各回ごとのあらすじ
最終話「江戸城大乱!明かされる陰謀」(3月23日)
おりんは宇吉(左とん平)とともに、母・如春尼(梶芽衣子)のいる鎌倉・琳香院へと向かうが、如春尼は、三日前に、先代将軍吉宗の法要に赴くお幸の方に同行するため、江戸に旅立った後だった。そこに物陰から二人を襲う男が。おりんは母の身を案じて、江戸へと向かう。
田安宗武(倉田てつを)の屋敷に忍び込んだおりんは、そこで田安と側近の森川土佐守(田中健)が、吉宗暗殺の首謀者が大岡忠光だと話しているのを聞く。だが実行犯が道悦でなければ、誰かが分からない。
吉宗の法要に向かうお幸の方(野田よし子)の行列が、甲賀者に襲われる。彼らを率いていたのは、琳香院にいた男で、大岡の下で働く鵜飼孫六(川野太郎)だった。たちまち囲まれる行列に、おりんが助けに現れ、お幸の方と如春尼を寺門の中へと逃がす。孫六たちと甲賀者多数と戦うおりんに、弥十郎(宅麻伸)が助けに現れる。弥十郎は生きていたのだった。
その夜、森川の屋敷に田沼意次(井澤健)が役人を連れて押し込んでくる。お幸の方の行列を襲ったのは手鎖人、その手鎖人を森川の屋敷で見た者がいると言われ、森川は引っ立てられる。田安もまた謹慎の身となる。森川は評定の席に、影腹を切って望み、他の幕臣たちに命がけで、真の徳川の敵が家重の最も身近にいると訴え、田安こそ将軍の器だと解き、絶命する。
一方、大岡は覆面の男の影に怯えていた。大岡は男のことを、自分が命じて三河堂の仙右衛門に南蛮から調達させた毒薬で吉宗を暗殺させ、その後始末した男だと思い込んでいた。しかしその正体は、弥十郎だった。そうして弥十郎は吉宗暗殺の真相を知る。
翌日、大奥に滞在する琳香院は、お幸の方の元で家重に目通りする。が、そこに大岡が乗り込んでくる。大奥への進入の非礼を叱責するお幸の方に大岡は、琳香院は吉宗暗殺の大罪人の妻だと言い、琳香院を取り押さえる。そしてそれを諌めようとした家重には、密書を見せ、これが公になれば上様の血筋も疑われると、耳打ちして脅す。
大岡は江戸城に不審者が紛れ込んだと、すべての門の閉門を命じる。謹慎を破り、無理に門を開けさせ登城しようとした田安は、捕まり、牢へ。一方、外から城を伺っていたおりんの耳に、騒ぎが聞こえてくる。そこでは、大勢の手鎖人たちが門を襲い、火をつけ、城の中になだれ込んでいた。城中にいる母の身を案じたおりんも、その隙に城内に忍び込む。
おりんは、元お庭番の宇吉の手引きで抜け道を通り、大奥へと向かう。が、その途中、手鎖人の地獄丸(田上晃吉)と極楽丸(稲田龍雄)の襲撃に遭う。二人で地獄丸を倒すが、極楽丸は手ごわく、宇吉は命を掛けておりんを逃がす。
一方、将軍謁見の間に集まる大岡と重臣たちの前に、道悦が乗り込んでくる。道悦は将軍の座を奪い、自らが将軍に就くと宣言。そんなことをすれば再び戦国の世になると説く大岡に、道悦は、そうなれば実力で植村家を再興してやると不敵に言う。道悦の力を恐れた大岡は、自分と手を組まないかと誘う。それを見ていた田沼は、ひっそりとその場を抜け出す。
田沼は、田安のいる牢を開け、現状を伝える。田安の「変わり身の早い奴」という嫌味に、田沼は、ただ自分は徳川家に忠義を尽くすのみと答える。
田安は槍を振り回し、謁見の間へ。道悦を将軍の座から追い落とし、対峙する。そこに、徒士目付の弥十郎も現れ、道悦を追いつめる。
大奥にたどり着いたおりん。だが極楽丸の刃に、琳香院は傷を受ける。母をかばっておりんは極楽丸に手の鎖を向けるが、とっさに琳香院が「殺してはなりません」と声を上げ、手を止める。そこに大岡の指揮を放れ、本来の責務に戻った警護の者たちが駆けつけてくる。自由の身になった琳香院は、夫・古坂平九郎の手記を家重に見せる。そこには平九郎が吉宗暗殺の企てのすべてを知りながら、徳川の世の安寧のために濡れ衣を着たまま死んだことが書かれていた。手記を読んだ家重は、謁見の間へと向かう。
家重は重臣たちの前で、それまでとは打って変わったはっきりとした物言いで、大岡が吉宗からの不遜に対する注意を古坂を通じて聞いたことで、身の危険を感じた大岡が吉宗暗殺を謀ったことを指摘。だが大岡は、家重の嫡子・竹千代を人質に取る。それでも家重は動揺せず、自分や竹千代が死んでも田安がいる、徳川は滅びないと言い放つ。大岡は竹千代に刀を突きつける孫六に、殺すように命じるが、孫六は刀を納め、甲賀は徳川のために働くと言い切る。陰で様子を伺っていたおりんは飛び出し、おまえのせいで大勢の人が死んだと、大岡の髻を切る。すべてが敵に回ったと悟った大岡は「これは夢じゃ」と放心。そのままふらふらと出て行く。
野望が閉ざされたと知りその場から去ろうとする道悦を追って、おりんと弥十郎は外へ。二人は道悦を追い詰め、道悦は城壁から落ちる。その腕をおりんは鎖で掴むが、道悦は自らその鎖を切り、「わしは死なん。天下を取る」と高笑いを残しながら落ちていく。
翌日、改めて家重に目通りしたおりんは、弥十郎からともに上様を守ってほしいと誘われるが、「一人の人として生きてゆきたい」と断る。父の墓の前で、「闇の鎖、すべて切りました」と報告するおりんの右腕の鎖が音を立てて砕ける。そしておりんは、いずこともなく旅立つ。第二十回「運命の対決・根来後篇」(3月16日)
江戸では、登城を禁じられていた田安宗武(倉田てつを)の登城を許した将軍・徳川家重(小林隆)は、家臣と宗武の前で、突如、「本日から世が自ら政を見る」と宣言。ずっと将軍の代弁者として権勢を誇ってきた大岡忠光(あおい輝彦)は唖然とする。大岡は、家重豹変は家重が密書を手に入れたからだと考え、田沼意次(井澤健)を密書奪回に向かわせる。
おりんは無辺老師(津嘉山正種)から、道悦とその父が、八代将軍に吉宗をつけるために暗躍したのにもかかわらず、植村親子の凄まじさを恐れた吉宗から放逐されたことを聞く。だがおりんの、道悦を討つ覚悟は変わらない。おりんはお咲(八木 優希)のことを無辺老死と桔梗(遠野 凪子)に頼む。
手鎖人の白虎(千葉哲也)が、おりんたちのいる龍厳寺を襲う。白虎の手下たちを無辺老師と根来の忍たちが追い払っている裏では、おりんが道悦と対峙していた。おりんの小太刀は道悦の胸を傷つけるが、すぐに弾き飛ばされてしまい、おりんは道悦に刀を喉元に突きつけられる。道悦がおりんを殺そうとしたその時、お咲が二人の間に割って入り、おりんを庇う。お咲がおりんを「おっかちゃん」と呼ぶのを聞いた道悦は、お咲が自分の子だと悟り、黙って去っていく。
道悦を追うと言うおりんに、無辺老師は、和歌山藩付家老の安藤帯刀(安井昌二)の動きに気をつけろと注意する。道悦がねぐらとする寺に単身乗り込んだおりんは、襲いくる手鎖人たちを足に傷を負いながらも倒し、迎え撃つ白虎も手の鎖で刺し、道悦の元へ。道悦はおりんの放った手の鎖を刀の柄で止めるが、それを抜こうとした隙に、おりんの捨て身の攻撃に脇腹を刺される。執念で立ち続ける道悦は、「まだ終わらぬ、古坂平九郎に吉宗暗殺の濡れ衣を着せた者を倒すまでは」とおりんに告げる。濡れ衣を着せたのは、道悦ではなかった。そこに安藤の率いる鉄砲隊が入ってくる。道悦は安藤に刀を投げつけ刺し殺し、鉄砲隊に背を向ける。背中に銃弾を受けながらもお堂の中に入った道悦は、仕掛けていた火薬でお堂を爆破させる。
龍厳寺に戻ったおりんを、宇吉(左とん平)が尋ねてくる。宇吉はおりんの母が生きていることを告げ、密書が奪われたと連絡が入ったと話す。弥十郎(宅麻伸)は自らおとりとなり、道悦の目を引き付け、手下の佐介(伊藤訓敏)に密書を託していた。だが佐介は田沼に襲われ殺され、密書は田沼の手に渡っていた。そして崖下に落ちた弥十郎の消息も不明のままだった。弥十郎の密書が表沙汰になれば戦乱の世になるという言葉を思い出したおりんは、密書を取り返しに行く決意をし、再びお咲のことを無辺老師と桔梗に託し、宇吉とともに旅立つ。第十九回「母と呼べぬ子・根来前篇」(3月9日)
手鎖人の追っ手との戦いを続けながらも、おりんは根来のある紀州和歌山藩へと入った。だが根来に着いたおりんを、里の者たちは歓迎しない。根来出身のおりんの父・古坂平九郎が徳川吉宗を毒殺した咎で、根来には重い年貢が課せられていた。
弥十郎(宅麻伸)は、和歌山藩付家老の安藤帯刀(安井昌二)の元に出向き、おりんと道悦、そして密書のことを話す。だが安藤は、おりんも古坂平九郎の娘として無罪にはできぬと言い、また密書を狙う。
おりんはお鶴(遠藤 由実)と再会する。お鶴はおりんに宇吉の作った風車を手渡し、平九郎の姉の娘・桔梗(遠野 凪子)の元へ案内する。お鶴は桔梗の元に預けられ、またお咲(八木 優希)も一緒に暮らしていた。だが母だと名乗り出たおりんに対し、お咲は「違う」と。桔梗はお咲を自分の娘として育てていたのだった。
おりんと話すうちに桔梗は、おりんがお咲と出会えた後は死ぬ覚悟だと悟る。そこに手鎖人の襲撃が。敵を引き付け一手に引き受けようとするおりんに、桔梗は龍厳寺で待っていると告げる。
龍厳寺に逃げ延びたおりんを、桔梗は無辺老師(津嘉山正種)に紹介する。無辺老師はおりんに密書を出すようにと言うが、おりんが持っているのは姉様人形と風車ぐらい。無辺老師は、おりんから受け取った風車の中から密書を見つけ出す。そこには、徳川吉宗が兄の暗殺の礼を道悦の父・道斎に向けた言葉が書かれていた。そこに弥十郎(宅麻伸)が現れる。弥十郎は、その密書が表沙汰になれば徳川の権威が地に落ち、再び戦乱の世になる、それを防ぐために密書を渡してほしいとおりんを説得。おりんは弥十郎を信じて密書を託す。
弥十郎は伝書鳩を飛ばし、急ぎ江戸に向かう。だがその道中を道悦の手下の手鎖人が襲う。おりんが助けに現れるが、先に進もうとする弥十郎の前に道悦が立ちふさがる。そこに安藤の手下も現れ、弥十郎は崖から落ちてしまう。一方、おりんと戦う手鎖人・赤竜(由地慶伍)は、そこに現れたお咲を人質に。赤竜の言うとおり刀を捨てたおりんは、赤竜をお咲から遠ざけるため、その場から逃げる。そして追ってきた赤竜を手の鎖で倒す。戻ってきたおりんに、お咲は「おっかちゃん」と抱きつく。第十八回「争奪! 姉様人形」(3月2日)
根来のすぐ近くまで来ているおりんに対し、道悦の追っ手の襲撃は激しく続いていた。そんな中、弥十郎(宅麻伸)の居所を突き止めた道悦は、邪魔者の弥十郎を先に始末しようと考える。
弥十郎が手鎖人の火鬼(岡元次郎)と水鬼(縄田雄哉)に襲われているのを見たおりんは、助けに入る。だがそこに道悦も現れ、おりんは追い詰められる。弥十郎は、おりんのことを気にした隙をつかれ、左肩を切られてしまう。おりんと弥十郎は、崖っ淵に追い詰められ、二人で川に飛び込む。一方、その様子を伺っていた佐介(伊藤訓敏)は手鎖人・風鬼(棚橋幸代)に見つかり、捕まってしまう。
川から上がったおりんは、怪我をした弥十郎を連れて山小屋へ。そこで弥十郎の手当てをするが、傷は深く、弥十郎は気を失ってしまう。おりんの看病で弥十郎は意識を取り戻し、二人ははじめてゆっくりと言葉を交わし、弥十郎はおりんの旅の目的を知る。弥十郎は、おりんの話を信じ、敵の敵は味方だと、おりんの協力を申し出る。
一方、佐介は水鬼たちに拷問されていた。弥十郎の正体は知らないと言い続ける佐介に、水鬼は言うことを聞くようにと、催眠をかける。
周りの様子を確かめるために小屋を出たおりん。一人残った弥十郎の元に、伝書鳩が飛んでくる。「密書を手に入れたら江戸に戻れ」という文に、弥十郎は「おりんは密書を持っていない」と返事を送る。そこに、操られた佐介が火鬼と水鬼とやってくる。佐介は油断した弥十郎の刀を奪い、そこに火鬼が火をかけ、弥十郎を閉じ込める。だが佐介が来るのを見ていたおりんがすぐに駆けつけ、弥十郎を救い出し、水鬼を斬り、火のついた小屋に火鬼を閉じ込め爆死させる。
弥十郎は一人、道悦の元に出向き、おりんが持つ姉様人形の中に密書がないことが分かれば、おりんの命を狙うのをやめてほしいと持ちかける。おりんの元に戻った弥十郎は、自分を信じて姉様人形を貸してほしいと言うが、弥十郎が落とした文を見たおりんは、弥十郎もまた密書を狙う敵だと認識する。そこに道悦が現れ、姉様人形をおりんから取り上げた弥十郎は、それが密書でないことを証明するため、中を開こうとする。それは密書なんかではなく、おさきへの土産の品だと叫ぶおりん。そこに風が吹き、不自由な片手で姉様人形を開けようとしていた弥十郎の手から飛ばされた姉様人形は、三人の真ん中に落ちる。三者三すくみになり動けないところに、風鬼が現れ、姉様人形は一度は道悦の手に渡るが、弥十郎が風鬼を刺し、その隙におりんは姉様人形を取り返し、その場から走り去る。第十七回「母娘哀しき大和路」(2月23日)
根来へと続く道を追っ手の手鎖人たちに追われながら進むおりんは、途中の茶屋に駆け込む。裏口から逃げようとしたおりんだが、それに気づいた手鎖人たちが茶屋に押し入ってくる。が、それを茶屋にいた者たちが撃退。彼らは卯吉から話を聞いておりんを迎えに来ていた根来衆の長・仁兵衛(和崎俊哉)と、その手下のお篠(田川恵理)、剣吉(水野純一)、辰次(渡辺丈章)だった。
おりんは仁兵衛たちに案内され、弥十郎(宅麻 伸)も同行して、根来の里へ向かう。だが着いた先は川辺だった。仁兵衛はおりんに、そこにある舟で京でも大坂でも逃れてくださいと言う。実は十日前に、根来の里に手鎖人の破道(大島宇三郎)と邪道(小川敏明)が現れ、おりんを匿えば里を潰すと脅したのだった。根来衆はおりんの父・古坂平九郎を英雄と崇め、平九郎を裏切った道悦と戦うことは厭わないとしながらも、里の者を危険にさらすことはできない、そして里を守ることがおりんの娘を守ることにつながると、仁兵衛は語る。
そのころ道悦は、大和郡山藩の城に訪れていた。城代家老の脇坂大膳(河原崎建三)は、実は道悦の手下だった。道悦は以前から、要となる藩の重役の中に、手の者を放っていたのだ。道悦は脇坂におりんを捕らえるよう、きつく命じる。
郡山藩の城下町に入ったおりんを、破道たちが襲う。おりんを助けに仁兵衛たちが現れ、おりんに根来衆が経営する宿を教え、おりんを逃がす。だが剣吉と辰次が切られてしまう。駆けつけた役人は、仁兵衛とお篠を脇坂の元へ連れて行く。脇坂は仁兵衛を人質に取り、お篠におりんを連れてくるように言う。
お篠はおりんに、娘に会わせると言って、城近くに呼び出す。そこに手鎖人たちが。おりんは騙されてると気づかず、お篠をかばって肩を切られる。それを見てお篠は、おりんが現れたことで里が危険にさらされたと考えていた自分を反省する。助けに現れた弥十郎によって二人は逃げる。
おりん捕獲に失敗した脇坂は道悦に叱責され、仁兵衛は殺される。道悦が根来の里を潰す命令を下そうとするところに、おりんとお篠、弥十郎が現れる。戦いの末、お篠は斬られ、弥十郎は脇坂を追い詰め、斬る。おりんは破道を手の鎖で倒し、道悦と対峙。おりんを追い詰めた道悦の前に、根来の鉄砲衆が。道悦は煙幕を放ち、逃げる。
一方宇吉(左とん平)は、鎌倉の琳香院にいるおりんの母・如春尼(梶芽衣子)の元を訪れていた。第十六回「闇を裂く柳生の剣」(2月16日)
田安宗武(倉田てつを)と老中・森川土佐守(田中健)は、不遜な態度を取るようになった道悦の鼻を明かしてやろうと、彼より先におりんの持つ密書を手に入れようと企む。森川の進言で、田安は武芸の名門、大和の柳生家にその命を下す。
柳生藩の総目付・柳生陣十郎(伊吹剛)は、配下の者たちに、おりんを捕らえ密書を手に入れた者は身分を問わず取り立てると約束。配下の一人で栄達を望む坂本平八(遠藤憲一)の提案を受け入れ、陣十郎は“八門遁甲の陣”を敷き、城下に無数の木戸を設け、木戸を嫌う者を一方向に誘い出す。
そうとは知らず大和国に入ったおりんは、木戸を避けるうちに罠に落ち、追い詰められる。柳生の配下に取り囲まれたおりん。そこに手鎖人・孔雀(星野マヤ)を連れた道悦が現れる。おりんを巡って戦い始めた柳生配下と手鎖人たちの隙をついて、おりんは逃げ出す。山道を逃げるおりんは、畑仕事をする女と出会う。彼女はおりんが手鎖人だったころ、姉のように接してくれたお駒(今村雅美)だった。
お駒は以前、逃亡者となったおりんを道悦の命令で追っている最中、おりんが殺したと見せかけ逃がしてくれたことで、穏やかな暮らしを手に入れることができたと、おりんに感謝し、家に泊まって行くように勧める。お駒は道悦から逃げる旅の途中で、熱を出して動けなくなっていた武士を助け、そのまま道連れとなり、一緒に暮らしていると話す。そのお駒の夫とは、坂本平八だった。
平八が手柄のためにおりんを狙っていると知って、お駒はおりんを追い詰めた平八の前に立ちふさがる。おりんは命の恩人、おりんを狙うなら私を斬ってくださいと懇願するお駒に、平八はおりんに城下を抜ける道を教え、お駒におりんを送っていくように言う。
その平八の前に、道悦が現れる。柳生の敵の道悦を斬ろうとする平八を、道悦はその腕を認めて手鎖人に勧誘する。が、断固拒否した平八を、道悦は隙をついて刀を投げつけ、刺し殺す。
平八の亡骸を見つけたお駒は、仇を取ろうと道悦を襲う。襲い来る手鎖人たちを倒し、孔雀も斬ったお駒だが、道悦には敵わず、斬られてしまう。助けに入った弥十郎(宅麻 伸)に、お駒は「私は幸せだったと、おりんに伝えてほしい」と言い残し、息を引き取る。
一方、街道を進むおりんを、手鎖人の蔵王丸(領国宏)が待ち構えていた。蔵王丸に小太刀を飛ばされたおりんは、手の鎖で蔵王丸を倒す。第十五回「涙の姉弟酒場」(2月9日)
根来へ続く間道を進むおりんは、道悦からの刺客に襲われ続けで、三日も何も口にしていなかった。一方その近くでは、為吉(佐藤亮太)という若者が、道中、病に苦しみ倒れている商人を助ける振りをして、その懐から財布を抜き取っていた。
家に戻った為吉は、めしやを営む姉のおせん(有森也実)に財布を見つけられ、怒られて取り上げられる。おせんは、いい年をしてまじめに働こうとしない為吉に手を焼いていた。おせんは為吉に店の準備を言いつけて、店に出す酒を買いに出かける。だがその帰り、道端の地蔵に手を合わせている隙に、買ったばかりの酒を盗まれてしまう。おせんが盗人を追いかけようとして、転んだところに、通りかかったおりん。盗人を投げ飛ばし、酒を取り返すが、空腹のあまり座りこんでしまう。
おせんは恩人のおりんに、食事を振る舞い、泊まっていくように勧める。娘と会う前に血の匂いを落としたいおりんは、追っ手との戦いを避けるため、言葉に甘えることに。転んだ時に手首を痛めたおせんを手伝い、店で働く。
為吉は博打で負けて、一両の借金を作ってしまう。明日までに返さなければ、おせんに払ってもらうと言われた為吉は、高札に張り出されたおりんの人相書きを見て、番屋を訪ねる。番屋には、道悦の手下の手鎖人・鉄鬼(城春樹)と六道(加藤久雅)が来ていて、地廻りの吉次(工藤堅太郎)に、おりんを見つけたら役人ではなく自分たちに引き渡して欲しいと、褒美をちらつかせながら話していた。
おりんの人相書きの話をする為吉に、おせんは、おりんは自分の恩人、他人の空似だと、きつく言い含める。おりんに惚れた為吉が、心を入れ替えまじめに働こうとしているのを見て、おせんは為吉に一両を渡す。
金を返しに行こうとする為吉を、鉄鬼と六道が襲う。二人は為吉を脅しておりんの居場所を吐かせようとするが、為吉は口を割ろうとせず、斬られてしまう。
おせんと為吉のやり取りを聞いていたおりんは、為吉の身の危険を感じて、おせんと共に為吉を追う。切られた為吉を見つけ、おせんは逆上して鉄鬼と六道に詰め寄ろうとし、逆におりんの目の前で斬られてしまう。怒ったおりんは、二人を倒し、為吉とおせんの仇を取る。第十四回「弥十郎悲しき再会」(2月2日)
足を漆にやられ動けなくなっていたおりんは、雨宿りを兼ねて山道の社殿で休んでいた。そこに老婆・新田梅(水野久美)と甥の多吉(石沢 徹)の二人連れが。梅は口数は多いが親切な性格で、多吉におりんを負ぶわせ、自宅へと連れ帰り、養生させる。梅にはおりんと同じぐらいの娘がいるが、訳あって一緒には暮らしていなかった。
一方、弥十郎(宅麻 伸)はおりんの行方を見失い、探していた。その時、侍たちに追われる母子に出会い、助ける。若い母親・新田お志乃(長谷川真弓)は、旅の途中だった若狭の藩士・矢田重之進に見初められ、若狭で彼の妾となり小太郎(大八木凱斗)を産むが、矢田が亡くなり、家に居づらくなった、小太郎を連れて故郷の村に帰る途中だった。だが矢田家の当主の座を望む重之進の弟・及川達之介(前田耕陽)によって、母子で命を狙われていた。お志乃の話を聞いた弥十郎は、同行を申し出る。実はお志乃の母である梅は、妾の子だった弥十郎を引き取り、育ててくれた人だった。
弥十郎には敵わないと弱る達之介に、近づいてきた男たちがいた。達之介は再びお志乃たちの前に現れ、お志乃と小太郎が家督を放棄する証文を書いてくれれば、命は狙わないと言う。社殿で証文を書いたお志乃たちに、達之介は酒を勧める。達之介は毒は入ってないと先に飲んでみせるが、実は弥十郎の杯にだけ痺れ薬を塗っていたのだった。弥十郎は不自由な体で、襲い掛かる達之介たちからお志乃と小太郎を逃がし、達之介たちを斬る。だが別の男たちに襲われ、弥十郎は捕らわれてしまう。
無事に逃げ出し村に着いたお志乃から、弥十郎の話を聞いた梅は弥十郎を助けに飛び出す。縛られた弥十郎は、男たちから素性を話せと脅されていた。そこにやってきた梅も捕らえられ、されに脅される。だがそこにおりんが現れ、二人を助け出す。
だがその頃村には、おりんを探す道悦たちが来ていた。道悦の部下の手鎖人・烏丸(ブルート一生)は小太郎を人質に取る。それを見て梅は「人の血が通っている者のすることか」と叫び、道悦に殺されてしまう。おりんは密書が入っていると思われている姉様人形を渡す振りをして小太郎を助け出し、弥十郎と連携して手鎖人たちを倒す。第十三回「伊賀・道悦の野望」(1月26日)
おりんは山中で、手鎖人・多聞天(寺尾繁輝)たちに襲われ、足に怪我を負いながらも逃げる。さらに追おうとした多聞天の前に、弁天(井上紀子)と道悦が現れ、止める。そこから先は伊賀忍者の里、その結界を破れば命はないと道悦は言い、伊賀の頭領に会うため、一人で丸腰で進む。
刀に塗ってあった痺れ薬のせいで気を失っていたおりんを見つけた、伊賀の忍・左源太(北原雅樹)は、おりんの胸元にあった宇吉の作った姉様人形を見て、おりんを助ける。伊賀忍者とも交流のあった宇吉は、伊賀を訪れ、おりんのことを頼んでいたのだった。
道悦は若かりしころ、この伊賀の里で命を助けられたことがあった。伊賀の頭領・藤森長門(長門裕之)に会った道悦は、父の道斎にむごい仕打ちをした八代将軍・吉宗を恨んでおり、徳川幕府を揺るがす野望を抱いていることを話す。そして伊賀にその軍門に下るよう脅すが、長門は「伊賀は争いを好まぬ」と拒絶。伊賀忍者たちの囲みを抜けて、道悦は去る。
道悦の命で伊賀の里に忍び込んだ弁天は、左源太たちに捕まる。道悦をひそかに慕う弁天の態度で道悦が東の山にいると推測した長門は、おりんに西ノ口から里を出るように言い、自分は左源太と人質の弁天を連れて、道悦を討ちに行く。だがそれは道悦の罠だった。
手下を引き連れて待っていた道悦は、長門の弁天を返すから野望を捨てて立ち去れとの言葉に、くないを投げつける。道悦の二刀流に左源太は斬られ、長門も刀を飛ばされてしまう。だが長門は道悦に組み付き、着物の下に隠し持っていた爆薬に火をつける。だがあと少しのところで弁天が長門に体当たり。道悦は無事だった。長門の意思を継いであくまで対立しようとする左源太に、道悦が襲い掛かるが、そこに弥十郎(宅麻 伸)が現れ助ける。
一方、西ノ口では、多聞天がおりんを待ち構えていた。多聞天の十文字槍に小太刀を飛ばされたおりんは、手の鎖を、槍を突き出した多聞天と交差させ、闇の鎖をまた一つ断ち切る。第十二回「母子・涙の仇討ち」(1月19日)
おりんは山道で、病で動けない母とその息子と出会う。そこに野盗が襲い掛かる。戦えば怪しまれると、助太刀を躊躇するおりん。だがそこに、弥十郎の手下の佐介(伊藤訓敏)が助けに現れ、おりんと親子は逃げる。
近くの山村まで着いた三人に、村人は医師の清庵(高橋長英)と、助手をしている娘・お民(河野由佳)を呼ぶ。母親の柴田茜(平淑恵)は、清庵の顔を見るなり、「清十郎様」と愛しげに呼んだ後、熱で気を失ってしまう。茜と、その子・新之助(佐藤晴彦)は、父を殺して逃げた仇の秋山清十郎を追って、旅をしていた。その仇こそが清庵だった。
新之助は、茜が気つき次第、明日にでも仇討ちをすると言い、また清庵もそれを受け入れる。それを聞いたお民は、清庵は村に必要な人だから切らないでほしい、新之助にも死なれたくないと、新之助に仇討ちを止めるように頼むが、新之助は聞き入れない。
一方、村の近くで取れる鉱石・辰砂を狙って、野盗が村を襲おうとしていた。それを知った手鎖人の十兵衛(大河内浩)は、野盗たちに手を貸す。
翌日、一度は旅立ったおりんだったが、仇討ちの顛末が気にかかり、村に戻ろうとする。そこに弥十郎(宅麻 伸)が現れ、村に十兵衛が向かっていると忠告するが、おりんは道を戻る。
村人たちが見守る中で、仇討ちが行われていた。対峙する母子と清庵。そこに野盗たちが攻めてくる。村人を守るため立ち向かう清庵だが、実は竹光だった刀を斬られ、清庵は凶刃に倒れる。また茜も斬られてしまう。村に着いたおりんと弥十郎は、野盗たちを倒し、おりんと十兵衛は林へ。十兵衛の太刀筋をかわし、おりんは十兵衛の刀の鍔に足をかけ、中空へ。手の鎖を伸ばし、十兵衛を脳天から突き刺す。
虫の息のまま、寄り添った清庵と茜。清庵は新之助の顔を一目でも見れたことを茜に礼を言い、柴田家のために秘密は墓の中まで持っていくようにと告げ、息を引き取る。その昔、好き合っていた二人だが、茜が家老筋の柴田家に嫁げば、新之助の医学の師を御典医に推挙すると言われ、茜は柴田家に。だがその後で、茜は清庵の子を身篭っていたことを知る。そのことに気づいた柴田から襲われた清庵は、返り討ちにしてしまったのだった。新之助の腕の中で、そのことを話した茜もまた息を引き取る。新之助は藩に戻らず、村に残る決意をする。第十一回「裏切りに哭いた愛」(1月12日)
桑名に渡るその日最終の船に乗り損ねそうになったおりんは、桑名藩筆頭家老・佐久間内膳の娘・奈津(小田茜)が連れだと言ってくれたおかげで、船に乗ることができる。その船中で、追っ手の手鎖人・尚蔵と藤次(及川達郎)が、他の乗客もろともおりんを殺そうとしている相談しているのを読唇術で読み取ったおりんは、二人に近づき、足に隠した小柄でそっと殺害。船から下りたおりんは、その場を足早に立ち去る。
夜、桑名の城下町を歩いていたおりんは、秦野屋という宿に覆面をした侍が押し入って逃げ出すのに行き会ってしまう。切られた人を助けようとしたおりんは、駆けつけてきた店の奉公人・五兵衛(薗田正美)に、犯人に間違われ、襲われる。おりんはとっさに五兵衛に当身をくらわせる。
桑名藩では次席家老の脇田外記(杜澤たいぶん)が為替の不正で私服を肥やそうとしていた。そのことに気づいた佐久間は、証拠を得るために秦野屋に頼み、五兵衛に取りに行かせていた。だが脇田は罠を使い佐久間を乱心者として殺害。証拠の書付を持っている五兵衛を探していた。
気が付いた五兵衛から話を聞こうとしたおりんに、矢が射掛けられる。矢に射抜かれた五兵衛は、おりんに書付を奈津に渡してほしいと託して絶命する。
おりんは奈津の屋敷に忍び入り、奈津に書付を渡す。だがそこに、手鎖人の百舌(朱花)が襲ってきて、おりんは逃げ出す。
奈津とともにおりんの話を聞いた佐久間の腹心で、奈津の思い人でもある筧喬之助(夏原遼)は、殿に書付を提出しに行くと言う。父の意思を引き継ぐために自分も連れて行ってほしいと頼む奈津に、喬之助は危険だからと断るが、さらにしつこく頼み込む奈津を、喬之助は斬る。実は喬之助は脇田とつながっていて、佐久間を殺したのも喬之助だった。
喬之助は脇田に書付を届け、二人で今後の企みを語らっているところに、おりんが現れる。二人の悪事を見抜いたおりんだったが、そこに百舌たちが現れ、おりんは戦いながら外へ。百舌の鎖分銅に苦戦しつつも、おりんは百舌の頭に手の鎖を絡ませ、百舌の目を切り、倒す。
一方、弥十郎(宅麻 伸)の働きで脇田の悪事は露見。一人逃げ出した喬之助をおりんは追い、人知れず殺害。奈津の敵を取る。第十回「初恋は刃に散った」(1月5日)
雨の中の強行軍に熱を出したおりん。思わず立ち止まったところに、お菊という幼子が心配げに声を掛けてきた。きくに微笑み返すおりんだったが、そこに手鎖人の追っ手・木猿(奥深山新)と才蔵(村井克行)と乙音(矢松亜由美)が襲い掛かってくる。木猿の顔に手の鎖を向け、おりんはお菊を抱いて逃げる。才蔵は乙音に木猿を頼み追いかけるが、追いついた才蔵はおりんを襲わずに立ち去る。
高熱に気を失ったおりんを、お菊に知らされた両親は家に運び、親切に介抱する。気がついたおりんは先を急ごうとするが、そこに薬売りに化けた才蔵が訪ねてくる。
才蔵と乙音、そしておりんは、ともに子供のころから道悦の元で厳しい修行に耐えてきた幼馴染だった。才蔵はおりんに、逃れ者となった訳を問いただす。おりんは才蔵にすべてを語ったが、それを才蔵は簡単には信じられない。頭の幻魔(佐川満男)の元に戻り、事の真偽を聞くが、幻魔は裏切り者のおりんの話などうそだと突っぱね、信じられないならおまえも逃れ者となれとそそのかす。
旅立とうとするおりんの目の前で、お菊が乙音に人質に取られてしまう。お菊に突きつけられる刃を前に動けないおりんを、弥十郎(宅麻 伸)が助太刀に現れ、その場は助かるが、二人をお菊の両親は恐怖の目で見、逃げていく。
再びおりんを襲ってきた手鎖人たちを、才蔵が現れおりんを助ける。おりんに心を寄せていた才蔵は、人の心を取り戻すというおりんと共に行きたいと言うが、才蔵に心を寄せる乙音を捨てて逃げることが人のすることかと、おりんは断る。
一方、幻魔は、才蔵に逃げられた乙音に、言い寄り、その体を犯そうとしていた。が、頑として抵抗する乙音に、幻魔は乙音を縛り上げ、それをえさに才蔵とおりんをおびき出そうとする。
乙音を助けるために罠と分かっていてやってきた才蔵とおりんに、待ち伏せていた手鎖人たちが襲い掛かる。乙音をかばいながら戦う才蔵は斬られてしまう。弥十郎の助けに現れ、おりんは幻魔を倒すが、才蔵は乙音に「おれは人として生きたのだ。おりんを恨むな」と言い残し息を引き取ってしまう。
再び旅立つおりん。乙音もまた逃れ者となる。第九回「激闘! 御三家の陰謀」(12月22日)
二時間スペシャルでした。
人通りの多い東海道を離れ、木曽川の渡しに着いたおりんは、川止めで宿に逗留していた。ところがその宿が賊に襲われる。おりんは相部屋の旅の尾張藩士・大河内逸馬(若林久弥)と共に賊を倒す。彼らの目的が、尾張藩筆頭家老・桧垣将監(亀石征一郎)に不正な伐採を止めさせることだと知った逸馬は、彼らを逃がす。
だが山中で逸馬は、桧垣の側近たちに賊たちが殺されているのを見つける。逸馬は桧垣が伐採した材木を横流ししていることを、江戸の殿に知らせようとしていたのだった。だがその逸馬も、桧垣を使おうとする道悦によって殺されてしまう。
おりんは、逸馬の父・郡奉行の大河内静秋(田村亮)を訪ね、逸馬の傷から道悦が手を下したことを知る。そんなおりんを見張る、謎の女がいた。
大岡忠光の息のかかった田沼意次(井澤健)が尾張にやってくる。尾張藩家臣たちを前に、田沼はおりんの手配書を出し、捕らえて公儀に差し出してほしいと。おりんが追われていることを知った静秋は、すぐに屋敷の者たちにおりんを探し出すように命じる。
役人たちに追われ、逃げ場を失ったおりんを、謎の女・朱里(岡安由美子)が助け、役人たちが手を出せない寺へと案内する。朱里は鎌倉で高位の尼僧・如春尼(梶芽衣子)となったおりんの母の元で働いている者だった。おりんには事情は話せないと言いながらも、朱里の言動でおりんは生き別れた母が生きていることを知り、励みに思う。
寺でおりんを待っていたのは静秋だった。静秋はおりんの父・古坂平九郎がもっとも信頼していた友人だった。静秋はおりんの力になろうと言ってくれるが、重罪人のおりんを庇った罪で、桧垣に捕らえられてしまう。
それを知って寺を飛び出したおりん。だがすぐに役人に見つかり、近くにあった大きな屋敷に逃げ込む。そこはお花屋敷と呼ばれる、前尾張藩主の徳川宗春(栗塚旭)が幽閉されている屋敷だった。宗春はおりんをかくまう。そこに桧垣とともに道悦が現れる。道悦は、今も将軍職に未練のある宗治に、手を組むことを誘いかける。
宗治の計らいで一度は放免になった静秋だったが、再び桧垣の罠にはまり、桧垣の手下の役人たちが屋敷に押し寄せる。それを藩の癌である桧垣とともに刺し違える覚悟で白装束で迎えた静秋。おりんも助太刀に。そこに桧垣を裏切り宗治と手を組んだ道悦たちが現れ、手鎖人の運慶(天乃大介)と快慶(太田雅之)が桧垣を殺す。道悦たちの攻撃に追い詰められたおりんを庇って、朱里が死ぬ。弥十郎(宅麻 伸)は退却する道悦を追うが、その道悦を宗治の手の者が襲う。宗治もまた道悦を信用していなかった。
おりんは運慶と快慶を手の鎖で倒し、朱里の仇を取る。第八回「裏切り者の掟」(12月15日)
裏街道を行くおりんに、手鎖人の無双(富家規政)が襲い掛かる。難なくそれを撃退して逃げたおりん。仲間を殺され、自らも手傷を追い、悔しがる無双だが、一部始終を見ていた道悦は、「おまえではおりんは手に余る。おりんをこの間道に誘い込むことがおまえの役目」と、ほくそえむ。
道を急ぐおりんの姿を見て、危機感を募らせた百姓がいた。彼は二年前に手鎖人から逃げた鬼丸(永澤俊矢)だった。おりんが逃れ者となったことを知らない鬼丸は、刺客と思い込み、おりんに襲い掛かる。おりんもまた、鬼丸が手鎖人に戻ったのかと勘違いして応戦するが、鬼丸が刀を持っていないのを見て、互いの誤解が解ける。
鬼丸は以前、任務中に、生き別れとなった母を殺してしまったことが原因で、自分の手の平が血で真っ赤に染まっていく幻覚を見るようになる。もう人は切りたくないと覚悟を決めた鬼丸は、仲間だったおりんに殺せと言うが、手を下せなかったおりんを殴り、刀を捨てて逃亡。道悦の手下により崖に追い詰められた鬼丸は、足を滑らせ崖から落ちる。
その鬼丸を救ったのが、今の鬼丸の妻・お花(宇津井香織)と三人の子供たちだった。やがて鬼丸も家族に加わり、百姓として穏やかに暮らしていた。が、そこに道悦の間の手が伸びる。釣りをしていた次男の三吉(渡辺圭)を人質に取り、道悦は鬼丸に「おりんを殺せ」と、かつての鬼丸の愛刀を渡す。そうすれば、鬼丸たちのことは見逃すと。
二度と刀は使わないと誓った鬼丸だったが、悩んだ末に、鳩の声に似せた忍び笛を吹く。「おりん、決着をつけよう。明日の朝、明けの明星が輝く頃、地蔵ヶ原で待つ」と。弥十郎(宅麻 伸)から、道には刺客が潜んでいると忠告され、先に進めないおりんの耳にも、その笛の音が届く。
翌朝、現れたおりんに襲い掛かる鬼丸。おりんは鬼丸の豹変振りに、子供が人質になっていることに気づくが、鬼丸の攻撃に、次第に追い詰められる。その様子を見ていた道悦は、鬼丸がおりんを始末した後、無双に鬼丸も殺すように命じる。だが、道悦に「操り人形のように命令に従っていればいい」と言われたことで、無双は道悦に反抗。おりんにとどめを刺そうとしていた鬼丸を「おりんは俺の獲物だ」と、背中から斬りつける。
無双の攻撃から辛くも逃れたおりんは、娘に会いたい一心で無双の鎌を手の鎖で絡め取り、刀を抜いた無双に、その鎌を刺す。
だがそのおりんの前に、道悦が現れる。三吉を盾に取られて手が出せないおりんに、弥十郎が助けに入る。道悦と対する弥十郎。道悦の隠し持った鎖が、弥十郎の刀を飛ばし、弥十郎は追い詰められる。そこに「これを使え」と最後の力を振り絞り、鬼丸が自分の刀を投げる。弥十郎の剣の前に、道悦は煙玉を使い逃げる。
鬼丸は、駆けつけてきたお花と子供たちに囲まれ、息を引き取る。おりんは三吉から、父を殺したと憎しみをぶつけられながら、旅立つ。第七回「忍び草」(12月8日)
道悦から天下を揺るがす密書をおりんが持っていると聞いた、尾張藩主・徳川宗勝(阿南健治)は、尾張藩の隠密・土居下同心におりんの密書を奪うように命じる。その裏で道悦は、手鎖人・毘沙門(高杉勇次)に、おりんと土居下同心に殺し合いをさせ、その隙に密書を奪うように手配する。
そうとは知らないおりん。手鎖人の追っ手を逃れ、浜松城下に着いたところを、手配書を手にした荒くれ者たちに襲われ、そこを尾張柳生流の使い手の侍に助けられる。侍は浜松藩の書物奉行・村上平蔵(伊吹吾郎)と名乗り、おりんを自分の屋敷へと招いてくれる。
一晩世話になり、翌日旅立とうとするおりんを、平蔵は息子の和馬(倉木発)に命じて、町の外れまで送らせる。その途中、藩の役人に気づかれたおりん。和馬と別れ、逃げるが、追い詰められる。そこを助けに現れたのは、宇吉(左とん平)だった。久々に再開した宇吉とお鶴と語らうおりん。そこにおりんを心配した和馬が現れる。和馬を紹介された宇吉は、思うところがあったが、和馬に、藩から出る道はすべて役人が見張っている、屋敷に戻るようにと薦められたおりんは、その言葉に甘えることにする。
おりんが風呂に入っている間、密書の挟み込まれた娘への土産の姉様人形を、誰かがすりかえる。
平蔵はこっそりと和馬を部屋に呼び、浜松藩に仕える村上家が、実は代々続く尾張の土居下同心だと打ち明ける。そして土居下同心に、おりんを殺して密書を奪う使命が下ったと。荒くれ者におりんを襲わせ助けたのも、すべては平蔵が仕組んだことだった。
一方、闇に紛れておりんに会いに来た宇吉は、尾張の隠密に村上という名があったことを伝え、早々に立ち去るようにと忠告。早朝、人知れず旅立ったおりんの前に、忍び装束の平蔵が立ちふさがる。平蔵の剣術を前に苦戦するおりん。が、宇吉の放ったくないによってできた一瞬の隙に、手の鎖で平蔵の首を刺す。
船で逃げようとするおりんの前に、和馬が現れる。父の意思を継ぎ、使命を果たすと言う和馬だが、おりんを斬ることができない。おりんは和馬に、隠密を捨て、逃げるように言い、去る。が、そこに現れたのが毘沙門だった。和馬を人質に取られたおりんは小太刀を捨て、死を覚悟する。そこに後ろから現れた弥十郎(宅麻 伸)、和馬を助ける。すぐさまおりんは捨てた小太刀を拾って、毘沙門を斬る。「闇の鎖、また一つ切りました」第六回「雨の親子情話」(12月1日)
旅を続けるおりんは、ガラの悪い男たちに追いかけられている娘から助けを求められる。娘はお美津(高松 あい)といい、近くの旅籠の飯盛り女だが、父が亡くなったと聞いて無断で抜け出してきたのだった。おりんに助けられたお美津は家に戻るが、母から生活のために「後生だから旅籠に戻っておくれ」と泣かれ、男に体を売ることが耐えられなくなっていたお美津は、川に飛び込む。
お美津を助けに飛び込んだおりん。二人は、側を通りかかった掛川宿の本陣の主・樋口清兵衛(山田 明郷)に助けられる。お美津の身の上を聞いた清兵衛は、お美津を自分の宿で働けるようにと手配してくれ、おりんの身の上を知った上でしばらく休んでいくようにと言ってくれる。
清兵衛の親切に心から感謝して喜ぶお美津だったが、自分が抜け出すのに手を貸してくれた人足の新八(渋江 譲二)が、それがばれてひどい目にあっているのではないかと心配になっていた。話を聞いたおりんは、夜の闇に紛れて新八に会いに行く。
清兵衛に金の無心をしに、男が現れる。その男は、おりんと同じお尋ね者の人相書きの出回っている盗賊・夜鴉の吉三(近藤 弐吉)だった。清兵衛は昔、盗賊だったが、妻子を捨てたことを悔いて心を入れ替えて熱心に働き、今の身分になったのだった。
清兵衛に追い返された吉三は、新八の元に現れる。新八は、清兵衛が昔捨てた子だった。新八は貧乏のどん底で死んだ母と自分を捨てた清兵衛を恨んでいた。その清兵衛が掛川にいると吉三は新八に教え、殺すようにとそそのかす。その話をたまたま立ち聞きした弥十郎(宅麻 伸)は、おりんにそのことを話し、関わり合いにならないうちに立ち去るように忠告する。
その夜、嵐に紛れて本陣に吉三たちが押し込む。迎え撃ったおりんの隙をついて、新八は清兵衛に刀を押し付ける。恨み言を言う新八に、清兵衛はそれでも覚えていてくれたことが嬉しいと涙を流す。二人を恩人と思うお美津の説得もあり、新八は刀を引く。
清兵衛と新八、お美津の温かい言葉に見送られて旅立ったおりんを、手鎖人の夜叉丸(大森貴人)が襲う。夜叉丸の投げる爆弾を、着物を脱いでかわしたおりんは、手の鎖で夜叉丸を倒す。第五回「哀しみの花嫁御寮」(11月17日)
宿をとろうとするおりんだが、一人旅では断られる。そこに相部屋を申し出てくれた三人連れが。しかし深夜、皆が寝静まったころ、その三人がおりんを襲う。実は三人とも手鎖人だった。
なんとか逃げ出し、夜の森を急ぐおりんの耳に、女の悲鳴が聞こえてくる。そしておりんの前に、血に飢えた様子の覆面の侍が。「手鎖人か?」とのおりんの問いに、侍は「なんのことだ」と問い返し、おりんに刀を向ける。おりんは腕の鎖で侍の手の甲を切り、逃げる。
逃げ疲れて倒れたおりんを、町に出没する辻斬りを探していた代官所の役人・前田信吾(西村 和彦)が助け、家に連れ帰る。信吾の家では、彼の母親の照枝(宮園 純子)がおりんを見て、亡くなった信吾の妹が帰ってきたかのようだと大喜び。先を急ごうとするおりんに照枝は、妹が着れなかった花嫁衣裳を着てほしいと頼み込む。
一方、代官所には江戸からの文が届き、その中におりんの手配書が入っていた。おりんにほのかな思いを寄せていた信吾は、それを見て驚く。代官の息子・溝口多聞(本宮 泰風)は手配書を見て、おりんが辻斬りの下手人だと言い出す。その多門こそが、実は辻斬りの真犯人だった。
そうとは知らないおりんは、照枝と母子のように穏やかな時を過ごしていた。二人で作った夕餉を帰ってきた信吾と取っている時、辻斬りが現れたと連絡が入る。照枝とおりんがずっと二人で家にいたことを確かめた信吾は、おりんに手配書のことを話す。そして新たに調査し、刀屋から多門に名刀を売ったころから辻斬りが現れたという事実を突き止める。
花嫁衣裳が縫いあがり、それを着たおりん。これで約束は果たしたと思ったところに、手鎖人の追っ手が押し入ってくる。おりんをかばった照枝が斬られ、信吾も倒れる。怒りに燃えるおりんは、助けに入った弥十郎(宅麻 伸)の手も借り、追っ手を倒す。
そしておりんは、今夜も辻斬りをしていた多門を斬り、再び旅に出る。第四回「哀紡ぐ女の里」(11月10日)
裏街道を急ぐおりんは、火縄銃の煙に気づく。身を隠すおりんだが、狙われていたのは舞衣(吉野 紗香)という若い娘だった。足首を撃たれ、野盗に囲まれた舞衣を、おりんは助ける。
舞衣は、近くの千寿の里に住む娘だった。やせた土地のその里では、栽培から糸紡ぎ、機織までをすべて女性の手で作った織物を生産しており、そのため織物にかかわる三ヶ月は男たちは出稼ぎに、里は女たちだけになるという。舞衣を背負っていったおりんは、里に迎え入れられる。
近くの野盗・赤峰の熊蔵(三夏 紳)の一味は、織物と女たちを狙って里をたびたび襲っていた。一方、おりんを追う道悦(榎木 孝明)は、手鎖人・早瀬源之助(藤堂 新二)を通じて熊蔵たちにおりんのいる里を襲うように命じる。だがおりん相手に熊蔵たちでは手も足も出ない。そこに弥十郎(宅麻 伸)が現れ、手を貸そうと申し出る。
男たちが戻るまで自衛しようとする舞衣たちのために、おりんは熊蔵の元へ単身乗り込む。弥十郎はおりんと戦う振りをして、おりんに逃げろとささやき逃がす。その弥十郎を、物陰から早瀬が毒矢で射る。実は元は同僚であった早瀬の左眼を奪ったのは、弥十郎だったのだ。憎い敵の弥十郎を縛り上げた早瀬は、熊蔵たちに里を夜討ちするように命令する。
旅路を急ぐおりんは、里の方から煙が上がっているのを見る。迷った末、おりんは里を助けに戻る。熊蔵を倒したおりんの前に、道悦が現れる。おりんの剣も、道悦には通じない。苦戦するおりんを、今度は私たちが助ける番だと里の女たちが駆けつける。さらにそこに、早瀬を倒した弥十郎が助けに現れる。弥十郎の「おまえが本当に恐れているのは、人の善意だ」という言葉に、道悦は逃げ出す。第三回「哀しみの乙女恋唄」(11月3日)
手鎖人の追っ手に追われ、川原へと逃げ延びたおりん。そこで五色米で「宿で待つ」と書かれた暗号を読む。おりんはかつて父の配下だった藤七(長門 勇)のいる、隠密宿を訪ねる。足を悪くして御庭番を引退し今は百姓をしている藤七だったが、おりんの父に恩義を感じており、おりんを暖かく迎え入れ、藤七の過去を知らない孫娘のお初(岡 あゆみ)には、卯吉の娘だと紹介する。卯吉は孫のお鶴とともに生きており、藤七におりんのことを頼みにきていたのだった。
手鎖人の源太夫(菅田 俊)は、おりんが付近にいると確信。土地のやくざ者の元締めにおりん探索の手伝いを命じる。
お初は妊娠していた。その子の父は、茂平(松田 悟志)という百姓だがやくざ者に憧れてまじめに働こうとしない若者で、藤七からは会うことを禁じられていたが、お初は密かに思いを寄せていた。おりん探索を手伝う茂平はお初に、おりんの人相書きを見せる。知らないと答えたお初だが、彼女の顔色が変わったのを、物陰から源太夫の手の者が見ていた。
お初は後をつけられ、おりんと藤七のことは、源太夫に知られてしまう。源太夫は茂平を使い、茂平はお初に「一緒になるためには金がいる。おりんをおびき出せば金がもらえる」とそそのかすが、おりんに気づかれてしまう。
そこに藤七が斬られて戻ってくる。藤七は二人に逃げるように言い、床下に隠した爆薬に火をつけ、追いかけてきた手鎖人とともに自爆。
逃げたおりんとお初の前に、茂平を捕まえた源太夫たちが。追い詰められたおりんに、倉沢弥十郎(宅麻 伸)が助けに入るが、茂平は斬られてしまう。源太夫を倒したおりんだが、源太夫の「おまえが逃げれば人が死ぬ」という言葉と、茂平が死んだのはおりんのせいだと睨むお初の目に苦しむ。第二回「哀しみの上意討ち」(10月27日)
根来を目指し西へと向かうおりんの前に、手鎖人の追っ手、金剛(キラーカン)が現れる。彼の金棒の仕込み槍に脇腹を切られたおりん。自分も金剛の額を切り、逃げるが、箱根の関には手配書が配られ、おりんは山越えを迫られる。
突然の雨におりんは、あばら家に入り、傷の手当てをする。浅手だが痺れ薬が塗ってあったらしく体が重い。そこに二人の侍、稲葉総十郎(大高洋夫)と大貫八兵衛(野中 功)が雨宿りに入ってくる。二人はおりんに乱暴しようとし、逃げ出したおりんは、二人と戦ううちに足を滑らし谷に落ちる。
川下で気を失っていたおりんを助けたのは、木地師の夫婦・望月佐平次(石橋保)と綾乃(麻乃 佳世)だった。おりんが訳有りの旅人だと気づきながら、二人は親切に接してくれる。
元は侍だった佐平次。藩主に夫がある身の綾乃が横恋慕されたのを助け、二人は逃亡したのだった。その二人を藩命で追ってきたのが、元は佐平次の友人の稲葉と大貫だった。稲葉と大貫が近くまで迫ってきていることを知った佐平次は、おりんに巻き込まれないうちに逃げるように言う。
言われたとおり逃げたおりん。佐平次と綾乃の前に、金剛たちと稲葉と大貫が現れる。金剛におりんのことを尋ねられた佐平次は、知らぬと答える。稲葉と大貫の二人に襲われ、苦戦する佐平次。一方、逃げたおりんの前には倉沢弥十郎(宅麻 伸)が現れ、戻らなくていいのかと問う。
稲葉と大貫に綾乃は切られ、佐平次もまた倒れようとしたところで助けに入ったおりん。金剛の鎖分銅に短刀を奪われ、首を締められるが、金剛の小刀を奪って刺し、鎖から抜け出し、金剛を倒す。第一回「哀しみの母子草」(10月20日)
元は将軍家の御庭番頭領でありながら、八代将軍・吉宗の命を狙ったと濡れ衣を着せられ、殺された古坂平九郎(大出俊)の娘・おりんは、追っ手に追われ、母とも生き別れ、平九郎の配下だった宇吉(左とん平)に連れられ、『手鎖人』の頭領・植村道悦の元で育てられた。
道悦の命で目付の榊原、若年寄の堀田と、見事しとめたおりんに、次に下った命令は、向島でお鶴という幼女の母親になれというものだった。
おりんは昔、試練として道悦に無理やり抱かれ、身ごもった子を死産した過去があった。私情を捨てたおりんに、はじめは懐かなかったお鶴(遠藤由実)だが、ともに向島で暮らすように言われた宇吉の助けもあり、おりんは次第にお鶴との生活に打ち解けていく。
お鶴を孫のようにかわいがり、時々訪れては家族のように接していく、御公儀御用達の薬種問屋・三河堂の隠居・仙右衛門(小林稔侍)が、次の獲物だった。おりんは、ただの薬屋に暗殺指令が下されたことに疑問を持つが、仙右衛門が吉宗暗殺の毒薬を用意した人物だと知る。
暗殺の準備を進める中で、おりんは仲間の手鎖人・不動(松田優)が大岡忠光を襲っているのを見かける。大岡は、愚鈍と言われている家重公の忠臣だった。将軍を守るはずの手鎖人が大岡を狙ったことに、おりんは疑心を抱く。
道悦が本当に守っていたのは、家重の弟で、将軍職を狙う田安宗武(倉田てつを)だった。そうとは知らないおりんに問いただされた宇吉は、おりんが抵抗した仙右衛門と共倒れになったことにして、おりんに逃げるように言う。死産だとされたおりんの娘は紀州根来で生きており、おりんにその娘・お咲と静かに暮らすようにと。そして道悦の元から盗み出した吉宗の密書を密かに隠した姉様人形を、おりんに渡す。
刀を向けたおりんからすべてを聞いた仙右衛門は、自分が元武士で平九郎は親友だったと語り、その娘のためならば命を捨てようと申し出る。そこに道悦の手下たちが乱入し、取り囲む。道悦は平九郎の血を引くおりんを恐れており、おりんを大岡襲撃と仙右衛門殺しの下手人に仕立て上げ、亡き者にしようとしていた。仙右衛門は手下たちを引き受け、「生まれ変わるんだ」と言い残し、おりんたちを逃がす。
しかし逃げるおりんたちにも追っ手が。宇吉はお鶴が自分の孫であることを白状し、おりんに一人で逃げるように言う。だがおりんは自分が敵を引き付けると言い、宇吉とお鶴を逃がす。
追い詰められたおりんを、一人の侍が助けに入る。倉沢弥十郎(宅麻 伸)と名乗った侍は、堀田暗殺に向かうおりんを見かけて以来、おりんを探っていた男だった。
逃亡者としての生活に入ったおりんは、娘のいる根来へと向かう。初回は、二時間スペシャルでした。
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