丁で着物を乾かしていると、お葉の見合いの話が聞こえてくる。続きが気になる桃太郎だが、そこに伊之助が現れ、無理やり連れて帰られる。
 実はお葉に見合いを申し込んだのは、たまたま知り合った千代。お葉の優しさに惚れ込み、桃太郎の知り合いとは知らず、自慢の息子と会ってほしいと言われたのだ。一方、連れて帰られた桃太郎は、千代に見合いを強要される。嫌がった桃太郎だが、相手が美人と聞いて、乗り気に。
 見合いの席でお互いを見て、げんなりする二人。と、千代と伊之助が退席してまもなく、店内で刃傷沙汰が。米問屋・大黒屋藤兵衛(沼田爆)に恨みを言いながら斬りかかった男が、南町与力・津山源太夫(新納敏正)に無礼打ちとして斬られたのだった。
 あたり矢に、訳有りそうな女・おれん(メイサツキ)が雇ってほしいとやってきた。受け入れるお葉。だが、夜、おれんがこっそりと店の金を盗むのを、桃太郎は見てしまう。おれんは男にその金を渡していた。
 仕官をしろと言う千代に、反抗して怒鳴ってしまった桃太郎。反省して謝ろうとしていたところに、桃太郎を狙って飛び出してきた男。桃太郎をかばおうとして、千代は手を怪我する。慌てて千代の部屋に包帯を取りに入った桃太郎は、そこで書きかけの手紙を見つける。それは千代が丸亀藩家老の神島伊織(津村鷹志)あてに書いていたもので、桃太郎は自分が実の子ではないことを知って、ショックを受ける。
 桃太郎を狙ったのは、おれんの男の仙之助(松田洋治)だった。仙太郎は、元は米問屋の跡取だったが、父が借金を残して死に、それを救ってくれるという大店の娘との縁談を蹴ってまでおれんと一緒になった過去があった。しかし騙され米相場に手を出し、失敗して店をなくした今は、腐っておれんに金をせびって暮らしていた。そのおれんが、桃太郎に一目惚れしたと言ったので、おれんを取り戻そうと桃太郎を刺そうとしたのだ。
 一目惚れが、仙太郎を立ち直らせようとするおれんの嘘だと気づいた桃太郎。仙太郎を殴り、説得し、立ち直らせる。そして二人は店を出すことに。
 だが、仙太郎をだましたのが自分だと知っていると知った大黒屋は、仙太郎とおれんを殺す。
 二人の死に目に駆けつけ、伊之助から大黒屋が元盗賊、土蜘蛛の藤兵衛だと教えられた桃太郎。怒りに燃え、藤兵衛と、結託していた津山を斬る。
 実の母だろうがなかろうが、母は母だと吹っ切れた桃太郎。千代に抱きつき、大好きです〜、と。

第一話 「天に代って鬼退治!! 鬼より恐い母の愛」(7月25日)
「引き回しだ」とあたり矢に飛び込んで来た瓦版屋の蓑吉(ヒロミ)。商家に押し入ったところを捕らえられたましらの喜十なる盗賊が捕まったとのこと。その引き回しの行列をじっと見つめる一人の武家の女が。
 女の跡を追いかけた桃太郎は、侍たちに襲われているところを助ける。女はおとせ(羽田美智子)といい、喜十として処刑された男の妻だと名乗る。だが夫は信州・上田藩の藩士で無実だと。夫は上役の矢島兵庫に、材木の横流しの罪を着せられ、今また借金の揉み消しをしようと商家に押し入り、その罪を夫に着せて殺したのだと。襲った侍はその矢島の手の者だった。だが証拠は何もない。桃太郎は、息子の誠之助を房州の親戚の家まで送り届けて欲しいと頼まれるが、おとせが一人で仇を取る気だと分かり、説得し、あたり矢に連れて帰る。
 矢島は借金の証文を見つけられずに焦っていた。一方、桃太郎は誠之助が持っていた父からもらった紙風船がその証文であることを見つける。だがおとせはいなくなっていた。
 おとせは一人街頭で、夫の無実、そして矢島の陰謀を道行く人々に話す。だが駆けつけて来た矢島の一派に斬られる。それでも尚、自分を斬ろうとするのがその証拠だと叫ぶおとせ。やっと駆けつけた桃太郎は侍を蹴散らせるが、おとせは桃太郎の腕の中で息を引き取る。
 夜、密談が行われる矢島の屋敷に舞い降りた赤い影。それは怒りに桃太郎だった。赤いかつぎを放り投げ、マフラーを取って「桃から生まれた桃太郎。天に代わって鬼退治いたす」と、矢島の手の者相手に大暴れ、叩き斬る。最後に残った矢島を刀に映し、「天魔不動剣に映りしお主の姿、鬼に見えたり!」と斬る。
 翌日、瓦版に桃太郎の鬼退治が載るが、「うちの桃さんじゃないわよね」と笑い飛ばすあたり矢の面々。

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