各回ごとのあらすじ
最終話「さらば金さん!! 暴かれた奉行の正体…白熱の最後の白州」(3月20日)
呉服屋の一家心中事件が起こる。賭場での借金の厳しい取り立てを苦にしてのことだった。現場にも、暗闇一家が家財の差し押さえに来ていた。同じような事件が頻発していたが、賭場がどこで開いているのか分からず、捜査は難航していた。
つるやで、賭場に行きたいと漏らした金さんに、常連客の浪人・大林伊十郎(中条きよし)が耳打ちをする。教えられた場所には屋形船が。賭場は舟の上で開かれていたのだった。金さんがそれを確かめた帰り道、死体を見つける。それは賭場で大勝ちし、暗闇一家に殺された商人だった。駆け寄った金さんに、手回しよく捕方が駆けつけてくる。下手人に間違えられた金さんは、必死にその場を逃げ、つるやに匿われる。つるやに居合わせた大林は、金さんを匿うと言う。大林が金さんを連れて行った先は、暗闇一家だった。
暗闇一家は両替商の濱田屋と組んで、借金の肩に付近一帯の土地を手に入れようとしていた。が、北町奉行・遠山金四郎が土地の差し押さえを止めたため、奉行殺害を決め、金さんにそれをやるように命じる。困った金さんは、失敗したら死ぬかもしれないから、その前に愛した女に会っておきたいと言って、おまきを呼び出してもらい、抱きしめる振りをしながら八太夫への文を渡す。
お奉行行列に鉄砲を撃ち込んだ金さんだったが、金さんの指示どおり空籠だったため、怪我人は出なかった。奉行殺害に失敗して動揺する暗闇一家と濱田屋に、大林は「俺の筋書き通りにすれば大丈夫だ」と。大林は、実は南町奉行所の隠密与力だった。
大林は北町奉行所に出向き、遠山金四郎に目通りを願い出る。会えるまで帰らないと言う大林に、金四郎は顔を見せる。大林は、18才の時に男に裏切られ自害した妹の仇が、金四郎だと言う。だが金四郎には覚えがなかった。
簡単には金四郎を殺せないと分かった大林は、暗闇一家を使ってつるやを乗っ取り、おまきとおいとを人質に取る。それを知った金さんは、床下を通り、つるやの押入れの床板を外して現れ、おまきとおいとを救出。片肌を脱いで暴れる。
お白州で暗闇一家と濱田屋は、すべての罪を金さんになすりつける。おまきは、金さんが助けてくれたと証言するが、その金さんがいない白州は成り立たないと野次られる。金四郎の正体を知る大林は、正体を示せば金四郎もただでは済まないと牽制するが、金四郎は切腹覚悟で、片肌を脱ぎ、正体をさらす。金四郎は暗闇一家と濱田屋に極刑を下す。大林は金四郎の身の処し方に感服し、自ら止める間もなく切腹する。
正体がばれた以上は、もう金さんは現れないかもしれないと、おまきにつぶやいた金四郎だったが、数日後、つるやの押し入れから金さんが現れる。第八回「消えた六百両の謎!? 恋人達の涙とからくり屋敷の怪!!」(3月13日)
酒問屋近江屋の金蔵から六百両もの大金がなくなるという事件がおきる。しかし金蔵には侵入された形跡はなく、床下には柵があるという手の凝りよう。金蔵の鍵も盗まれていない。つるやで頭を抱える三浦真次郎と松吉。そこにお久美(遠山景織子)という娘がやってくる。「大総」という大工の普請場で下働きをしていた父親の作造(小谷浩三)が二日間も帰ってこないと言う。近江屋の金蔵も、三年前に「大総」が普請したものだった。金さんはおまきに紹介状を書いてもらい、いなくなった作造の代わりに「大総」の下働きとなる。
普請場で働き始めた金さんは、若い大工の幸吉(浜田学)が何か思い悩んでいる様子なのに気づく。幸吉は訪ねてきたお久美にも冷たくあたる。お久美と幸吉は、元はいい仲だった。大工の皆が帰った後、片付けをしていた金さんは、床下に落ちていた煙草入れを見つける。それはいなくなった作造の物だった。
一方、お奉行からの命令として、八太夫(森本レオ)から再度の近江屋の床下探索を命じられた真次郎と松吉は、柵の一部が取り外せること、そして金蔵の床が下から開けられるように細工してあるのを見つける。それを聞いた「大総」の親方・総兵衛(下元年世)は、三年前の不振の時に采配を振るっていた小頭の喜多八(蛍雪次朗)に注意し、明日自分が直しに行くと告げる。
幸吉が、兄貴分の大工たちから脅されながら殴られているのを見た金さんは、幸吉を手当てして、作造のことを聞く。喜多八たちは普請時に仕掛けをして、盗みを働いていたのだった。今の普請場にも仕掛けを作っていたところを作造に見られた喜多八たちは、作造を口封じに殺し、その下に埋めていた。幸吉も無理やり仲間に入れられ、もし他の者に話したら、お久美を殺すと脅されていた。
翌日、総兵衛が殺されているのが見つかる。呼び出された喜多八たちは、ここにいない幸吉が下手人ではないかと役人に告げる。自分が役人に追われていることを知った幸吉は、お久美の身が危ないとお久美の家に急ぐが、そこにはすでにお久美の姿はなく、助けたかったら喜多八の家に来いとの書置きが。お久美を助けに駆けつけた幸吉を、喜多八はお久美もろとも殺そうとする。そこに金さんが助けに現れ、片肌を脱いで暴れる。
お白州で喜多八は、すべて幸吉が仕組み殺したと証言。金四郎は桜吹雪の刺青を見せ、喜多八たちには極刑、そして脅されていたとはいえ悪事の片棒を担いでいた幸吉には江戸十里四方所払いの温情のある裁きを下す。第七回「殺人を依頼した女!? 非情な盗賊団のワナと哀しい恋心…」(3月6日)
破格の日給を出す仕事先を紹介してくれる口入屋『大黒屋』が評判を集め、おかげでつるやは閑古鳥が鳴いていた。その一方で、大黒屋で紹介された奉公人が、押し込みにあって殺される事件も頻発する。金四郎は金さんになり、大黒屋を訪れ、やばくて金になる仕事があると聞いてきたとカマをかけるが、取り合ってもらえない。
そんな中、おはる(三輪ひとみ)という娘の死体が見つかる。彼女は、先日、金さんとおまきが外出先で、呉服屋・伊勢屋のおたえ(大路恵美)という奉公人と言い争っているのを見た娘だった。おはるは、父・仁平(諏訪太朗)の水茶屋で大層美人と人気があり、近々、伊勢屋の若旦那・栄太郎(志村東吾)と祝言を挙げる約束を交わしていた。
口入屋同士の寄り合いで、大黒屋のやり方に文句をつけて啖呵を切ったおまきは、大黒屋に狙われる。おまきと話しているところを見られた金さんは、つるやの手先だと乱暴されそうになるが、小金で雇われただけ、金次第で裏切ってもいいと持ちかけ、おはるが死ぬ前に、おはるとおたえが争っているのを見たと脅しをかける。大黒屋は金さんを相当のワルだと認め、雇うことに。
一方、松吉たちの調べで、おはるが実は仁平の愛人で、おはるは伊勢屋の金だけが目当てで栄太郎をたぶらかしたのだと判明する。仁平は姿を消していた。おたえはおはるの正体を見抜いて、栄太郎と別れてほしいと頼んでいたのだった。栄太郎を守りたくて悩んでいたおたえに、伊勢屋に出入りする貸本屋の喜久治(笹野高史)が、大黒屋に相談することを薦めた。そのとおりにしたおたえは、おはるが殺されたと知って驚く。そして大黒屋に駆け込んだが、大黒屋は、おたえが殺してほしいと言ったから殺したと。そしておたえに、伊勢屋に押し込むから蔵の鍵の型を取って来いと脅す。取ってこなければ、押し込みに入り、栄太郎も店の人間も皆殺しにすると。
追い詰められたおたえは、栄太郎の命を守るために大黒屋の言うとおりにして、鍵の型を取ってくる。しかし大黒屋はそのおたえを用済みと殺そうとする。大黒屋は始め、おはるを使い伊勢屋を手に入れようとしていたが、おはるが反抗したので殺し、代わりにおたえに罠を張り、近づいたのだった。初めにおたえに近づいた喜久治こそが鬼火の長五郎という盗賊団の頭だった。そこに金さんが現れ、片肌脱いで暴れ、おたえを助ける。
お白州でシラを切りとおす喜久治に、金四郎は片肌脱いで証拠の桜吹雪を見せ、鬼火の長五郎一味は引き回しの上、獄門、おたえは無罪とする。第六回「江戸の闇夜に消えた母!! 金さんの危機と不良息子の愛…」(2月27日)
ひな祭りで賑わう境内で、男が一人、突然狂ったように包丁を振り回して暴れ、自殺する。男はアヘン中毒者だった。その様子を見ていた卯之吉(高野八誠)に、おまきは見覚えがあった。
江戸に出回るアヘンの出どこを調べるため、金四郎が回船問屋・汐見屋に放っていた隠密が殺される。真次郎たち町方も、汐見屋を疑わしく思い捜査するが、旗本衆の御用達も務める汐見屋は、上からの圧力をかけてくる。
金さんは自ら潜入捜査をしようと、おまきに汐見屋への口利きを頼むが、汐見屋は働き手を募集していない。そこに小料理屋「さわ乃屋」の女将おさわ(丘みつこ)が訪ねてくる。おさわは卯之吉の母だった。おさわが汐見屋からの仕出し弁当の注文が多くて大変とこぼしたのを聞いて、おまきは出前持ちに金さんを推薦する。
金さんは、おさわとともに店を切り盛りする娘のおしず(寺田千穂)にも気に入られる。だが、金さんが卯之吉のことを聞いたとたん、おさわは不機嫌に。
卯之吉には、数年前に好いた女がいた。彼女と一緒になるために、彼女の借金の五両をおさわに貸してほしいと頼んだが、おさわは断り、無理やり二人を別れさせた。そのことで卯之吉は家を飛び出しヤクザ者になり、今は汐見屋で人足を束ねる振りをしながらアヘンを売っていた。だが実は、卯之吉が好いた女は詐欺師で、五両を持って別の男と逃げようとしていたのだった。それを突き止めたおさわは、女に金を渡して、二度と卯之吉に近づかないでくれと頼んだのだった。
汐見屋は、金さんが持ってきた弁当を船頭たちに渡す振りをして、アヘンを渡していた。金さんは岡持ちの底に落ちていたアヘンの包みを見つけ、そのからくりに気づく。
おさわの真の思いを知った卯之吉は、かわいがっていた弟分の三太(石母田史朗)を使い捨てにされて殺されたことで、自首して汐見屋の悪事を暴くことを決意。汐見屋のアヘン密売の帳簿を持ち出し、家に帰るが、おさわは汐見屋にさらわれていた。
残されていた書置きに従って、卯之吉は帳簿を持って一人で汐見屋に戻る。汐見屋が卯之吉とおさわを殺そうとしたところに、金さんが助けに入る。金さんが片肌脱いで卯之吉とおさわを助け出したところに、役人たちが現れ、汐見屋の一味を捕らえる。
お白州で、汐見屋はアヘンなど知らない、卯之吉がすべてやったこととシラを切り、自分をこんな目に合わせたら、取引のある旗本衆が黙っていないと居直る。金四郎は片肌脱ぎ、証拠の桜吹雪の刺青を見せつける。汐見屋たちは極刑。改心して今までの不孝をおさわとおしずに謝った卯之吉には、、所払いを命じる。第五回「遊郭に雇われた金さん!? わらべ歌の謎と復讐に燃える女」(2月13日)
材木商山徳の木場人足・藤吉(小峰隆司)が殺される。八太夫(森本レオ)から山徳が羽振りを利かせ、吉原に匹敵する色町を作ろうとしている噂を聞いた金四郎は、町へ。
つるやで、藤吉殺しを調べている真次郎と松吉が、松葉屋のはっぴを着た、留治(萩原紀)が現場を怪しい素振りで見ていたと話していた。松葉屋は深川の遊郭で、その店主は山徳の主・源右ヱ門(大出俊)の女房・お国(長谷川稀世)だと聞いた金さんは、おまきに遊郭での仕事の紹介を頼むが、おまきとおいとに大反対される。
金さんは松葉屋で無銭飲食する。そして襲ってきた用心棒たちを返り討ちにして、お国に何でもすると取り入り、松葉屋に雇ってもらう。
松葉屋の外を、鳥追いの姿をした女が三味線を弾きながら通る。その音を聞いた女郎のおさと(長谷川真弓)は、その曲が故郷の松戸のわらべ歌に似ていたと話す。
そんな中、松葉屋の留治が殺される。現場を見ていた者は、鳥追いの女が三味線に仕込んだ刀で襲ったと証言。だが実際は、女が刀を突きつけているところに飛んできた合口で、留治は殺されていた。
松葉屋の男が鳥追いの女を脅しているのを見て、金さんは自分が後を引き受ける振りをして女を助ける。女の名はお仙(池上季実子)。元は松戸の裕福な家の娘だったが、20年前に三人組の強盗に両親を殺され、家に火をつけられ、妹と生き別れになっていた。藤吉と留治はその時の強盗だった。両親の仇を取ろうと残りの一人も探しているが、腕の傷以外、名前も顔も分からないと言う。金さんは、相手が犯罪者でも人殺しは罪だとお仙に諭す。そしてお仙の持っているお守りが、おさとの持っていたものと色違いだと気づき、近いうちに妹と会わせると約束する。
が、お仙は金さんが松葉屋のはっぴを着ているのを見て、一人で深川に出かけてしまう。松葉屋で妹のおさとと再会するが、そこを源右ヱ門たちに取り囲まれてしまう。実は源右ヱ門こそが、強盗の最後の一人だった。口封じのために藤吉と留治を殺した源右ヱ門は、お仙も始末しようとしたところに、金さんが助けに入り、片肌脱いで暴れる。
藤吉と留治殺しの下手人を裁くお白州で、源右ヱ門は二人ともお仙が殺したんじゃないかとシラを切る。桜吹雪の刺青を見せ、源右ヱ門の悪事を暴いた金四郎は、源右ヱ門たちに極刑を言い渡す。そしてお仙には頼みがあると切り出し、三味線の仕込みを封印してほしいと伝える。お仙は自分もそのつまりだったと答え、おさととともに、松戸に帰る。第四回「身代わり殺人の罠と情婦の涙!! 用心棒になった金さん!?」(2月6日)
浪人が刺し殺され、その現場から逃げていく女が目撃される。殺された井坂隼人は金で殺しを請け負っていた者で、金四郎が昔通っていた剣術道場にいた男だった。その井坂と女が一緒にいたのを、金四郎は事件が起こる少し前に目撃していた。気にかかった金四郎は、またも八太夫(森本レオ)の目を盗み、町に出かける。
つるやに、小唄の師匠をしているおちか(床嶋佳子)が用心棒を求めてやってくる。おちかが井坂と一緒にいた女だと気づいた金さんは、用心棒に名乗りを上げるが、おちかが一人暮らしと聞いておいとは「用心棒はもっと強持てでないと」と大反対。金さんは頬に傷跡を入れる変装をする。
夜、おちかの家に荒くれ者たちが押し入ってくる。蹴散らそうとする金さんに、おちかを人質にとった男は、「阿修羅と恐れられた男も、惚れた女を人質に取られちゃかたなしだな」と。なんとか男たちを撃退した金さんは、翌日、八太夫から「阿修羅の五郎蔵」という盗賊がいると聞く。用心深い男で、顔を知る者はいないらしい。
一方、おちかの弟子の一人、米問屋信濃屋(石田太郎)の元に、佐倉藩蔵奉行・稲葉主膳(春田純一)が招かれていた。おちかと金さんを襲ったのは、信濃屋の手の者だったのだ。彼らは阿修羅の五郎蔵の命を狙っているのだが、顔が分からない。おちかの側にいる金さんがそうだろうと思い込み、確かめるため、五郎蔵の顔を知る稲葉を呼び寄せたのだった。
おちかの家に、再度の襲撃がある。おちかが贔屓にしている夜泣き蕎麦屋の弥助(河西健司)の助けで、荒れ寺に逃げ出したおちかと金さん。金さんはおちかを助けたいと、本当のことを聞く。おちかは阿修羅の五郎蔵の情婦だった。岡場所に売られたおちかを救い出した五郎蔵の言うまま、悪事に手を染めて五郎蔵の手伝いをしてきたおちかだが、それが耐えられなくなり、五郎蔵の命を狙う井坂に、五郎蔵の居場所を教え、殺してもらおうとしたが、井坂は返り討ちに合い、失敗。五郎蔵はおちかに、五郎蔵の身代わりになる男を用意させ、代わりに殺されてもらおうとする。それが金さんだった。
そこにまたもや信濃屋たちが襲ってくる。米問屋と蔵奉行の結託から、米の横流しをしていたのに気づいた五郎蔵に強請られ、五郎蔵を殺そうとしたのだろうと見抜いた金さん。そこに弥助が現れる。実は弥助こそが五郎蔵で、稲葉に捕まった五郎蔵は、おちかと金さんを売り、稲葉と信濃屋に付くことにしたのだった。襲ってくる信濃屋に、金さんは片肌脱ぎで暴れる。そこに役人たちが駆けつけてくる。
お白州で、弥助は五郎蔵であることを否定。おちかが金さんという証人がいると言うのに対し、その金さんが五郎蔵なのではと、しらを切る。金四郎は片肌を脱いで見せ、五郎蔵たちには極刑を言いつけ、おちかには五郎蔵との腐れ縁を自ら断ち切った勇気に免じ、所払いにする。第三回「悪徳金貸しになった奉行!? 遊女の純情と金さんの涙…」(1月30日)
つるやでお手伝い中の金さんは、次々と大店が経営が立ち行かなくなって潰れており、中には一家で心中をした店もあるという話を聞く。真次郎と松吉によると、それらの店に共通するのは、両替商の大和屋清兵衛(下條アトム)から金を借りていたこと。だが大和屋は、担保なし、低金利で金を貸してくれると評判だった。
金さんがおまきと歩いていると、おまきが先日勤め先を紹介したという、おなみ(小田茜)と出会う。おなみが暗い顔をしているのが気になったおまき。そこにおなみを「おさき」と呼んで追う岡っ引きが。金さんがおなみを庇ったことで、岡っ引きは引く。が、数日後、その岡っ引きの市蔵(草薙良一)が、死体で見つかる。
金さんは、おまきの紹介状を持って大和屋に赴く。そろばんができると話す金さんだが、清兵衛は金さんの体格の良さに目をつける。番頭に店を案内されている途中、閉まっている蔵に人の気配がして近づいた金さんは、突如、店の用心棒たちに襲われる。それをなんなく捌いた金さんは、清兵衛に、めくれた袖から見えた刺青と、その腕っ節を買われる。
大和屋の借金取り立てに同行させられた金さんだったが、そのヤクザまがいの脅しを諌めたことで、清兵衛の怒りを買い、蔵に放り込まれる。蔵には、衰弱した大和屋の店員の又平(東根作寿英)が閉じ込められていた。金さんは又平が、清兵衛に手篭めにされそうになった恋人のおなみを清兵衛の手文庫から盗んだ小判を持たせて逃がした話を聞く。見張りをだまして蔵を抜け出した金さんは、又平を連れて、おなみに会いに行く。
実はおなみは、おさきという足抜け女郎だった。おさきは逃げる途中に隠れた小屋で、おなみ(真織由季)が清兵衛に殺されるのを目撃する。おさきはおなみの持っていた道中手形と小判を盗んで逃げ、おなみに成り代わったのだった。だが女郎だった時の客の市蔵に見つかり、脅され、おさきは市蔵に盗んだ金を渡す。その小判を見た市蔵の様子を聞いた金さんは、何かに思い当たり、一人、大和屋に乗りこんでいく。
大和屋清兵衛は、大店に融資を持ちかけ店を大きくするよう薦め、後から膨大な金利を吹っかけ、倒産に追い込んでいただけでなく、偽小判を作って儲けを企んでいた。その試作品の粗悪品を又平に盗まれ、それに気づいて揺すってきた市蔵を殺して偽小判を取り戻し、隠蔽したのだった。それに気づいた金さんをも殺そうと襲ってくる。そこにおなみの仇を取ろうとする又平が現れ、清兵衛を刺そうとするが、反対に刺されて殺されてしまう。怒った金さんは、片肌脱ぎで暴れる。そこに捕方たちが駆けつけてくる。
お白州で清兵衛は、おなみが金を盗み、それを知られた市蔵を殺したと、おさきにすべての罪をなすりつける。だがおさきは自らの過去と罪を話し、証人に金さんがいると証言。金さんなんて雇った覚えはないという清兵衛に、金四郎は片肌を脱いで見せる。金四郎は清兵衛に打首獄門を言い渡し、おさきには無罪とするところをあえて所払い、逃げるのではなく前を向いて行けと言葉を掛ける。第二回「知りすぎた女!! 盗賊と料亭の点と線」(1月23日)
江戸市中では、「真鯉の長吉」一味が押し込み強盗を繰り返していた。おまきから、料亭の「水月」の贔屓の店ばかりが狙われていると聞いた金さんは、さっそく口入屋のおまきに添状を書いてもらい、水月の下働きになる。
一方で、真っ昼間から、大工の蓑吉(入江毅)が刺し殺される事件が起こる。蓑吉は前日まで水月の離れの改築普請をしていた。
水月の離れでは、仲居のお涼(水島かおり)が柱を撫でながら涙を流し、「蓑吉さん、ここで何を聞いたの」とつぶやいていた。お涼は死んだ蓑吉の妻だった。調理場では板前の親方・長八(田山涼成)に、板前の清吉(井田國彦)が厳しく指導されていた。離れがお気に入りの常連客・向島の隠居・仁兵衛(丸岡奨嗣)は、料理を運んできた清吉に他の客の様子を聞く。
お涼から、蓑吉が死ぬ前に「恐ろしい話を聞いた」ともらしていたことを聞いた金さんは、お涼が下手人を探すために水月に働きにきたと察する。
その夜、水月に来ていた客の店に真鯉の長吉一味が押し入る。翌朝、それを知った金四郎は、同心たちに仁兵衛の家を探させる。それらしい家を見つけた松吉だったが、家の中をのぞいているところを清吉に声をかけられ、去る。だが松吉は、二兵衛の顔に見覚えがあった。二兵衛が「七化けの二兵衛」という盗賊だと思い出した松吉は、すぐさま二兵衛の家に戻るが、そこにあったのは刺し殺された二兵衛の遺体だった。そして二兵衛の家からお涼が逃げ去るのを見る。
お涼は、幼い息子の新太(渋谷武尊)に、水月の女将あてに新太をしばらく預かって欲しいと書いた手紙を持たし、自分は姿を消す。お涼は蓑吉の仇を取るつもりだった。
店が終わり帰る清吉を、お涼が後をつける。だがそれは清吉の罠だった。お涼は、新太を人質に取った長八と清吉の仲間に囲まれる。長八こそが真鯉の長吉で、水月に来る客の中から獲物を探していたのだった。清吉と二兵衛の相談を聞いた蓑吉を殺したのも、役人にかぎつけられたことを恐れて二兵衛を殺したのも、清吉の仕業だった。お涼も殺されそうになったところに、金さんが駆けつけ、お涼と新太を助け出す。
お白州で、長八を真鯉の長吉だと証言したお涼は、証拠がないことから清吉たちに、世話になった親方を盗人呼ばわりする恩知らずと罵倒される。金さんという証人がいると言い出したお涼は、さらに罵倒されるが、そこで金四郎が片肌を脱ぐ。
金さんのおかげで人殺しにならずに済んだお涼は、隠居を決めた老人から団子屋を貰い受け、新太とともに明るく働く。第一回「江戸に舞う桜吹雪!! 疫病神に愛された女」(1月16日)
城中で茶坊主たちと丁半博打に熱くなる遠山金四郎。出仕の時間となり、廊下を歩いているところへ、勘定吟味役の内藤主馬(鷲生功)が思いつめた様子で「相談がある」と言ってくる。が、作事奉行の林田采女(佐戸井けん太)がやってくるのを見て、去ってしまう。内藤は収賄の罪で謹慎になっていた。
船宿「たつみや」の離れが炎上する事件が起こる。内藤が賄賂の品を買い取らせていた献残屋の佐野屋文吉(木場勝己)を道連れにしようとして失敗、腹を切り火をつけて自害したという。その話に不信を感じた金四郎は、八太夫の目を眩ませ町に出かけていく。
遊び人の金さんとなった金四郎は、口入屋のおまきの紹介で、たつみやの船頭になる。たつみやに出向いた金さんに、しつこい客から逃げ出した酌婦が舟を出してくれと駆け寄ってくる。彼女は、内藤自害の目撃者・おしの(若村麻由美)だった。
おしのは舟の上で金さんに、自分は疫病神だと話す。おしのは昔、彼女を身請けする金を作るためイカサマ博打をして失敗した大工の男と心中しようとして、一人生き残ったのだった。そんなおしのに金さんは、生きていてほしいと告げる。
おしのに近づく金さんに、文吉は役人の手先かと怪しんで銃を突きつける。だが襟首をつかんだ拍子に金さんの刺青が見えた文吉は、金さんを信用し、用心棒に雇う。
文吉は、材木問屋の木曾屋(清水紘治)と密談し、自分を疎んじる木曾屋を、金さんに殺すよう命じる。そして木曾屋から戻った金さんに、今度はおしのを突き出し、殺すように命じる。捨て鉢になったおしのは、文吉の悪事をぶちまける。林田と木曾屋が材木の水増し請求で私服を肥やしていたことに気づいた内藤を、文吉が自害に見せかけ、罪を被せて殺したのだった。その場をおしのに見られた文吉は、おしのが心中の生き残りだということを言わない代わりに、見たことを口外しないようにと取引したのだった。
金さんはおしのの手を引き、襲ってくる文吉の用心棒たちを片肌脱ぎで応戦しながら逃げる。だが川縁に追い詰められたところで、銃声が響き、二人は川に落ちる。流れ着いたおしのが目を覚ましたとき、金さんの姿はなかった。
北町奉行所に、文吉たちとおしの、林田を呼んだ遠山金四郎。心中の生き残りということを偽っていたおしのの言うことなど信用できないと言う文吉たちに、おしのは、もう一人証人となる金さんがいると。だが死んだと思われる金さんを呼び出すことなどできないと高をくくる文吉たちに、金四郎は片肌を脱いで見せる。金四郎は文吉たちを打ち首獄門、おしのに石川島送りを命じる。
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