各回のコメント・後半
最終回「永遠の夫婦」(12月10日)
左手が動かなくなった一豊(上川隆也)だったが、千代の看病と、京で医者になった新右衛門(前田吟)の次男・徳心斎(古本新乃輔)の診療の甲斐あって、次第に回復する。
その頃、家康の孫・千姫(鶴 彩未)と秀吉の子・秀頼(石黒英雄)の婚儀が行われた。この式には出なかった高台院(浅野ゆう子)は、訪れていた千代と一豊に、もう一波乱起こると忠告、一豊にまだ死んではなりませぬと伝える。
嫡子・秀忠(中村梅雀)に将軍職を譲った家康(西田敏行)は、祝いに来ていた一豊を呼び、跡取の忠義(十川史也)の嫁取りの件が整ったと。そして秀頼の様子を一豊に尋ね、「まだやらねばならぬことがある。まだ生きてわしを助けてくだされよ」と。一豊は家康が豊臣家を滅ぼす気でいることを悟る。
土佐に帰った一豊は、家臣を一同に集め、「山内家は豊臣家と袂を分かつ」と宣言、立ち上がり、康豊(玉木宏)に徳川に従うよう声を張り上げ、また倒れてしまう。
「生きてください」と千代は一豊に寄り添い、二人で生き抜いてきた戦乱の数々に思いを馳せる。千代に看取られ、一豊は静かに命のともしびを消す。
髪を下ろした千代は見性院と名を改め、翌年、京へと移り住む。山内家の行く末のため、京や大坂の動きを少しでも早く知ろうと考えてのことだった。
そんな千代に、高台院から火急の呼び出しがかかる。再三の上洛命令を拒み続ける秀頼に、とうとう家康が怒ったというのだ。淀を説得するように言い付かった千代は、高台院の文を持って淀の下へ。
家康を家臣扱いする淀(永作博美)だったが、千代は「まずは秀頼様をお守り下さいませ」と必死に説得する。そして秀頼と家康の対面が叶うが、家康は立派に育った秀頼を見て徳川の未来を危惧。兵を上げた家康の前に、大坂城は落城。淀と秀頼は命を絶つ。
その家康も死去。戦乱の終わりを見届けた千代は、戦死者を弔う旅へと出る。そして一豊と初めて出会った川原にたどり着いた千代の前に、若かりし一豊が迎えに現れる。第48回「功名の果て」(12月3日)
京で拾とともに、六平太と新一郎、そして死んでいった者たちの菩提を弔い暮らすと言う千代に、一豊(上川隆也)は拾を土佐に呼び寄せると。六平太と新一郎の葬儀の後、千代は城を出て吸江院で、僧となり名を湘南(三浦春馬)と変えた拾とともに暮らす。
湘南は千代に、「寛猛自在」と書いてみせ、国の主は寛容なだけでは治まらないのではないか、手を下した父上の方が罪に苦しんでおられるのではないかと、問い掛ける。そこに康豊(玉木宏)が、一豊が倒れたと駆け込んでくる。
一豊の手を握り「私が戻ってきたからには旦那様を死なせはしません」と必死に語りかける千代に、一豊は突然、起き上がり、「すまん」と頭を下げる。実は、千代が出て行ってからというもの、生きる気力をなくした一豊を見かねて、康豊たちの仕組んだ芝居だった。一豊は千代に、黒田官兵衛が毛利や長宗我部、九州の反徳川勢力と手を結ぶ恐れがあり、再び戦乱の世になるのを防ぐためには強硬手段に出るしかなかったことを説明する。そしてこれからは土佐を住みよい国にするために残りの命を掛けることを誓い、だから戻ってきてほしいと語る。口下手な一豊の熱心な説得に、千代は折れる。
京に訪ねて来た千代に、高台院(浅野ゆう子)は、家康が征夷大将軍になることを教える。千代は山内家の跡取である康豊の子の嫁取りを家康に頼んでもいいかと高台院に訪ねる。
江戸の普請要請に出てきた一豊は、家康(西田敏行)への帰国の挨拶の折に、嫁探しをお願いする。家康は、良い娘がいれば自分の養女にしてから山内家の嫁にしようと、快諾する。
高知城が完成し、一豊と千代は天守閣で、死んでいった六平太と新一郎、吉兵衛に感謝をささげる。その時、突然、一豊が倒れる。第47回「種崎浜の悲劇」(11月26日)
一領具足の鉄砲に狙われた千代だったが、幸い怪我もなく、無事だった。一豊(上川隆也)は千代を撃った者を捕らえ、見せしめに磔とする。そんな非道なやり方を強行する一豊と六平太(香川照之)を、千代は受け入れられない。はるか昔に六平太の言った「千代を守る」とは、こういうことなのかと詰め寄る千代に、六平太は「徳川様と殿様と……お方様のためです」と。
一方、家康(西田敏行)に築城の許しを得に出向いた一豊は、「土佐の平定にはいささか時間がかかりすぎではござらぬか」と言われてしまい、危機感を覚える。
一領具足の一掃に頭を悩ます一豊に六平太が、一領具足には頭となる者がおり、相撲寄せを開き国一番を決めると言えば相撲好きな一領具足たちは集まって来るだろう、そこを一網打尽にするといいと、進言する。そして自分が手を下すと。
種埼浜に七十人以上もの一領具足たちが集まった。一豊は千代を連れて新しく築城する高知山城の検分に出かける。そこに轟くような銃声が聞こえてくる。ただ事でないことに気づいた千代は駆け出す。
多数の屍を眺める新一郎(浜田学)に、死んだ振りをしていた一領具足の一人が襲い掛かる。新一郎は腹を刺されてしまう。駆けつけた千代は、新一郎の亡骸を見て、六平太に詰め寄る。「弾に誓ったのがこれですか」と責める千代に、六平太は「千代、おまえが好きだ」と、毒を仕込んだ弾を口に入れる。「死ぬときだけは千代の腕の中と決めていた。そのために土佐に来た」と言い、言葉どおり駆け寄った千代の腕の中で息を引き取る。
城に戻った千代は心を決めた様子で、一豊に「おひまをいただきとうございます」と告げる。第46回「土佐二十万石」(11月19日)
土佐一国の主となった一豊(上川隆也)は、「秀吉様の時とは違い、家康様はわしの器量を見出してくださる」と有頂天。千代からそれを聞いた高台院(浅野ゆう子)は大笑い。「旦那様は変わられた」と悩む千代に高台院は、だったら別れて自分と一緒に住もうと水を向ける。そんなことはできないと慌てて首を振る千代に、高台院は「それならば最後まで見届けてあげなされ」と。
元土佐藩主の西軍に味方した長宗我部盛親は家康(西田敏行)に詫びを入れ、京に留め置かれた。しかし土佐には一領具足と呼ばれる半士半農の荒くれ者たちが残っていた。どうしたものかと相談に訪れた一豊に、井伊直政(篠井英介)は、まず弟君を土佐に先行させるがよろしかろう、そして京の盛親の命を盾に長宗我部の重臣たちに一領具足たちを成敗させればよいと、知恵を授ける。
一豊は手が掛かると愚痴をこぼす直政に、家康は、正直な一豊ならばまだ恭順しない西国の武将たちと手を組む心配がないからだと、本意を告げる。
直政に言われたとおりに、一豊は康豊(玉木宏)を土佐に向かわせる。新領主の上陸を拒んで浜に終結した一領具足たちの鉄砲に肩を撃たれた康豊だったが、盛親の重臣たちを使い一領具足をひとまず一掃する。涙ながらに同郷の者たちを討った重臣たちは、家康の厳命で山内家に召抱えることもできず、国を追われる。その一豊の非道なやり方に、千代は思い悩む。
いよいよ一豊たちの出発を前に、六平太(香川照之)が一豊に仕えたいと頭を下げてくる。六平太の忠誠を信じた一豊はそれを許す。
まだ危険が残る土佐に、一豊たちは商人の船を装って秘密裏に上陸、やっとのことで浦戸城に入る。今後の方針として、手狭なこの城に代わって新たな城を作ることと、一領具足については六平太の最初が肝心という強行な案を取り入れて、士分を取り上げ年貢を課すことに決める。
一豊とともに美しい風景の領内を眺めていた千代。その千代を突如、凶弾が襲う。第45回「三成死すとも」(11月12日)
敗走していた石田三成(中村橋之助)は捕まり、縄をうたれさらし者とされた。その姿を見た一豊(上川隆也)は、着物をかけてやる。三成は一豊に、茶々(永作博美)への遺言を頼む。「たとえ家康を頼ることになっても豊臣家と秀頼様をお守りくだされ。秀頼様が一大名となられても生き延びられよ」と。
戻ってきた一豊。敵となるのも味方となるのもほんのわずかな差の戦に、疲れた顔で「命拾うたはただただ運じゃ」と話す一豊に、千代は「お命の持ち帰りこそ功名の種にございます」と。一豊の心情に、千代は涙を流す。
一豊は茶々に三成の言葉を伝えに行くが、「会いとうない」と会ってもらえない。一豊は千代に頼む。三成の言葉を聞いた茶々は涙を流し、「我に代わり、三成の最期を見届けよ。彼が心静かに逝けるよう祈ってほしい」と命じる。
戦勝報告に来た家康(西田敏行)たちに茶々(永作博美)は、「内府殿と心を一つにし、秀頼への忠義に励むがよい」と高飛車な態度を崩さない。家康は、三成を六条河原にて処刑。その様子を一豊と千代は見に行き、三成のために祈る。
数日後、一豊は論功行賞を賜る。家康は、先手をきって城を差し出した一豊に、土佐一国・二十万石を与える。
その夜、山内家では国持ち大名となった一豊を祝う、無礼講の宴が開かれる。賑やかな宴の後、庭に出た千代に、六平太(香川照之)が「土佐二十万石はめでたいかどうかわからんぞ」ともらす。土佐では前の領主・長宗我部の残党がまだ残っているという。第44回「関ヶ原」(11月5日)
いよいよ関ヶ原の合戦。陣営は、家康(西田敏行)の東軍が三成(中村橋之助)の西軍にはさまれた形で、数の上でも東軍の分が悪い。一豊(上川隆也)の軍は、南宮山の毛利の見張りとして配され、戦闘に加わることもできない。次第に圧されていく味方の戦況に、一豊は焦る。
そこに南宮山から兵に化けた六平太(香川照之)が、一豊の前に現れる。六平太に「なぜ動かぬ」と問われ、一豊は自分たちが目を離せば毛利軍が戦に加わると。それに対し六平太は、動かねばじりじりと東軍が負け、一豊たちも死ぬと。一豊は「死ぬも生きるも戦ってこそか」と思い直し、家康の元に出向き「戦場に出まする」と宣言。家康も裏切りが横行するこの戦の中、「そなただけは信じておる」と、一豊を送り出す。
戦況は依然、東軍不利。東軍に寝返ることを約束した小早川秀秋(阪本浩之)が動かないことに業を煮やした家康は、小早川の軍に大筒を撃ち込む。浮き足立った秀秋に、紛れ込んでいた六平太が、「あれは徳川様が怒っておられるのじゃ」と吹き込む。西軍に攻め込んだ小早川軍を見た、他の西軍に味方すると言いつつも動こうとしなかった諸侯たちが東軍に寝返り、一気に東軍の勝利となった。
勝ち戦だったが、数々の裏切り寝返りを前に一豊の心は沈む。騎馬の上で「勝つのもつらいものじゃ」ともらす。第43回「決戦へ」(10月29日)
千代が使者もろとも死のうと「火を点けよ」と命じた時、三成(中村橋之助)から使者への帰還命令が。間一髪で千代は助かる。三成は城下の屋敷を取り囲んでいた兵を引く。
一豊(上川隆也)は家康(西田敏行)の元に、千代からの手紙を持参する。千代の大坂の情勢を記した文と三成の家康の弾劾状を未開封のまま届けた一豊に、家康は感激する。
家康軍のこの先の方針を決める小山評定の前夜、堀尾家の跡を継いだ忠氏(大内厚雄)が一豊を訪ねてくる。忠氏は父から、もし家康が上杉攻めの最中に西に向かうことがあれば城と領地を差し出すように言い付かったが、迷っていると一豊に相談する。
そして小山評定の日。家康は諸侯たちに先に清洲に向かわせ、自分は会津を整えてから行くと宣言。一豊は先陣を願い出、掛川城と領地六万石を差し上げると申し上げる。
千代はは千代に大坂を出る六平太(香川照之)とともに高台院(浅野ゆう子)に会いに行く。高台院ように言い、そこに訪ねてきた石田方についた小早川秀秋(阪本浩之)には、家康につくようにと。秀秋がつけば家康が勝つとも。
家康も西に向かい、家康軍と三成軍は関ヶ原で決着をつけようとしていた。一豊はこの戦で死に物狂いで戦うと、家臣たちの士気を上げる。第42回「ガラシャの魂」(10月22日)
一豊(上川隆也)は家康(西田敏行)に、どちらがつくか迷っていると正直に話す。家康はそんな一豊に、損得のみで従う者はいつか裏切る、じっくり迷いなされと告げる。
大坂では、上杉征伐に出た家康の代わりに三成(中村橋之助)が大坂城に入るという話が広まっていた。千代は吉蔵(小倉久寛)に、屋敷の者を二、三人残してすべてを、いまだ迷う一豊が兵として使えるようにと、掛川へ連れて行くように命じる。
大坂城に入った三成は、大坂に残る諸侯の妻子が出て行かないよう木戸を閉め、川にも関所を作った。六平太(香川照之)から毛利家が分裂していると聞いた千代は、残った家臣の中から近江生まれで足の速い孫作(徳井優)を選び、三成からの文を開封せずに一豊への文と一緒に託す。
一方、掛川では、一豊が千代を心配して、康豊(玉木宏)を送り出した。
諸侯の妻を大坂城に人質として集める三成からの使者が、千代の元にもやってくる。千代は機転をきかし、馳走の膳を作らせ下座に用意させる。使者の前に現れた千代は、秀頼からの命で千代を大坂城に迎えに来たと圧力を掛ける使者に、一豊の主である秀頼の使いが下座に座るはずがないとはねつけ、自分は一豊の妻だから、一豊の意向を聞くまで動かないと追い返す。
千代はすぐさま玉(長谷川京子)に逃げるようにと、康豊を使いに出す。しかし玉は、彼女を溺愛する夫・細川忠興(猪野学)に、三成の兵に屋敷を囲まれた時は自害するようにと言いつけられていた。玉は康豊に逃げるつもりはないと告げ、これが自分の愛の形だとばかりに、屋敷に火を放ち、忠興の命を受けた家臣の刃を胸に受け死ぬ。
千代の「生きて必ずこの文を殿に」と厳命された孫作が、やっとのことで一豊の元に辿り着いた。千代からの手紙には、毛利のこと、そして家康につくならば三成からの文を開封せずに家康に差し出すよう、三成につくなら文を持って大坂に戻るよう、書かれていた。一豊は「義よりも利を取る」と宣言。家康につくことを決意する。
そのころ千代の元には、今度こそ強行にでも大坂城に連れて行こうとする三成の使者が来ていた。千代は庭にわら束を積み、その前にたいまつを持った家臣を立たせ、「屋敷に火を放って、そなたたちもろとも死を選ぶ」と脅しを掛ける。第41回「大乱の予感」(10月15日)
家康(西田敏行)は諸侯たちに国許に帰ることを許し、一豊(上川隆也)も掛川に戻ることにする。千代は大坂での出来事をいち早く一豊に知らせるため、大坂の屋敷に残る。
帰国前の一豊の屋敷に、堀尾(生瀬勝久)が隠居の挨拶に訪れる。堀尾から、中村(田村淳)の病の話を聞いた一豊は、千代も連れて、堀尾夫婦と中村の見舞いに行く。中村は胸の病で、余命幾ばくもなかった。中村は一豊に、「わしは徳川にはつかん。そちだけは豊臣を見捨てないでくれ」と頼む。
茶々(永作博美)と対面した家康。茶々は三成(中村橋之助)を呼び戻すように頼むが、家康は自分が秀頼を側でお守りすると、大坂城西の丸に入る。
年が改まり、秀頼に挨拶に赴いた諸侯たちは、その足で西の丸の家康に挨拶に行く。久々に大坂に出てきた一豊は、千代に「家康殿は59才になられたのにお元気だった」と話し、西の丸の方が勢いがあったともらす。家康につくか三成につくか迷う一豊を、千代はまだ時間はあると励ます。
家康は、従おうとしない上杉氏を攻めるため、江戸に戻ることを決意。道中、恭順する諸侯から兵を集めていく。まだどちらにつくか決めかねている一豊は、掛川で家康と一対一で話すことを決意。
城ではなく、小夜の中山にある久延寺で家康を饗応する一豊。そこに中村が病の体を推して家康に会いに来る。中村は、自分の命が長くないことを家康に告げ、弟を参陣させるので、中村家のことをこれからもお願いしたいと頼み込み、家康も中村の手を取り、申し出を受ける。
家康の前を辞した中村は、一豊に「家はつぶせぬ」と苦しげに語り、「あとはそち一人で走れ。功名を立てよ」と言い残し、一月後、この世を去る。第40回「三成暗殺」(10月8日)
秀吉(柄本明)の死後から数ヶ月後、明国との講和が結ばれ、福島正則(嵐広也)、加藤清正(金児憲史)らが帰国した。
一豊(上川隆也)は、秀頼が日に日に立派になっていると、千代に嬉しそうに話す。家康(西田敏行)の動きは気になるも、豊臣は石田三成(中村橋之助)がいる限り大丈夫だと。
秀吉が亡くなり高台院と名を改めた寧々(浅野ゆう子)の元へ、侍った山内夫婦。そこには家康が先客としていた。高台院は、これからの豊臣は家康殿が頼りと話し、家康は、これからも豊臣家のために尽くすとその場では答える。だが、秀吉が禁じた大名同士の婚姻を勝手に進め、兵を整えるなど、一豊には、家康の真意がわからない。
三成に命じられ、一豊と堀尾(生瀬勝久)と中村(田村淳)は、家康の元へ婚姻の糾弾に向かう。しかし、家康はのらりくらりとかわし、証拠を前に自分の非を認めつつも、大老職剥奪には、秀吉から頼まれた秀頼を守れなくなると怒り出す。
福島たち七本槍を筆頭に、大名たちは家康の元に走り、そして秀吉に恩のある堀尾(生瀬勝久)までも隠居して家督を譲った息子を家康側につける。そして福島たちは三成の暗殺を目論見、闇にまぎれて屋敷を襲撃。いち早くその情報をつかんだ一豊は、三成を助け出す。三成は一豊に、これからも助けてほしいと頼み込むが、一豊は一個人ならば助けたいと思うが、城を背負う身ではすぐに答えは出せないと、正直に答える。
三成は豊臣家中を騒がした罪として佐和山に隠居。三成対家康の図が描きあがる。どちらにつくきか迷った一豊は、千代に「千代ならばどうする」と相談。迷った千代の「私ならば様子を見まする」との答えに、「千代は徳川殿に劣らぬたぬきよのう」と一豊はもらし、千代を怒らせてしまう。第39回「秀吉死す」(10月1日)
秀吉(柄本明)は4歳の嫡男を元服させ、「秀頼」と名を改めさせ、諸侯たちに秀頼への忠誠を誓わせる。老齢の秀吉には死の影が迫っていた。
寧々(浅野ゆう子)は千代に、秀次とその妻子と妾たちを草を凪ぐように殺した秀吉は、もう自分の知る秀吉ではないと話す。千代はたとえどのように年を重ねても、添い遂げるのが妻の役目だと答える。
一方、茶々(永作博美)も千代を呼び出す。そして寧々への追従は秀頼への謀反と同じ、そなたの出方ひとつで一豊もどうなるかわからないと、すごむ。
千代は山内家を磐石にするために、一豊(上川隆也)に妾をもうけ、実子を作らせようと考えていた。話を聞いた一豊は怒り出す。だが千代はあきらめてはいなかった。
康豊(玉木宏)に任せている掛川城に赴いた、一豊と千代。千代は、落ちた椿の花を拾い水につける優しい心を持つ侍女・みつに目を留める。千代は一豊に、育ての母が一人残る美濃へ寄りたいと申し出、一人掛川を後にする。そしてみつには、一豊の身の回りの世話すべてをまかせ、お種をもらうように言いつける。
美濃できぬ(多岐川裕美)と久々に会った千代。だが、一豊がみつを抱いているかと思うと、心中穏やかではなく、そんな様子を見たきぬは千代に、悩みがあればいつでも訪ねてきなさいと、母として優しい言葉をかける。
掛川から戻ってきた一豊は、家臣と千代の前で、「康豊の嫡男の国松が元服しだい、家督を譲る」と宣言。不服がある者は、家臣にあらず、妻にあらずと、反論を封じる。一豊はみつを抱くことなく、話しをしただけだった。
千代に寧々から、秀吉の看病を手伝ってほしいと呼び出しがかかる。秀吉は床についていた。秀吉は家康(西田敏行)と前田利家(唐沢寿明)にくれぐれも秀頼を頼む、三成(中村橋之助)には後を頼む、喪は隠せと言い残し、息を引き取る。第38回「関白切腹」(9月24日)
これで千代に見送ってもらうのも最後かもしれないとの覚悟で、聚楽第に向かう一豊(上川隆也)。千代には新右衛門(前田吟)とともに伏見に向かうよう、言いつける。
一豊は秀次(成宮寛貴)に、秀吉(柄本明)の元へ話をしに参りましょうと申し上げる。準備をするから数日待てと言う秀次に、一豊は「即刻」と強く進言、その言葉に隠れて様子を伺っていた秀次の側近たちが斬り込み、同じく息を詰めて聞いていた一豊の家臣たちと一触即発状態に。「行けば殺されるというのに、行けと言うのか?」と問い掛ける秀次に、一豊は自分の命と引き換えに、行くようにと、さらに迫る。
そこに、「治兵衛殿!」と、割って入った千代。千代は秀次が気になり、伏見に行かず、ここに来たのだった。千代は、そのまま行けば殺される、ここで髪を下ろして行くようにと、勧める。が、秀次はこのまま行こう、と。「千代に昔、己を見失うなわず流されないようにと言ってもらったが、さだめには勝てなかったようだ、死ぬるまでは己を見失わずに生きてみせようぞ」と、覚悟を示す。
秀吉の元へ出た秀次は、「関白を返上する前に、最後の勤めを果たす」と言い、秀吉に唐からすぐに兵を引くように諫言。怒った秀吉は、そのまま秀次に高野山での謹慎を申し付け、秀次は謀反の罪を着せられたまま切腹となる。
蛍を見て、死んだ秀次たちのことを想う一豊に、千代はこれからのことをお考えくださいませと、励ます。しっかりと成長した拾を見て、一豊は拾に跡を継がせてもよいと考える。
拾をかわいがる一豊と千代を見て、新一郎(浜田学)は掛川城を預かる康豊(玉木宏)へ進言に行く。家臣一同は、誰の子か分からない拾よりも康豊の嫡男の国松に跡目を継いでほしいと思っており、康豊から一豊にそう言ってほしいと頼む新一郎。
そのことを知り、山内家が跡目争いになることを恐れた千代は、一豊と相談。一豊は拾に、自分の背負ってきた業を清めるため、仏門に入ってほしいと頼む。だが、武士になるつもりだった拾は、それは自分が捨て子だからかと、問う。拾は自分の身の上を知っていた。そして父としての命令ならば、受け入れると。
寺へ旅立つ拾の腕に一豊は、かつて千代が戦場に向かう自分に結んでくれた布を結び付け、どこに行ってもおまえは自分と千代の子だと、送り出す。第37回「太閤対関白」(9月17日)
拾の剣術の稽古の相手をする新右衛門(前田吟)は、千代に、山内家は世継ぎのことで揺らいではならないと、拾を聡明でも世継ぎにはしないように再度、警告する。豊臣家の世継ぎ問題で、世の中は揺れていた。
秀吉(柄本明)は嫡男の拾と茶々(永作博美)に大坂城を譲ると言い出し、秀次(成宮寛貴)には今までどおり聚楽第を、自らは伏見に城を建て、移ると宣言。それを聞いた千代と一豊(上川隆也)は、秀吉とともに伏見に移り住むか、秀次のいる京に残るか、頭を悩ます。
野心を持たず、秀吉のために尽くそうとする秀次だが、拾のことしか頭にない秀吉にはその思いは通じない。逆に勘気をこうむり、秀次はくさる。一豊と千代は、そんな彼を助けようと、いろいろ働きかけるが、事態は好転しない。
秀次の若き側近たちは、拾が秀吉の子ではなく、茶々と石田三成(中村橋之助)の子だと秀次にささやき、つぶされる前に秀吉と戦おうと、密かに戦の準備をはじめる。一豊たち宿老は、はやる彼らを待つようにといさめるが、効果はない。
そして秀次が謀反を企てているという話が、秀吉の耳に入る。秀次の側近たちを捕らえ、証拠の連判状を手に入れた秀吉。千代は寧々(浅野ゆう子)に秀次の無実を訴えるが、秀次に近づきすぎると山内家が危ういと忠告を受けてしまう。一豊は秀吉に秀次のとりなしを訴えに行くが、「どちらにつくか、よう考えよ」とすごまれ、一豊に秀次を伏見に連れてくるようにと命令が下される。第36回「豊臣の子」(9月10日)
鶴松を病で失った秀吉(柄本明)は、悲痛な叫びとともにもとどりを切り、家臣たちも続々とそれに倣う。
寧々(浅野ゆう子)にお悔やみを申し上げる千代。寧々は近江者が、自分が鶴松を毒殺したと噂しているとこぼし、それを否定しつつも、千代に秀次をくれぐれも頼むと念を押す。
一方、そのころ茶々(永作博美)も、寧々が鶴松を殺したと荒れていた。が、側近の言葉でさらに子を作ることを決意。
秀吉は明国に攻め入ると宣言。徳川様も後押しをされていると一豊(上川隆也)から聞いた千代は、それは徳川様の本心だろうかと首をかしげる。
秀吉は寧々の勧めもあり、秀次(成宮寛貴)に関白を譲り留守居役を命じ、自らは太閤となり、九州の名護屋城へ茶々を連れて出陣。後衛をかって出た家康(西田敏行)は、守りを任せられた秀次に会い、秀次が書物を読み学問をしていることを誉める。
秀次はかつて面倒を見てもらった千代に、世話になったと源氏物語を贈る。
屋敷では、一豊が秀次に合わせるため、本と格闘していた。千代は、だんな様はここで止まる器ではないと鼓舞し、これからの功名は槍ではなく人の心を読むことで立てるのだと。そういうことは苦手だと言う一豊に、だんな様ならできると、千代は諭したり励ましたり。
秀吉は朝鮮を落とし、明攻めを続けていた。そんな中、秀吉の生母・なか(菅井きん)が亡くなる。
すくすくと成長した拾が、表に立っている侍から預かったと、千代に紙に包まれた鉄砲の弾を渡す。その意味を悟り、表に飛び出た千代。そこには腕を吊った六平太が立っていた。六平太は千代に、明国の戦が惨敗するであろうことを告げ、豊臣の世が続くとは思うな、これからの戦は駆け引きになる、情にほだされるなと忠告し、去っていく。
茶々はまたも懐妊し、男児を産む。秀吉は、拾い子は神からの贈り物と、一度捨て、拾い、拾(ひろい)と名づける。秀次は千代に、祝いの産着を作るように命じるが、嫡男誕生に秀次の立場はまたも危うくなる。第35回「北条攻め」(9月3日)
拾を抱いて町を歩いていた千代は、副田甚兵衛(野口五郎)を見かける。供の者に拾を託し、甚兵衛を見張るように言い、千代は屋敷に旭の文を取りに走る。針売りに身をやつした甚兵衛に、千代は文を渡し、大坂に戻ってきた旭が病で出歩けないから会いに行って欲しいと頼むが、甚兵衛は何の話か分からないと逃げてしまう。
千代の話を聞いた一豊(上川隆也)は、わしが甚兵衛殿なら大坂には行かぬ、千代も忘れよと言うが、その後、旭からの文を読んだ甚兵衛は、千代とともに大坂へ旭の見舞いに行く。
甚兵衛と名乗るわけにはいかず、甚兵衛から文を預かった甚兵衛を知る者として、臥せる旭の前に出た甚兵衛。手紙を読む振りをしながら、「いかなることがあろうとわれらは夫婦、この世で叶わぬのならあの世で語り合おう。わしはいつまでも待っておる」と思いを伝える。甚兵衛の声に目を開けた旭だが、病は治らず、しばらくして亡くなる。
秀吉(柄本明)の天下統一の総仕上げ、関東の北条攻めが始まる。秀次(成宮寛貴)の隊にいる一豊は、北条氏の支城を攻め落とし、秀吉軍は小田原城を圧倒的な勢力で兵糧攻めにする。
一夜城の石垣山城を作り余裕の秀吉は、茶々(永作博美)を呼び寄せ、他の武将たちにも妻を呼び寄せるように命令。茶々の供をしてきた千代は、秀吉が呼んでいるのも気づかずに久々に会った一豊と見詰め合い、秀吉に怒られる。
小田原城は落ち、秀吉は家康に関八州・240万石を与える代わりに東海五国を召し上げ、一豊には遠州掛川5万石、堀尾(生瀬勝久)と中村(田村淳)にもそれぞれ浜松と駿府を与える。一豊からそれを聞いた千代は、秀吉が家康を手なずけ座敷牢に入れたと表現。一豊に、良い牢番になりなされ、牢のお方は後に天下を獲るお方かもしれませんと、諭す。
そんな中、秀吉の嫡子・鶴松が死んだとの知らせが入る。第34回「聚楽第行幸」(8月27日)
家の前に捨てられていた赤ん坊は男の子だった。かわいがり育てようとする千代に、新右衛門(前田吟)も一豊(上川隆也)も反対するが、家督は継がせないが、千代がそうしたいならと、一豊は折れる。千代は拾い子は丈夫に育つと、拾(ひろい)と名づける。
一豊は今はそれどころではなかった。秀吉(柄本明)が京に作った聚楽第、そこに帝を行幸させるお世話役を仰せつかったのだ。もっとも苦手とする仕事に愚痴を言いまくる一豊だが、千代は一緒に世話役となった石田三成(中村橋之助)の後ろに控えておけばいいと楽観的。三成は苦手だと言う一豊に、こっちが苦手だと思えば向こうもそう思う、愛想よく教えを乞えばいいと千代。
一豊は千代の言うとおり、三成に教えを乞い、三成も素直な方だと快く教えた。
一方千代は、寧々(浅野ゆう子)から行幸の時に飾りたいと、豪華な打ち掛けを作るように命じられる。一豊が慣れぬ装束で蹴鞠の練習をする横で、拾を見ながら打ち掛けを作る千代。
だが一豊はあまりにもうまくいかず、行幸の間、病になると宣言して部屋に引っ込んでしまう。仮病の床で暇を持て余すあまり腹筋をする一豊だが、やはり気になって出仕。
その聚楽第では、側室が行けるところではないと寧々に言われた茶々(永作博美)が、堂々と千代の打ち掛けを眺めていた。それは帝に献上するものだからやれないと慌てる秀吉に、茶々は「欲しい物はもう手に入れております」と腹をなで、懐妊を告げる。
千代の打ち掛けを帝も気に入り、行幸は成功のうちに終わった。
その後、茶々が産んだ子は男子で、鶴松と名づけられる。嫡男ができたことでショックを受ける秀次(成宮寛貴)に、宿老たちは一日も早く祝いに行くことを勧め、秀次は一豊を連れ、秀吉に対面する。その場で鶴松を跡取にすると示され、自分の存在意義を見失い沈む秀次だが、その話を聞いた千代は、天下のような大きなものを背負わずすんでよかったと、明るく言う。第33回「母の遺言」(8月20日)
秀吉(柄本明)は九州を攻めに出陣する。だが八幡城の秀次(成宮寛貴)は留守居役を命じられ、宿老の一豊たちも留守番となる。槍働きができずにイライラする一豊に、康豊(玉木宏)は今は八幡城下を盛り立てるべきだと進言。武功にこだわる一豊とケンカになる。見かねた千代は、新右衛門(前田吟)の意見を聞き、法秀尼(佐久間良子)に相談に行く。
一方、八幡城では、秀次が八幡を安土のように繁栄させたいと宿老たちに、城下普請の意見を求めていた。堀尾(生瀬勝久)は琵琶湖へ続く堀を作り、人と物の流通をよくさせてはどうかと言い、康豊は名物を作っては、と進言する。秀次はこの意見に感心し、堀尾に掘割普請を命じる。一豊は何も言えなかった。
千代が行くと、法秀尼は床に伏せっていた。雨の中、一豊と千代、そして康豊の幸せを願いお百度参りをし、体を壊したと言う。
一豊と康豊が駆けつけてきた時には、法秀尼は亡くなっていた。千代は二人に向けた法秀尼の遺言を伝える。「お互いの性分の違いを尊びなされよ。山内家が間違った方向に進まぬよう、お互いの意見を戦わせよ。互いに学ぶことを忘れなきよう」。考え方の違う二人が仲たがいすることを見通しての言葉に、二人はお互いの非を詫び、遺言どおりにするよう誓う。
法秀尼の葬儀も終わった後、一豊と千代は康豊の嫁取りを進め、水野家の娘と祝言をあげさせる。
ある朝、山内家の前で捨て子が見つかる。驚いて赤ん坊を抱きしめた千代は、「法秀尼様のお導きかもしれぬ」とつぶやく。第32回「家康の花嫁」(8月13日)
寧々(浅野ゆう子)が、見舞いと称して千代を訪ねてきた。寧々から、秀吉の妹・旭(松本明子)を、夫の副田甚兵衛(野口五郎)から離縁させ、なかなか上洛しない家康(西田敏行)へ人質として嫁がせようとしているという話を聞いて、びっくりする千代。百姓として暮らしていた旭を侍の世界に引き込んだのは自分と一豊(上川隆也)だと責任を感じる。
千代は秀吉の母・なか(菅井きん)に会い、事情を話す。旭のため、秀吉(柄本明)をぶったたくと意気込むなかだが、秀吉は考えを変えない。千代は旭に会いに行き、長浜へ逃げるように誘う。そこに、秀吉からの使者が。旭は千代が処罰されることを恐れ、城に出向く。
秀吉は、甚兵衛には五万石を与え上意だと無理やり旭と離縁させ、旭には離縁に甚兵衛もなかも承諾したと話し、豊臣家のため、国家安定のためと納得させる。
家康への使者に命じられた一豊。家康は一豊に、関白の妹はいらないから、賢女だと評判の千代が欲しいと言い出す。しどろもどろになる一豊を見て、家康は戯言だと言い、正直な男だと笑って、婚姻を受けることを伝える。
三河への輿入れ直前の旭に、千代は会いに行く。旭は千代に、甚兵衛へ手紙を書いて渡してほしいと頼む。「どうか生きていて欲しい。あんたが生きていると思えばこそ、おらは生きていける」と。
旭を丁重に迎え入れた家康。だが、いっこうに上洛はしない。業を煮やし、寧々を人質に出そうかと考える秀吉に、なかが「旭がさびしがっておる」と、自分が行くことを申し出る。
妹に加え母までももらった家康は、上洛しないわけにはいかなかった。大坂に着き、秀吉への対面を明日にひかえた家康の元へ、夜に秀吉が一豊を連れて忍んでくる。秀吉は家康を上座に据えたまま酒を勧め、頭を下げ、明日の対面の席では、どうか体裁だけでいいから慇懃に振舞ってほしいと頼み込む。そのかいあって、家臣の前で家康は秀吉に忠誠を誓い、ひとまずの平和が訪れる。第31回「この世の悲しみ」(8月6日)
庭でこおろぎを捕まえようしていたよね(森迫永依)は康豊(玉木宏)から、親兄弟と引き離して籠に入れるのはかわいそうだからと、葉で作ったこおろぎを渡される。それを見ていた千代は、康豊が玉(長谷川京子)のことを想っているのではと思う。
秀吉(柄本明)は、再三の上洛の催促に応じない家康(西田敏行)を説得させに、一豊(上川隆也)に岡崎に行くように命じる。これは大役、成功すれば十万石にしてやると言われるが…。一豊の形式どおりの口上にも、恐れ知らずの康豊の脅しにも、家康は攻めて来たければ責めればいいと、まったく動じず、交渉は失敗。
一方、一豊と康豊たちを見送った千代とよね。よねは千代に、大きくなったら康豊の嫁になりたいと耳打ちする。
不穏な空気の夜、千代は使用人たちを連れ、火の用心の見回りの最中、よねが一緒にいたいとすがり付いてくる。見回りが済むまで部屋で待ってるようにと世話係に押し付ける千代。だが少し後、地震が起こる。しばらく気を失っていた千代は、飛び起きて怪我した足を引きずってよねの部屋へ駆けつけるが、よねの体はがれきの下に埋まり、動かなくなっていた。
法秀尼(佐久間良子)と駆け戻って来た一豊と三人は、悲しみに沈む。
城の修理の間、京の屋敷に移り住んだ千代たち。よねに作った小袖を持って、町に出た千代は、よねと同じ年頃の少女を見つけ、小袖を着て欲しいと渡す。彼女とそのお付から、キリシタンの教えでは「死は喜びでもある」と聞いてキリシタンに興味を持った千代。
千代は訪れた南蛮寺で、玉と出会う。玉に「強く生きてまいりましょう」と言われ、千代も「いつの世か、娘とまみえたとき笑われぬよう、強く生きてゆこう」と決意する。第30回「一城の主」(7月30日)
一豊(上川隆也)は長浜城主となった。千代も新右衛門(前田吟)も、吉兵衛に語りかけ、一豊が城持ちになり、夢が叶ったことをしんみりとかみ締める。
一豊は髭を蓄え、家来を増やし、吉兵衛の弟・吉蔵(小倉久寛)を家来に迎え入れる。法秀尼(佐久間良子)にも声を掛けるが、城に住む気はないと断られる。そして、一豊の弟、康豊のことが気にかかると。
一方、秀吉(柄本明)は、秀次(成宮寛貴)にも八幡城を与え、中村(田村淳)と堀尾(生瀬勝久)とともに一豊に、秀次を一人前にしてやってほしいと宿老に命じる。
そのころ長浜には、本能寺の変の後、行方不明になっていた康豊(玉木宏)が訪ねてきていた。父の仇に組することはできないと一豊と袂を分かっていた康豊。その後、織田信長の長男・信忠に仕えたが、本能寺の変で信忠が死んだ後、明智光秀の天下になると思い、山内の血を残すため逃亡生活をしていた。しかし秀吉の天下となった今、逃げた者を雇う者はおらず、放浪の末、怪我をしたところを、味土野に幽閉されていた光秀の娘で細川忠興(猪野学)の妻・玉(長谷川京子)に助けられたという。玉が細川家に戻ることになり、別れ際「素直に生きてみては」と言われ、素直に兄に頼る気になったと言う、康豊。彼の帰りを、一豊も、法秀尼にも心底喜んだ。
富山へ明渡される城を受け取りに行く兵たちを、その道の途中である長浜で受け入れることになった。接待はやったことがないと渋る一豊に、千代は「お任せくださいませ」。兵たちに気前よく食事を出したおかげで、空っぽになった米蔵を見て、有事のことを考え焦り怒る一豊に、千代は、国主になるお方がそんな小さなことを気にするなと笑い飛ばし、よね(森迫永依)とともに「国主様」とはやしたてる。第29回「家康恐るべし」(7月23日)
大阪城を築城し始める秀吉(柄本明)。寧々(浅野ゆう子)は千代に「あのサルは調子に乗りすぎている」と辛口の意見を言い、茶々のことを「あの姫は危うい」と危惧する。と、そこに現れた秀吉。千代に一豊(上川隆也)が家康に寝返ろうとしているのではと勘ぐるが、千代は「一豊は不器用な方。そのようなことは考えもいたしませぬ」と答える。
その城中で、千代は成長し、秀次(成宮寛貴)となった治兵衛に出会う。一豊から、子のない秀吉が秀次を跡取りにと考えていることを聞くが、千代は秀次が大将を務めるには優しすぎると心配する。
年が明けたが、ただ一人生き残っている信長の次男・信雄(のぶかつ・大柴邦彦)に年始の挨拶に行かなかった秀吉。中村(田村淳)と堀尾(生瀬勝久)は、信雄が徳川家康(西田敏行)と手を結んだところで、秀吉がまとめてつぶすつもりだと考えるが、一豊は律儀な家康が兵を上げるはずがないと反発。二人に「甘いなぁ」と言われてしまう。
しかし現実に戦が起こる。小牧山で対峙した秀吉軍と家康軍。どちらも先に動いたほうが負けと、にらみ合う。そこで功を焦る秀次が、自分が兵を率いて浜松を攻めると進言。しかしその作戦を見破られ、反対に秀次の軍は壊滅する。怒った秀吉は秀次を処刑しようとするが、一豊がとりなしに入り、秀次の命を助ける。
大阪城の本丸が完成し、関白となった秀吉。一人呼び出された一豊は、秀次を体を張って庇った褒美にと、長浜城をもらい、二万石なる。その話を聞いた千代は一豊の頬をつねり、「夢が叶ったのは夢ではない」と、二人大喜びをする。第28回「出世脱落」(7月16日)
戦が終わり、今度こそ城持ち大名になれると朝から千代と盛り上がり、登城する一豊(上川隆也)。勝家を破り織田政権を手に入れた秀吉(柄本明)は、気前よく賤ヶ岳七本槍の小姓たちには三千石をやり、中村(田村淳)と堀尾(生瀬勝久)には城をやる。自分ももらえるものと期待膨らむ一豊だが、与えられたのはたったの三百石。
一豊の帰りを落ち着かない様子で待つ新右衛門(前田吟)・新一郎(浜田学)親子に、鯛の尾頭付きを準備する千代。だが帰ってきた一豊は不機嫌な顔で「酒だ」と。「徳川に付くか、浪人になるか」と言われ、「いっそ武士をお辞めになっては」と答える千代。翌日から一豊は引きこもり、わらじを編んだり写経をしたりと過ごすが、何をやっても心は苛立つ。
どうしていいか分からずに千代は、一豊の母・法秀尼(佐久間良子)に、いっそ出家をしようかと相談する。法秀尼は一豊の真意を確かめると約束。
屋敷にやってきて剃髪しようとする母に、一豊は初めて城であったことを話し、そしてどれだけ今まで自分が秀吉に尽くしてきたかを語る。なぜ秀吉に直談判しないのかと問う法秀尼に、恩賞の不服はご法度だと。これに法秀尼は「一体どのようなことがあったかと思えば、たがが愚痴か」と呆れ、「愚痴を浮世の憂さとして切り捨てたいならば、今一歩進めてみよ」と、父の形見の短刀を取り出し、自害を迫る。
これには千代が驚き止めに入り、「殿が死ぬのならば私が先に逝って、あの世で殿をお迎えいたします」と揉み取った短刀を自分の首へ。慌てて今度は一豊が止め、出家も自害もしないと覚悟を決める。「生きてこの世を戦って参りまする」と。第27回「落城の母娘」(7月9日)
たき(細川ふみえ)は、この屋敷には吉兵衛の思い出がありすぎると、里に帰る。だが後日、吉兵衛から手紙でたきのことを頼まれた吉兵衛の弟が訪ねると、たきは吉兵衛の手紙を側に置き、自害していた。その知らせを聞いた千代は、無理やりにでも屋敷に置いておくべきだったと後悔する。
雪に閉ざされた北ノ庄では、市(大地真央)が勝家(勝野洋)と仲睦ましげに過ごしていた。次の戦が天下分け目の戦になるだろうと、出陣することを告げた勝家に、市は「必ず生きてお戻りくださいませ」と願う。
近江北部の賤ヶ岳に出陣した秀吉軍と勝家軍は、先に動いたほうが負けると、睨み合ったまま動かないでいた。そこで石田三成(中村橋之助)が、大垣の織田信孝を攻めると見せかけ、敵が動いたところで大返しをしてはどうかと進言する。秀吉はその案を受け入れ、自分の小姓軍を率いて陣を出る。もくろみどおり動いた勝家の軍を討ち取り、北ノ庄へ敗退させる。
一豊(上川隆也)は、秀吉が後に賤ヶ岳七本槍と呼ばれる小姓たちばかりを側に置きたがるのを見て嫉妬の念を起こす。槍の腕なら負けないと張り切って出陣するが、転んで足を痛める。
勝家が戻り安堵する市に、勝家は娘たちを連れて逃げよと言う。だが市は、「ここに来てはじめて穏やかな暮らしを知りました。今まで織田のため、兄上のために今まで生きてきましたが、始めて一人の女として生き死にしたいと思います」と、共に死する覚悟を伝える。
一方、総攻撃の命令を、と迫る黒田官兵衛(斎藤洋介)に、秀吉はなにがなんでも市を助けると駄々をこね、市のお気に入りの千代の夫の一豊を説得に向かわせる。一豊と対面した市は、一豊の口上を聞こうとせず、ただ娘たちを無事に連れ出してほしいと望む。
助け出された市の長女・茶々(永作博美)は、千代を呼び出す。そして市の形見の櫛を渡し、最期の時に千代の作った内掛けを着ていたことを教える。そして織田から天下を奪った秀吉を討つのに手を貸せとささやく。秀吉は夫の上司だと断った千代。茶々は秀吉への強い恨みを抱いていた。第26回「功名の旗」(7月2日)
山内家で親子三人仲良く鞠遊びをしているところに、姫路の秀吉からの知らせが入る。秀吉の次の戦は、柴田勝家の味方についた伊勢の滝川一益攻めだった。
意地を張って閉じこもる吉兵衛(武田鉄矢)の部屋へ、新右衛門(前田吟)がやってくる。新右衛門は今回は自分も出陣すると言い出し、たき(細川ふみえ)と一緒になるよう吉兵衛に言う。「憂いを残しては戦えん」と突っぱねる吉兵衛だが、たきの存在の大きさを分からす為に里に返したのは千代だと教えられ、新右衛門に「想いを残しては、戦えない」と言い返され、戦の前にたきに思いを告げに行くことを決意。
家の前まで行ったもののたきに声を掛けられず、生垣に隠れて見ているところを犬に吠えられて小川に落ちた吉兵衛。たきは父親の形見の着物を差し出し、食事を振る舞い、かいがいしく世話をする。一方の吉兵衛はなかなか想いを口にできず、家を出る間際にやっと「待っていて欲しい。戦が終われば必ず迎えに来るで」と伝える。
この勝家と秀吉との戦が最後の手柄を立てる機会かもしれないと皆が予測し、功名を立てようと奮起していた。吉兵衛と新右衛門も、なんとしてでもこの戦で一豊に手柄を立てさせようと考えていた。
亀山城を囲んだ一豊は、疲れている家来たちをねぎらうために飯炊きを命じるが、その隙をついて敵に攻められ、失態をおかし、秀吉(柄本明)にこっぴどく怒られる。
吉兵衛は浮かれていた自分に油断があったと自分を責め、明日の城攻めでは一番乗りを果たそうと、落ち込む一豊を励ます。しかし覇気のない返事をする一豊に、「家来には熱き燃えるような言葉を」と上に立つ者の心得を諭す。そして自分と新右衛門の亡き後は千代を頼りにするよう伝える。
翌日、敵の防衛に苦戦する中、吉兵衛は味方を鼓舞し、自ら先陣を切り、見事一番乗りを果たす。味方が追いついてこない中で、吉兵衛は孤軍奮戦。刀が折れても敵から刀を奪い戦い続けるが、ついに敵に槍を受け倒れる。やっと追いつき駆け寄った一豊の胸の中で、「一国一城の主に…」と言い残し、事切れる。
千代と屋敷に戻ってきたたきの元へ、新一郎(浜田学)が血に塗れた文を届ける。それは吉兵衛の懐にあったものだった。今度の戦で自分が死ぬかもしれないと、たきへの不器用な思いがつづられた文に、たきと千代は涙を流す。第25回「吉兵衛の恋」(6月25日)
柴田勝家に輿入れをする市(大地真央)は、千代を城に呼び、この先は敵同士になると話す。千代に作ってもらった内掛けは、越前にも持っていくと、別れを惜しむ。
一豊(上川隆也)は播州に知行地を賜ったが、そこには代官を置き、秀吉(柄本明)が拠点とした山崎に屋敷をもらえるよう願い出る。このことで一豊は秀吉に誉められたが、「千代の入れ知恵であろう」と看破されたと、千代にもらし、千代を誉める。千代は、そんなに誉められるとつけあがってしまうと、照れる。
一豊の出世と、この先の戦を見越して、さらに家来を増やした山内家。新しい使用人たちを集め吉兵衛(武田鉄矢)は山内家の旗印について講釈する。それを聞いていた女中の一人が涙を流し始める。吉兵衛を見て、亡き父を思い出したと涙ぐみながら話すたき(細川ふみえ)に、吉兵衛は、ハキハキ申せと叱る。
ある朝、厠から出てきた吉兵衛は、新品の袴が置いてあるのを見つける。破れた袴を身に付けている吉兵衛のために、たきが縫ったものだった。 だが受け取ろうとしない吉兵衛に、千代は「人の好意は無にしてはいけない」と怒る。
信長の葬儀を岐阜で行おうとする市と勝家を無視して、秀吉は京で葬儀を執り行い、二人の争いは決定的になり、戦に発展した。雪で勝家が動けないうちに、長浜を血を流さず取り返した秀吉。勝ち戦だがすっきりしない一豊に、千代は陽気になった者が得をするとなぐさめる。その甘いやりとりを聞いていた吉兵衛は、たきから贈られた袴をやっと身につける。
吉兵衛とたきが好き合っていることは、すぐに山内家の噂となった。祝言を上げさせようとする千代に吉兵衛は、自分は殿に忠義を貫く覚悟であり、嫁をもらうことはできないと断る。その話を影で聞いてしまったたきは、実家の宇治に帰ってしまう。
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