昨年放送された、コントバラエティ『LIFE!〜人生に捧げるコント』のスタッフ、キャストで制作された本格忍者アクションコメディ時代劇の新作です。
元忍び、今は居酒屋の親父の右左エ門。元同僚で、今は大きな呉服屋の長次(古田新太)から、跡取り息子の序助(中川大志)が間違えて二束三文で売ってしまった高価な反物を盗み出して欲しいと頼まれます。金のために引き受けざるをえなかった右左エ門。買い手の万生目屋仁兵衛(向井理)を探して神奈川宿へ行くと、そこはどこも万生目屋ばかり。一方、前作で右左エ門たちに敗れて公儀隠密を首になった甲賀忍者の日向(ムロツヨシ)と数馬(伊藤健太郎)は、万生目屋の用心棒になっていました。そして仁兵衛は、実は恐ろしい計画を立てており、それを探るため、幕府からはくノ一のアヤメ(杉咲花)とウズラ(池谷のぶえ)が派遣される。右左エ門の探す反物を巡って、なぜか三すくみの忍者の戦いが起きます。そして仁兵衛の計画は止められるのか…?
今回も、数馬のアクションに加えて、西洋剣を振り回す仁兵衛に、アヤメの殺陣が見どころでした。
手越祐也 主演 08年11月29日放送 関西 土曜夜9時から
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畠中恵原作の、妖怪推理時代小説・しゃばけシリーズの映像化第2弾です。
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廻船問屋の大店・長崎屋の若旦那の一太郎は、実は大妖・皮衣の孫で、人には見えない妖(あやかし)が見える。そんな彼の周りには、彼のこと をなにより大事に思っている手代の仁吉(実は白沢)(谷原章介)と佐助(実は犬神)(高杉亘)の2人の兄やをはじめとして、妖たちがいっぱい。1 年のうち、寝込んでいる日の方が多いという、筋金入りに体の弱い若旦那。なんと今回、旅に出ることとなった!
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旅といっても、箱根に湯治。湯治に行けばちょっとは体が丈夫になるかもしれないということで、小田原まで船、そしてそこからは駕籠という、過保 護な旅。それでも、江戸どころか通りの向こうにさえもろくに出たことのない若旦那は大はしゃぎ。ところが、そんな旅初心者にも関わらず、途中で 仁吉と佐助はいなくなるわ、かどわかしに合うわ、烏天狗に襲われるわ、あげくに人柱にされそうに。矢継ぎ早の災難の中、いったいなぜ若旦那が 狙われ、人柱にされるのか、謎の数々を若旦那が持ち前の知恵と優しい心根で解いていく。
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前回登場して話題になった鈴彦姫役の早乙女太一が、今回は男装(?)でも登場。その他、屏風のぞき(宮迫博之)に、VFXで作られた子鬼・家 鳴(やなり)ももちろん登場。
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ちなみに「しゃばけ」とは、娑婆気。俗世間の名誉や欲望が離れない心のこと。そして「うそうそ」とは、うろうろ。落ち着かないで訪ねまわる様のこ とです。
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かわいかったり、怖かったりの妖盛りだくさんの、ほんわか温かくって、前向きになれる、面白時代劇。第3弾も楽しみです。
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田村正和 主演 13年2月9日放送 ABC 夜9時から
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会津松平藩馬廻りの三百石藩士・笹原伊三郎(田村正和)は、藩きっての剣の使い手。彼の長男・与五郎(緒形直人)に、藩主・松平正容(大杉 漣)の側室・お市の方(仲間由紀恵)が妻として下されるとの命令が。お市の方は男子を産んでおり、家臣に下げ渡されるには相当の理由がある はず、伊三郎は丁重に辞退するも、藩命は覆らなかった。しかしやってきたお市は、気立ても良く、よく働く良い嫁となり、与五郎とも仲睦まじい夫 婦となる。やがて二人の間には娘も生まれる。だがそこで、藩主の世継ぎが亡くなるという事態が起こる。新たに世継ぎとなった男子の母親が家 臣の妻では体裁が悪いと、お市を城へと差し戻すようにまたも無慈悲な藩命が下る。人心を無視したあまりにも無体な仕打ちに見かねた伊三郎 は、ある決意を固める。
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脚本家・橋本忍氏が、かつて三船敏郎主演で映画化された自らの脚本に新たに手を入れてリメーク。滝口康彦原作の『拝領妻始末』が田村正 和主演で蘇ります。
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中村雅俊 主演 10年1月13日放送 大阪 夜9時から
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時は幕末、愛妻のお蝶の敵討ちを成就した清水の次郎長。その名代として願掛けをしていた寺にお礼参りに行った森の石松(中村獅童)は、う っかり酒に酔って正体を明かしてしまったために、殺されてしまう。次郎長一家の子分たちは、石松の敵討ちにと逸るが、次郎長は一家を解散す る。死んだお蝶に「もう人は殺めない」と約束していたからだった。
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そんな彼の命を、宿敵・黒駒の勝蔵(佐野史郎)が狙っていた。次郎長の葛藤の行く末は、業を煮やした子分達の行動は?
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維新伝の名にふさわしく、坂本龍馬(池内博之)も登場し、次郎長と対面します。
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殺陣シーンではCGを駆使し、まったく新しいテイストの時代劇を作り出した、この作品。またドラマの撮影と同時にパチンコ台を制作するという、 新たな試みもされました。
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新吾十番勝負・江戸城大奥の陰謀!
真田広之 主演 90年1月3日(たぶん) テレビ朝日
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「新吾十番勝負」と言えば、過去何度も映像化されているんですが、あえて真田広之のものを上げてみました。
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ご存知、主役の葵新吾は、実は八代将軍・吉宗のご落胤。ですが生まれてすぐ、ある不幸により親のない子として育ち、天才剣士となる。出生の 秘密を知った後も、一人の剣士として生きる道を選ぶという設定。いわゆるお血筋ものと剣客ものを合わせた話。この新吾がまた、強いだけでな く、気持ちのよい若者なんです。
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最初のころは元服前(幼名・美女丸)で、その後もポニーテールで若さ丸出しの演技をしてくれるんですが、真田広之が本当に若いので違和感ま ったくなし。殺陣もうまいし、顔もいいし、精神的に成長しきれてないところもかわいいんです。高貴というよりは野性味強い感じですが、まあ、そこ は捨て子ですし。
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三人姉妹の姫君がそろって新吾のファンになってしまったり、新吾の偽者(中村トオル)が現れたり、笑いも盛りだくさんの楽しい作品。もちろん勝 負シーンは、まじめに良いですよ。
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この中では三番勝負までしか描かれてないのですが、この作品だけ、近年続けて二回ほど放送されたところを見ると、続きは作られてないようで す。残念。別局での放送で見たので、放送日があやふやです。ごめんなさい。(06.1.6)
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新選組!!土方歳三最期の一日
〜新政府軍と最後まで戦い続けた男の思いとは?男達のドラマの総決算!!
山本耕史 主演 06年1月3日放送 NHK 夜9時から
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04年のNHK大河ドラマ『新選組!』の続編として作られたスペシャル版。
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放送終了から約一年、「待たせたな」のセリフで登場した土方歳三は、本編よりもかっこよさに磨きがかかって、まことに良い男ぶりが丸々楽しめ ました。
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親友であり、同志であり、そして仕えるべき隊長である、自分の中で大きすぎる人物・近藤勇を亡くした後、死地を探して戦い続けた土方歳三。そ の彼が新しき夢を得て、生きるために戦う決意を見出した日、凶弾によって倒れるという皮肉な結末ながら、すさまじい生き様を堪能できました。
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本音をぶつけ合う討論によってドラマを展開する三谷幸喜得意の芝居のような展開が、本編よりも色濃く出ていて、彼の作品好きなら絶対に楽し める作り。
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また本編レギュラーの出演者が島田魁(照英)しかいないものの、新選組結成以前の回想シーンを新撮りという、ファンには嬉しい場面も。続編 なのに全編再録シーンがないのはすごいことです。一方で、主題歌は同じ。これがまた懐かしかったです。
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戦国自衛隊・関ケ原の戦い
反町隆史 渡部篤郎 藤原竜也 主演 06年1月31日、2月7日 読売 夜9時から
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演習中の自衛隊が戦国時代にタイムスリップ、というコンセプトで過去二回映画化した作品を、二回に渡って約四時間半のテレビドラマ化。
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富士山近くで演習中の自衛隊、伊庭明義(反町隆史)、嶋村卓也(渡部篤郎)の両小隊、計26人は突然、光に襲われて、1600年の関ヶ原の合戦 間近にタイムスリップしてしまう。そこで伊庭は若き武将・小早川秀秋(藤原竜也)に出会う。この三人が物語の中心。
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自衛隊の兵力に目を付けた、東軍大将・徳川家康(津川雅彦)はしつこく協力を求めてくるが、伊庭は断固として断る。一方の嶋村は病で余命少 なく、どうせ死ぬなら歴史に名を残したいと、西軍大将・石田三成に成り代わって歴史を変えるために動き出す。そして両軍に情と恩があり、どちら に味方するかで苦しむ小早川。また、戦国時代の女と恋に落ちる者や、各隊に一人ずついた女性隊員の話など、エピソードは盛りだくさん。
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一番の見所の戦国武者たちと自衛隊との戦いもあります。ただ、四時間半という時間を消費しきれなかったのか、テレビだからなのか、映画に 比べると迫力不足で、全体的に散漫な感じがしました。作品の雰囲気は旧作似で、1549の歴史上の人物に成り代わるというエッセンスを入れてみ たけど、消化不良に終わっている気がします。個々の役者陣がみないい演技をしている分、もったいない仕上がりだと思いました。(06.2.23改稿)
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戦国疾風伝・二人の軍師〜秀吉に天下を獲らせた男たち
高橋克典 山本耕史 主演 11年1月2日放送 大阪 午後4時から
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今から400年以上の昔、天下を手中に収めようとする豊臣秀吉(西田敏行)の傍らには、黒田官兵衛(高橋克典)がいた。そして彼が友として心 を通わせ、師と仰いだ竹中半兵衛(山本耕史)。秀吉の躍進には、この二人の尽力があった。
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古今東西の書を読み漁り、学を極めた美濃の菩提山城城主であった竹中半兵衛は、主君の美濃の斎藤龍興(大沢健)の酒池肉林に溺れ、都 合のいい家臣のみを取り巻きにする態度を諌めるため、わずか16人の手勢で、稲葉山城を奪取する。城は龍興に返したが、龍興からうとまれ、 若き身で隠居を決める。そんな彼の元に、秀吉が主君・織田信長に仕えるよう説得に来る。そして彼の功名を聞きつけた播磨の姫路城城代で小 寺政識に仕えていた黒田官兵衛もまた興味を持ち、半兵衛に会いに来る。官兵衛は半兵衛の「天下は天下のための天下」という話に感服する。 そして半兵衛は秀吉の命懸けの勧誘に、信長ではなく秀吉に寄騎として仕えることを決意。
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破竹の勢いで勢力を伸ばす織田信長(加藤雅也)は、中国地方制圧に着手する。かねてから信長の才に惚れこんでいた黒田官兵衛は、信長に 面会し、近隣の諸侯を調略することを約束する。一方、元から体が弱かった竹中半兵衛は、たび重なる出陣に体を壊し、秀吉から療養を命じられ る。着々と進んでいるかに見えた中国制圧だったが、一度は官兵衛の言葉を受け入れた諸侯たちが、信長の性格を恐れて寝返りだす。そしてか ねてよりの盟友であったはずの摂津の武将・荒木村重(山田純大)が反旗を翻したと聞き、官兵衛は単身、説得に有岡城へと向かった。だが彼の 消息はそのまま途絶えてしまう。
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官兵衛が裏切ったと信長は、人質として預かっていた官兵衛の嫡男・松寿丸を、秀吉に斬るように命じる。官兵衛を信じる秀吉は、半兵衛にそ の処分を任す。半兵衛は官兵衛の身を案じたまま病死する。
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官兵衛は村重に幽閉されていた。そして有岡城攻防の中で救出される。1年以上に渡る土牢での幽閉生活で、彼は足が不自由になるが、同時 に命の大切さを知る。半兵衛に代わり秀吉の軍師となった彼の功績もあり、中国攻めは佳境を迎えるが、その最中、本能寺の変が起こり、信長 が戦死する。官兵衛の策謀で信長の覇権を引き継いだ秀吉。だが官兵衛を心から信じることはなかった。それに気付いた官兵衛は、家督を半兵 衛に助けられた嫡男・長政(尾崎右宗)に譲り、隠居する。
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そして時代は流れ、世は天下分け目の関ヶ原の合戦を迎える。九州・豊前にいた官兵衛は、多くの兵が関ヶ原に向かい守りが手薄になっている 九州を攻め取り、天下を獲って半兵衛と語った民のための政(まつりごと)をするため挙兵する。
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病がちでありながら、天才軍師、しかし人当たりは穏やかで、その上欲がないという浮世離れした竹中半兵衛と、自信過剰で大きなことを平気で 言うが、人の言葉には耳を貸す素直さも持っている黒田官兵衛という二人の対照的だが、強いきずなで結ばれたさまと活躍を描いたこの作品。軍 師を主役に据えるという着眼点も面白く、7時間が短く感じられました。また主役の二人を演じた高橋克典と山本耕史も、とても役柄に合っていたと 思います。
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スポンサーは去年に引き続きヤマダ電機。イメージキャラクターを務める高嶋政伸も、官兵衛の父違いの兄弟で官兵衛の目となって諸国の情報 を集める目薬屋の源蔵役で出演。ナレーションもしてました。
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水谷豊 主演 09年9月12日放送 ABC 土曜夜9時から
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最近、何かと話題の多い水谷豊が17年ぶりに時代劇に登場。その役は、美人画で右に出る者がいない浮世絵師・喜多川歌麿。
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時は寛政の改革の頃、贅沢禁止令を出した松平定信をはじめとする幕閣たちは、歌麿の描く枕絵に危機を感じていた。そんな中、歌麿が絵会 に出てる間に起こった水害に乗じて、彼の妻・おりよ(鈴木杏樹)が殺される。彼の描く美人画はすべておりよの顔というほど、愛していた妻を亡く し、失意に沈んだ歌麿は、人知れず仇を取ることを決意。江戸を離れる。
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一方江戸では、現場に落ちていた印籠から下手人は身分ある侍だと踏んで、南町奉行同心・仙波(中村橋之助)が捜査をしていた。その頃、呉 服屋に押し込み強盗が入り、手代が一人殺される。取られた金は少額だったが、役人が立ち入った際に、蔵に隠し持っていた絹の反物が見つか り、店は罰を受けることに。
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人相の悪い弟子を連れて江戸に帰ってきた歌麿。江戸では奇妙な強盗事件が続く。上役から止められてもなお、おりよ殺しを調べていた仙波の 周囲もきな臭くなってくる。果たして強盗の正体は?狙いは?そこに歌麿は絡んでいるのか? 真相を突き止めた仙波は襲われ、そこに助けに入 ったのは…。
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あっと驚く、見事な、歌麿のだましゑ。謎の多い歌麿の、粋な真実に、驚くこと間違いなし。歌麿の、一見まとも、でも狂気が宿っている、そんな彼 を自然に演じた水谷豊もみどころです。
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だましゑ歌麿U
水谷豊 主演 12年9月15日放送 ABC 夜9時から
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ちょうど3年前に放送された同名単発ドラマの第二弾です。美人画で圧倒的な人気を誇る天才浮世絵師・喜多川歌麿。しかしその存在を、老中・ 松平定信は危険視していた。
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歌麿が描いた女が立て続けに殺される。しかもその手口は、つい最近処刑された葵小僧という凶賊にそっくりだった。歌麿と親しい錦絵版元・蔦 屋(岸部一徳)は、世間を騒がせたいのではないかと推測。同心の仙波 (中村橋之助)は探索に乗り出すが、奉行所や火盗改めの反応は鈍い。 仙波は、遊女以外で歌麿に描かれた女を張って、下手人を待ち伏せしようとするが、一人だけ所在の分からない女がいた。そのお妙(内山理名) という女は、歌麿に絵姿を描かれてからというもの、夫のある身でありながら歌麿に恋してしまい、だが歌麿には夫の元に帰るようにと諭され、行 き場を失って放浪していた。彼女を探すうちに、蘭陽(染谷将太)という軽業師の青年に行き当たる。彼の姿を描きたいと呼び出す歌麿。だが事態 は思わぬ方向へと進んでいく。
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謎多き浮世絵師の話ということで、全体に独特な雰囲気を放ちつつ、描かれることに陶酔する女性と、常人とは違う雰囲気をたたえた歌麿、美人 画はもちろん、現在は歌麿の弟子をしている、のちに葛飾北斎となる春朗(原田龍二)の分も合わせて絵もふんだんに登場し、見る者を惹きつけ る魅力を放った作品です。画像だけではなく、時代劇ミステリーと呼べるストーリー展開も、作品に引き込む要素の一つ。ぜひまた見たい珠玉の作 品ですが、ラスト見る限り続編はなさそうです。
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水谷豊 主演 13年7月27日放送 ABC 夜9時から
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09年と昨年に放送された、元武家の天才浮世絵師・喜多川歌麿と、財政再建のため質素倹約の令を出した松平定信(梅沢富美男)との対決を 描いたスペシャルドラマの第3弾です。
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江戸では、極悪非道な盗賊、通称つきかげが跋扈する中、歌麿は覆面姿の者たちに襲われる。大怪我を負いながらも九死に一生を得た歌麿 は、吉原の料亭・鶴亀に匿われる。一方で、つきかげを追う南町奉行所同心の仙波一之進(中村橋之助)は、つきかげに襲われた店の唯一の生 き残りの娘(南沢奈央)の面倒を見ることに。記憶を失っていた娘がただ一つ覚えていたことは、歌麿の娘であること。娘と引き合わせてもらった歌 麿は、娘が、絵師になりたてのころに出会い恋したが突然いなくなった女の子供だと直感し、今まで存在も知らず面倒も見れなかったことを娘に詫 びる。だが、仙波や歌麿の懇意にしている版元の蔦屋重三郎(岸部一徳)は、娘が偽物ではないかと疑っていた。ところがその娘がかどわかさてし まう。仙波と蔦屋は、歌麿をおびき出して殺すための罠ではないかと心配するが、歌麿は娘を助けるために出向くことを決意する。
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本気で歌麿の命を狙ってくる敵との対決と、運命に翻弄された娘と、それぞれに真剣に立ち向かう歌麿の活躍を描いた作品でした。女の美しさと 内面と、松平定信の政策を皮肉ったかげ絵が、今回のだまし絵でした。
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水谷豊 主演 14年9月6日放送 ABC 夜9時から
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浮世絵師・喜多川歌麿が絵姿に描いた女が続けて殺される。同心の仙波一之進(中村橋之助)は手がかりの手ぬぐいから杉戸屋を突きとめる が、評判が悪い娼家とはいえ、その後ろ盾の近江屋は幕閣にも顔が利く大店で、証拠がないこともあり、手を出せない。一方の歌麿は、自分のせ いで女たちが死んだと神経を擦り減らし、筆を折ると宣言して行方をくらましてしまう。
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死んだようになってさまよっていた歌麿を助けたのは、芝居小屋に勤める次郎吉(河相我聞)という男だった。次郎吉は自分の住む長屋に歌麿を 連れていき、空き部屋を世話してくれる。次郎吉には、ずっと探している幼馴染の娘がいた。その娘・お恭が、杉戸屋にいると聞き、出かけていく が、逆に袋叩きに合い、刺されてしまう。
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次郎吉を助けるために、医者を呼んだことで居所が知られた歌麿のところに、絵姿を描いてほしいと女(田中美里)が訪ねてくる。不思議な色香 を持つその女は、その色香を見初められ、杉戸屋から近江屋孫兵衛(でんでん)が買い上げた女で、次郎吉が探していたお恭だった。初めは断り 続けていた歌麿だったが、お恭が、描いてもらえないなら歌麿を殺すとまで思い詰めていたこと、お恭の美しさの正体が次郎吉への愛だったことな どから、描きたいと筆を取る。
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歌麿の新作はたちまち評判となる。だがそれこそが、歌麿を疎ましく思っている老中の松平定信(梅沢富美夫)に近づきたいという近江屋の罠だ った。近江屋は、今までの殺しの下手人でもある杉戸屋の作太郎(渡辺大)たちを使い、お恭を殺そうと連れ出す。お恭を助けようとした次郎吉も また、彼らの的となり、それを知った歌麿は怒りを爆発させる。
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内野聖陽 主演 12年1月2日放送 大阪 夕方4時から
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正月2日恒例のテレビ東京の大型7時間時代劇。堀部安兵衛を中心にした、忠臣蔵でした。
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時は太平の世と言われた元禄時代。江戸の下町で長屋暮らしをしていた浪人・中山安兵衛は、叔父甥の義盟を結んでいる菅野六郎左衛門(綿 引勝彦)が高田馬場で果たし合いをすると聞いて、駆け付ける。助太刀をした安兵衛は、多勢に無勢をものともせず、見事相手を討ち取った。この ことで有名になった安兵衛の名を聞きつけ、赤穂浅野家の江戸家老・堀部弥兵衛(橋爪功)は、一人娘・ほり(常盤貴子)の婿にして、跡取りにした いと申し出る。武家暮らしは堅苦しいと断固断った安兵衛だったが、話は藩主・浅野内匠頭(市川染五郎)にまで届き、内匠頭もぜひ家臣にしたい と頼み込む。内匠頭の人柄に触れた安兵衛は、堀部家への婿入りと浅野家の家臣となることを決意したのだった。
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それから数年。内匠頭が吉良上野介(柄本明)の侮辱に耐えかね、江戸城松の廊下で斬りかかった。江戸城内で刃傷沙汰を起こした内匠頭は 即日切腹となり、吉良の生死を気にしながらこの世を去った。そして浅野家は断絶となる。
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吉良は軽傷であった。喧嘩両成敗が天下の御定法であるのに、吉良にはなんの処分もない。浪人となった安兵衛たち赤穂藩の元家臣たちは憤 り、殿の無念を晴らしたいと、吉良を討ち取ることを計画。しかし吉良には親せき筋である大藩上杉家が付いており、軽挙してはことを仕損じる。安 兵衛は逸る浪士たちを諌め、筆頭家老であった大石内蔵助(舘ひろし)を訪ね、その意思を聞き、従うことを約束する。
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しかし、お家再興を第一に考える大石は、なかなか動かない。浪人暮らしに生活は厳しくなり、焦れる安兵衛は大石と衝突を繰り返す。そしてお 家再興が叶わぬことが確実になった時、大石は吉良邸討入りの準備へと動き出す。安兵衛らもそれに尽力し、そして最後まで大石に付き従った 四十七人は、悲願をなし遂げる。
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多くは大石内蔵助主役で描かれることの多い忠臣蔵ですが、四十七士の中で最も強かったと言われる堀部安兵衛を中心に描いたことで、江戸 にいた浪士たちの苦労や焦燥感が全面に出ていた気がします。また大石を信じたいと思いながらも、動かない大石が信じられなくなってくる部下た ちの心理がよくわかり、よくある忠臣蔵とは違った切り口が面白かったです。また堀部安兵衛主役ということで、妙にチャンバラシーンの多い、娯楽 色強めの忠臣蔵でした。
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浪人時代は、情は深いが豪快さが目立った安兵衛が、だんだんと武士らしく清廉になってきたのも良い感じでした。またそんな彼を時には面と向 かって意見を言い、支えてきた良妻・ほりとの絆もよかったです。
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忠臣蔵〜瑤泉院の陰謀
稲森いずみ 主演 07年1月2日放送 大阪 昼2時から
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新春恒例の10時間ぶっとおし時代劇。浅野内匠頭の妻・瑤泉院を主役に、原作『瑤泉院 三百年目の忠臣蔵』を、ジェームス三木が脚本にし た、討ち入りの首謀者を瑤泉院という新見解を示した作品。
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浅野内匠頭(高嶋政伸)が溺愛した美しく賢い妻・阿久利の愛に包まれた幸せな生活は、夫が刃傷に及んだことで一転する。幕府は内匠頭の言 い分をろくに聞かず、即日切腹を申し渡す。吉良上野介(江守徹)は内匠頭の乱心だと言い張るが、髪を下ろし瑤泉院となった阿久利は、遺恨だ と信じ、「内匠頭が刃傷に及んだのは遺恨」、「ご政道は間違っている」、「浅野は善、吉良は悪」との噂を市中に広め、浅野が吉良に斬りかかった というマイナス部分をうまく覆い隠し、浅野家家臣の敵討ちの気運を高めさせる。
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また、奥女中の喜世(吹石一恵)が、柳沢吉保(高橋英樹)の側室・正親町町子(萬田久子)と親しかったことを通じて、吉保に会う。そして大石内 蔵助(北大路欣也)と吉保の面会を実現。その腹のうちを探り合った内蔵助は、時期将軍には甲州家が有望と聞き出し、喜世を側室として送り込 む。
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その後も瑤泉院は、自ら同志の一人と名乗り、赤穂浪士たちの討ち入りに尽力する。殿の無念を晴らすため、美しき主君の妻の心の平穏のた めにと、同じ目的に邁進する大石と瑤泉院は、いつしか信頼する主従関係からほのかな愛を芽生えさせる。
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討ち入り後、将軍となった家宣(磯部勉)は、綱吉(津川雅彦)の代に乱れた政道を正し、彼の嫡男を産んだ喜世は、遠島となっていた赤穂浪士 の遺児たちの救済を行う。
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よく知られた『忠臣蔵』ですが、瑤泉院が積極的に関与、世の風評を味方につけ、時の最高権力者・柳沢吉保にまで会ってしまうという、斬新な展 開でした。また吉保と風呂に入る内蔵助という珍しい場面や、幼児言葉の綱吉も見所です。
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見方によっては悪女とも思える瑤泉院を、稲森いずみが美しく、しとやかでかわいらしい女性として演じており、10年後に再開した喜世と、『忠臣 蔵』の人形浄瑠璃を見て、「あれでは吉良様がかわいそう」と微笑みあう笑顔に、女の強さとしたたかさを見た作品でした。
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また、全編通して狂言回しに、浄瑠璃調のナレーションを入れたところが、だらけがちな長丁場のドラマのアクセントとなって、良い感じでした。
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松平健 主演 08年3月15日放送 ABC 夜9時から
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徳川家康の生涯に、深く関わった三人の女がいた。江戸幕府の祖となった家康と、その三人の女を描くドラマスペシャル。
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三方が原戦いで家康(松平健)は、武田信玄に惨敗した。彼はその時のみじめな自分の姿を絵に描かせ、生涯の戒めとする。その信玄も亡くな り、その子・武田勝頼攻めを考える家康の元に、おそるべき知らせが届く。彼の愛妻・築山御前(高島礼子)と、彼女との間に生まれ成長した嫡男・ 信康(柏原収史)に対して、織田信長(中村敦夫)が武田への内通の疑いありと切腹を命じてきたのだ。家康は二人を蟄居させ、信長へ取り計らい を模索するが、信長の怒りは解けず、二人は死を迎える。築山御前は、最期に「女子の悲しまぬ世を作る」ことを家康に頼む。
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時代は移り、本能寺の変に倒れた信長に代わって、豊臣秀吉(片岡鶴太郎)が天下の情勢を押さえる。臣下の礼を取る気のない家康に対し秀 吉は、信長の盟友であった家康に、画策。家康と義兄弟となるために、すでに嫁に行っていた妹の朝日(若村麻由美)を無理やりに離縁させ、家 康の正室とする。そしてやっとのことで家康対面を終えた後は、母が病に倒れたと言い、朝日を大坂に引き戻す。朝日にとって家康との生活は短 いものだったが、兄に人形のように人生を翻弄された彼女は、家康は心の通じあえた方だと言い残す。
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秀吉の死により豊臣家の栄光にも陰りが出、豊臣と徳川の全面抗争へと時代は移る。それは秀吉の嫡男を生んだ淀殿(星野真理)と家康の戦 いであった。父を信長に殺され、母を秀吉によって亡くした彼女は、天下を我が子の手に入れるため、最後まで戦い続ける。家康は燃える大阪城 を前に、淀殿に向かって「よう戦われた」と漏らす。その彼の胸には、築山御前と朝日の姿が思い出されていた。
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三人の不遇の生を送った女性を、高島礼子と若村麻由美、星野真理が熱演。凛とした武家の妻、素朴で野心のない百姓出の娘、復讐と野望に 燃える激しい姫と、それぞれのイメージがよく合っていました。そして松平健演じる家康は、その三人を受け止めるような雄大な懐を持つ男として描 かれていました。
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猫侍 玉之丞、江戸へ行く
田中直樹 山口紗弥加 主演 16年2月25日放送 サン 夜7時から
白猫の玉之丞がどうして江戸の加賀屋に飼われることになったのか、班目久太郎と出会う以前の玉之丞を描いたスペシャルドラマです。
百姓一揆で重症を負い、山小屋に隠れていた竹三(モロ師岡)は、寄ってきた白い子猫に食料を与え、もうすぐ産まれてくる自分の子どもの名前を書いた紙をたくし、息を引き取ります。新垣勘兵衛(渡辺哲)は山で子猫を拾います。その首輪に「命名 玉之丞」と書かれた紙が挟まれていたことから、子猫は「玉之丞」と名付けられました。
数年後、勘兵衛が教える寺子屋に、美和(山口紗弥加)がやってきます。勘兵衛は白い玉之丞という猫がいる塾という意味で寺子屋を「白玉塾」と名付け、玉之丞も教室に置いて授業をしていました。勘兵衛から塾を引き継いだ美和は、はじめは玉之丞を邪険に扱いますが、しだいに猫の扱いにも慣れ、かわいがるようになります。しかし藩の意向で、白玉塾は閉鎖に追い込まれます。美和は塾を存続させて欲しいと江戸にいる藩主に直訴状を書くことを思いつき、子どもたちの作った野菜とともに、飛脚の飛松(田中直樹)に託します。
飛松は事故で足を悪くして以降、走れず、飛脚の仕事は開店休業。格安で美和の仕事を引き受け、野菜を詰めた箱を背負い江戸へ向かいます。ところが途中で猫の鳴き声がし、箱を開けてみると、中には玉之丞が。開いたまま置いてあった箱に入った拍子に、ふたが閉まり、そのまま預けられてしまったのでした。飛松は訳が分からないままも、美和から子どもたちの夢と希望が詰まっていると言われたことを思いだし、江戸の上屋敷に届けます。ところが門番に玉之丞を渡そうとしても、門前払いされてしまいます。
飛松は、飲み屋の女将(大島容子)に励まされ、何度も上屋敷に通い、江戸で暮らし始めます。そのうちに猫を連れた飛脚・「猫飛脚」として人気者に。人気をねたんだ飛脚仲間から嫌がらせを受けたり、玉之丞が体調を崩したりと、苦難にも遭いますが、それを乗り越え、玉之丞との絆を深めていきます。そんなある日、上屋敷の門番が変わり、玉之丞はあっさりと受け取ってもらえます。江戸から帰る道中、前の門番から藩主は猫嫌いで猫は殺されてしまうかもと聞いた飛松は、足の痛みも忘れて必死で江戸へ駆け戻ります。
玉之丞は、猫飛脚のお得意様だった加賀屋の主人・与左衛門(伊藤洋三郎)によって助け出されていました。玉之丞を実の息子のように思っているので大切にしてほしいと話す与左衛門に、飛松は全国を飛び回る飛脚の仕事に戻るため、玉之丞を譲り渡します。
そしてその後、すっかり玉之丞のかわいさに骨抜きになった与左衛門を見かねて、ある企みが…、というところで、話は「猫侍」へと続きます。
連続ドラマとはキャスト総入れ替えでの、玉之丞の話でした。女ながら学問に生きる寺子屋の師匠を山口紗弥加が、足を悪くした飛脚をココリコの田中直樹が熱演。どこかささくれた二人の心を、玉之丞がゆっくりと癒していきます。
番組公式サイト http://nekozamurai.info/index.html
眠狂四郎ザファイナル
田村正和 主演 18年2月17日放送 関西 夜9時から
およそ半世紀ぶりに復活した田村正和の眠狂四郎。ファイナルということで、狂四郎の生い立ちに深く関わった話でした。
今もまだ権勢を振るう松平主水正(津川雅彦)の娘(松本若菜)が転びバテレンに犯され、産まれたとされる眠狂四郎。幼少時に母とともに身を隠し、母の亡きあとは親代わりとなった勇勝寺の空然和尚(中原丈雄)が死んだと聞き、江戸に戻ってきた狂四郎。なじみの芸者・文字若(名取裕子)のところへ身を寄せ、瓦版屋の金八(八嶋智人)とともに、勇勝寺に参った狂四郎は、空然が実は殺されたと聞く。そんな狂四郎の前に、娘だと名乗る操(吉岡里帆)が現れる。
一方、主水正の命を狙い、野望を掲げる加賀美耀蔵(椎名桔平)。彼は狂四郎を兄と呼び、円月殺法の使い手だった。耀蔵は、狂四郎に協力を求めるが、断られ、怒りに狂う。
観月ありさ 主演 12年3月17日放送 ABC 夜9時から
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油売りから一国の主にまで出世した『美濃のマムシ』こと、斉藤道三(里見浩太朗)の愛娘であり、隣国の『うつけ』と呼ばれた織田信長(城田優) に政略結婚として正室に迎え入れられた濃姫の物語です。
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濃姫の腰入れから、斉藤家の内乱、信長の暗殺計画まで、濃姫の半生の話でした。
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とにかく主役の二人が突出して背が高いことが絵的に気になりましたが、それさえ慣れれば、正統派で安心して見れる良作でした。信長、道三、 濃姫がかっこよく描けていますので、この三人が好きな方にはおすすめの作品です。
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女性主役の戦国ものというと、「戦のない世の中に」というセリフがお決まりのような昨今ですが、それを「(親をかみ殺すという)マムシの生きられ ぬ世の中に、殿の手で」とひとひねりしたセリフで表したところが、うまいと感じました。
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観月ありさ 主演 13年6月23日放送 ABC 夜9時から
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昨年3月に放送された作品の続編です。(前作の紹介はこちら)
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濃姫は悪夢に目を覚ます。それは炎に包まれ、傷を追った夫・織田信長(城田優)が自分の名を呼びながら果てる夢だった。そんな折、信長と濃 姫の元に、隣国の今川義元(篠井英介)が兵を上げ、国境まで迫っていると知らせが入る。
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今回は桶狭間の戦いから、浅井家との同盟、延暦寺の焼き討ち、浅井・朝倉の滅亡までの話となっていました。木下藤吉郎(えなりかずき)や、 明智光秀(岡田浩暉)といった新しいキャストも登場しました。
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弟・信行を殺したことで母・香林院(余貴美子)から恨まれ、妹・市(比嘉愛未)を政略結婚させたことでその溝をさらに深め、延暦寺の焼き討ちで 鬼と恐れられた信長。だがそれはこの世の中を戦い続け、その先にあるものを目指すための仮面だった。それを知る濃姫は、その血にまみれた 人生を一緒に背負っていくと告げる。そして実家に裏切られ、夫を殺された悲しみから自害しようとする市に対しては、生き続けることが女の戦い だと諭す。
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怒涛の人生を送った信長を理解し支えた濃姫の、強き女の物語です。
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青山倫子 主演 08年9月19日、26日放送 大阪
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昨年三月まで放送され、カルト的な人気を博した昨今まれにみるエンタメ時代劇『逃亡者おりん』の、2時間スペシャルです。しかも「紅蓮の巻」と 「烈火の巻」の2本立ての、2週連続放送です。
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次々と放たれる刺客との死闘の末、宿敵・植村道悦(榎木孝明)を倒し、幕府転覆の危機を救ったおりん。再会した娘・お咲(八木優希)と別れ、 供養の旅に出る。その続きが、今回のスペシャルの話です。
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紅蓮の巻では、おりんがそのお咲の姿を清から使節団の中に見つけたことからはじまります。清からの使節団というのは真っ赤な嘘で、その実 態は解体したはずの手鎖人たち。実は死んだと思われていた道悦は生きていた。再び彼の手に捕まり、手鎖をはめられたおりんは、また闘いの 渦の中に巻き込まれる。倉沢弥十郎(宅麻伸)の助けもあり、今度こそ道悦にとどめを刺したおりんだが…。
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烈火の巻は、蟄居中の大岡忠光(あおい輝彦)の元に由比正雪の亡霊が現れ、三万両の隠し軍資金があると伝えたことから、その軍資金を巡 って、駿河城代・土井采女庄(田村亮)やら風魔幻一郎(遠藤憲一)やら、そして弥十郎までも加わり、入り乱れての争奪戦。一方おりんは、襲われ ていたすみれ(兼崎杏優)という幼女を助けるが、彼女は実は唯一の由比正雪の末裔だった。軍資金のありかは、彼女が母から教わった童歌の 歌詞に隠されており、彼女を助けたおりんもまた、戦いに巻き込まれる。そして、戦いの元凶となった由比正雪の亡霊の正体は、実は…。
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死んだはずの道悦が実は生きていて、またおりんと弥十郎が戦う、というパターンを確立した今回の2週連続スペシャル。連続テレビシリーズと 変わらないどころか、より高いクオリティで楽しませてくれました。ぜひともこのまま年二本ぐらいのペースで、ずっと新作を続けていってほしいと願 います。(09.10.2改稿)
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青山倫子 主演 12年1月12日放送 大阪 夜9時から
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宝暦10年、徳川家重は将軍職を辞し、田沼意次(山田純大)が権勢を奮っていた。家重直属の隠密だった倉沢弥十郎(宅麻伸)とともに、大岡忠 光(あおい輝彦)の陰謀を暴き、太平の世を築いたおりんは、江戸からほど近い根岸の里で自分が殺した人々の菩提を弔いながら飾り結びを作 り、平穏な生活をしていた。しかし飾り結びを納めた帰り道、浪人に襲われている娘(高松あい)を助けたことから、あらたな事件へと巻き込まれて いく。
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記憶を失っていた娘を狙う浪人たちは、金がすべてで貧富の差が激しくなる田沼の政治に不満を抱き、幕府転覆の秘密を手に入れ世の中を変 えたい者たちだった。その中には、なぜか弥十郎の姿も。弥十郎はおりんに娘から手を引くように告げるが、娘を守ろうとするおりんは弥十郎の豹 変が信じられない。そして手鎖人たちもその近辺に現れる。植村道悦(榎木孝明)亡き今、手鎖人たちを動かしているのは宇玄斎という謎の人物 だという。
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舞台は、幕府転覆の秘密が眠るという日光東照宮へ。生きていた宇吉(左とん平)の協力も得て日光に着いたおりん。だがそこで待っていたの は、自分に刃向おうとする浪人たちを一気につぶそうとする田沼の罠だった。幕府転覆の秘密の自体、田沼が流した噂だったのだ。そして手鎖人 である娘を使って日光の山中に集めた浪人たちに、幕府役人たちの銃弾が浴びせられる。娘をかばい、死闘の末、力尽きた弥十郎は、幕府転覆 の秘密がなくてよかったと息を引き取る。おびただしい数の死体を前に、おりんは静かに怒りを燃やす。
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実は生きていた道悦は、宇玄斎によって吉原の地下に閉じ込められていた。道悦救出を企む手鎖人から宇玄斎が吉原にいると知らされたおり ん。吉原で、燃え盛る炎の中での戦いの末、おりんはとうとう道悦を倒す。「闇の鎖、すべて切りました」。しかし吉原炎上の罪を着せられたおりん は、再び逃亡者(のがれもの)となって旅に出ることになった。
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06年〜07年に放送され、08年にスペシャルが放送された『逃亡者おりん』の、ずっと続いてきた道悦との戦いに終止符を打ち、そして新たに始ま る新シリーズへの導入となるスペシャルでした。
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信長の棺
松本幸四郎 主演 06年11月5日放送 ABC 夜9時から
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本能寺の変後、見つからなかった織田信長の遺体を巡る、後に『信長公記』を書くこととなる太田牛一を主役に据えた歴史ミステリーです。原作 は、首相を務めた小泉純一郎が愛読書と語ったことで脚光を浴びた、加藤廣の同名小説。
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信長の配下で書き役を務める大田牛一(松本幸四郎)。彼の仕事は各地から届く戦況の報告書を、それぞれの土地で使われている暦や地名の 間違いを直して信長に提出することだった。
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安土城を完成させ、天下掌握まであと少しとなった信長(松岡昌宏)に呼ばれた牛一は、密かに命を受け、五つの箱を預かり、それを京に届ける よう命じられる。だがその直後、わずかな小姓だけをつれて京に向かった信長は、本能寺で明智光秀(小日向文世)に討たれてしまう。
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知らせを聞いた牛一は、これまでに書き溜めた信長に関する記述物を持って城を抜け出すが、途中で襲われ、ひなびた浜辺の村で身を隠しつ つ傷の養生をすることに。
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十ヵ月後、城に戻れた牛一を待っていたのは、信じられない事実だった。信長が愛した安土城は焼け落ち、牛一が「調子が良すぎる」と好ましく 思っていなかった秀吉(中村梅雀)が跡を継いでいた。そして焼かれた本能寺からは、信長と森蘭丸の遺体だけが見つからなかったという噂を聞 く。
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敬愛する信長の遺体を探し出そうとする牛一を襲う影。光秀の謀反を促した裏の人物、秀吉の破格の出世を裏で支えた者たち、そして信長が牛 一に託した箱の中身と耳打ちした話に隠された信長の果たせなかった夢。数々の謎を新見解で暴いています。歴史好き、信長好きにとっては興 味深く見れた作品でした。
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信長燃ゆ
東山紀之 主演 2015年1月2日放送 大阪 夜9時から
小さな墓石のようなものを拝む老人の前に、一人の女性が現れる。彼女は35年前の本能寺の変で何があったのか、唯一の生き残りである森坊丸(内藤剛志)に尋ねる。彼女が持つ笛が、織田信長にとって特別な人であった晴子(栗山千明)のものであったことに気づいた坊丸は、長い話を語り始める。
本能寺の変の直前の一年間の織田信長と、彼のライバルであり朋輩でもあった近衛前久(寺尾聰)や彼の家臣たちを三時間かけて丁寧に描いた、正月二日恒例の長時間時代劇です。本能寺の変に裏側に隠された思惑とは? 本当の黒幕は? 本能寺の変の真相を新たに描いた作品でした。
原作は安倍龍太郎の同名小説。提供は今年もヤマダ電機でした。
番組公式サイト http://www.tv-tokyo.co.jp/nobunaga.moyu/
永山瑛太 向井理 主演 22年1月3日放送 NHK 夜9時から
大政奉還を画策していた徳川慶喜(渡辺大)は、密談のために秘密裏に西郷隆盛(谷田渉)に会いに行こうとしていました。ところがその行列が襲撃されます。命の危険を感じた慶喜は大政奉還を中止。幕府官僚の永井尚志(杉本哲太)は、下手人探索を坂本龍馬(永山瑛太)と土方歳三(向井理)に手を組んで進めるように命じます。与えられた期間は2日。前代未聞の敵どうしの強烈バディが誕生します。
内戦になるのを避けるため、なにがなんでも大政奉還を成し遂げたい龍馬と、徳川家を守ることが己の武士としての矜持と心に決めている土方、お互いがお互いの味方を怪しみつつ、それぞれの領分に飛び込んでの単刀直入での捜索。下手人はなかなか分からず捜査は難航しますが、思わぬところから手掛かりが。そして意外な結末からの、その後も物語は意外な先まで続いていきます。90分でここまで描くとは思っていなかったのですが、急ぎ足になり過ぎることもなくテンポよく見れる仕上がりになっていました。
天敵どうしが命令をきっかけに利害の一致でバディを組んで命がけの仕事に挑む、幕末の主要人物総出演で、コミカルかつ骨太に描いた正月時代劇です。
原作は五十嵐貴久の小説『相棒』です。89分の作品でした。
瀬戸浅香 主演 08年12月20日放送 NHK 夜9時から
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商家の生まれだった田鶴は、幼き頃その気質を見込まれ、組頭の寺井家の養女となった。ところが13年前、田鶴が慕っていた寺井家の跡取り である兄の新十郎(山口馬木也)が割腹自殺する。その理由は、田鶴がお城に行儀見習いとして上がっていた時の友達・三弥(酒井美紀)にふら れたためだとされた。
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そして時は流れ、田鶴と結婚し寺井家の婿となった織之助(田辺誠一)に、家老職へ推挙の話が舞い込む。だがその最有力候補は、新十郎をふ って三弥が嫁いだ宗方惣兵衛(葛山信吾)だった。三弥に対する報復の念が燃え上がった田鶴は、織之助を焚きつけようとするが、当の本人は出 世欲のない釣り好きののんき者。
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そんな折、寺井家の前で斬り合いがあり、田鶴は怪我を負った旅の侍を助ける。その侍は、なんと亡くなった兄・新十郎に生き写しだった。関根 友三郎(山口馬木也・二役)と名乗った侍は、国元に不正ありという密書を江戸から届けに来たという。その不正の大元は、筆頭家老の平岐権左 衛門(石橋蓮司)。家老になるためには、最権力者である彼のご機嫌をとらなければならないが…。
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平岐が放ったと思われる刺客に、関根と家来を殺され、田鶴は免許を受けた小太刀を持って仇討ちに立つ。
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死んだ兄のことが忘れられない田鶴、新十郎に重ねられ、自分を生きていないと感じる織之助、そして素直に思いを告げられなかった三弥、そ れぞれが前を向いて生きていけるようになるまでの話に、お得意のお家の不正と下っ端役人の葛藤を絡めた、藤沢周平原作の物語です。原作は 「榎屋敷宵の春月」(「麦屋町昼下がり」所収) 。
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なんでもそつなくこなせる田鶴と、虫も殺さぬようなかわいい美人の三弥の笑顔の対決が怖い、女の物語です。
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黒木瞳 劇団ひとり 主演 08年12月13日放送 NHK 夜9時から
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平安の時代を舞台にした、世にも美しい女性と、その息子の物語。
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大納言国経(大滝秀治)とその妻は、50歳以上の年の差がありながら、互いに愛し合っていた。そして7歳の息子・滋幹(谷端奏人)とともに、身 分は低いながらも幸せに暮らしていた。ところがその妻が絶世の美女であると知った時の権力者・左大臣の藤原時平(長塚京三)は、策謀を巡ら し、彼女を奪い去ってしまう。
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わずか7歳で突如、母と別れさせられた滋幹(劇団ひとり)は、成人した後も美しかった母を忘れることができない。身分違いとなり、会えなくなっ た母に文を出すが、時平と母の子である敦忠(川久保拓司)の嫉妬を買ってしまう。そして陰険な陰謀を巡らされ、しだいに滋幹も、精神を追い詰 められていく…。
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前半の役は23才と、実年齢と20才以上の差がありながら、それを全然感じさせないどころか、心からきれいだと思える黒木瞳の美貌がすばらし いです。そりゃ、あんなにきれいなお母さんなら、取りあいになるし、息子たちもいつまでも親離れできないというもの。説得力のある美しさです。
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原作は、谷崎潤一郎の「少将滋幹の母」。74分間の作品です。
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東山紀之 主演 09年1月4日放送 ABC 夜9時から
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2007年に放送された必殺仕事人の新作が、帰ってきました。9日から始まる連続ドラマに先駆けての、2時間スペシャルです。また、今年は必殺 仕事人30周年ということで、記念の作品でもあります。
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主役は前回に引き続き、南町奉行所の見回り同心・渡辺小五郎。相変わらず姑と嫁からの豪華な朝食に辟易。そして経師屋の涼次(松岡昌 宏)。相変わらずの食道楽で、その周りには同じ抜け忍の玉櫛(水川あさみ)の姿が。一方、からくり屋の源太(大倉忠義)は亡くなった恋人の残し ためし屋「その」の経営が忙しく、からくりは止め、また罪の意識から裏稼業からも足を洗っていた。そして忘れていけない中村主水(藤田まこと) は、なんと今回、書庫番から番屋勤務に回されてしまう。
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街中では薬が値上がりし、年寄りたちの住む長屋は取り壊されようとしているのに、幕府はなんの対策も打たず、年寄りたちの憤りが高まってい た。そんな中、薬種問屋の恵比寿屋(竜雷太)だけが薬を安売りし、評判になっていた。ところがこの恵比寿屋こそが、薬の値上げを企み、金払い の悪い老人たちを苦しめている張本人だったのだ。年寄りたちを守る戦いで玉櫛は命を落とし、知り合いを殺された源太は、再び裏稼業に手を染 めることを決意。また小五郎は、剣術道場時代の友人で、今は浪人の権藤伊左衛門(沢村一樹)と再会。世のために何かをしたいと言う伊左衛門 だったが、彼もまた貧困と出世欲に溺れていく。
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必殺シリーズらしく世相を反映させた話となっていましたが、必殺シリーズには珍しく大立ち回りがクライマックスでした。連続ドラマに登場する玉 櫛の妹・如月(谷村美月)の顔見せもあり。
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東山紀之 主演 10年7月10日放送 ABC 夜9時から
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今年の初めに亡くなられた藤田まことさんの追悼作品です。作中では中村主水は亡くなったわけではなく、書き置きを残して急に西国へ旅立った ことになっていました。
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世の中が不況に苦しむ中、若くして勘定吟味役に抜擢された風間右京乃助(小澤征悦)は幕府の財政難を立て直すため、橋の架け替えやお狩 り場普請など金のかかる工事を次々と取りやめにしていった。その事業仕分け政策は一部の奉行と大店の癒着を崩す効果もあったが、その一方 で町では、元からの不況の上に工事の取りやめから日銭稼ぎもできず、貧困にあえぐ庶民たちが溢れていた。また武士ばかりを狙った武士殺しも 横行していた。
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庶民たちから不況の根源だと恨まれる右京乃助だが、裏で彼は無役の旗本・柿本平三郎を名乗り、私財を投じて寺で炊き出しを行っていた。だ が彼を敬愛する町民たちが右京乃助を恨み武家殺しを重ねていると知り、また彼が炊き出しのために父が徳川家より頂いた由緒ある茶碗を売り に出したことを政敵である、普請奉行・酒巻勘解由(本田博太郎)と大奥のお年寄り・霧島(かたせ梨乃)に知られてしまったことで、進退きわまった 彼は一変、悪事の道へ転がり落ちる。
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主水を除いて今回もメンバーには変わりなし。南町奉行所見廻り同心の渡辺小五郎(東山紀之)は、妻のふく(中越典子)が懐妊したと聞き、人 殺しである自分が親になっていいものかどうか思い悩む。経師屋の涼次(松岡昌宏)は旅先で、貧困のために家族を失った少女から右京乃助を 殺して欲しいと依頼を受ける。また彼の妹分である如月(谷村美月)は、柿本平三郎と恋仲になり子を身ごもった娘・お咲(前田亜季)と親しくなり、 豹変した右京乃助の毒牙にかかった彼女の仇を、涼次の前から自分が姿を消すことと引き換えに討ってほしいと依頼する。仕立て屋の匳(田中 聖)は、仕事中を武士殺しと思われる人物に見られてしまい、しばし身を隠す。花御殿のお菊(和久井映見)は、右京乃助の身辺に付きまとってい る坊主(内藤剛志)が、流しの仕事人だと気づいて接近する。レギュラー陣それぞれにもドラマがあるものの、右京乃助パートに比重が多く置かれ た展開でした。
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東山紀之 主演 12年2月19日放送 ABC 夜9時から
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新しくできた本町奉行所に移動になった見回り同心の渡辺小五郎(東山紀之)。そのころ巷には、幕府から次々と大きな土木仕事を受け負って いる塵尽会が、あちこちの牢屋に溢れかえる罪人たちを人足として使っているという噂が流れる。小五郎は噂の真相を確かめるために塵尽会に 潜入捜査をしろと命じられるが、嫌で、仕立て屋の匳(田中聖)に押しつけようとする。一方、金のために家出娘・お春(剛力彩芽)を助けた経師屋 の涼次(松岡昌宏)は、すぐに金を払えないというお春の扱いに困って、匳に押しつける。実はお春は、大店のお嬢様だったが、恋人の与平(満島 真之介)が自分のために人殺しをしてしまい、牢に入れられたものの、今は塵尽会の人足をしているという手紙をもらって、彼に会うために家出を してきたのだった。お春の話を聞いた匳は、彼女のために罪人の振りをして、塵尽会の人足たちに近づく。「世のため、人のため」が合言葉の塵尽 会の真の顔とは…。また塵尽会の棟梁・弥勒坊燕斎(高橋英樹)は、花御殿のお菊(和久井映見)の昔の恩人・仙吉だという。燕斎は本当に悪人 なのか…。
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レギュラー陣には変わりなし。高橋英樹が悪役に初挑戦するのが見どころでした。
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東山紀之 主演 13年2月17日放送 ABC 夜9時から
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なんと仕立て屋の匳(田中聖)が辻斬りに襲われる。傷は急所をわずかに外れており、命に別状はない。そして同じように急所を外れた辻斬りの 被害がすでに16件も起きていた。そして怪我人が続出したおかけで患者で賑わっているのが小宮山診療処。だが院長の青年・小宮山勝之進(渡 辺大)には重大な秘密があった。そしてそれを知りながらも勝之進を立派な医者にするためにどんなことでもすると言う、父の小宮山泰山(里見浩 太朗)。彼らと彼らの背後の闇を、仕事人が暴き、始末する。
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大怪我をした匳に変わり、ゲストの仕事人が登場。その名も胡桃割りの座坊(中村獅童)。首の骨をへし折る指の力もすごいが、性格も一癖あ り。姑・こう(野沢陽子)と妻・ふく(中越典子)に大事にされるさぼり魔・渡辺小五郎に、なんだかんだ言いながらも今回もいい人ぶりを発揮しまくり の経師屋の涼次(松岡昌宏)、そして飄々とした美人の花御殿のお菊(和久井映見)と、レギュラーは変わらずでした。
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東山紀之 主演 14年7月27日放送 ABC 夜9時から
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昨年の2月に続いて、必殺仕事人が今年も帰ってきました。しかも2012で、花御殿のお菊(和久井映見)の昔からの知り合い・阿部川の仙吉と、 悪人の弟の双子の兄弟を演じた高橋英樹が再び登場でした。
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渡辺小五郎は仙吉から、近々江戸で大変なことが起こると言う忠告を受ける。その忠告通り、まもなくお上からのお達しがあり、幕府公認の仇討 ち屋が開業する。その元締めが仙吉だった。誰でもお金を出せば合法で仇が討てる商売の登場に、小五郎とお菊は困惑する。
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一方、経師屋の涼次は、江戸を離れて田舎の村で、寺の襖絵を描いていた。ところが井戸の所有権を巡っての村人のいざこざで、住職の隆斎 (永島敏行)が殺されてしまう。
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江戸では、仇討ち屋のずさんな下調べのせいで、人違いで家族を殺された遺族たちの訴えが、奉行所に押し寄せていた。だが幕府からの取り 合うことなしとの通達のせいで、小五郎たちは何もできない。実は仇討ち屋の一件は、異人の来航に向けて江戸の街を大掃除しようという、老中・ 加門橋ノ介(岡田義徳)の目論見だった。仇討ち屋の軌道修正を計ろうとする仙吉は、加門から罷免されてしまう。仙吉の後釜になったのは、隆斎 を殺した後、江戸に逃げてきて仇討ち屋となっていた源兵衛(堀部圭亮)だった。隆斎の息子の隆生(知念侑李)は、父の仇を討ちたいと江戸へ出 てきて、源兵衛を見つける。源兵衛を訪ねて行った仇討ち屋で、隆生を止めようとした恋人のおつう(佐々木希)が、加門に斬られてしまう。加門 は、仇討ち屋への反発が大きくなったことで、後ろ盾となってくれていた側用人・中之島頼政(中村梅雀)に裏切られて、仇討ち屋に身を寄せていた のだ。
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仇討ち屋に家族を殺された人たちの仕事人への依頼料が山積みに。小五郎たちは、隆生を加えての仕事を決意する。
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今回、遺族の訴えを取り上げられないことに小五郎の上司の増村(生瀬勝久)が憤ったり、おつうの面倒を見ていたこう(野際陽子)とふく(中越 典子)が怒りをあらわにしたりと、いつもなら仕事に関わってこない人たちが小五郎の前で感情をぶつけていたのが新鮮でした。
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必殺仕事人2015
東山紀之 主演 15年11月29日放送 ABC 夜9時から
ジャニーズの必殺仕事人が今年も放送されました。前回、仕事人となったリュウ(知念侑李)も引き続き登場です。
本町奉行所の同心・渡辺小五郎(東山紀之)と妻のふく(中越典子)は、ささいなことでケンカになり、ふくが家出してしまう。そんな時、縁切り寺の縁天寺の住職と駆け込んでいた女たちが切り殺される事件が起きる。ふくがいたのではと小五郎は焦るが、ふくはいなかった。縁天寺には、寺社奉行・江田島(中丸新将)の鶴の一声で、燕天(竹中直人)が新しい住職となる。
街で暴れていた旅の男(遠藤憲一)を捕えた小五郎。彼の身元引受人として呼び出されたのは、花御殿のお菊(和久井映見)だった。男は「瓦屋の陣八郎」といい、妻の「泣きぼくろのお宮」と夫婦で裏家業をやっていたのだ。
寺社奉行から町奉行所にも、縁天寺皆殺しの一件の下手人・勘吉(金子貴俊)を捕えるようにとお達しが来る。しばらくして首を刺した跡のある勘吉の遺体が見つかり、自害したとして処理される。だがその夜、三番筋に勘吉の母親が、息子は下手人ではないと、恨みを晴らすように頼みに来る。お菊は証拠がないと断ろうとするが、陣八郎が勝手に引き受けてしまう。陣八郎はやくざ者に連れて行かれる勘吉をたまたま見ていたのだ。
陣八郎は勘吉の一件には大きな裏があると主張する。元は寺で暮らしていたリュウも縁天寺は何かおかしいと感じていた。小五郎も引っかかるものを感じるが、縁天寺は寺社奉行の管轄で、調べることもできない。彼らは勘吉を殺したやくざ者たちを仕事に掛ける。だがその時、現場にいた浪人・雉沢清十郎(丸山智己)に陣八郎が襲われ、陣八郎をかばってお宮は命を落とす。
お宮を亡くして力を落とした陣八郎を見舞った経師屋の涼次(松岡昌宏)は、海に身を沈めようとしていた娘・ゆい(宮武祭)を助ける。彼女は母・お市(田中美奈子)と姉・みさと(宮武美桜)を縁天寺の者たちに殺されていた。縁天寺は、夫の暴力から逃れて駆け込んで来た女たちを食い物にしていたのだ。そして縁天寺を手に入れるため、先代の住職たちを殺したのも、燕天と江田島に雇われた雉沢の仕業だった。お菊の潜入捜査でそれを突き止めた仕事人たちは、陣八郎も加えて仕事に掛かる。
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東山紀之 主演 16年9月25日放送 ABC 夜9時から
今年も必殺が帰ってきました。
巷では、遊びたい盛りの小娘を言葉巧みに誘っては絵姿を描いて売りさばき、もてあそぶという外道な商売が話題になっています。仕事人たちは、もてあそばれて捨てられた小娘の母の頼みで、関係者たちを仕事に掛けます。
一方、渡辺小五郎のいる本町奉行所に、大目付預かりの役人、朝比奈藤十郎(安田顕)がやってきます。彼の仕事は奉行所の無駄をなくすこと。先だっても南町奉行所で五人がクビになった聞き、本町奉行所では誰がクビになるのかとピリピリとした空気になります。朝比奈の世話役を命ぜられた結城新之助(田口浩正)も他の同心たちから告げ口されるのではと疑われた上に、家では年頃になった長女のお絹(浜辺美波)が口を利いてくれず、心労が絶えません。久しぶりに出会った幼馴染の鬼頭進之助(寺島進)に愚痴るも、すっかり様子が変わった鬼頭は殺伐とした気配を漂わせて、相手になってくれません。
経師屋の仕事がなく金に困っていた涼次(松岡昌宏)は、絵師の仕事にありつきます。ところがその仕事は、たぶらかして連れてきた小娘のみだらな姿を描くもの。いつの間にか殺したはずの者たちの商売が復活していたのです。涼次はリュウ(知念侑李)からなじられるが、金のためならなんでもやると、意に介しません。
奉行所が巻き込まれた朝比奈の陰謀と、年若い娘を食い物にする外道な奴ら、それらが結びつき、結城の命が消された時、仕事人たちが動き出します。
幕府のお偉方にもツテを持つ、事情通の花御殿のお菊(和久井映見)に、瓦屋の陣八郎(遠藤憲一)も引き続き登場。
必殺仕事人
東山紀之 主演 18年1月7日放送 ABC 夜9時から
ヤクザに娘を殺された恨みを晴らして欲しいと頼まれた仕事人たち。だが仕事の現場に頼み人が現れ、「この恨み、この手で晴らすが本懐!」と叫びながら、自らの手で相手を殺してしまう。顔を見られたリュウ(知念侑李)に代わって、その頼み人の口を封じた渡辺小五郎。だがそのあと、リュウはいなくなってしまう。
一方、街では、火を付けた焙烙玉を背負った若者が「我らの怒りを恐れよ!」と叫びながら人ごみの中に飛び込み、爆破自殺をする事件が連続して起きていた。焙烙玉も、頼み人が持っていた武器も、町人が簡単に手に入れられるような物ではない。小五郎はその後ろに、大きな組織があると考える。
そのころ、みなしごを引き取り無償で勉学を教える「すずらん塾」が話題になっていた。その主宰のすずらん(黒木瞳)は、祭で混雑する境内で焙烙玉事件を身を呈して防いだことで、さらに名声を高める。だがすずらんには裏の顔があった。みなしごの中から、今の世の中に不満を持ち、それを正すためなら犠牲を出してもいいと考える子を選び出し、壬生の幻楼(奥田瑛二)に引き渡していたのだった。幻楼は、武器を集め、恨みを持つ者を言葉巧みに操り、世に不満を持つ若者たちを「世のため人のため」とそそのかし、命を賭けて命令に従う私兵を作り、焙烙玉での自爆をさせていた。
仕事の現場にいた幻楼の配下の雀蓮(間宮祥太朗)の跡を付けようとして頭を打ったリュウは、記憶をなくし、幻楼の組織の一員となっていた。そして彼を見つけて連れ戻そうとした涼次(松岡昌宏)に襲い掛かる。
幻楼の顔を見た小五郎は、幼い頃に庄屋だった両親を殺した盗賊だと気づく。だが頼み人のいない仕事をするわけにはいかない。悩む彼に、旅からいつの間にか戻っていた主水(藤田まこと)が、そっと頼み料を差し出す。
そのほか、花御殿のお菊(和久井映見)に、瓦屋の陣八郎(遠藤憲一)、小五郎の義母・こう(野際陽子)と妻・ふく(中越典子)、小五郎の上司の増村(生瀬勝久)といったおなじみのメンバーも出演。また新たに小五郎の同僚で相棒に住之江彦左衛門(松尾諭)が登場しました。
1年3カ月ぶりの新作となった今作は、必殺復活からの10周年記念作品。亡くなった藤田まことを出演させるなど、豪華な作品となりました。
東山紀之 主演 19年3月10日放送 ABC 夜9時から
母が亡くなって一年、落ちこんで遺品整理も進まないふく(中越典子)に困っている小五郎は、気分転換してもらおうと家に招いた住之江(松尾諭)から、価値のある品物を欲しがっている人と人との橋渡しをしている弥吉(伊藤健太郎)という青年を紹介されます。遺品を仏像に替えてもらいふくも喜びますが、弥吉は手間賃をもらっていないと言います。
一方、怪我をして医者に行ったリュウ(知念侑李)は、そこでおたね(飯富まりえ)という娘に出会います。優しく手当てされて惚れそうになるリュウでしたが、彼女は弥吉と結婚の約束をしていました。弥吉は油問屋の手代で、よく働く絵に描いたような善人だと評判でした。彼の評判を聞きつけた豪商・上総屋清右ヱ門(西田敏行)は、弥吉のやっていることは『献残屋』という立派な商売で、弥吉に商売を始めないかと誘います。が、弥吉は断ります。
おたねの住む長屋がやくざ者に襲われ、母親が殺されてしまいます。奉行所に訴えた弥吉ですが、奉行所は上からのお達しがあり、訴えを聞いてもらえません。悔しさに沈む弥吉でしたが、お金を出せば恨みを晴らしてくれる仕事人の噂を聞き、一度だけと決め、手間賃をもらい、そのお金で頼み人となります。
再び、清右ヱ門から「金があればなんだってできる」と聞かされた弥吉は、油問屋を辞め、清右ヱ門を後ろ盾に献残屋を始めます。商売はうまくいき、羽振りがよくなった弥吉はおたねに、一緒にいれない代わりにと小判を渡します。さらに弥吉の店は繁盛し、弥吉は持ち前の善人ぶりで周りの人を助けようとしますが、それは清右ヱ門の望んでいないことでした。実は清右ヱ門は老中ともつながりがあり、おたねの長屋を壊した黒幕でもあったのです。弥吉は巧妙な罠をかけられ、清右ヱ門に言葉巧みに操られ、清右ヱ門が仲立ちをした将軍家と縁のある娘と結婚するために、おたねを手にかけます。
一命を取り止めたおたねは、弥吉にもらった金で仕事を頼みます。そして弥吉の祝言の夜、仕事人たちは仕事に出かけていきます。
花御殿のお菊(和久井映見)に、経師屋の涼次(松岡昌宏)、そして瓦屋の陣八郎(遠藤憲一)たち仕事人も引き続き登場。さらに渡辺家には、亡くなったこうの代わりに、こうの妹・綾小路てん(キムラ緑子)がやってきます。
新しい商売を始める若者たちを操る大商人に、真面目な若者が狂わされていく様子を描いた今作でした。
東山紀之 主演 20年6月28日放送 ABC 夜9時から
江戸の町では子を思う親の心に付け入る詐欺が横行していました。渡辺小五郎の勤める本町奉行所に、新しい奉行・湯川(市村正親)と与力・田上(杉本哲太)がやってきます。湯川はやくざ者の取り締まりを強化する方針を打ち出します。
庭師として、田上の屋敷の庭の手入れをしていたリュウ(知念侑李)は、引きこもりになっている田上の息子・新之丞(杉野遥亮)と親しくなります。リュウに触発されて外に出た新之丞は、若者たちに新しい考え方を無償で教える『新生塾』の溝端(駿河太郎)の講義を聞き心酔します。
小五郎は、町で助けた少女・おつゆ(古川凛)に懐かれ、家まで付いて来られてしまいます。おつゆの母・たけ(森川葵)は住み込みで働いていました。
涼次は飲みに行った店で、たけと出会います。たけは、いつか娘と小さな居酒屋をやるのが夢だと語ります。たけはすぐに贔屓の客に呼ばれて行ってしまいます。たけのことを贔屓にしていたのは、羽振りの良い若い男達で、彼らは実は半グレと呼ばれる、やくざ者と違って義理も人情もない分よけいにたちが悪い者たちでした。たけは彼らに店が安く手に入ると騙され、貯めていたお金を取られ、最後にはおつゆが見ている前で殺されてしまいます。おつゆを不憫に思った涼次は、おつゆに仕事人のことを教え、おつゆを頼み人に、仕事人たちは半グレの3人を始末します。
一方、新生塾に入った新之丞は、知らずに溝端から親を騙すための手紙を書かされ、詐欺の片棒を担がされていました。新生塾は詐欺の手下となる若者を見つけるために溝端が開いたものでした。そのことを知った新之丞は父に訴えようとします。しかし田上は、湯川から新之丞が首謀者だと聞かされ、新之丞の筆跡の手紙を見せられ、新之丞の言葉を聞かず、息子を殺し、自分も自害します。しかし真の黒幕は湯川でした。夫と息子を一度に亡くした田上の妻・しずえ(中島ひろ子)の恨みを晴らすため、仕事人たちは再び仕事に出ます。
仕事人の花御殿のお菊(和久井映見)を初めとして、小五郎の妻・ふく(中越典子)や、その叔母・てん(キムラ緑子)、小五郎の同僚・住之江(松尾諭)に、上司の増村(生瀬勝久)など、レギュラー陣も出演。リョウの武器が、剪定ハサミをばらした物に変更になりました。
東山紀之 主演 22年1月9日放送 ABC 夜9時から
同心の仕事にやる気を見せない渡辺小五郎を見かねて、与力の増村(生瀬勝久)は正義感の強い岡っ引き・亥ノ吉(岸優太)を付けます。小五郎を「親方」と呼ぶ亥ノ吉は、若者らしい無鉄砲さで、女性に乱暴しようとした旗本・岸田藤十郎(木村了)を捕まえてきますが、藤十郎は実は勘定奉行の息子で、すぐに無罪放免となります。
同じころ、経師屋の涼次(松岡昌宏)は、伊ノ助の弟で、旧知の若い絵師・才三(西畑大吾)と一緒に仕事をすることになります。涼次は才三の才能を認めており、人見知りの才三は涼次のことを慕っています。
藤十郎がまたも女性を狙っているのを見た亥之吉は捕まえようとしますが、奉行所は動きません。憤った伊ノ吉は「世の中には知られていない悪人がごまんといる」と才三に言い含め、水で薄めた酒を銘酒と偽り売って儲けた酒屋を告発する絵を、夜陰に紛れて酒屋の外に描きます。絵はたちまち話題になり、気をよくした亥ノ吉は世直しのためと、房楊枝を売り渋って値を釣り上げた楊枝屋を告発する絵を才三に描かせます。人が集まったところに十手を持った亥ノ吉が乗り込み、店の主人を問い詰めて罪を認めさせます。才三の絵は、人知れず一晩で描かれることから『晩来(ばんくる)』と呼ばれるようになり、亥ノ吉の元には世直しをしたいと考えていた勘太(須賀健太)たち若者が集まってきて、『世直し組』を結成します。
一方、瓦屋の陣八郎(遠藤憲一)は足を怪我して屋根に登れなくなり、リュウ(知念侑李)を誘ってそば屋を始めます。そのそば屋の初めての常連客となってくれた、辰巳芸者の美代(高月彩良)。彼女は亥ノ吉と才三の幼馴染みでもありました。しかし藤十郎に目を付けられ、手ごめにされそうになったのを拒んだ美代は殺されてしまいます。それを知った才三は、仕事人に仇討ちを依頼します。
晩来と世直し組の活躍はますます勢いを増やし、江戸の人々はいつ自分たちが釣るし上げられる側に回るかもしれないと、不安に怯え始めます。そして亥ノ吉たちがみなしごだった幼い頃によく握り飯を分けてくれた団子屋の老夫婦が、子供を虐待しているという噂に、世直し組が追い打ちをかけ、その心労で老夫婦は亡くなってしまいます。ですがその噂は誤解でした。正義を暴走させた亥ノ吉は、それを止めることができず、さらに暴走。才三は団子屋の老夫婦の仇を仕事人に依頼します。
前回の作品から約1年半後の放送となった今回、ウーバーイーツや、流行り病による居酒屋の時短営業など、時勢を取り入れた小ネタもたくさん。正義の振りをして不特定多数が1人を執拗に叩くSNSの事件を下敷きにした、熱い正義の心を持った若者が、その心の強さで暴走し、堕ちていく話でした。
花御殿のお菊(和久井映見)他、ふく(中越典子)や、その叔母のてん(キムラ緑子)など、主要配役は変わらず。リュウの武器は匕首になりました。
東山紀之 主演 23年1月8日放送 ABC 夜9時から
江戸では、疫病が大流行。かかると高熱で顔が赤鬼のようになることから鬼面風邪と名付けられ、
その病に対処するために、疫病改め方に天野景信(西村まさ彦)が付き、そこに渡辺小五郎は派遣されます。天野は、呉服屋の越前屋孫次郎(正名僕蔵)が私財で建てた
江戸養生所を紹介。腕が良いと評判の町医者・酒井東庵(橋本じゅん)とその助手の文代(秋元才加)もそこに呼ばれます。東庵は瓦屋の陣八郎(遠藤憲一)の幼馴染みで、
二人は子供のころ、どんなに貧しくても人に胸を張っていける生き方をしようと約束した仲。それを思い出さされた陣八郎は、体調の悪さもあって、心に迷いが生じます。
経師屋の涼次(松岡昌宏)は、近所に住む働き者の娘・あかり(志田彩良)が風邪をひいているのを見て、東庵のいる養生所で診てもらうことを勧めます。
しかし越前屋の目当ては、患者の数によって幕府からもらえる給付金でした。越前屋と結託している医者・玄斉(相島一之)は、ただの風邪だったあかりを鬼面風邪と診断して
牢屋のような隔離部屋に押し込めます。その仕組みを聞いてしまったあかりは、越前屋たちに殺されてしまいます。
魚屋をしていたリュウ(知念侑李)が、お得意様の文代とその父・源蔵(ガッツ石松)から聞いた話から、養生所の裏に気づいた仕事人たち。あかりの弟・田助(池川侑希弥)を
依頼人として仕事をします。
ところが給付金詐欺の首謀者は天野でした。天野は玄斉の代わりに東庵を抱き込もうとします。真面目に鬼面風邪の特効薬を研究していた東庵は、文代から特効薬の開発に
成功したと聞いて、己の虚栄心のために文代の功績を自分のものにし、天野が薬を高額で売るのを黙認。そのことを咎めた文代を殺します。源蔵から依頼された仕事人たちは、
再び仕事へ。しかし東庵に情けをかけた陣八郎が相打ちになってしまいます。
コロナと給付金詐欺を題材にした今作。ふく(中越典子)が小五郎に、あまびえの木彫りのお守りを渡したり、特効薬に「鬼滅丸」と名付けて人気が出そうというセリフがあったりと、
時勢ネタもありました。
花御殿のお菊(和久井映見)や、てん(キムラ緑子)に、増村様(生瀬勝久)と住之江さん(松尾諭)と、レギュラー陣は変わらず。リュウの身のこなしが格段に上がり、
住之江さんが増村様に対してちょっと生意気になりました。
東山紀之 主演 23年12月29日放送 ABC 夜9時から
リュウ(知念侑李)は、亡くなった瓦屋の陣八郎(遠藤憲一)の使っていた武器を手に仕事をするも、殺し損ない反撃にあいかけたところを、浪人に助けられます。彼は
花御殿のお菊(和久井映見)が助っ人を頼んだ流しの仕事人・雪丸(中尾明慶)でした。剣の腕は立つが、執拗なほどになます切りにしてめった刺しにする手口に、
渡辺小五郎は不快感を覚えます。
そのころ江戸の町では、残忍な殺し方から「人斬り牛鬼」と呼ばれる辻斬りが出没しており、奉行所をあげて探索が行われていました。その一方で、川に橋を架ける
大掛かりな土木作業が行われており、作事奉行の豊川大和守忠次(田山涼成)から見回りを強化するように頼まれていました。その工事は、仏のツネと呼ばれる
小間物問屋の女将・山崎ツネ(松下由樹)が一手に仕切っていました。リュウはその現場で働き、若くて腕のいい大工の六助(平井亜門)と知り合います。六助から
仕事をきっちりこなすことの大切さを説かれたリュウは、しくじってしまった裏の仕事に迷いを持ちます。
物価高で仕事道具の値上がりに苦しむ経師屋の涼次(松岡昌宏)は、借金を頼みに行ったお菊の家で、髪結いの棗(松下奈緒)に出会い、一目惚れ。生真面目な棗には
相手にされませんが、のちに踊りのうまい娘たちが歌って踊る「神田女子衆」という興行小屋の楽屋で再会します。女子たちの一人・きよ花(小西桜子)が休んでいるのを知り、
二人はお見舞いへ。そこできよ花が、興行主に騙され、興行小屋に金銭援助をしている人気女形・蔦八(野間口徹)たちに手籠めにされたことを知ります。きよ花は瓦版屋に
その話を持っていきますが、自分の名を売るために蔦八を利用したと世間から攻撃され、命を絶ちます。きよ花を熱心に応援していた梅蔵(黒田大輔)は、きよ花を手籠めにした
奴らへの復讐を三番筋に頼みます。的は四人。人を斬りたい雪丸から、リュウは手を引けと言われてしまいます。ところが仕事に乗り込んだ先で、的の蔦八が男装をした棗に
切り殺されるのを目撃。翌日、お菊と涼次が棗の家を訪ねると、棗は死のうとしていました。実は棗の夫は、商売を誹謗中傷で邪魔されて、亡くなっていたのでした。
そして形見の刀で鍛錬を積んだ棗は、夫を死に追いやった者たちに復讐をして回っており、それが人斬り牛鬼の正体でした。お菊は棗に仕事人になるように誘います。
橋が完成し、橋の周りは人が押しかけます。しかしその後の長雨で、橋は崩落。幾人もの人が亡くなり、六助の母親も犠牲になります。六助は、工事の現場を見に来ていた
ツネの落とし物から、工事が手抜きだったのではないかと疑い、山崎屋へ乗り込みます。豊川とツネは手を組み、手抜き工事で金を儲けていたのでした。それを知った六助は
殺され、罪をかぶせられます。しかし六助が書いた手紙から真相を知ったリュウは、六助に代わって復讐を頼みます。
仕事から外されたリュウを除いて、仕事に向かう涼次、雪丸、小五郎、そして初仕事の棗。しかし小五郎が豊川を追い詰めた時、雪丸が裏切ります。雪丸は用心棒に
雇われていたのでした。雪丸に代わってリュウが匕首で的を仕留めます。そして雪丸は小五郎に斬られます。
50周年となった今年、2本目の必殺仕事人スペシャルでした。奉行所の増村様(生瀬勝久)と住之江さん(松尾諭)、ふく(中越典子)に、てん(キムラ緑子)と、
レギュラー陣に変わりはありませんでした。
白虎隊
山下智久 主演 07年1月6日、7日放送 ABC 夜9時から
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悲劇の最期を遂げた会津の少年隊・白虎隊を、ジャニーズの少年たちを中心に、二夜連続の約5時間で描いた大作。
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白虎隊の直系の子孫・酒井新太郎(山下智久)は、朝帰りしたところを会津から来た祖母・敏子(野際陽子)に見つかり、こっぴどく叱られそうにな る。新太郎は、運悪く訪ねてきた篠田雄介(田中聖)とともに、祖母がいないところ、会津へと逃げる。ところが頼った優しい祖父・峰男(伊東四朗) は、二人を白虎隊記念館に連れて行く。そこには二人にそっくりな肖像画が飾られていた。
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会津藩では、幼少の頃から「什の教え」と呼ばれる教訓を叩き込まれ、会津魂を持つ武士になるようにと厳しく育てられる。酒井家の次男として 生まれた峰治(山下智久)もまた、病弱な母・しげ(薬師丸ひろ子)から「立派に生き、立派に死ね」と育てられ、藩一の名門の藩校・日新館に、幼 馴染の篠田儀三郎(田中聖)とともに入学する。
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だが幕末の動乱は、会津魂を貫き通そうとする藩主・松平容保(東山紀之)の会津藩を過酷に追い詰める。孤立無援となった会津藩は、峰治た ち16、17才の少年たちだけで結成された白虎隊をも、戦場に送り込むことを余儀なくされる。
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什の教えによって、母や家族以外の女と口を利いたことがなく、初陣がはじめての泊りがけの外出になるような少年たちは、藩のために命を賭 けて戦えることを誇りに思い出陣していく。だが猛攻撃を受け、散り散りになった隊士たちは、負傷し、疲弊し、ある者は倒れ、ある一団は街が燃 やされた煙に包まれた城を見て、城が落ちたと思い自刃する。また生きて城に撤退した隊士も、日夜銃弾の撃ち込まれる城内で女子供関係なく篭 城し、命をすり減らしていく。
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今からたかだか140年前の時代に、これほど気高く戦い死んでいった少年たちがいたとは。そんな少年たちの日常の風景も織り交ぜ、涙を誘っ た作品でした。
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北大路欣也 主演 13年1月2日放送 大阪 夕方5時から
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文久2年(1862年)、京都守護職を命じられた会津藩主・松平容保(伊東英明)に対し、会津藩家老・西郷頼母は強硬に辞退するよう諫言してい た。会津藩は飢饉が続いており、東北からは遠い京都を守るための財源の余裕はなかったのだ。
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会津の民のことを常に思い、領主のために民はいるのではないと説き続けながら、幕末の逆風にさらされた会津に生きた西郷頼母と、妻の千重 子(黒木瞳)を初めとする家族の話でした。
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毎年恒例の一挙七時間放送の新春ワイド時代劇。今年の提供もヤマダ電機でした。
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風雲児たち〜蘭学革命篇(らんがくれぼりゅうしへん)〜
片岡愛之助 主演 18年1月1日放送 NHK 夜9時から
日本の医学を大きく発展させた、オランダの医学書の翻訳『解体新書』の制作に取り組んだ前野良沢と杉田玄白(新納慎也)。しかし刊行された『解体新書』に、前野良沢の名前はなかった…。鎖国時代の日本で、オランダ語で書かれた医学書『ターヘル・アナトミア』の翻訳に臨んだ前野良沢と杉田玄白を中心とする蘭方医たちの苦労と心情を描いた正月時代劇。
原作はみなもと太郎の同名大河ギャグ漫画。脚本は歴史ファンを自称する三谷幸喜。お正月らしく、草刈正雄、山本耕史、村上新悟、迫田孝也など、同じ三谷幸喜脚本の『真田丸』の出演者をふんだんに使った豪華な配役でした。
橋爪功 主演 18年7月1日放送 関西 日曜夕方4時から
スカパーと時代劇専門チャンネルが、藤沢周平没後20年を記念して制作した新作時代劇、藤沢周平新ドラマシリーズ第二弾『橋ものがたり』の中の一作です。
壺振りの弥平は、六年ぶりに江戸に戻ってきた。世話になっていた親分に不義を働き、これまで逃げていたのだ。訪れた深川で、言葉を交わした女郎のおさよ(臼田あさ美)の身の上を聞くと、夫の借金を返すため、子どもと旦那を置いて、ここで働いていると言う。弥平は弟分だった徳治(杉本哲太)のとりなしで、親分の喜之助(岩松了)に詫びを入れる。喜之助は許す条件として、今度遊びに来る他国の親分からイカサマ博打で金を巻き上げることを命じる、しくじれば右腕をもらう、と。その喜之助の元で、おさよの夫・慶吉(波岡一喜)を見かける。おさよは慶吉が必ず買い戻しに来ると言った言葉を信じていたが、慶吉はどうしようもないクズだった。弥平は…。
原作の『橋ものがたり』は、10篇からなる短編集。短編らしく、1時間15分の放送時間でした。
望月歩 葵わかな 主演 23年1月6日放送 大阪 夜7時30分から
元和八年、江戸城では、次期将軍となる徳川家光(望月歩)が悩みを抱えていました。
一方の令和五年の東京でも、一人の若者(望月歩・二役)が進路について悩んでいました。そこに現れた幼馴染みの娘(葵わかな)の付き添いで、家の蔵から出てきた
家光が描いたという絵をテレビ番組『なんでも鑑定団』で鑑定してもらうためテレビ局に向かうことになります。通された部屋で収録の時間まで待っている二人の前に
現れた老紳士(里見浩太朗)は、絵を見て、二人にその絵が描かれたいきさつと、家光の隠された恋の話を始めます。
若き家光は、城での窮屈な暮らしに嫌気がさし、もっと自由に生きてみたい、将軍にはなりたくないと、教育係の大久保彦左衛門(里見浩太朗・二役)に言い出します。
売り言葉に買い言葉で、家光は十日で一人前の魚屋になるという賭けをすることに。彦左衛門は以前から知り合いの魚屋・一心太助(高嶋政伸)に、貧乏旗本の三男坊だと偽って
家光を預けます。十日で一人前になるように仕込むという無茶な願いですが、大恩ある彦左衛門の頼みでは断れないと、引き受けた太助と、その妻・お仲(戸田菜穂)。
尻っぱしょりもメザシも知らない家光の世間知らずっぷりに呆れながらも、二人は親身になって時に厳しく家光に魚屋の仕事を教えます。
怒られることになれていない家光も、十日の辛抱と耐えているうちに、魚の扱いや魚河岸の符丁、江戸っ子口調など驚異的な早さで覚え、江戸の暮らしになじんでいきます。
その中で出会った医者・杉野一庵(内藤剛志)と、その娘・お仙(葵わかな・二役)。医者の修業のため男の恰好をしていたお仙を、はじめは無礼な小僧だと思っていた
家光ですが、一庵とともにみなしごの世話をしていると知り、また大坂の戦で本当の両親を亡くしていた境遇などを知って、だんだんと心惹かれていきます。お仙もまた、
人とは違う大きな考え方を持った家光に好意を寄せていきます。
家光のいなくなった江戸城では、家光の弟を将軍に推す母・お江(財前直見)と本多正純(小林稔侍)が陰謀を画策。また魚河岸を乗っ取り、その上前を撥ねようとする
悪徳商人も現れ、不穏な空気に。太助たち魚屋の生活がおびやかされていきます。
男女逆転『ローマの休日』さながら、江戸の街に姿をくらましたプリンスの秘密の十日間。将軍の世継問題と、魚河岸の未来、賭けの結果に一回り成長した家光は
どんな決断を下すのか、そしてお仙との恋の行方は…
その他、彦左衛門の用人・笹尾喜内(中村梅雀)、家光の剣術指南役・柳生宗矩(本田博太郎)、その息子・十兵衛(上川隆也)、家光の乳母・お福(名取裕子)に、
在りし日の家康(高橋英樹)など豪華ゲストを配しての、テレビ東京七年ぶりの正月時代劇。お正月らしい、爽やか青春もので、時代劇俳優勢ぞろい、大立ち回りもある、
華やか明るい時代劇スペシャルでした。
原作は映画『江戸っ子祭り』(脚本・小國英雄、監督・島耕二)です。
水戸黄門SP〜ご老公最後の旅へ〜
里見浩太朗 主演 15年6月29日放送 MBS 夜9時から
2011年に第43部で終了した『水戸黄門』が、今夜限りの2時間スペシャルとして復活しました。
養子に出し、讃岐高松藩主となった息子・松平頼常(高橋光臣)が、自分を恨み、斬りかかってくる夢を見た光圀(里見浩太朗)。そのころ、次期将軍の有力候補の甲府藩主・徳川綱豊(永井大)が、刺客に襲われる。だが綱豊本人は、神輿として担がれるだけの将軍になどなりたくないと覇気がない。光圀は綱豊を連れて旅に出ることを提案。綱豊にも町人の姿をさせ、格さん(合田雅吏)、助さん(原田龍二)、八兵衛(林家三平)を連れて、江戸から甲府へ旅立つ。
甲府で藩を揺るがす悪事を暴いた黄門様一行。だが高松藩で頼常が、女と酒におぼれているという噂を聞き、今度は高松へ。
噂どおり、頼常は奇抜な格好で領内をうろついては、酒池肉林の日々。領民たちも困り果てていた。だがそれは、本当の悪人を誘い出すための芝居だった。高松藩での陰謀を暴いた一行。頼常も光圀と本音をぶつけ合い、親子の絆を取り戻す。また綱豊も、庶民の暮らしに触れ、よい将軍となる決意を固めた。
柘植の飛猿(野村将希)と風車の弥七(内藤剛志)も大活躍。弥七にはくノ一の部下が二人もできていました。
番組公式サイト http://www.tbs.co.jp/mito/
宮本武蔵
木村拓哉 主演 14年3月15日、16日放送 ABC 夜9時から
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テレビ朝日開局55周年記念ドラマスペシャルと題して、2夜連続、合計5時間近い放送でした。
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記念ドラマというだけあって、主役にキムタク、佐々木小次郎に沢村一樹、お通に真木よう子、沢庵和尚に香川照之と、出演者は話題の人ばか り。視聴率の取れる人を集めてのお祭りドラマかと思っていたのですが、通常の監督に加えてアクション監督をつけるなど、気合の入った作りこみ でした。特にアクションは今までにない斬新な感じで、スピードと迫力があり、見応えがありました。
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話題の人を集めただけあって、ビジュアルにも凝っていました。京の名門、吉岡道場の若き天才当主・吉岡清十郎は長い総髪でいかにも遊び人 っぽく、松田翔太の京都弁も似合っていました。佐々木小次郎もイメージどおりの長髪で、沢村一樹がさわやかな好青年に演じていました。しかし もっとも似合っていたのは、本位田又八のユースケ・サンタマリア。もう出てきた瞬間、「又八だ!」と思ったほどイメージにぴったりでした。
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原作の吉川英治の小説にほぼ沿ったストーリーで、関ヶ原の戦いから、巌流島での決闘までを描いています。前半は荒々しい武蔵が、だんだん と悟りを開いていくような展開でした。
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北川景子 主演 12年9月22日放送 ABC 夜9時から
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『この時代小説がすごい!2012年版』で一位を取ったベストセラーの映像化です。
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大坂で生まれた澪は、8歳の時に、大水で家族も家も失ってしまう。そんな彼女を見かねて拾ったのは、大坂一の名店・天満一兆庵の主人夫 婦。澪の舌に才能を感じた夫婦は、澪に板場での修業を付ける。しかしその天満一兆庵も火事で焼失。主人を失くし、女将の芳(原田美枝子)は 澪とともに息子を頼って江戸に出てくるが、息子は行方知らず。生活に困窮する澪は、蕎麦屋・つる家の種市(大杉漣)の好意で店で働けるように なる。だが水も、味の好みも、風習も、まるで上方と違う江戸の客たちからは、味がしない、女の作る物など食えるかと、散々な扱いを受けてしま う。そんな中、種市が腰を悪くし蕎麦を打てなくなる。店を任された澪は、時々ふらりと現れる謎の侍・小松原(松岡昌宏)から、厳しくも的確な助言 を受け、独自の合わせ出汁を作り上げる。その出汁で作ったとろとろ茶碗蒸しは評判を呼び、料理番付に載るほどに。しかしそのことで江戸一の 名店・登龍楼からやっかまれ、店に付け火をされてしまう。店を失い悲観に暮れる澪たち。そこに吉原から出られない花魁のために弁当を作って ほしいと又次(高橋一生)という遊郭の料理番が訪ねて来る。届け先は、あまりの美貌で幻の花魁といわれる・あさひ太夫。実は彼女は、大水に巻 き込まれるまで澪の親友であった大店の娘・野江だった。泣き虫の澪をいつも励ましてくれた野江が生きていたことに勇気づけられた澪は、屋台 でつる家を再建する。
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人相見に「雲外蒼天の相」と言われた澪が、慣れ親しんだ上方と様々な違いのある江戸で、女が料理人となることなど考えられなかった時代とい う二重の困難を乗り越えながら料理人として育っていく姿を描く、人情と根性の料理時代劇です。
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北川景子 主演 14年6月8日放送 ABC 夜9時から
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約2年前に放送され、好評を得たシリーズの第二弾となる続編です。
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前回、不幸な境遇になりながらも、工夫して作ったとろとろ茶碗蒸しが料理番付に載り、料理人として江戸の人々に認められた澪。勤めるつる屋 も繁盛しているところから始まりますが、澪が考えた季節の料理を、江戸一の料理屋・登龍楼に先に出されてしまうという事件が。さらに店を手伝 ってくれている、澪の恩人でもある長屋のお隣さん・おりょう(室井滋)が麻疹にかかり、生死の境をさまよう。そして火事でなくなった、前のつる屋の 跡地に同じ店名の女料理人がいる店ができ、そこで食中毒が発生、つる屋の評判は地に落ち、客が来なくなってしまいます。
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一方で、澪の幼馴染みで生き別れになったあさひ太夫(本名・野江、貫地谷しほり)が、別の遊女をかばって客から刺されてしまいます。治っても どうせ境遇は変わらないと生きる気力をなくしてしまったあさひ太夫を心配して、彼女のいる遊郭・翁屋の料理番の又次(高橋一生)が澪の作った 料理を食べれるよう、あさひ太夫のなじみ客が上方から取り寄せた鱧の調理を澪に頼みますが、翁屋の主人・伝右衛門(本多博太郎)は、女の料 理人を認めません。澪は、うまく料理できなかったら、料理人を辞めるという条件を飲んで、難しい食材である鱧の料理に望みます。
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今回も、身寄りをなくしても一生懸命に生き、料理人の修業を積む澪に、これでもかという不幸が襲いかかります。泣き虫の澪は、涙を流しなが らも、必死に立ち向かっていきます。
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情に厚いつる屋の主人・種市(大杉漣)や、両親を失くした澪の恩人で親代わりの芳(原田 美枝子)、そして忘れてはいけない、絶妙なタイミング で澪を助けてくれる浪人(?)の小松原(松岡昌宏)といった前作からのキャストに、やたらといちゃもんを付けるくせに、つる屋に通う人気戯作者の 清右衛門(片岡鶴太郎)が加わりました。
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みをつくし料理帖スペシャル
黒木華 主演 19年12月14日、21日放送 NHK 夜9時から
約2年半前に放送された連続時代劇の続編となるスペシャル版です。2週に渡って『前編 心星ひとつ』、『後編 桜の宴』それぞれ73分の作品でした。
『心星ひとつ』では澪の作る料理で盛況なつる屋に武家の妻女(佐藤めぐみ)が訪ねてくるところから、話が始まります。早帆と名乗った彼女は、澪に料理を教えて欲しいと頼みます。この早帆、実は小松原(森山未來)の妹で、澪のことを見に来たのでした。彼女の母が腎臓を患っていると知った澪は、医者の源斉(永山絢斗)に相談し、ほうき草の実を料理します。別名ははきぎと呼ばれるほうき草の実を食べられるように加工するには、大変な苦労がいり、澪の手はあかぎれだらけになります。澪は食べられる状態になったほうき草の実を早帆に渡し、調理の仕方を伝えようとしますが、早帆はそれを自分の家に来て料理して母・里津に出して欲しいと澪を連れ帰ります。里津は澪の荒れた手を見、また、澪の心のうちに秘めた恋心を聞き出した早帆から話を聞き、澪を小松原の嫁にと望みます。そして小松原からも嫁になって欲しいと告白を受け、澪はうれし涙を流します。しかしその後、旗本の家に嫁げば包丁を持てなくなると知り、愕然とします。悩む澪に、源斉は「迷った時は目印となる星、心星(しんぼし)を探す」と話し、澪はそれが、自分の料理を美味しいと食べてくれる人たちの顔だと痛感します。澪は辛い決断を下し、小松原に自分の正直な気持ちを打ち明け、涙を流します。
『桜の宴』では、澪の決意に、自分がすべて引き受けると答えた小松原が、自分が心変わりをしたことにして澪を守ります。すべてを知っている澪は小松原の辛さを想い、苦しみます。しかしつる屋の客たちは、澪が戻ってきたことを喜ぶのでした。
そんなある日、あさひ太夫(成海璃子)のいる吉原の大店・翁屋の主人の伝右衛門(伊武雅刀)がつる屋に澪を訪ねて来ます。上客を招いて開く桜の宴で、澪の料理を振る舞ってほしいという話でした。実は江戸一の料理屋・登龍楼の主・采女宗馬(松尾スズキ)が、伝右衛門が買って吉原で初めての料理屋を始めようとしていた土地を狙っており、それを断るためには伝右衛門は采女が納得するような料理を出さなければならないのでした。引き受けた澪は、高価な紅花をふんだん使った、春を感じられる料理を作り、好評を得ます。しかし采女は、付け合わせに山菜を使ったことを貧乏くさいとケチを付けます。そこにあさひ太夫が現れ、機知に富んだ歌でその場を納めます。宴のあと、澪はあさひ太夫となった幼馴染みの野江と語る時間を得ます。そして伝右衛門からは新しい店の料理人にと望まれますが、澪は断ります。もっと研鑽を積んで、いつかまっすぐ目を見て野江と会いたいからと。
女の料理人などなく、見下されていた時代に、泣き虫だけど芯の通った澪の強さが痛々しい程に感じる作品でした。
原作は田郁の同名小説です。
壬生義士伝
渡辺謙 主演 02年1月2日 テレビ東京
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中井貴一主演の映画の方ではなくて、テレビ東京系で正月時代劇として10時間ぶっ続けで放送された方です。放送中に、映画の方のCMバン バン流してて、ちょっと大丈夫なのか?とか思いました。原作は浅田次郎。
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「新選組で一番強かった男」吉村貫一郎(ちなみに実在の人物です)。南部藩の極貧足軽だった彼は、京の新選組の噂を聞き、妻子を養う金を稼 ぐために脱藩、新選組に加わる。そして手当てが出る仕事を好んでやり、「金の亡者」とののしられながらも、自分は生活を切り詰めて金を家族に 送り続ける。しかし時代の波は、新選組にも、そして身分を越えた親友と家族の待つ南部藩にも、容赦なく襲い掛かる。
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剣の腕は一流なれど、心優しい南部藩訛りのさえない男を、渡辺謙が熱演。素朴な人柄がにじみ出る演技も、ひとたび刀を抜いたときの悲痛な 気迫も、さすがは世界の渡辺謙(当時はまだハリウッド行く前だけど)と素直に思える実力です。特に後半、ボロボロになる貫一郎を、「けっこう大 物俳優の謙さんがそこまでしなくてもいいんじゃないの?」と心配になるぐらい、体当たりで怪演しています。またこのシーンが泣けるんですよ。
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全四話構成で、最後は子供の世代の話になるので、渡辺謙は出てこなくなってしまうのですが、これまた、子供たちが切ないいい演技をするので す。
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他の新選組隊士の配役も、なかなか似合っていると思います。特に近藤勇役の伊原剛志は、私の中でベスト近藤です。斎藤一役に竹中直人 は、乙女心には複雑ですが、人斬りのキラギラした感じは上手いなあ、と。
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10時間という長丁場ですが、時間を忘れて見入れる大作。武士と家族の切なさが詰まって、こんなに泣けたドラマは初めてです。ぜひ、食料と涙 対策のティッシュかハンカチを用意して、一気にどうぞ。(05.10.5)
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※あとで分かったのですが、伊原剛志は近藤勇役ではなくて、土方歳三役でした。すいませんでした。
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無用庵隠居修業
水谷豊 主演 17年12月24日放送 ABC 朝10時から
時は松平定信が寛政の改革を推し進めていたころ。枯れた隠居に憧れる日向半兵衛は、江戸城の警護を勤める直参旗本の大番士。子供の頃から世話を焼く用人・勝谷彦之助(岸部一徳)から、隠居をしたいなら妻をめとり、跡継ぎを作ってからに、さもなくば養子を向かえるようにと小言を受ける日々。江戸の街では辻斬りが横行し、倹約令と相まって、活気がなっていた。剣の腕が立つ日向は、同僚に見回りを誘いかけるが、同僚たちは皆、やる気がない。そんな中、日向も襲われそうになる。行きずりで助けた若者・相馬新太郎(田中偉登)と、辻斬りから同じ白檀の香りを感じた日向は、辻斬りの正体が新太郎の兄・安田兵庫(平山浩行)だと知る。安田は松平定信(杉本哲太)を恨み、斉藤与之助(野間口徹)の率いる世直し党に入っていた。しかしその世直し党の裏には、幕閣とつながりがあり、定信を貶める陰謀が企てられていた。
身寄りのなくなった新太郎を養子にし、憧れの隠居生活を始めた日向。だが陰謀の影はまだうごめいていた。
私利私欲に走る者たちの陰謀のために、無残に殺された者たちの仇を取るため、日向は知恵を巡らし立ち上がる。
出戻りで日向に好意を寄せる旗本の娘・奈津(檀れい)が大奥に潜入したり、日向が長谷川平蔵(榎木孝明)と友人だったりと、出演者も多岐に渡り華やか。ストーリーも二転三転して見ごたえありました。
原作は海老沢泰久の同名小説。
BS朝日にて9月15日に放送された作品が、このたび地上波での放送となりました。
名奉行!遠山の金四郎
松岡昌宏 主演 17年9月25日放送 МBS 夜8時から
桜吹雪でおなじみの遠山の金さんをTOKIOの松岡昌宏が演じる3時間スペシャル。
北町奉行の遠山金四郎は、遊び人の金次に化けて、常日頃から市中を見回っていた。世は水野忠邦が老中になった時代、倹約令が布かれ人々の間にはうっぷんがたまってきていた。そんな折り、金四郎が放蕩をしていた若い頃、世話になった魚問屋の粂島屋(西田健)が、吉原で人気の花魁・朧月(実咲凛音)と心中する。人徳があって評判もいい彼が、妻子と仕事を放り出して心中するなんて考えられない金四郎。調べていくうちに、その裏には魚河岸の移転に絡んだ悪だくみが明らかになっていく…。
金さんの他にも、居酒屋『おかめ』の主人で密偵も引き受ける又五郎(平田満)に、女鼠小僧のおせん(稲森いずみ)、金四郎のことが大好きな母親・寿々(原田美枝子)、金四郎と対立する南町奉行・鳥居耀蔵(加藤雅也)、金四郎の後ろ盾となる若年寄の樋口出雲守勘解由(北大路欣也)など、いろいろな人物が入り乱れての豪華作品。最期はもちろんお白洲で、証人を呼んで来いと開き直る悪人たちを前に、桜吹雪を見せての啖呵のお決まり名場面も。
松岡昌宏 主演 18年8月13日放送 МBS 夜8時から
昨年9月に放送された松岡昌宏主演の遠山の金四郎の2作目です。3時間を越えるスペシャルでした。
異国船来航で江戸城内があわただしくなっているころ、水野忠邦の倹約令による締め付けで、庶民の間では不満が巻き起こっていました。そんな中、金さんたち行きつけの居酒屋おかめの看板娘、おたね(渡辺麻友)は、貸本屋の政吉(山崎裕太)といい仲に。政吉は、20年前に異人たちに攻められて江戸が壊滅する絵を描いた咎で死罪となった浮世絵師・月次郎の絵が好きで、彼の描いた美人画の水茶屋の娘に、おたねがよく似ていると言います。
江戸の町では不審火が相次いで起こっていました。その現場に毎回居合わせる、浮世絵師の歌川国芳(吹越満)が疑われますが、下手人は月次郎をあがめる若者たちの集団だと分かります。ところがその首謀者の伊之助(村上新悟)が殺されてしまいます。そして政吉も追われる身に。
金さんは伊之助を援助していた後ろ盾がいると目をつけます。その人物を、江戸に戻ってきていたおせん(稲森いずみ)が、危険に身を投じて証拠を盗み出し、示唆してくれます。
一方、おたねは、政吉の言葉から、美人画のモデルが自分の母親ではないかと思い、調べ始めます。そして父の又五郎(平田満)から、真実を聞き出します。
そして襲われる国芳を助けたことで、金さんは謎の真相にたどり着きます。
今回、猫が大好きで猫がいないと仕事ができないと言う国芳の屋敷の猫や、金さんが拾う子猫と、猫がたくさん登場。金さんが拾った子猫は、金さんの母親・寿々(原田美枝子)に銀ちゃんと呼ばれて可愛がられます。妖怪とあだ名されて嫌われる金さんのライバル・鳥居耀三(加藤雅也)も健在。『江戸を斬る』で遠山金四郎を演じた里見浩太朗も、花火師棟梁役でゲスト出演していました。
樅の木は残った
田村正和 主演 10年2月20日放送 ABC 夜9時から
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70年にはNHKで大河ドラマ化された、山本周五郎の大作小説のドラマ化です。
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舞台となるのは徳川四代将軍のころ、実際に仙台藩で起こったお家騒動である、伊達騒動。仙台藩三代藩主である伊達綱宗が、遊興放蕩を理 由に蟄居引退を申し渡される。そして新たな藩主となったのは、わずか二歳の亀千代。その後見役となった伊達兵部は、藩をわたくしものにし始 める。兵部には、藩の取りつぶしを進める幕閣の要人・老中筆頭の酒井雅楽頭との、仙台藩の石高を半分にした後、残りの半分を与えられるとの 密約を交わしているという噂があった。
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藩吟味役・原田甲斐は兵部に取り入り、国家老に取り立てられる。他の心ある重臣からは裏切り者とそしりを受けることになる。400年近くの間、 裏切り者と思われてきたこの原田甲斐を、山本周五郎は大胆に解釈。藩を救うため、敢えて兵部の懐に入り、その密約の証拠をつかみ、そして自 分の命と名を犠牲に藩を救う憂国の士として描きました。
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孤独に戦い抜いた忠義の士・原田甲斐を田村正和が寡黙に熱演。原田甲斐の気の置けない友人・伊東七十郎に山本耕史や、最初の犠牲者と なった藩士の娘・宇乃に井上真央など、脇役陣も見どころあり。また笹野高史が憎らしげに伊達兵部を演じていたのも印象深かったです。
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反町隆史 主演 10年1月2日放送 大阪 昼4時から
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毎年恒例のテレビ東京系の新春ワイド時代劇。今年はとうとう7時間の放送となりました。ちなみに今年の提供はヤマダ電機でした。
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将軍家指南役・柳生但馬守宗矩(高橋英樹)が、徳川家康(石橋蓮司)に命じられて作った柳生武芸帳。三巻からなるその巻物は、江戸城、柳 生家、京の薮左中将嗣長卿の元にそれぞれ保管されていた。だがその武芸帳には、三巻揃えると徳川幕府を揺るがす秘密が隠されていた。
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その武芸帳を巡り、宗矩を不倶戴天の敵と憎む山田浮月斎(松方弘樹)は、三巻揃えて天下を獲ろうと暗躍し、江戸城にある武芸帳が盗まれた ことでその存在を知った、反幕派の公家・中ノ院大納言通村(京本政樹)や、お家再興を望む佐賀の竜造寺家の遺児・夕姫(逢沢りな)なども、武 芸帳を狙い始め、熾烈な争奪戦が展開される。宗矩から武芸帳の奪還を命じられた柳生十兵衛もまた、その戦いの場へと身を投じたのだった。
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戦いの場は江戸から、尾張、京へと西へ西へと移っていく。その中で十兵衛は、出会った夕姫への思慕を覚え、盲目的に従っていた父への疑問 を抱いていく。そんな十兵衛と行動を共にする弟・又十郎(速水もこみち)もまた、中ノ院の娘・桔梗(菊川怜)と恋に落ちるも、兄とは違う決意をす る。また浮月斎を父と慕い、その命令に従っていた多三郎(山本太郎)も、浮月斎への疑念を抱き始め、似た境遇の十兵衛に敵愾心を募らせる。 武芸帳の争奪戦は、いつしか父と子の葛藤へと移っていく。
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柳生武芸帳は誰の手に、そしてそこに書かれた秘密とは。十兵衛は徳川幕府を守れるのか。
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原作は五味康祐の同名小説。松平健など、ゲストも多数でした。 |
吉原裏同心〜新春吉原の大火
小出恵介 主演 16年1月3日放送 NHK 夜7時30分から
約1年半前に放送された同名作品の続編スペシャルです。お正月らしい、レギュラー全員集合の話でした。
神守幹次郎と汀女(貫地谷しほり)が吉原で暮らすようになってから、三度目の正月を迎えます。そんな折、薄墨太夫(野々すみ花)と人気を二分していた香瀬川太夫(安達祐実)が神隠しにでも遭ったかのようにいなくなります。調べていくと、つい先日にも、市川(朝倉あき)がいなくなっていました。もちろん、女が簡単に大門を抜けられるはずもなく、吉原を仕切る四郎兵衛(近藤正臣)から幹次郎は捜査を頼まれます。そのうち、市川に似た女が深川の岡場所にいると噂を聞き…。
事件の裏には、自分の欲望のためなら、どんな非道もやってのける血も涙もない男達の姿が。遊女たちの切ない願いを踏みにじる彼らに、幹次郎は、怒りの鉄槌を下す。
中村七之助 永山瑛太 主演 21年1月2日放送開始 NHK 夜7時20分から
「天才かく覚醒せり」とサブタイトルのついた、NHKの正月時代劇です。
裕福な青物問屋の長男として育った枡屋源左衛門(中村七之助・のちの伊藤若冲)。絵を描くことへの情熱が抑えきれず、弟の勧めもあり、絵描きとなります。ある日出会った茶人・売茶翁(石橋蓮司)の紹介で、相国寺の僧で詩人の大典顕常(永山瑛太)の元を訪れます。大典は若冲の絵の才能に気づき、彼の絵のために力を貸すことを約束、若冲もそんな大典を心の支えに、絵の修業に励みます。池大雅(大東俊介)や丸山応挙(中川大志)との出会いも経て、若冲は大典の「この世の森羅万象、そして仏を描いて欲しい」という希望をかなえるため、『動植綵絵』という前代未聞の大作を仕上げます。
若冲と大典、二人の心の絆と愛を描いた作品でした。
新井浩文 主演 17年11月19日放送 NHK 夜9時から
坂本龍馬が暗殺される5日前に出した手紙が見つかるなど、近年新たに見つかった史料を元に、龍馬暗殺前の30日間の彼とその周りの人物の動きを追った、60分の作品でした。
大政奉還を成し遂げた坂本龍馬は、さっそく新国家の実現に向けて動き出す。新しい国の中枢には、薩摩、長州、徳川、そしてその三者から中立にある福井の協力が不可欠だと考え、一堂に集めての会議の場をもうけようとしていました。しかし、あまりに目立ちすぎる彼の動きを土佐藩は警戒し、暗殺を企む。日本を一つにまとめるため、時には嘘やはったりも交えて人を動かす龍馬は、薩摩、長州、徳川からも疎まれ始めていた。尽力した新国家構想の実現にやっと一歩踏み出した彼の知らないところで、彼の死の運命の時は迫っていた。
淡々とした展開ながら、最後の松平春嶽(筒井道隆)の言葉が重く響く、龍馬暗殺の黒幕を新たな仮設で描いた作品でした。
上白石萌音 主演 24年5月4日放送 ABC 夜9時から
岡っ引きの兄・六蔵(満島真之介)とその妻・およし(野波麻帆)の一膳飯屋『姉妹屋』で働くお初は、仕出しに行った武家屋敷で火事に遭います。炎が迫る中、死者の声を
聞いてみなを誘導し、お初たちは助かります。後日、不思議な話が好きで収集している南町奉行の根岸肥前守(坂東彌十郎)に呼び出されたお初。不思議な事件を自分の代わりに
集めてきてほしいと言われます。根岸は火事の時のお初の様子を見ていたのでした。お初は、相方として付けられた与力見習いの吉沢右京之介(京本大我)とともに、死人憑きになった
という職人の男に会いに行きます。
お初たちに襲い掛かろうとする職人の男の顔に、お初は別の浪人の顔が重なって見えます。そしてのちに男が幼い女児を殺害していたことが分かります。
根岸に呼び出され、浅野内匠頭が切腹したという田村家に連れていかれたお初と右京之介。赤穂浪士事件から百年経った今、庭の岩が毎夜震えるというのです。震える岩を見たお初は、
重なって見えた浪人と別の浪人が斬りあっている幻を見ます。そして岩が震え出したのは、職人の男が死人憑きとなったのと同じころだと知り、二つの怪異はつながっていると考えます。
今度は幼い男子が殺される事件が起こります。この下手人にも同じ顔が見えたお初。死人憑きが次々と乗り移る相手を変えていることに気づき、浪人の素性をお初と右京之介と六蔵は
調べます。浪人の名は内藤安之介(味方良介)といい、生類憐みの令が出ていた時代に、子供を襲おうとしていた犬を斬り、その罪で浪人となり、貧困と絶望の果てに妻と娘と息子を
斬り殺していたのでした。死んだ人間の想いを知ってしまうことに疲弊していたお初でしたが、次の事件を防ぎ、安之介の魂を救いたいと奮闘します。
一連の事件を解決したお初に、根岸は「霊験お初」の二つ名を付け、今回の事件を自身の随筆集『耳袋』に記したのでした。
特殊効果もふんだんに使ったホラー時代劇です。原作は宮部みゆきの小説『霊験お初捕物控』です。