戦国の乱世に松平家の嫡男として産まれた徳川家康。今川家の人質として暮らしながらも、大樹公と慕われる今川義元の元で、
京にも劣らない文化都市駿河での生活に幸せを感じていました。しかし今川と織田信長(岡田准一)の戦で義元が破れ、世界は一変。昔から松平家に仕える家臣たちに担がれ、
家を背負って乱世を生き抜かなくてはいけなくなります。重圧のかかる選択の連続に家康は逃げ出したい日々を送りますが、愛妻・瀬名(有村架純)と息子を信長に殺されたことで、
天下を獲り戦のない世を作ると決意します。
江戸幕府を開いた近世の覇者、誰もが知る徳川家康を、家族や家臣たちの絆とともに描いた今作。
毎回のように入るナレーション(寺島しのぶ)が家康のことを「我が君」と呼び、神のような扱いをしたり、その一方で家康がいつまでも頼りなかったり、なかなか斬新な脚本と演出が
目立った、今までにない大河ドラマでした。(2024.1.27改稿)
徳川無頼帳
西城秀樹 主演 92年4月14日〜9月29日 テレビ東京
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徳川三代将軍・家光の剣術指南役だったはずの柳生十兵衛。ふらりと訪れた吉原で、浮橋太夫(成田和未)に一目惚れ。ところが彼女のそばに は廓幻之介(JJサニー千葉)と名乗る怪しい(白の着流しに、真っ黒でフリンジのついたショール。おまけに超ロングのポニーテール。見るからに 怪しい)男がいて。
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実はこの幻之介、正体は徳川忠輝。徳川家康の子でありながら、生まれた時から鬼っ子と呼ばれ、政権から遠ざけられていた男。浮橋大夫は、 元は武将の娘であり、関ヶ原の戦いの折り、諫言を嫌った忠輝に無残に殺された父の仇を取るため、苦界に身を落としていたのだった。第一回目 で、それは忠輝を厭うた者の策略だったと分かり、見事、浮橋は本物の父の仇を討つ。目的を失った浮橋たちに、これからは世直しのために戦お うと幻之介は言ったのだった。そして十兵衛と幻之介は、吉原総名主・京屋庄左衛門(ハナ肇)の客人となる。
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というわけで、放蕩剣士・十兵衛を中心に、吉原を舞台に、十兵衛と腕は互角の幻之介、浮橋大夫、そして彼女付きの花魁たち(その正体はくノ 一。でもなぜか男も一人混じっている)の活躍劇が始まる。
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が、そこはただの勧善懲悪話にはならない。叔父のことを疎ましく思う家光の刺客と戦ったり、柳生家の後継者争いがあったり、そうかと思えば 大名の姫君が花魁になりたいとやってきたり、とにかくスケールがでかくて、話が深く、そして荒唐無稽の面白さ。それもそのはず、企画協力を深 作欣二、監修をJJサニー千葉(千葉真一)、となればJACもふんだんに登場、というより製作がジャパンアクションクラブ、テレビ東京。しかも撮影 は日光江戸村。これでもかという、慣習にとらわれない面白作品生み出す要素が詰め込まれまくり。これで面白くならないはずがない! ただ一つ の欠点(?)は、あまりに千葉=十兵衛の印象が強すぎて、つい西城秀樹の十兵衛を見て、なんか千葉真一、顔変わった?と勘違いをしてしまうこ と(私だけか?)。そこらへんも含めて楽しめること請け合いの作品です。(09.8.22)
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殿さま風来坊隠れ旅
三田村邦彦 西岡徳馬 主演 94年4月2日〜10月1日 テレビ朝日
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次期将軍候補の、紀州の殿様・治貞公(三田村邦彦)と、尾張の殿様・宗睦公(西岡徳馬)。ところが二人とも「将軍なんてやりたくない」と勝手に 城を抜け出し旅に出てしまう。
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浪人に化けた治さんと、町人(渡世人?)に化けた宗さん。それに二人を慕う、素性を知らないお供たちも加えての、お互い「おまえが将軍になれ よ」と言い合う、付かず離れずの珍道中。彼らの後ろには、城に連れ戻そうとするそれぞれのじいたちも追いかけて来るが、所詮はじい。すぐに二 人にまかれては、じいどおし慰めあったり。でも大丈夫、二人は謎の色男隠密・村垣市蔵(京本政樹)がちゃんと見守っているから。
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そんな二人も根は善人。旅先で、苦しんでいる人を見ると、手助けし、その背後に悪政ありと分かるや、二人して乗り込んでいく。
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見栄を切り、名を問われた二人が、ばっ!と着物を脱ぐと、紫と緑の殿さま装束に身を包んだ二人が現れる!着物は元より、下着、髷、さらに武 器までもが変わっている大変身!
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ばったばったと敵を退治した後は、また何事もなかったかのように、旅に戻る。最後には水戸の殿様まで家出(城出?)してきて合流するという、 国の政治が心配になる一作。
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余談ながら、西岡徳馬はこのときの殿様装束とそっくりの格好で、『暴れん坊将軍』で将軍職を狙って、吉宗を暗殺しようとする尾張の殿様を演じ てました。実は将軍になりたかったのか?(05.9.11)
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窪田正孝 栗山千明 主演 09年1月10日〜3月7日 NHK 夜7時30分から
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武家の三男に生まれながらも、体が弱く、刀に至っては医学書を買うために売ってしまって竹光という、ヘタレ青年・緒方章。その章が大嫌いな 大坂の町で出会ったのは、剣の達人で男装の美女・左近。目を引く左近が気にかかる章だが、おどおどはっきりしない章に、左近の方はけんもほ ろろ。住む世界が違うと、ぴしゃり。だが医者を目指す章が、誰よりも心優しく、命を守ることに関しては強い心を持ち、医学にかけては誰にも負け ないものを持っているとわかり、左近も章を認め始める。
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左近が厳しく、他人を寄せ付けないのには訳があった。実は彼女は、浪花の宮の昔から大坂の町を守ってきた闇の組織「在天別流(ざいてんべ つりゅう)」の一員だったのだ。事件に巻き込まれた章を助け、時には怪我して助けられ、2人は次第に心を通わせていく。だが所詮は日の光の元 を歩む医者の卵・章と、影から町を守る左近の道は交わらない。正直な大坂の町が好きになってきた章だが、江戸に留学することになり、別れを 迎える。
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後に大阪に「適塾」を作り多くの逸材を輩出し、天然痘の撲滅に尽力した蘭法医・緒方洪庵となる章。だがまだここでは頼りない等身大な彼の成 長と、感嘆するほどの凛々しい美貌と武芸を持つ左近とのもどかしい関係、そして2人の切ない別れを描いた青春時代劇です。
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原作は、築山桂の「禁書売り」、「北前船始末」。大阪局制作の30分時代劇。全九回。浪花の華が今開く!(09.4.7)
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ぬけまいる〜女三人伊勢参り〜
田中麗奈 ともさかりえ 佐藤江梨子 主演 18年10月27日〜12月22日 NHK 夜6時5分から
かつて「馬喰町の猪鹿蝶」と呼ばれ、ブイブイ言わせていた三人娘。男勝りで喧嘩っ早いお以乃(ともさかりえ)、おとなしいけど実は剣の達人のお志花(佐藤江梨子)、男にもてて目利きもできるお蝶(田中麗奈)。ゴロツキよりも強く、娘たちの憧れの的だった三人でしたが、華やいでいたのは
昔の話。三十路を前にした今、お志花は身分の高い武家に嫁に行き、玉の輿に乗ったと思ったものの、意地の悪いお姑にいびられ、夫は上司のゴマすりしか興味なし。お蝶は家の小間物屋を自分の才覚で建て直し、婿も取ったものの、家族からは疎まれ、家に居場所がない。お以乃にいたっては、火消しの纏い持ちや料理人に憧れ弟子入りするものの、どれも長続きせず、自分のやりたいことも分からず、実家の一膳めし屋を手伝う日々。どうにもぱっとしない毎日に愚痴を言い合ううちに、伊勢へ抜け参りに行くことを思いつき、着の身着のまま、ひしゃくをお供に旅に出る。
旅先では、だまされて一文無しになったり、老夫婦を助けて商売を始めたのが大当たりしたり、関所抜けをしたり、いなせな渡世人と恋に落ちたり、波乱万丈。何があっても猪鹿蝶の三人がそろえば、怖いものなし。才覚と度胸と愛嬌と人情で切り抜ける。はたして三人は、昔のいっち輝いていた自分を取り戻せるのか? そして無事に伊勢に着けるのか?
現代の女性の悩みにも通じる内容でありながら、楽しく見れてスカッとさわやかな気持ちになれる、近年珍しい旅もの娯楽時代劇でした。
原作は、浅井まかての同名小説です。(19.2.4改稿)
猫侍
北村一輝 主演 13年10月2日〜12月18日 サン 水曜夜8時54分から
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元加賀藩剣術指南役で、かつては「まだら鬼」と呼ばれ恐れられた、堅物の浪人・斑目久太郎。妻子を残して江戸に出てきたものの、金はなくな る一方。そんな時、飼い主を腑抜けにしてしまう化け猫を切ってくれと頼まれる。謝礼金目当てに引き受けたものの、いざ猫を前にすると、その愛 らしさに、殺せなくなってしまい、殺したことにして、連れ帰ってしまう。
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それまで猫など飼ったこともない斑目は、突然始まった白猫・玉之丞との生活に戸惑うことばかり。猫見屋のお七(高橋かおり)のアドバイスや、 長屋の隣に住む若菜(平田薫)のひたむきさに助けられ、玉之丞と暮らしていくうちに、段々と閉ざしていた心を開いて、人ととしての大切なものを 思い出していく。
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ところが、水責めの政(ユキリョウイチ)と呼ばれる凄腕の同心(強面なのに実は猫大好き)が、玉之丞殺しの下手人探しを始める。せっかく心を 通わせ始めた斑目と玉之丞との生活はどうなってしまうのか。
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時代劇というよりは、動物癒し時代劇なこの作品。癒しと笑いをくれる、一回30分の日光江戸村作品でした。来春には映画も公開です。(14.1.27 改稿)
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北村一輝 主演 15年4月4日〜6月20日 サン 土曜夜11時から
こわもての元・加賀藩剣術指南役の浪人・班目久太郎と、愛くるしい白猫・玉之丞のコンビが、一年半ぶりに復活です。
再び士官の道を求めて、玉之丞とともに江戸に戻ってきた班目久太郎。ところが、新しい長屋の大家・菊乃(森カンナ)は猫を飼うことを禁止します。士官先はなかなか見つからず、口入屋「ぴんはね」(モト冬樹)は変な仕事を押し付けてくるし、なぜか久太郎の家の前が野良猫のたまり場になったり、「猫見屋」(高橋かおり)の店番をしたり、猫神様に会いに行ったり、『大江戸猫選び』で蜂谷孫三郎(本宮泰風)から勝負を挑まれたりと、毎回いろんことが起こります。
前作よりゆるく、遊びの多い作風になった今作。玉之丞のかわいさと、班目との絆の深さが楽しめます。
秋には映画も公開予定です。(15.7.24改稿)
大野拓朗 主演 17年1月10日〜3月21日 サンテレビ 火曜夜10時30分から
世は泰平。忍びの里での厳しい修業を終えて、任務のために江戸に出てきた霧生家の新米忍者・久世陽炎太。初仕事で忍び込んだ屋敷で、陽炎太は一匹の猫(金時)と出会う。
実は、陽炎太の尊敬する父・剣山(船越英一郎)は15年前に失踪していた。父を追いかけた林の中で幼い陽炎太(鈴木福)は一瞬、父によく似た猫を見かける。屋敷で出会った猫は、その時の猫にそっくりだった。猫を父が変化した姿だと信じた陽炎太は、忍びの掟を破り、猫を連れて帰ってしまいます。
猫の父上と暮らし、町の人たちと交流するうちに、固く閉ざしていた陽炎太の心は和らいでいきます。果たして猫は本当に父親なのか? そして掟破りの陽炎太の運命は?
『猫侍』のスタッフが再集結して作られた、猫と若い忍びの物語です。全11回。(17.4.24改稿)
滝沢秀明 主演 14年1月9日〜3月20日 NHK 夜8時から
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甘酒屋(でも誰も商売をしているところを見たことがない)の次郎吉と呼ばれる遊び人風の男。その正体は、夜な夜な武家屋敷に忍び込んでは千 両箱を盗み出し、小判を貧しい庶民に配る義賊、怪盗・鼠小僧!
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でもこの鼠小僧、普段は斜に構えているわりに、底抜けのお人よし。千両箱の代わりに、頼まれごとを持って帰ってきてしまうこともしばしば。そ んな彼に協力するのが、妹の小袖(忽那汐里)。女ながらに剣術道場に通い、小太刀の名手です。巻き込まれた難事件も、二人が力を合わせれ ば華麗に解決します。
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次郎吉のすぐそばにいながら、いつも鼠小僧を取り逃がし、鼠を捕まえることに執念を燃やす岡っ引きの徳五郎(嶋政宏)や、次郎吉の正体に うすうす気づいている美人医師の千草(片瀬那奈)たちも、話に色を添える大事な存在。
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今夜も江戸の町を、ダークヒーロー鼠小僧が、駆けていく…。タッキーこと滝沢秀明の鼠小僧は、数々の舞台で鍛えた身の軽さを活かしてのアク ションもたっぷり、甘いマスクにスタイリッシュな装束で、文句なしのかっこいい鼠小僧に仕上がってました。猫っぽい妹・小袖との掛け合いもみどこ ろです。
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原作は赤川次郎の同名小説他、鼠シリーズ。一話完結の全九回でした。(14.4.14改稿)
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鼠、江戸を疾る2
滝沢秀明 主演 16年4月14日〜6月2日 NHK 木曜夜8時から
2年前に放送され、好評を得たタッキーの鼠小僧が帰ってきました。
働いている気配のない甘酒売り・次郎吉の正体は、庶民の味方・鼠小僧。軽い身のこなしで夜な夜な悪どい金を盗み出しては、貧しい者へと配る。腕っぷしはめっぽう強いのに、その心は困っている人を見るとほおって置けないかなりのお人よし。せっかく盗んだお金を全部あげてしまったり、騒動に巻き込まれたり。
そんな鼠をそばで助けるのは、小太刀の名手で、彼といっしょに暮らす妹・小袖(青山美郷)。
素の姿は意外と子どもっぽいところのある次郎吉ですが、鼠の時はクールでかっこいい、そのギャップと華麗なアクションが見どころのヒーロー娯楽時代劇。赤川次郎原案の全八回の作品でした。
前シリーズの紹介文はこちら
番組公式サイト http://www.nhk.or.jp/jidaigeki/nezumi2/
逃亡者おりん
青山倫子 主演 06年10月20日〜07年3月23日 大阪 金曜夜8時から
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唐突に復活したテレビ東京系の時代劇。しかも三ヶ月間放送が主流の中で、いきなり半年間の長丁場、さらに主役は時代劇はもちろんドラマ初 主演の女性、原作なしという、チャレンジ精神全開の作品でした。しかしこれがなかなか、内容もチャレンジ精神溢れるもので、昨今はなくなってし まったエンタメアクション時代劇の歴史に、新たな一ページを刻み込んだ大作となりました。
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時代は、九代将軍・徳川家重の御世、御庭番頭領が八代将軍・吉宗を暗殺したことにより、御庭番は解散、変わって将軍を守るために作られた のが暗殺集団『手鎖人』。御庭番頭領を父に持つおりんは、追跡者から身を守るため、この手鎖人に入れられる。しかし、手鎖人頭領・植村道悦 が、実は天下を狙っていると知ったおりんは、手鎖人を脱走。道悦に乱暴されて産み落とした子が、殺されずに生きていると知って、その子に会う ために、逃亡の旅に出る、というストーリー。
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おりんを追って、毎回、道悦の放った刺客が登場するのですが、なにせ忍者のようなやつらなので、とてつもなく個性的。金棒振り回したり、水の 中から現れたり、フリスビー型爆弾を投げてきたり。対するおりんの武器は、小太刀と、右手首の鎖。この鎖、普段はただの鉄の輪ですが、ひとた び腕を振るえば、相手を串刺しにしたり、首を締めたりと変幻自在。一体、材質はなんなのか、最後まで謎でした。その上、おりんの戦闘服はなぜ か黒のレオタード(片肩出し)。お色気もばっちりです。
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はじめのころは、アクションや演技、CGの下手さ具合が気になってしかたなかったのですが、回を追うごとにめきめき上達。最終回は、興奮して 眠れないほどの面白さでした。
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共演者は、宅麻伸、あおい輝彦、左とん平、梶芽衣子、倉田てつを、田中健と時代劇ベテランばかり。特に悪役は初めてと言う榎木孝明演じる 植村道悦は、その憎々しさと不死身加減がかなり楽しめました。
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「逃亡者」と書いて「のがれもの」と読ませたりと、セリフや演出もなかなか興味深く、おりんの刺客を倒した後の決め言葉「闇の鎖、また一つ切りま した」は、ひそかに流行らないものかと期待してみたり。続編の製作も決まっていないのに、最終回で新たに伏線を張ってみたりと、作り手は続編 やる気満々。なんとしてでも続編を作ってもらいたいものです。(07.4.15)
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青山倫子 主演 12年1月21日〜4月7日 大阪 土曜深夜2時25分から
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06年〜07年に放送された『逃亡者おりん』が、三つのスペシャルを経て、連続ドラマになって帰ってきました!(深夜の30分枠ですが)
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長く続いた手鎖人頭領・植村道悦との戦いを終え、闇の鎖をすべて断ち切ったおりん。だがその戦いの中で、吉原炎上の罪を着せられ、再び 「逃亡者(のがれもの)」となった。生きる目的を見失い廃人同然となったおりんだったが、逃亡の旅の最中、道連れとなった娘・おみね(小峰玲奈) が、おりんをかばって死んでしまう。多くの人の命を救うためにすべきことがあったというおみねの、いまわのきわに託した願いを聞いて、おりんは 再び立ち上がる。おみねの願いは、彼女の持っていた書状を、次の新月までに美濃藩の筆頭家老・水谷へ届けること。しかしその書状を狙って、 刺客集団・剣草がおりんに襲いかかる。そしてもう一人、謎の若侍・望月誠之助(渡辺大)もまた、書状を狙っておりんに近づいてくる。
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あまりの非道さに伊賀を追われた抜け忍で構成された刺客集団・剣草。書状を奪うために、おりんと関わった人たちを容赦なく殺していく。その 仕打ちに思わず叫ぶおりん。どうして罪のない人たちを殺める? その答えは、おまえが逃げるからだと。このシリーズのおりんにとって、「逃げる ことは生きること」。逃げ続けなければ、その先に待っているのは死。せっかく生きる目的を見出したおりんに、過酷な運命が襲いかかります。
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キーパーソンとなるのが、「だちかん」(美濃の方言)が口癖の望月誠之助。侍のくせに剣がめっぽう弱く、怖がり。初めは書状を狙うおりんの敵 のようであったが、目的が同じと知り、しだいに二人の距離は縮まっていきます。
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非常に過酷な物語ですが、一方で、首領の酉兜幽玄(福本清三)に呼び出されて毎回一組登場する、東映剣会の役者たち総出演の剣草の刺客 たちは、奇をてらっていて、そのキャラクターに圧倒されます。番組内だけでも抱腹の面白さなのですが、公式サイトに新設された『剣草図鑑』に載 っている各剣草の説明は、剣草の生い立ちや裏話的な記述もあり、スタッフが遊んでいるとしか思えないような面白さでした。
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そんな剣草と対決するおりんのレオタード姿への変身や、必殺技「手鎖御免!」も毎回趣向を変える手の込みよう。わずか30分に、時代劇な話 に、お約束も抑え、迫力ある殺陣シーンも入れるという、非常に内容の濃い作品でした。
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愛用の短刀を抜いて「りんどうが泣いている」、とどめにはおなじみの手鎖を使い「剣草一輪、散らしました」と、新しい決めゼリフとともに始まった、 薄幸の変身ヒロインおりんの新たな修羅の旅、深夜番組とは思えないボリュームと、深夜番組だからできるチープさの、珠玉の結晶時代劇。民放 最後の連続時代劇の看板に恥じない作品でした。(12.5.7改稿)
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小栗旬 主演 14年10月13日〜12月22日 関西 月曜夜9時から
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修学旅行で歴史テーマパークに来ていた高校生のサブローは、塀から飛び降りた拍子に戦国時代にタイムスリップ。そこで自分そっくりの顔をし た織田信長と名乗る侍に、自分の代わりに信長をやってほしいと頼まれる。テーマパークのアトラクションだと勘違いしたサブローは、ノリノリで承 諾。だが城に行くなり敵襲の知らせを受けて戦場へ。そこでこれが本当の戦国時代だと知る…。
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当時の信長はまだ織田家を継いだばかりで、他国だけでなく身内にも命を狙われている状況。乳兄弟である池田恒興(向井理)を初めとする家臣からも偽物の信長だとバレると殺される。元々、逃げ癖のあるサブローは、何度となく逃げ出そうとしますが、そのたびに思い直して戻ってきて、現状を良い方向に変えるべく、頑張ります。そんな彼に、家臣たちの信頼も厚くなっていきます。
正室の帰蝶(柴咲コウ)も、はじめは形だけの夫婦だったのが、サブローの奇抜な物言いを面白く思うようになり、優しい心に次第に気持ちを寄せていきます。2人のラブコメっぽいやりとりも見どころです。
一方で、信長に恨みを持つ、元・忍びの木下藤吉郎(山田孝之)や、本物の信長が顔を隠し、明智光秀と名乗って、家臣に加わります。一難去ってまた一難の繰り返しの中で、この2人の策謀によって、家臣一番の知恵者の竹中半兵衛(藤木直人)が殺されたところで、最終回。続きは15年12月公開予定の映画でと予告が出て、驚かされました。
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軽いノリが好きで、優しい心根を持つ今時の男子高校生が、厳しい戦国の世で、歴史上の傑物・織田信長として、アイデアと人情でなんとか生き抜いていく、時代劇というより、タイムスリップトレンディドラマな作品です。
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フジテレビ開局55周年記念プロジェクトの作品であり、最も注目されていると言われる月9ドラマ枠での放送だけあって、キャストは旬の人ばかり でした。原作は石井あゆみの同名マンガ『信長協奏曲(のぶながコンツェルト)』です。
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玉森裕太 主演 13年1月11日〜3月15日 ABC 金曜深夜0時24分から
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平成のフレンチシェフのケンが、記憶を失くして目覚めたところは戦国時代だった。
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Kis-My-Ft2・玉森裕太を初単独主演にした金曜ナイトドラマ初の時代劇で、タイムスリップものと聞いて、なんちゃって時代劇かと思ったら、時代 考証や史実をしっかり抑えた勉強にもなるような堅実派な作品でした。
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ケンはなにも分からないまま織田信長(及川光博)の軍勢に捕まり殺されかけるも、行き場のないケンを助けた刀鍛冶の夏(志田未来)の、ケン の作る料理はうまいから食べてくれという説得で、命をつなぐ。夏の打った包丁を手に作った料理が認められ、ケンは信長の料理番になる。
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ケンは「戦を終わらせる料理」や「相手を心変わりさせる料理」など信長の出す無茶な注文を、次々とこなしていき、しだいに信長の信頼を得てい く。またケンも信長やその家臣たち、この時代で出会った人たちに親しみを覚えていく。そんな中、ケンの記憶に残る女性・瑤子(香椎由宇)もまた タイムスリップしてこの時代に来ていることが分かり…。果たしてケンは死と隣り合わせのこの時代を生き抜くことができるのか、そして平成には帰 れるのか?「いざ参らん、戦国のキュイジーヌ」
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森可成(宇梶剛士)や木下藤吉郎秀吉(ゴリ)、明智光秀(稲垣吾郎)など信長の家臣を初め、足利義昭(正名僕蔵)や顕如(市川猿之助)といっ た仇役も登場。丁寧な時代考証や史実をベースに、アニメキャラのようにかっこいい信長と、ただのシェフとは思えない知識と技術豊富なケン(な にせ牛の乳からバターを作ったり、酵母を自作しパンを焼いたりする)の、乱世を切り開いて進んでいく物語でした。
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原作は同名漫画(原作 西村ミツル 漫画 梶川卓郎)。です。(13.4.1改稿)
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玉森裕太 主演 14年7月10日〜9月4日 ABC 木曜夜7時58分から
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平成のフレンチシェフが戦国時代にタイムスリップ。そして信長の料理人になる…、そんな奇抜な設定ながら、しっかりとした時代考証で人気を博 し、深夜ドラマの放送から一年半。続編がゴールデンタイムへと進出して放送となりました。しかも初回は2時間スペシャルでした。
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話は信長(及川光博)包囲網が続く元亀元年から始まります。石山本願寺の顕如(市川猿之助)、浅井長政(河合我聞)、将軍・足利義昭(政名 僕蔵)と、信長の周囲は敵ばかり。さらに身内も誰がいつ裏切るか分からない状況。信長の料理人・ケンは、特に松永弾正(笹野高史)と明智光秀 (稲垣吾郎)に気をつけるが、光秀もまたケンを注視していて、なにかとあれば未来の情報を聞き出そうとしてくる。さらには濃姫(斉藤由貴)から捕 えられたり、武田信玄(高嶋政伸)に拉致され、甲斐に連れて行かれたりと、ケン自身にも危険が迫る。そんな中で、信長の信頼もますます深ま り、彼の出す命令も困難なものに。時に命懸けでケンは、それらの危機を料理の腕で切りぬけていく。合言葉は、「いざ参らん、戦国のキュイジー ヌ!」
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一方で、ケンの命の恩人で、常になにかと助けてくれる夏(志田未来)との関係の進展も注目でした。
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本能寺の変は起こるのか?、いつ起こるのか? とハラハラさせられたのですが、今回も起こらず、含みをもたせた終わり方だったので、きっと 続編があると信じています。(14.10.9改稿)
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山本耕史 主演 12年10月18日〜12月27日 NHK 木曜8時から
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同年7月〜9月にNHKのBSプレミアムで放送された作品が、地上波で早くも放送です。
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品行方正で性格は穏やか、剣を取れば江戸随一と言われる丹下典膳。そして縁あって彼の元に嫁いできた、上杉家家老の娘で、たぐいまれな る美貌の持ち主・千春(柴本幸)。仲睦まじい夫婦となった二人だが、その先には過酷な運命が待ちかまえていた。時は奇しくも元禄時代。まだ赤 穂藩に仕える前の中山安兵衛(高橋和也)と知り合う典膳。友情を結ぶ二人を、赤穂藩断絶の事件が引き裂く。
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以前にも映画化された五味康祐の同名小説を原作に、ジェームス三木が脚本。片腕の剣豪・丹下典膳を、山本耕史が美しくはかなくさわやかに 演じます。
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忠臣蔵の裏側が隠し味の、妻の名誉を守るため、片腕を斬り落とされた丹下典膳と、その彼を深く愛し続けた千春の、剣と愛の物語です。
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八丁堀の七人
片岡鶴太郎 主演 06年1月16日〜3月6日 ABC 月曜夜7時から
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人情厚いことから「仏の旦那」と呼ばれる北町奉行所町方同心・仏田八兵衛(片岡鶴太郎)と、「剃刀」と呼ばれる切れ者与力・青山久蔵(村上弘 明)、そして八兵衛の同僚五人で「八丁堀の七人」。
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シリーズ七作目にして最終シリーズ。(たぶん。少なくても放送時の公式サイト発表ではそうなっていた)。全七話の短いものでしたが、最後だけあ って全体に見ごたえたっぷりの話ばかり。
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シリーズ初めこそ、上司青山対部下たちの構図があったものの、すっかり強い絆で結ばれてしまった七人。そこにさらに厳しい上司・年番方与力 黒沢左門(平泉成)が赴任。同心が本来は世襲制でないことを上げ、北町奉行所のてこ入れを計る。だが、そこには別の思惑もあるようで、青山 の右腕である八兵衛にことさら強くあたり、いきなり物書き同心に左遷命令。
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一方、このシリーズの裏のメインストーリーでもある、八兵衛と、同居中の女医の弥生(萬田久子)の恋仲に発展しそうでしないラブコメ。前シリー ズ末で預かっていた少女・おやいもいなくなり、いよいよ進展かと思ったところに、なんと弥生に思いを寄せる男出現! しかもその正体は黒沢左 門!
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とまあネタ盛りだくさんな設定を、毎回派手なあおり文句をつけて進展させるという、一話完結の時代劇では難しい手法を使ってくれました。しか も最終回残り五分が、時代劇ではおそらく初めてだろうと思われるような誰の予想も裏切る衝撃的なラスト!
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元々、時代劇というより、刑事もの、もしくは平会社員と中間管理職の会社ドラマという感じのハードボイルドな作品色が、さらに洗練されたような シリーズでした。(06.3.24改稿)
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井上真央 主演 15年1月4日〜12月13日 NHK 日曜夜8時から
幕末の長州で、下級武士の娘として産まれ育った文は、河原で一人涙を流していた小田村伊之助(後の楫取素彦・大沢たかお)を、兄の吉田松陰(伊勢谷友介)と引き合わせます。親友となった二人は、文には人と人を結びつける才能があるのかもしれないと感じます。そして小田村は、文の姉・寿(優香)と結婚。藩政の中核人物となっていきます。一方、11歳にして藩主に兵学を指南するなど、天才の名高い松陰が開いた松下村塾には、様々な若者が集まり、日夜議論を闘わせていた。文は時には彼らに交じり、彼らを支えていきます。そして塾生の一人、久坂玄瑞(東出昌大)と結婚。
しかし、時代は列強国が日本に押し寄せ、一刻の猶予もない時。松陰は己の志と情熱を抑えきれずに行動した結果、投獄されます。そして塾生たちもその意志に続くように戦乱に身を投じていきます。久坂もまた京都の動乱の中で命を落とし、家名断絶となります。
文は才能ある若者たちの死に対する憤りのぶつけ先を探して、長州藩の奥御殿への勤めを希望。美和と名を変え、産まれた藩主の嫡男の養育係になります。しかし明治の世となり、奥御殿はなくなります。
その後、楫取素彦と名を変えた小田村伊之助は、群馬の県令に。病気の寿と楫取の身の回りの世話のため、美和も群馬で暮らすことになります。生糸産業で大きく飛躍しようとしていた群馬で、美和は楫取を支えながら、働く女性たちの教育問題に取り組みます。そして…。
人と人との縁をつなぐ能力を持った文が、吉田松陰や高杉晋作(高良健吾)など、熱い志を持つ若者たちを集め、時に支え、奮い立たせ、見守っていきます…。キャッチコピーは「幕末男子の育て方。」でした。ポスターでも使われていた大きな丸いおにぎりを、皆に配るシーンも印象的でした。
幕末から明治にかけて、長州を舞台に多くの志士たちの生き様と、辛い経験を乗り越え、志を貫いて学ぶことをやめなかった一人の女性の物語です。(16.2.19改稿)
新はんなり菊太郎
内藤剛志 主演 07年1月11日〜3月1日 NHK 木曜夜8時から
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過去に二度放映されたシリーズの、三年ぶりの第三シリーズ。
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公事宿『鯉屋』に居候する田村菊太郎は、京都奉行所の同心組頭を務める田村家の長男でありながら、正妻の子である弟に家督を継がせるた めに出奔した、心優しい男。人情にも厚く、それでいて腕も立つ菊太郎が、現代で言うところの宿泊所つきの弁護士事務所な公事宿を舞台に、熱く 奔走するという、人情探偵もの。
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第二シリーズの最後で「すぐに戻る」と言い置いて、江戸に旅立った菊太郎が、三年ぶりに帰ってくるところから話は始まります。三年も音沙汰が なかったことに、菊太郎の恋人・お信(南果歩)を取り巻く人々は怒り、お信を隠れさせてしまいます。その上、そこに江戸から菊太郎を追いかけて きたという娘・お凛(星野真里)まで現れて、三角関係のまま、菊太郎とお信は会えずに最終回までもつれこむ、恋愛話が今シリーズ通しての筋に なっています。
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京都が舞台の、京都で撮影された作品。原作は澤田ふじ子の『公事宿事件書留帳』シリーズです。全八回でした。
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秘太刀 馬の骨
内野聖陽 主演 05年8月26日〜9月30日 NHK 金曜夜9時15分から
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石橋銀次郎(内野聖陽)は剣のこととなると、子供のようになってしまう青年。それだけに剣の腕は神道無念流の免許皆伝。彼が浅沼半十郎(段 田安則)とともに、伯父の小出帯刀(近藤正臣)に、家老の暗殺に使われた、馬の首を一撃で落とす剛剣『秘太刀 馬の骨』の使い手を探すように 命じられたことから話は始まる。ところが、話は藩政を揺るがす意外な方向へと発展していく。
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みどころは、「馬の骨」の創始者がいたという矢野道場の門弟との試合で使われる、いわゆるチャンバラとは違う、木刀を使った実戦に近い迫力 ある殺陣。
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CGを多用する一方で作り物の蝶を飛ばしたり、不思議な舞台装置、場面転換の演出など、実験的な演出を精力的に取り入れていた。またED は和装のトランペッター。この過剰なまでの迷走する演出に、賛否両論。同じ時間帯に放送された、同じ藤沢周平原作・内野聖陽主演の『蝉しぐ れ』が原作のイメージを忠実に再現し、好評だったために比較されて、一部で大論争を巻き起こしました。
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演出の影に隠れがちだが、主役の内野聖陽がとてもいきいきと楽しげに銀次郎を演じており、とても魅力的。他の出演者もベテランぞろいで、と てもいいキャラクターがそろっている。
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全六回という短い放送でしたが、時代劇史上に残る(と私は思う)迷作。(05.10.7改稿)
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東山紀之 主演 09年1月9日〜6月26日 ABC 金曜夜9時から
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必殺シリーズ第一弾の『必殺仕掛人』の放送開始から37年、シリーズの中でも特に人気の高かった『必殺仕事人』の放送から30周年を記念し て、17年の時を経て始まった新シリーズです。2007年と、2009年の正月に放送されたスペシャルの続きでもあります。
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新たな仕事人となったのは、三人。南町奉行所見廻り同心で、入り婿だけどどこかの誰かさんと違って大事にされているのにもかかわらず、やる 気なしなしの渡辺小五郎(東山紀之)。食道楽で派手好きで、絵師でもある経師屋の涼次(松岡昌宏)、愛した人の忘れ形見・作太郎(前田航基)と 小料理屋を切り盛りする、からくり屋の源太(大倉忠義)。源太は仕事人であることに悩んだ末、人を信じて殉職。源太に代って加わったのが、奇 抜なファッションに身を包んだ悪たれだけど、根はいい奴な、仕立て屋の匳(田中聖)。また、常磐津の師匠で仕事人を束ねる情報屋・花御殿のお 菊(和久井映見)に、なんと中村主水(藤田まこと)も健在! 毎回、殺しの的、頼み人等、ゲストも豪華でした。
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主役3人がジャニーズという異色作ながら、仕事人シリーズのお約束もきちんと踏まえたつくりとなってます。特に殺し技は往年のものを踏まえて おり、小五郎は刀での殺陣、涼次は笛に仕込んだ長い針で心臓を一突き、しかもそれをレントゲンの演出、源太はからくり蛇での首絞めと首刺し、 匳は針付きのしつけ糸での、アクション+首絞めとなっていました。
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前半は、夜早い時間帯に放送されたことや、規制の厳しい昨今の事情を踏まえて、おとなしい演出、話の筋となっていたのですが、匳が加わった 13話あたりから、必殺シリーズの真髄ともいうべき残虐でグロい描写が盛り込まれるようになり、ぐっと面白くなりました。源太の死や、最終回にか けては、二話にかけての続きものにするなど、ストーリーの深さもたっぷり。特に21話から最終回にかけての仕事人狩りの話は盛り上がりました。 (09.7.11改稿)
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姫将軍大暴れ
本倉さつき 主演 95年4月3日〜96年3月25日 テレビ東京
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他の地域では知りませんが、関西では再放送でもないのに平日の朝(金曜の8時半からだったと思う)からやっていた。しかも日光江戸村で撮 影、製作されていたというカルトな番組です。
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主人公は天秀尼といって、豊臣秀頼の子・千姫の養女、つまり豊臣と徳川両家を親戚筋に持つ、スーパー高貴血筋の尼さん(実在の人物)。な のに徳川家康より天下世直し勝手の印を受け、旅に出ちゃうというとんでもないおてんば娘なのです。
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普段は男装のはではでしい侍の格好で、お供にお付の尼さんやら柳生十兵衛(!)を引き連れ、若い娘らしく甘い物をぱくついたり(尼さんなのに いいのか?)しているが、ひとたび悪政や悪人に悩まされているか弱き庶民を見つけると、原因究明に乗り出し、時には天秀尼みずから太夫に変 装して色仕掛けで真相を探る。そして最後にはお決まりの悪の本拠地へ殴りこみ。要するに水戸黄門そっくりの筋立てなのだが、最後の見せ場が すごい!
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悪人たちに誰だと問われれば「上野のお山の姫天狗。そなたらの悪行明々白々」と神々しい尼さん姿で登場。逆切れ悪人たちを錫杖で殴りまく る。免許皆伝の腕前とやらで、強い強い。しかもアクション俳優だから、高飛びやらアクション激しい殺陣するものだから、時々太ももチラリ(これの 前番組「細川隆一郎の天下御免」の看板コーナー『世直し天秀尼』では毎回、丸見えだったのだが、この番組に昇格するにあたり、大幅に減らされ た)。最後には「この方をどなたと心得る!」の決まり文句に、はらりと一枚脱ぐと、印籠代わりに家康公直々にいただいた「葵の袈裟(赤地の袈裟 にどど〜んと胸に金で葵の紋の刺繍!)」が現れる!
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アクション得意で殺陣も完璧、容姿もスタイルも良し、お色気も厭わない、の三拍子揃った江戸村劇団一押しの本倉さつき。久々に大河ドラマ(タ イトルど忘れ。ごめんなさい)に女中役で一回だけ出てきてトンボを切った後、とんと見ていない。今は、どうしてるんだろう? 埋もれさせるには惜 しい人材だと思うのだが。(05.7.14)
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阿部サダヲ 主演 24年6月23日〜7月7日 NHK 毎週日曜 朝6時10分から
文政13年、定火消しの安藤重右衛門は物見やぐらの上で空を見上げていました。別名、歌川広重。歌川一門の絵師ですが、人気絵師の葛飾北斎(長塚京三)や
同門の歌川国貞(吹越満)と違い絵が全然売れず、貧乏暮らしで祖父には嫌味を言われる日々ですが、妻の加代(優香)だけは何事にも「承知しました」と笑顔で寄り添ってくれていました。
ある日、ベロ藍という舶来の染料を使った浮世絵を見て、自分もこの色で描きたいと痛烈に心を動かされます。ベロ藍を使って描いた名所絵は多少は売れたものの、
絵を描くこと以外に何も頓着しない北斎や、求められる絵を描くと割り切っている国貞と比べてしまい、小さいことが気になる性分で、まだ自分が描きたいものさえ見つからない広重は、
絵師を辞めようかと悩みます。ですが加代は、辞めるなら定火消しの方だと励まします。
最後のお勤めに京への護送を終えて江戸に戻ってきた広重を待っていたのは、新たに絵草子屋を始めた保栄堂の竹内孫八(高嶋政伸)でした。加代が通っていた質屋で出会った孫八は、
広重に『東海道五十三次』を描くように依頼します。そして浮世絵を買うのはつましく暮らす庶民であり、「つましくつまらぬお人ゆえ、描けるものもございましょう」と焚きつけます。
広重の描いた、日常を切り取ったような温かい絵は、とても売れました。広重の元には名所絵を頼む版元が押し寄せます。次々と頼まれるまま依頼をこなす広重は、描きたいものが
分からないまま。ある日、縁側で繕い物をする加代の横顔を見て、ふと心動かれます。しかし広重が売れっ子作家となり、懐の心配もなくなった矢先、加代が倒れます。
『東海道五十三次』を描き、海外にまでファンを作った歌川広重の半生をいた今作。青空と雨の対比がよく効いた作品でした。3月にBS4K、4月にBSで放送された作品を、
全3回に分けて地上波での初放送です。
原作は梶よう子の同名小説です。(24.7.14改稿)
風雲!江戸の夜明け
織田裕二 主演 89年1月10日〜3月28日 テレビ東京
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主人公は将軍になったばかりの徳川家光。まだまだ遊びたい盛りのお年頃の彼は、市中見回りと称して、春日局の隙を見てはお忍びで江戸の 町にふらふらと出て行ってしまう。
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超世間知らずな家光のサポートをするのは、専属のお庭番役を仰せつかった美雪(杉浦幸)と小太郎(片桐光洋)の姉弟。普段は芝居一座の座 長と、女形もできる看板役者(元チビ玉ですから!)として暮らす彼ら。その芝居小屋に城を抜け出した家光が遊びに来るとこから、だいだい話は 始まる。
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もともと正義感が強く、剣の腕もひそかにお庭番二人よりも強いっぽい家光。事件に巻き込まれることもあれば、自分から関わっていく場合もあ り、周りの人間は心休まるときがない。しかし30分でしっかり解決する手腕は、ひそかに歴代時代劇ヒーローよりも上かも。
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主役三人がとにかく若い。こっそり家光と美雪は恋に落ちてる様子もあり、ナレーションでやたらと「まだまだ青春したい家光……」やら「青春真っ 盛りの家光」等々、『青春』が強調される。
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一方で、忍装束になったとたんに量と長さが増える小太郎の髪の毛や、雪の降る中、防寒具なしで素足の将軍・家光(痛々しいほど寒そう)等の チープさ加減もなかなか笑わしてくれます。時代村作品おなじみの、池上公司の柳生十兵衛も時々出てますよ。(05.9.23)
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内野聖陽 主演 07年1月7日〜12月16日 NHK 日曜夜8時から
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戦国の乱世を、力いっぱい生きた、愛した武将、山本勘助の物語。武田信玄に仕えた天才軍師で、隻眼で片足を引きずるという異形の彼を主 役に据えた、07年のNHK大河ドラマです。原作は井上靖の同名小説。
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主役が、一説には実在となかったとも言われる謎多き人物であることもあり、群雄割拠の時代に生きた武田晴信(後の信玄)をはじめとする武田 家臣団、近隣の敵でもある武将たちとその家臣たちを、余すことなく重厚に、また魅力的に描ききった、まさに大河ドラマな作品でした。またそれを 演じた役者たちも、個性的な実力者が多く、演技のぶつかりあいも魅力の一つでした。
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見た目だけではなく、知的で野心家で自信家で、けれども心の内の内には弱い部分もあるという一癖も二癖もある勘助を、のぴのぴと奔放か つ、重厚でどこか憎めず、不思議と魅力的に体現した内野聖陽。彼が心奪われ、すべてをささげようと誓った武田晴信を、幅広い演技と歌舞伎独 特の顔のしぐさ、声の張りで演じた市川亀治郎。その団結力強い家臣団には、甘利虎泰(竜 雷太)、飯富虎昌(金田明夫)、教来石景政(高橋和 也)、小山田信有(田辺誠一)、真田幸隆(佐々木蔵之介)。そして中でも晴信の守役でもあった板垣信方を演じた千葉真一は、板垣の最期ととも に自分も引退宣言をするほどの完全燃焼で演じました。そしてその板垣亡き後には、長髪をそのまま垂らし、カラーコンタクトを入れ、直垂の登場 人物の中で一人狩衣姿でとおし、戦ともなれば西洋鎧で白馬にまたがるという、前代未聞のビジュアル系な上杉謙信を演じたGacktが登場。途中 参加でありながら、その存在感と貫録は主役たちと十分に渡り合えるものでした。その軍師・宇佐美定満(緒形拳)も、勘助とは対照的に落ち着い た知的さを備えた演技でライバルの存在感を発揮。また、その他の近隣武将たちも、今川義元(谷原章介)や北条氏康(松井誠)と、一筋縄ではい かない者ばかり。死力を尽くした彼らがぶつかりあう物語が面白くないわけがありません。
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男臭い色の濃いこのドラマですが、女性の話も、生涯でただ一人、勘助のことを好きになり、勘助の本質を見抜いていたミツ(貫地谷しほり)をは じめとして、滅ぼされた国の姫や武将の妻や娘の話などあります。また、ミツのいた葛笠村出身で、勘助にくっついて武士になった元農民たちとの 掛け合い等、笑える部分も要所に盛り込まれています。熱いドラマだけではない、非常にバランスのとれた作品でした。
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全編を通して、画面にくぎづけ、心を震わす、まさしくカッコイイ男たちの夢(勘助は番組当初からずいぶんと長い間、仕官先を探す浪人だった)と 愛の物語。まれに見る良作でした。(08.1.20)
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瀬戸康史 主演 17年6月10日〜7月15日 NHK 土曜夜8時15分から
勤番で江戸に出てきた、高野藩衣紋方の坂田伴四郎。気弱でのんき者涙もろい伴四郎は、食べることと妻のすず(三吉彩花)が大好きで、故郷に残してきた妻と娘のことを思い出しては泣いてばかり。同じ衣紋方の、出世ばかり考えている叔父の宇治井平三(平田満)と、幼馴染みの矢沢五郎右衛門(田中圭)も少し呆れ顔。
江戸名物を食べに入った店で知り合った同郷の中間に、「冷めたものばかり食べている我が藩の殿はみじめで哀れだ」と似顔絵付きでからかった伴四郎。ところがその中間は、お忍び中のその殿様・松平茂照(草刈正雄)本人だった!
叔父からやっかいごとを押しつけられたり、弱みを握られた殿から無茶振りをされたりする人の良い伴四郎は、そのたびにすずが書いて持たせてくれた料理指南書の料理を作ります。
いつもおっとり、ごはんを食べればにこにこの伴四郎と、いつもは切れ者なのに伴四郎の前ではちょっと子どもっぽい殿様を始め、高野藩士と江戸の人々たちの、30分一話完結ほのぼのグルメ時代劇です。
同年1月からBSプレミアムの夜ドラの枠で放送されていた作品ですが、事情あって急遽、地上波での放送となり、一話削られたり、最終回が編集で短くされたりと、ひどい扱われ方でした。
原作は土山しげるの漫画『勤番グルメ ブシメシ!』です。(17.8.21改稿)
瀬戸康史 主演 19年1月19日〜3月9日 NHK 土曜夜6時5分から
18年1月に、BSで30分枠として放送された作品が、38分の拡大版となって地上波に登場。
幕末の江戸を舞台に、食べることと妻のすず(三吉彩花)のことが大好きで、他のことはからっきし、涙もろくて出世にも興味がない、武士らしくない高野藩衣紋方酒田伴四郎。前シリーズでは、すずが書いてくれた料理指南書を見ながら料理を作ることで、数々の難問を解決してきた伴四郎。そのことで殿(草刈正雄)から褒美をもらい、街でも評判に。ところが何が起こったのか運命は一変して、切腹を申しつけられ、逃げたところを捕えられ、気が付いた時には、南海藩の人足部屋に売り飛ばされていた!
衝撃的な始まり方をした今作。実は、南海藩は高野藩と折り合いが悪く、殿の嫡子・清之助(若山耀人)の出自にまつわる書状が南海藩に盗まれ、それを伴四郎に取り返してきてほしいという、殿からの密命でした。やる気なしの伴四郎。しかし南海藩は財政が厳しく、起死回生の策として、エゲレス公使(厚切りジェイソン)と手を組んで、討幕をもくろんでいた。この陰謀に巻き込まれていく伴四郎。やがて好色家のエゲレス公使の魔の手がすずにも…。
一方で、殿に続いて、清之助に奥方の千代(戸田恵子)までが変装して町に出てきたりと、コメディ要素もたっぷり。
話も連続ものとなり、登場人物も大幅に増えて、スケールアップした今作でした。
原作は、土山しげるの漫画『勤番グルメ ブシメシ!』。全7回の放送でした。
清原果耶 主演 20年1月25日放送開始 NHK 毎週土曜 夜6時5分から
母を亡くした16歳の菜々は、生きていくために素性を隠し風早家の女中となります。主人の市之進(町田啓太)は奉公人にも家族のように接する好青年で、奥方の佐知(谷村美月)も優しく、子どもたちにもすぐに懐かれます。しかし穏やかな日々は長く続かず、佐知が病で亡くなります。市之進と子どもたちのことを頼むと言い残された菜々でしたが、藩の勘定方に勤める市之進に不穏な影が近づいてきます。
実は菜々の父は濡れ衣を着せられ殺された武士でした。父の仇・轟平九郎(北村有起哉)は、風早家とも因縁があるようで、藩の財政立て直しのための建白書を提出した市之進に、平九郎の手が延び、市之進はとうとう捕まってしまいます。
菜々は市之進が戻ってくるのを信じて、子どもたちを育てることを決意。実は菜々には、一度見た動きを真似できるという特技があることが分かり、剣の修業にも励みます。
一見、大人しそうな菜々ですが、芯は強く、また機転や度胸もなかなかのもの。彼女の周りには一癖ある協力者が増えていきます。そんな菜々は、父の仇を討ち、市之進を助け出せるのか。
菜々の静かな戦いの話ですが、菜々が健気で明るい性格のためか、全体の雰囲気はほのぼのしていて、楽しく見れるヒロイン時代劇作品です。
BSプレミアムで2019年7月から放送された作品の地上波初放送でした。原作は葉室麟の小説『螢草』。全7回です。(20.5.4改稿)
岸谷五朗 主演 14年10月16日〜12月18日 NHK 木曜夜8時から
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井筒平四郎は、南町奉行所の見廻り方同心。見廻りかたがた鉄瓶長屋の煮売屋で、お徳(松阪慶子)の手料理屋をつまむのを楽しみにしている。そんな笑顔の絶えない鉄瓶長だったが、人殺しがあったことを皮切りに、長屋の住人が次々に出て行ってしまうようになる。お徳は、新たに来た差配人の佐吉(風間俊介)のせいにするが、平四郎は他に裏があるのではないかと気にかかる。 怠け癖のある平四郎と、利発な甥っ子・弓之助(加部亜門)は、事件を調べていくうちに、その下に隠された大きな謎に突き当たる。 人情時代劇っぽい雰囲気ですが、原作はミステリー作家の宮部みゆきの同名小説で、人の気持ちが絡み合う、ドロドロとしたミステリーの要素がたっぷりでした。(15.1.26改稿)
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ぼんくら2
岸谷五朗 主演 15年10月22日〜12月3日 NHK 木曜夜8時から
一年前に放送された同名作品の続編です。
周囲からぼんくら扱いされている見廻り方同心・井筒平四郎。昼寝をしたり、煮売り屋のお徳の店でおかずをつまんだり、いつものように過ごしている平四郎の元に、佐吉(風間俊介)が湊屋総右衛門(鶴見辰吾)の愛人・葵(小西真奈美)殺しで捕まったと知らせが入る。佐吉は自分を捨てたと聞いている実の母親の葵を恨んでおり、湊屋は佐吉を犯人と信じて役人に手を回す。だが状況は調べれば調べるほど、佐助が犯人ではないことを示していて…。
葵や湊屋に恨みを持つ者、湊屋の関係者、通りすがり、果たして葵を殺したのは誰なのか? 平四郎の甥で、美貌と聡明な頭脳を持つ弓之助(加部亜門)が、大人顔負けの推理を披露し、もつれた糸をほどくように、解いていきます。
宮部みゆきの小説「日暮らし」を原作とした、人情時代劇ミステリードラマです。(16.2.15)
番組公式サイト http://www.nhk.or.jp/jidaigeki/bonkura2/index.html
まっつぐ〜鎌倉河岸捕物控
橘慶太 主演 10年4月17日〜8月14日 NHK 土曜夜7時30分から
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『陽炎の辻』、『密命〜寒月霞斬り〜』と立て続けにドラマ化された佐伯泰英の作品が、またまた土曜時代劇に登場です。しかもこの枠お得意の青 春グラフィティーです。
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舞台は金座と呼ばれる江戸の金融中心地で、江戸城にも近い日本橋の裏、鎌倉河岸。そこのむじな長屋で育った、政次(橘慶太)、亮吉(中尾 明慶)、彦四郎(小柳友)の三人は幼馴染み。政次は江戸有数の呉服屋『松阪屋』の手代で、将来を期待される好青年。亮吉は金座裏の宗五郎 親分(松平健)の元で働く新米の手先で、身も軽いが性格も軽い。彦四郎は船宿の船頭で、体が大きいが涙もろい人情家。そんな三人が大事に 思う、しほ(柳生みゆ)は、絵が得意な娘。夜は田楽と酒を売る酒問屋『豊島屋』の看板娘のしほですが、ある日、彼女の父親が斬り殺されます。 実は彼女の両親は、越藩家老の不正の証拠を持って逃げてきた脱藩者でした。
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しほを狙う川越藩の者たちからしほを守った政次は、その度胸と機転から、宗五郎に跡取りにと望まれるようになります。しかし松阪屋の隠居・ 松六(山本學)もまた、政次を気に入っており…。
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政次の活躍が見ていて心地いいです。また彼をはじめとする若者たちを、距離を置いて見守る宗五郎親分や、その女房・おみつ(南野陽子)の 視線が温かい、青春捕物話であります。
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主役にw-inds.の橘慶太を据え、また主題歌もw-inds.。オープニング画像には、現代の日本橋を入れ、語りで、豊島屋の主人・清蔵役の竹中直 人が現代の衣装で出てくるなど、若い人をターゲットにした造りになっていました。
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初回は73分スペシャル版でした。(10.10.7改稿)
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まんまこと〜麻之助裁定帳〜
福士誠治 主演 15年7月16日〜10月1日 NHK 木曜夜8時から
江戸の町名主の跡取り息子・高橋麻之助(福士誠治)。子供のころは神童といわれるほど頭もよく、父親の宗右衛門(高橋英樹)も自慢の真面目な好青年だったが、16歳に自分の力ではどうにもできない失恋をきっかけに頑張ることを止めてしまい、お気楽なのんき者になってしまいます。父親の手伝いもせず、幼馴染みの隣町の名主の跡取り息子で女たらしの遊び人・八木清十郎(桐山漣)と遊んで暮らす毎日。見かねたもう一人の幼馴染みの同心見習いで生真面目な堅物・相馬吉五郎(趙a和)が、又従兄の武家の娘・お寿ず(南沢奈央)との縁談を持ってくる。ところがこのお寿ずもある事情を抱えていて…。
普段はのほほんとしている麻之助ですが、一度事件に関わると、清十郎や、同心見習いで生真面目な堅物・相馬吉五郎(趙a和)の幼馴染み二人の手を借りて、持ち前の素晴らしい推理を見せて、うまく解決してしまいます。
時が止まったままだったような麻之助の心も少しずつ動き始め、周りの者たちの環境も少しずつ変わっていきます。
「まんまこと」とは「真真事」と書き、「真実」のこと。大きな事件は起きないけれど、人と人との小さなすれ違いから起こる事件を、麻之助が「真実」を見つけ、絡まった思いの糸をほぐしていきます。
原作は畠中恵の「まんまこと」、「こいしり」、「こいわすれ」、「ときぐすり」です。(15.11.23改稿)
番組公式サイト http://www.nhk.or.jp/jidaigeki/manmakoto/
密命〜寒月霞斬り
榎木孝明 主演 08年4月18日〜6月13日 大阪 金曜夜8時から
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長屋のおかみさんから「惣三郎さんには何を言っても馬の耳に念仏だねぇ」なんて言われてしまう、「ふぬけ惣三郎」こと、浪人の金杉惣三郎(榎 木孝明)。しかしその正体は、かつて相良の龍と呼ばれた直心影流の使い手。ふぬけた姿は、十年前に起こった事件から殿と相良藩を守るため にとった、惣三郎の忠義の証だったのだ。
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以前は藩の武芸指南役をも務めた惣三郎は、殿である斎木高玖との秘密を守るため、職を解かれ国元でふぬけた生活を送っていた。しかし 今、藩の存続にもかかわる危機に、その陰謀を暴くよう高玖からの密命を受け、脱藩して江戸へと向かう。味方は江戸留守居役の寺村重左衛門 (寺田農)のみ。
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とまあ、硬派で真面目な作品なのですが、その頼りの寺村様は、警護もなしでふらふら出歩き敵勢力から襲撃を受けるし、仕事は全部子飼いの 密偵・九一(宮内敦士)任せだし、殿は殿で自分じゃ何もしないし、そもそも敵勢力の黒幕からして、もう表舞台から立ち退いた柳沢吉保が後ろ盾 になってくれると信じて藩乗っ取りを企むお人好しという、なんともツッコミどころの多い作品でした。
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主役の惣三郎は、年老いた母と幼い子供たちを国元に残しての、辛い単身での密命遂行のはずが、根がのんきなのか、人が良すぎるのか、ち ょっとでも困っている人を見ると助けずにはいられない性分で、密命そっちのけで、人助け。結果として、豪商の札差、冠阿弥の娘のお杏(安達祐 実)に惚れられ、火事始末の荒神屋喜八(加藤剛)やめ組の頭取・芝鳶の辰吉(伊吹吾郎)といった江戸で力を持つ人たちと親しくなり、最終的に は密命遂行を彼らが助けてくれるようになるので、まあその甲斐はあるわけですが。でも一方で、惣三郎の亡くなった妻に生き写しな寺村の娘で小 料理屋の女将・しの(とよた真帆)と、こっそり愛も育んでいたり。
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そんな敵も味方もやる気あるのかないのか分からない中、唯一、自分の使命にまっすぐだったのが、惣三郎と同門で相良の虎と言われた日下 左近(松方弘樹)。彼との対決のために編み出した必殺剣・寒月霞斬りを頼りに、彼との対決を匂わしながら、話は、主要人物のあっさりとした死 亡による退場をからめつつ、核心へ、そして最後の対決へとゆっくりと進んでいきます。
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原作は佐伯泰英の「密命」シリーズ。(08.7.19改稿)
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水戸黄門
里見浩太朗 主演 05年10月10日〜06年3月6日 毎日 月曜夜8時から
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第35部は、印籠も新しく豪華にずしりと重くなって、水戸光圀の実子が養子に入った高松藩からスタート。そのまま四国、九州を回りました。
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新しくなったのは印籠だけでなく、徳川に恨みを持つ闇の商人・闇の布袋(遠藤太津朗)と、その血を引くくノ一・北斗の桔梗(原史奈)が率いる忍 者軍団との対決というストーリー上の新風もあったのですが、なぜか闇の布袋側の刺客が回を追うごとにしょぼくなり、黄門様との絡みもなく鬼若 に一蹴されたりする始末。そして半年の放送期間真ん中で、闇の布袋の恨みは誤解であることが発覚し、部下の裏切りで自滅。せっかくの新くノ 一・北斗の桔梗も行方不明に。後半三ヶ月は、普通にいつもどおり世直し旅をした黄門様たちでした。
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レギューラー陣は、前回から変更なし。おなじみ黄門様に助さん(原田龍二)、格さん(合田雅吏)。疾風のお娟(由美かおる)、よろず屋の千太 (三波豊和)、風の鬼若(照英)。アキ様(斉藤晶)は少し強くなって戦いに参加するようになりました。(06.3.28改稿)
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水戸黄門
里見浩太朗 主演 06年7月24日〜12月18日 毎日 月曜夜8時から
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第36部は、黄門様の姉・明芳院(淡島千景)から、孫の加賀藩前田家の若君・利久(渡辺大)が婚礼を上げる知らせがきたところから始まりまし た。明芳院の文には、簡素に執り行いたいから出席無用と書いてあったにもかかわらず、かわいがっていた利久の門出を祝いたい黄門様は、加 賀に向けてお忍びで出発します。
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レギューラー陣は、よろず屋の千太が抜けて六人からスタート。おなじみ黄門様に助さん(原田龍二)、格さん(合田雅吏)。疾風のお娟(由美か おる)、風の鬼若(照英)。アキ(斉藤晶)は今回もさらに少し強くなって戦いに参加しました。
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準レギュラーの八重さんや、鳴神の夜叉王丸、助さんの母上・静枝さん、助さんのお見合い相手の美加さんも健在です。また十話から、江戸出 身のお調子者、おけらの新助(松井天斗)が、レギュラーに加わりました。
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中盤に到着した加賀から、後半は西日本を回り、最終回の京では、利久と新妻の菊姫(藤井麻衣子)が再登場しました。(07.1.11改稿)
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里見浩太朗 主演 08年1月7日〜6月30日 毎日 月曜夜8時から
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小藩の騒動から始まった第38部。江戸から一行は、騒ぎの元である瀬戸内の花崎藩と赤津藩を目指します。
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元は一つの藩だった、花崎藩と赤津藩。元から仲の悪かった両藩は、松の木を巡って領地争いが勃発。幕府の裁定を受けることになり、柳沢吉 保(橋爪淳)は、賄賂を受けていた花崎藩に一方的に優位な判決を下す。そんな裏事情は知らず、なんとか赤津藩を救おうとするお留守居役の山 内裕之進(中村繁之)。友人である彼の窮地に、助三郎が奔走。黄門さまも、自ら調査のためにお供を引き連れ、赤津藩へと向かいます。
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黄門様たちの活躍で騒ぎは一件落着。そもそも花崎藩が赤津藩を狙ったのは、山師・伊之助(山本圭)が両藩の間にある山で銀の鉱石を見つ け出したことだった。鉱石を知り合いの腕利き山師に見せるために藩を離れた伊之助を追おうとする、彼を親とも慕う裕之進の妹・山内志保(小沢 真珠)を加えて、一行は東に向けて旅立ちました。
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この志保、はじめは医者の手伝いをしていて医学の心得がある程度だったのが、旅の最中に、手術の手伝いをしたり、赤子を取り上げたりと、 めきめき医者としての腕を上げ、最終回の江戸では立派な医者になるために高名な先生に弟子入り。医者というだけでも重宝するのに、普通の 若い娘さんとして、お娟以上に役立つ場面もあり。たまに一行から外れて別行動のこともあって、レギュラーなのに必ず登場するとは限らないとい う希少価値もついて、かなりいい感じでした。
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その他のレギュラーは引き続き、黄門さま(里見浩太朗)に、助さん(原田龍二)、格さん(合田雅吏)。疾風のお娟(由美かおる)に、おけらの新助 (松井天斗)、風車の弥七(内藤剛志)も健在。なぜか突然彼の幼馴染のくの一が出てくる話もありました。
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里見浩太朗 主演 08年10月13日〜09年3月23日 毎日 月曜夜8時から
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第39部では、準レギュラー陣が一新されました。まずは初回の冒頭から怒鳴って登場、うるさいじいの代名詞・山野辺兵庫(長門裕之)。そして 今回も悪だくみしまくりの柳沢吉保(石橋蓮司)。その貫禄のあるふてぶしさは、黄門様に勝てそうな凶悪さです。江戸城といえば、この方、将軍綱 吉(中村繁之)。そしてその母親・桂昌院(岩崎加根子)に、怪しい僧・隆光(麿赤兒)まで登場。悪人勢ぞろいのわりには、あんまり大したことしてな かったような…。
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レギュラーにも新風が。兵庫の孫娘・早月(磯山さやか)は、江戸で出会った橋場大二郎(徳重聡)という青年と恋に落ちます。彼の兄は、もうすぐ 長崎奉行に任命されるというが、その長崎ではもう一人の奉行ぐるみの不正が行われているらしいと気づいた黄門様。いつものお供、助さん(原 田龍二)、格さん(合田雅吏)、そして疾風のお娟(由美かおる)に、おけらの新助(松井天斗)、風車の弥七(内藤剛志)を連れて、長崎に向かって 旅立ちます。その旅に、早月も見識を深めるためにと付いて来ます。この早月、お嬢様でありながら、無鉄砲で、思いこみの激しいおてんば娘で、 旅先で、潜入捜査しようとして悪人につかまったりと、つっこみどころ満載でした。そんな早月も最終回では、黄門様たちに見守られて、お嫁入り。 水戸の西山荘に戻る黄門様たちと兵庫と涙の別れをして、新妻になりました。(21.4.23改稿)
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里見浩太朗 主演 09年7月27日〜12月21日 毎日 月曜夜8時から
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放送40周年を迎えての、第40部です。第一回目は二時間スペシャルでした。
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津軽藩で起こった陰謀に関わった、水戸藩江戸屋敷。その陰謀を暴くため、江戸に出てきた黄門様。元は津軽にあると見て、奥州へと旅立つ。
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江戸に出てきた黄門様が出会ったのが、なんと、うっかり八兵衛(高橋元太郎)。彼のことを父親のように慕う、ちゃっかり八兵衛(林家三平)も登 場して、一行に加えてほしいと頼み込む。いつもの助さん(原田龍二)、格さん(合田雅吏)、疾風のお娟(由美かおる)に、風車の弥七(内藤剛 志)、そして前半では第一話で知り合った材木問屋の娘・お千代(三津谷葉子)を加えての道中。
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江戸城では相変わらず、柳沢吉保(石橋蓮司)が黄門様の命を狙い、伊賀忍者(高知東生)を送り込んでくる。そして同じく実は伊賀忍者の俳人・ 松尾芭蕉(堺正章)も、肉体派の弟子・河合曽良(田宮五郎)を連れて、敵か味方か、奥州へと旅立つ。
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奥の細道から始まった節目のシリーズ、帰りは北陸を通り、また江戸へ。いつものお話でした。(10.2.2改稿)
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里見浩太朗 主演 10月4月12日〜6月28日 毎日 月曜夜8時から
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三か月間の放送だった第41部は変革の時でした。25年に渡り出演していた由美かおる、そして助さん役の原田龍二、格さん役の合田雅吏がこ の部限りでレギュラー引退発表しました。
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原田龍二が降板するせいか、助さんが許婚として登場していた美加(須藤温子)と結婚しました。またちゃっかり八兵衛(林家三平)に懐いている 少年・新吉(伊澤柾樹)が、生き別れた母親を探すため旅の仲間に加わります。風車の弥七(内藤剛志)も健在。
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柳沢吉保(石橋蓮司)は、黄門様に一行に新たな刺客・虚空無幻斎(大沢樹生)なる幻術使いを送り込みます。そして彼に師匠を殺され敵討ちを 誓う薩摩の剣術家・東条隼斗(市瀬秀和)も準レギュラーとして登場。ほぼ毎回、黄門様の敵方へ力を貸したりと命を狙う無幻斎と対決しました。
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また、オープニング背景を一新、一行の立ち寄り先の風景や工芸品を流し、しかも毎回変わる力の入れようでした。(10.7.27改稿)
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里見浩太朗 主演 10年10月11日〜11年3月21日 毎日 月曜夜8時から
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リニューアルして始まった第42部。黄門様役こそ変わらなかったものの、原点に戻ることを意識した大幅なレギュラー陣の交代がありました。
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6代目助さん格さんとなった、東幹久と的場浩司。この二人、以前に御前試合で面識があったものの、ほぼ初対面。もちろん黄門様の旅のお供 をするのも初めての設定。助さんこと佐々木助三郎は西山荘で黄門様に仕えていたが、格さんこと渥美格之進は、黄門様が旅立つことになり、水 戸から呼び出されました。旅の前に二人で、危険を避けるために町人姿を取ることや、呼び名を「助さん」、「格さん」とすることに決めたり、格さん が助さんをうらやましがって印籠を持つようになるエピソードなど、不慣れな様子が笑いをさそいました。
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一方で、前シリーズまでレギュラーだった疾風のお娟(由美かおる)が、黄門様もよく知る塩問屋の主人に乞われてお嫁に行きます。そして護衛 の人手不足を感じた風車の弥七(内藤剛志)の知り合いの元忍びの娘、楓(雛形あきこ)がおしかけで加わります。そして、同道を願い出た八兵衛 (林家三平)も加えて、六人での旅立ちとなりました。
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黄門様が旅に出ようとしたきっかけは、長男の頼常が治める高松藩で、世継ぎを巡る騒動が起きていることを知ったこと。しかしその騒動に老中 たちが絡んでいることを知った黄門様は真の目的を伏せ、亡き妻の節目の時に妻の実家を訪ねたいと、甲州街道から中山道を経て、京都へ行く 許しを得て、出発します。
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主題歌も、新・助格コンビが歌っております。そして半分終わった一月に、さらに伴奏が豪華なものへとリニューアルしました。(11.4.12改稿)
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里見浩太朗 主演 11年7月4日〜12月19日 毎日 月曜夜8時から
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キャストなどの変更もなく、静かに始まった第43部。しかし始ってしばらくしたころに、42年間続いた『水戸黄門』の放送をこの第43部で終了す るという重大発表がありました。
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将軍・綱吉(風間トオル)から江戸へと呼ばれ、伊勢神宮への代参を頼まれた黄門様。その頼みには、庶民の暮らしを見てきてほしいという綱吉 の願いが込められていた。黄門様はおなじみのお供、助さん(東幹久)と格さん(的場浩司)、そして八兵衛(林家三平)、風車の弥七(内藤剛志)、 楓(雛形あきこ)とともに伊勢を目指します。水戸から江戸、江戸から伊勢への往復、そしてまた水戸に戻って本編は終了でしたが、その翌週にシ リーズ終了の2時間スペシャルがありました。
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シリーズ本編から数年後、格さんには子供ができ、久々に水戸に戻ってくる助さんの歓迎に家族そろって大わらわ。というのも、助さんの祝言が 行われるからだった。当の本人の知らぬ間に。
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それからしばらくして、江戸の街を散策していた黄門様がさらわれる事件が起こる。その裏には浪人たちの幕府転覆の企てが関わっていた。
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レギュラー陣に加え、歴代の水戸黄門に関わってきた俳優たちが多数ゲスト出演していました。お娟(由美かおる)に、柘植の飛猿(野村将希)、 うっかり八兵衛(高橋元太郎)、柳沢吉保(石橋蓮司)、僧の隆光(麿赤兒)。そして宮園純子に、歴代の助さん格さんを演じた、横内正、大和田伸 也、伊吹吾郎、あおい輝彦。特に横内、大和田、伊吹、的場の格さん4人が一堂に会しての殺陣シーンで、印籠をリレーし、「控おろう」というシーン は最終回スペシャルらしい見ものでした。(12.1.15改稿)
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黒木華 主演 17年5月13日〜7月8日 NHK 土曜夜6時05分から
大坂から江戸へ、料理屋『天満一兆庵』の主人夫婦とともに出てきた奉公人の澪。主の跡取り息子が江戸で店を出しているはずだったのですが、その店はつぶれていて、息子も行方が分かりません。主人の嘉兵衛(国広富之)
は心労で亡くなり、その妻の芳(安田成美)も倒れてしまいます。途方に暮れた澪は、長屋のそばにあった荒れ果てた稲荷の社の掃除を始めます。そんな澪に声を掛けたのは、そば屋『つる屋』の種市(小日向文世)でした。 種市は腰を痛めてそばを打てなくなった自分の代わりに、澪に店の料理を任せます。澪はその舌を認められ、嘉兵衛から料理人として仕込まれていました。しかし女の料理人などいなかった時代、上方と江戸の習慣の違いもあり、客は離れていくばかり。澪は料理に工夫を凝らし、次第に客にも受け入れられ、ついには料理番付に載るほどに。 幼少時に水害で家族を亡くした澪ですが、母のように慈しんでくれる芳や、種市、なにかと澪たちのことを気にかけてくれる医者の永田源斉(永山絢斗)たちに囲まれ、彼らのためにと次々に襲い来る困難にも負けず、料理人として成長していきます。また、つる屋が閉まった頃に来る、料理に詳しい謎の浪人・小松原(森山未來)との出会いも、澪に大きな影響を与えます。そして幼い頃に泣き虫だった澪を何度も慰めてくれた親友の野江(成海璃子)が、水害の後も生きていて、吉原で幻の花魁と呼ばれるあさひ太夫となっていたことも分かります。 人相見に雲外蒼天の相と言われた澪が、幾多の苦境を乗り越え、料理人として成長する、心温まる人情と料理の物語です。 原作は田郁の同名小説。全八回の放送です。(17.8.15改稿)
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福士蒼汰 主演 21年11月6日〜22年1月1日 NHK 毎週土曜 夜6時5分から
明治初期の東京に、洋行帰りの若者が現れます。容姿端麗で頭脳明晰、剣術も嗜むその若者は、警視庁から特命探偵を任ぜられた結城新十郎。一見華やかなれど、時代の移り変わりで成功した者の裏側で取り残された者の不平が蓄積する明治の世に起こる不可解な事件を、鋭い観察眼で解き明かしていきます。
勧められるままに勝海舟(高橋克典)の家に住むようになった新十郎ですが、勝を見る目は時に冷ややか。実は新十郎は、戊辰戦争で家族を亡くした元幕臣の出で、多大な犠牲の上に成り立ったものの平穏とは言い難い今の世を作った者たちに複雑な想いを抱いていたのでした。
家族も友も亡くし暗い影を背負っていた新十郎ですが、勝の剣術の弟子で押しかけ相棒の泉山虎之介(矢本悠馬)や、最初の事件で知り合って以来、新十郎のことが気にかかるお転婆な令嬢・加納梨江(内田理央)からの干渉を受けるうちに、少しずつ表情を和らげていきます。
また西郷隆盛(鶴見辰吾)や大久保利通(篠井英介)、勝の妻・民(稲森いずみ)も登場。
華やかな明治を舞台に起こる、暗く不気味な謎も、万華鏡をのぞきながら「something stranges(なにかがおかしい)」とつぶやけば、たちまち解決の糸口を見つける結城新十郎の活躍を描く、一話完結の推理時代劇。2020年12月からBSプレミアムで放送された作品の、再編集、地上波初放送です。
原作は坂口安吾の小説『明治開化 安吾捕物帖』。全八回の放送でした。(22.2.7改稿)
名奉行! 大岡越前
北大路欣也 主演 05年4月18日〜6月20日 ABC 月曜夜7時から
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越前さんというと、どうしても加藤剛さんの真面目であくのないイメージが強いのですが、ここの越前さんは一味違います。
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お酒が大好きで、毎夜ふらふら飲みに出かけては、翌朝、二日酔いでお白州に出るのを嫌がって駄々をこねて娘に怒られたりしています。
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作品の雰囲気としては、どっちかというと推理中心で「名奉行 遠山の金さん」に似てます。同じ「名奉行」だしね(笑)。時々、「本格推理もの?」と いうような話もあって、面白いです。
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与力たちが調べ上げてもう判決直前の事件に疑問を持っては、出かけていって自分で調べる。味方は内与力の池田大介くん(富田翔)だけ。この 若い大介くんが一生懸命で、またかわいいんだ。で、大岡様の聞き込みはもちろん居酒屋で、飲みながらw。相手が勝手に貧乏旗本やら八丁堀 やらと間違えてくれます(笑)。そして最後のお白州では、お天道様もびっくりのはちゃめちゃなお裁きをやってくれます。このお裁きを予想するのも、 また楽し。
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6月20日に早、十回目にして、最終回となってしまいました(泣)。
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金曜時代劇といい、最近の時代劇の入れ替わりの早さにはびっくりさせられます。
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名奉行!大岡越前
北大路欣也 主演 06年4月18日放送開始 ABC 火曜夜7時から
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ちょうど一年ぶりに放送されたシリーズ二作目。キャッチコピー「火曜の夜は、サプライズお裁き。」が示すとおりの、ワンマンとんちお白州は変わ らず健在。他のまじめな大岡様イメージをぶち壊す、型破りな大岡越前です。
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レギュラー陣の配役そのまま。世話女房のような勝気で怒りっぽい娘・香織(水橋貴己)。そして今シリーズでは越前さんよりも香織に振り回され っぱなしの内与力の池田大助(富田翔)。でも部下を率いて捕り物の指揮を取ったりと、仕事の面ではしっかりとした一面も。二人とも若くてかわい いです。門番の与平(奥村公延)も犬のさくらも重要な役回り。そしてお奉行様に振り回されっぱなしだった筆頭与力の笹倉さん(金田明夫)も、すっ かり越前さんに感化されて、北町の筆頭与力と渡り合ったりの成長振り。きれいどころの、実は元・雲霧仁左衛門の女だった密偵・おりん(涼風真 世)も、尾行に変装にと大活躍です。
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少しチームワークにまとまりが出たものの、やっぱり相変わらずな越前さんのワンマン振りと掛け合いが、楽しい作品。越前さんがお白州で裁く 前に、事件の真相を考えて当てるのも、楽しみ方の一つです。(06.7.29改稿)
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新・桃太郎侍
高嶋政宏 主演 06年7月25日〜9月5日 ABC 火曜夜7時から
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あの『桃太郎侍』を、高島政宏主演でリメイク!…と思いきや、その内容は、山手樹一郎の原作とも、高橋英樹版ともまったく違う別物だったこの 作品。ひとまず『桃太郎侍』というタイトルは忘れてしまったほうが、楽しめます。
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桃太郎こと桂木新二郎は、彼を溺愛する母の元を飛び出し、浅草奥山にある矢場「あたり矢」で用心棒兼、居候をする浪人。用心棒とは言って も、昼間からダラダラごろ寝して、矢場の女将のお葉(富田靖子)に怒鳴られるだらしない、粗野で、喧嘩っ早く、美人に弱くて惚れっぽいお調子者 だが、その実は正義感が強く、涙もろくてまっすぐな男。女の手一つで育ててくれた母・千代(中村玉緒)を誰よりも大切に思う一面も。剣の腕も一 流。
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実は桃太郎は、四国・丸亀藩の若君の双子の弟、そして千代は元女中であり、母子に血のつながりはない。また高嶋二役による、そうとは知ら ないもの同士の双子の対面お約束は顕在。
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やたらと桃太郎が、母上になんでも結びつけるマザコン振りを発揮するため、ストーリーは親子の情に絡めたものが多めでした。
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知り合った美人が事件に巻き込まれ、善人が心無い悪人によって殺され、桃太郎が奮起するという、勧善懲悪パターンもの。この事件解明に は、千代にひそかに思いを寄せる桂木家の使用人・伊之助(左とん平)が、元「ましらの喜十」という義賊だったことを生かして大活躍。やたらと悪 党に詳しく、武家屋敷に忍び込むなんてことも平気でやってくれます。
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そして悪人の正体を突き止めるやいなや、桃太郎は着物を裏返し、赤地に桃の絵の夜目にも鮮やかな着物に、薄物をかづきにし、白マフラーで 口元を隠して、夜の町をひた走る。そして祝いの宴を開く悪人の屋敷の庭に飛び降り、白マフラーを剥ぎ取り、名乗る口上が、「桃から生まれた桃 太郎、天に代わって鬼退治に参上!その方らの悪事、天は許すまじ!」
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自慢の大ぶりの刀・天魔不動剣を振り回し、豪快すぎる(美しさは皆無)殺陣で、悪人たちをばったばったと一刀の元に切り伏せる。そして最後に 残ったボスを前に、上段に構えた刀をゆっくりと下段に回転移動させ、返した刃に写った相手の顔を、「鬼に見えたり」とズバンッ!
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血をぬぐった懐紙をばらまき、天を見上げて桃太郎。「母上、斬り捨てたのは、皆、人の顔をした鬼でございます」。
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ここまでの一連のラス殺陣の演出が、セリフは同じながら毎回違うことをするという、なかなか気合の入った作りになっておりました。
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母上への心の声にはじまり、母上とのコントで終わる、時代劇一のマザコン侍と、大げさすぎる芝居が売りの、この作品。おそらく歴史に残る超 迷作なのは間違いありません。ちなみに主題歌は吉川晃司の「サバンナの夜」。要するに、時代劇の枠を越えたニュー時代劇にしたかったのだと 思うのですが、ちょっと空回り感は否めませんでした。もったいない。(06.9.26改稿)
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松平健 主演 08年10月20日〜12月8日 大阪 月曜夜7時から
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その年の正月2日に放送された10時間時代劇『徳川風雲録外伝』で、主役の一人だった剣豪・土屋主水之助を主役に据えた、スピンオフ作品。 原作は柴田錬三郎の『徳川太平記〜吉宗と天一坊〜』、『剣鬼』シリーズ。タイトルどおり、全7回です。
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直参旗本の若隠居で、一刀流の使い手である主水之助。八代将軍・徳川吉宗からの仕官の話も断り、彼が放浪の旅を続けるのには理由があっ た。15年前、一子相伝の一刀流の後継者を決める決闘で、兄弟子・大峰ノ善鬼(三田村邦彦)に傷を負わされ、師である一刀流の開祖・伊藤一刀 斎景久(峰蘭太郎)を殺されたのだ。主水之助は許婚だった景久の娘・お勢伊(かたせ梨乃)に、「すまぬ」というたった一言の書置きを残し、武者 修行の旅に出たのだった。
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その後、金で雇われる刺客となった善鬼は、5年前、役人に捕まり死罪となった。しかしその善鬼が実は生きており、逃亡したという話を聞き、主 水之助は善鬼を追う旅に出る。その旅の途中、父の仇を捜す村井秋津(佐藤藍子)、信太郎(加治将樹)の若い姉弟と出会う。彼女たちは仇の名 は知らなかったが、その仇は善鬼だった。それに気づいた主水之助は、2人に仇打ちは空しいことだと説くが…。一方、お勢伊もまた、主水之助を 探して旅に出ていた。
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ほぼ同じルートで旅をしている、3人と一組だが、なぜか善鬼と主水之助とお勢伊は出会わない。その代わり主水之助は、旅の先々で善鬼と関 わったことで剣鬼となってしまった人たちと出会い、最後には立ち合うこととなる。
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かつては交替で同じ時間枠の時代劇の主役を演じていた、松平健と三田村邦彦の共演、しかも敵対する間柄という、夢のドリームマッチ。寡黙 な役柄演じるマツケンと、ニヒルな殺人鬼役を演じる三田村、どちらも珍しい作品でした。
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斬られたらちゃんと着物も切れて、刀には血糊がべったりというのも、昨今では珍しい演出。毎回、ゲストの生い立ちや関わり方もよく考えてあ り、非常に見ごたえある作品でした。(08.12.23改稿)
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綾瀬はるか 主演 13年1月6日〜12月15日 NHK 日曜夜8時から
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会津藩の砲術師範の家に産まれた山本八重は、文武両道に優れのちに視力を失いながらも京都府議会初代議長となった兄・覚馬(西島秀俊) の影響を受けて成長する。そして女ながらに鉄砲に興味を持ち、その道を極め、鶴ヶ城の籠城戦では夫の川崎庄之助(長谷川博巳)とともに戦う。 戦後、覚馬を頼って京都に出てきた八重は、米国に密航し宣教師となって帰ってきた新島襄(オダギリジョー)と出会い、二番目の結婚をする。襄 の同志社大学設立を影に日なたになって支え、自らもキリスト教の洗礼を受ける。そして襄が亡くなった後は、日本赤十字社で日本初の従軍篤志 看護婦として敵味方の区別なく治療に当たった。
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幕末の時代、京都守護職を任命され過酷な状況に置かれた会津藩は、その後朝敵となり、会津戦争に巻き込まれていく。そして会津藩士は敗 戦後も賊軍として新政府の要職に就くことはできず、苦しい立場に立たされていた。時代に翻弄されつつも、会津武士の志を忘れず、自分の進む べき道を果敢に生き抜いた女性、八重の物語です。その革新的な生き方は、「幕末のジャンヌ・ダルク」、「ハンサム・ウーマン」、「日本のナイチン ゲール」と数々のあだ名を付けられました。
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会津から見た幕末から明治、女から見た幕末から明治を描いた作品でした。幕末や明治維新を描いた作品は数あれど、西南戦争までで終わっ たり、新政府の中枢の話が多く、幕末から明治を続けて、戦後の混乱期から文明国家へと進んでいった様子を政府の外側(特に高等教育の面) から描かれていたのが新鮮でした。
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ポスターに使われた戦闘服はもちろん、銃の稽古姿や、薙刀の稽古着、明治に入ってからの洋装など、主演の綾瀬はるかの変化も見どころの 一つでした。(14.1.20改稿)
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柳生十兵衛 あばれ旅
千葉真一 主演 82年10月19日〜83年4月26日 テレビ朝日
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千葉真一・十兵衛の代表作は『柳生一族の陰謀』だと思うのですが、こっちのほうがコメディタッチで私は好きです。
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主役は十兵衛となっていますが、どっちかというと影の役回りで、表の主役は妹の縫之介(志穂美悦子)。というのも、十兵衛は巡検使として全国 を回ること言い付かるも、乱心のため、妹・茜が男装して縫之介と名乗り、代わりをすることに。
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実は十兵衛の乱心は、お忍びで全国を回るためのお芝居。かくして、縫之介一行を影で追っていく一人旅になるのだが…。
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公儀の使いと言えど、むしろ公儀だからこそ旅先では悪代官等に狙われる縫之介一行。それなりに善戦するも、柳生の娘とは言え所詮は女、ピ ンチに陥ってしまう。そこに現れるのが夜目に鮮やかな蛍光塗料の布を足に巻いた馬に跨り、同じく蛍光塗料のテングの面を被った(格好は違うこ ともあり)我らがヒーロー十兵衛! かっこよく悪人退治! だけどその格好、夜道で出会ったらかなり怖いと思うのですが…。
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十兵衛がかっこいいのはもちろん、男装の女剣士・縫之介もお決まりの派手めの衣装にポニーテールでかっこいいですよ。お約束の、男に間違 われて女の子に惚れられる話もあります。(05.8.2)
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柳生十兵衛七番勝負〜最後の闘い
村上弘明 主演 07年4月5日〜5月31日 NHK 木曜夜8時から
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『柳生十兵衛七番勝負』シリーズの三作品目にして、タイトルどおり最後の作です。前回、前々回と、幕府転覆を企てる者の黒幕に見え隠れして いた由比正雪(和泉元彌)と、とうとう全面対決。なのですが、正雪の出番が多くなった分、正雪の主張や生い立ちなんかも語られる機会が増えた わけで、三シリーズ中、一番いい人っぽく、ことごとく十兵衛に計画をつぶされる彼があわれにさえ見えます。黒幕なのに。
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十兵衛が本来なら争いたくない人たちと闘わざるをえなくなり、最後には斬ってしまうという十兵衛苦労の旅は、今シリーズも健在。特に今回は、 十兵衛に逆らえない命令を下していた父・宗矩が死んだというのに、死んでいると思っていた母が生きていて人質にとられていたり、いることさえ知 らなかった実の弟と斬りあったりと、さらに心の苦しみ倍増。修羅の道を歩くしかなかった十兵衛は、最後にどこにたどり着くのか。
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でも何よりも見どころは、正雪の腹心でありながら、十兵衛とも心を通わせあってしまう丸橋忠弥。善悪で言えば悪側なのに、どこまでもさわやか でいい人な彼に、照英がぴったりでした。十文字槍もかっこよかったです。
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柳生十兵衛七番勝負・島原の乱
村上弘明 主演 06年4月6日〜5月25日 NHK 木曜夜8時から
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05年4月に同じNHKの金曜時代劇で放送された『柳生十兵衛七番勝負』の続編。
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前作品で幕府転覆をもくろむ計画を、一人奔走し、事前に防いだ柳生十兵衛。今度は島原の乱を舞台に、やはり国家安寧のために幕府転覆を 防ぐために戦う。
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今回の黒幕は公家。幕府というより、幕府の柱である柳生宗矩の失脚を狙って、島原の乱を起こすように仕向けるという、大胆解釈。初めは父 の命令で動いていた十兵衛だが、次第に父の暗黒面に気づき、民のために乱を収めようと一人奔走することになるという、ある意味、十兵衛の苦 労話です。しかしこの十兵衛、いじいじと悩んだりしない、男惚れするような気持ちのいい性格なので、見てて暗くならないのが良いです。
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毎回、さまざまな事情で戦うことになる剣客たちも、正統派から中国拳法まで、バラエティーに富んでる上、うまい人たちばかりなので、安心して 見れます。
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そしてなんと言ってもすごかったのが、黒幕の円条寺業平(杉本哲太)。悪知恵の思いつき具合もなかなかのものながら、性格も公家にしては即 物的な残虐さを持っていて、その上公家なのに強いのなんの。独特の剣の使い手で、対決シーンでは十兵衛さえ苦戦させる技量の持ち主。それ でいて公家特有のおほほ笑いもあの顔でしてくれるという、一歩間違えばお笑いになってしまいそうな強烈な人物でした。側にいた前回から引き続 きの黒幕の一員、後の由比正雪(和泉元彌)の影がなくなるぐらいに。
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そして忘れてはいけない荒木又右衛門(嶋政宏)が、十兵衛の兄弟子であり、敵方に付くというおいしい話も盛り込まれています。
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昨今の時代劇では珍しい硬派な話で、古き良き時代のファンにもおすすめです。全七回という短さが残念ですが、その分内容が凝縮されてテン ポよく見れたとも言えるかも。(06.6.1改稿)
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夜桜お染
若村麻由美 主演 03年10月14日〜04年1月27日 フジテレビ
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とにかく主役のお染(若村麻由美)が、綺麗で艶っぽくてかわいくて多芸で強い。男も女も魅了されずにはいられない、すごい姐さんです。
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お染は、幼少のころに火事で両親を亡くし、兄とは生き別れ、見世物小屋の一座に育てられ、現在は踊りの師匠をしています。かつて夜桜お染 の名で一世を風靡した艶やかな踊りと美貌は、今も健在。さらにそんじょそこらの男じゃ太刀打ちできないほど、剣の腕も確か。しかも人の話を聞 きながら皿を回して見せたりと、とっても器用。この多芸を生かして、毎回最低二つの、しかも二度と同じのはない、お姫様から花魁から女壺振り から夜鷹までと、七変化振りを見せてくれます。そのどれもがぴたりと決まっているから、さすがは若村麻由美。特に踊りは特訓したそうで、本当に 目を奪われる美しさです。
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実は両親を亡くした火事には、裏になんらかの事件が絡んでいた可能性が高く、父は実は密偵だったという。その父のかつての上司から、仕事 を手伝ってほしいと頼まれるのですが、毎回その関連の話かと言うとそうでもなく、兄探しの話もあったりと、バラエティー豊富。どの回も満足できる こと間違いなしの渾身の出来。
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また脇役が、一癖ありそうな義賊の男(片岡愛之助)やら、やたらと付きまとってくる貧乏浪人(内藤剛志)やら、いわくありげな過去を持ってそう な献残屋(遠藤憲一)やらと、ストーリー的に面白そうな人たちばかり。これだけおいしそうなネタが満載なら、いくらでも話できそうなものですが、1 シリーズで終わってしまい、もったいない限りです。(08.8.31)
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義経
滝沢秀明 主演 05年1月9日〜12月11日 NHK 日曜夜8時から
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NHK大河ドラマ・最年少主役を迎えたこの作品。タイトルどおり、源義経の話。
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伝説的なヒーロー、源義経をジャニーズ事務所の「タッキー」こと滝沢秀明が熱演しています。その優しげで少しさびしげで高貴な香りのする顔 が、義経のイメージにぴったりな上に、回を重ねるごとにその目に強さと険しさが加わるという成長ぶり。
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女性の原作のせいか、軍記ものというよりは、義経主従を家族に見立てるぐらいの強き絆が中心に描かれていたのが印象的でした。義経から 見れば敵となる平家の面々や、源頼朝も好意的に丁寧に描かれており、いわゆる悪役がいなかったのも興味深かったです。
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また、大河ドラマにしては珍しく、個人戦の殺陣シーンが多かったり、ワイヤーアクションを取り入れたり、また金粉舞い散る中での決闘など、エン ターティメントな演出が多かったのも、今までとは違った形で面白かったです。(05.12.28改稿)
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小出恵介 主演 14年6月26日放送開始 NHK 木曜夜8時から
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神守幹次郎と汀女(貫地谷しほり)は、豊後岡藩の下級武士の家の幼馴染。しかし汀女は父親の借金を取り消す代わりに藤村壮五郎(皆川猿 時)の妻となる。藤村に暴力を振るわれている汀女を見かねた幹次郎は、汀女を連れて駆け落ちする。逃避行の末、幹次郎の剣の腕が江戸の吉 原を束ねる四朗兵衛会所の七代目頭取(近藤正臣)の目に留まり、四郎兵衛に求められ、吉原を治める手伝いをすることに。そして汀女も吉原の 女たちに文の手ほどきをすることになる。
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吉原一のおいらん・薄墨太夫(野々すみ花)を初めとする吉原の女たちと接していくうちに、幹二郎は弱い立場にある彼女たちを守る仕事に使命 感を持ち始めていく。彼女たちや吉原を狙う者たちは絶えず、一方で藤村の動向も気にかかる。そんな日々の中でも、汀女との愛のある暮らし は、幹二郎にとって幸せな時間となっていきます。
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時代劇初主演の小出恵介が、年上の妻を守る、少しこどもっぽいところのある剣の達人を演じました。
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世直し順庵!人情剣
藤田まこと 主演 05年10月17日〜12月12日 ABC 月曜夜7時から
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主人公・河合順庵は元御家人の町医者。長崎でシーボルトに学んだというのだが、針治療もできるマルチ医者だったりする。日ごろの心がけが 悪い患者に対して、「おまえさん、手遅れだ」というのが口癖で、『手遅れ先生』と呼ばれて親しまれている。
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北町奉行所の与力の長谷部総十郎(島田順司)と元道場友達だったり、弟子のおみつ(中村瑠璃亜)の父親・吉松(内藤剛志)が岡っ引で、かつ 飲み友達(恋のライバル?)だったりする関係か、監察医も勤めている。
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そんな彼のところには、事件の話も舞い込んでくるわけで。町奉行所が手を出せない悪人の存在が明らかになると、彼は針を持って出かけていく …。
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神木隆之介 主演 23年4月3日〜9月29日 NHK 月曜〜金曜 朝8時から
幕末の土佐に生まれ、明治、大正、昭和と研究を続けた、日本の植物学の父と呼ばれる植物学者・牧野富太郎をモデルにしたオリジナルストーリー
で描くNHK朝の連続テレビ小説です。
土佐の佐川にある大きな造り酒屋の跡取り息子として産まれた槙野万太郎。好奇心が旺盛で、特に花や草などの植物に強い興味を抱き、
時間を忘れて裏山で過ごし、通い始めた学問所・名教館では貪欲な知識欲とたぐいまれなる記憶力を発揮します。
植物学を極めたく、東京に出てきた万太郎は、出会った寿恵子(浜辺美波)に一目惚れ。また東京大学の植物学教室に出入りすることを許され、
いつか日本中の植物を網羅した図鑑を作ることを目指します。
この万太郎が、自分を曲げない人物でありながら、人が良く前向きで、タイトルのような天真爛漫な性格で、学問に妥協しない反面、妻と
家族に対する愛情があふれており、とても良い主人公でした。また妻の寿恵子も、美人なだけでなく、実は肝が据わっており、でも愛嬌もあって、
いつまでも見ていたくなる素敵な夫婦でした。
全話通じてとてもエピソード多く、明るい気分になれる話が多く、暗い話はできるだけダメージが小さく作られ、万太郎と寿恵子が見ていて
気持ちよく、毎朝見続けるのにとても配慮された、まさに毎日が楽しくなる朝ドラでした。また植物に対する愛情だけでなく、家族愛や人との
つながりも大切にされ、使い捨てにされる登場人物がいない、とても面白く見れる素晴らしい作品でした。(23.11.18改稿)
福山雅治 主演 10年1月3日〜11月28日 NHK 日曜夜8時から
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土佐の地下浪人の身分から後に三菱財閥を築く岩崎弥太郎の視線から、坂本龍馬を描いた大河ドラマ。国民的ヒーローの龍馬ですが、彼も最 初から坂本龍馬だったわけではない、その龍馬になるまで日々迷い、悩んで成長していった進化を描いたと、脚本の福田靖のいうとおり、よく涙を 流す龍馬でした。
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主演は、音楽から俳優まで幅広い世界で活躍する福山雅治。演出の大友啓史が「誰も見たことのない福山雅治」と語るように、時代劇初出演と なる福山雅治が、地毛で演じるなど、体当たりの演技を魅せます。
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「新しい龍馬像、幕末観を描く」がキャッチコピーだっただけあって、土佐の街のほこりっぽさを、コーンスターチを役者といわずセットといわず大 量に振りかけることで再現するなど、今までの大河っぽくない作品でした。またナレーションも担当の岩崎弥太郎(香川照之)は歯jまで黒いという、 画面に映して大丈夫なのかというほどの汚い姿で登場。一回目から龍馬が大嫌いだと言いきる嫌な奴ながら、どこか憎めないという、財閥を築い た人物とは思えない描かれ方でした。(11.1.24改稿)
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若大将 天下ご免!
橋爪淳 主演 87年3月4日〜12月22日 テレビ朝日
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最近、ケーブルテレビで放送しておりまして、見直してます。
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主役の橋爪淳といえば、最近では『水戸黄門』の柳沢吉保役で有名ですが、お小姓上がりの美青年が違和感なく演じられちゃうきれいな顔は、こ こでも健在。しかも若い分、より良いですよ!
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主人公の結城小太郎くんは、水野忠邦(山村聰)を親代わりとする孤児。十歳の時から神田・お玉が池の千葉周作(加藤武)の道場、玄武館に預 けられ、現在は師範代を勤める腕前。正義感の強い好青年。
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講武所風の髷(縦一本線のような細い月代にポニーテール。沖田総司イメージです)も初々しく、あれだけの器量良し、女の子にもモテモテなん だけど、真摯に接するも決して溺れたりはしない。どこまでもさわやかな好青年。水野様の女密偵・お遊(片平なぎさ)にからかわれて、本気で怒っ たり。
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しかし一度事件が起これば、自分から首を突っ込んで行ってしまう、お人よし。
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そして、その事件、法では裁けない黒幕を見つけてしまったならば、千葉先生と別れの杯を交わし、決死の覚悟で乗り込んでいく。そのとき名乗る のが『隅田の小天狗 結城小太郎!』。って本名名乗ってどうするねん!
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このときの大立ち回りは、小天狗を名乗るだけあって元気いっぱい。飛んだり跳ねたり、大きく動き回ってくれます。オープニングも殺陣尽くしで す。
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勝小吉(橘田剛)が出てくるので、もしかしたらと思っていたら、途中から幕末ネタも絡んできます。息子・麟太郎(生駒恭明)はまだ子供。
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そうそう、昔の時代劇らしく、主題歌も歌ってますよ、橋爪淳。
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わっか〜い竹中直人がおちゃらけ同心役で出てるのもミソ。若すぎて、テロップ見るまで気づきませんでした。
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永瀬廉 主演 22年1月8日〜1月29日 NHK 土曜 夜9時から
ペリー来航の4年前の長崎へ、一人の青年がたどり着きます。江戸で暮らしていた伊嶋壮多は、母が亡くなり、そのことを伝えに長崎で通詞をしていた父を訪ねてきたのでした。ところが父はどこにもおらず、通詞をしていた記録すらなく…。
耳が良く、独学で学んだオランダ語を流ちょうに話す壮多を主役に、彼が世話になる置屋で出会った人々や、通詞たちを通じて、長崎の街が隠している謎と、彼の成長を描いていきます。
「おまえはまだ長崎を知らない」などとあおりのある予告で、何が起きても不思議ではない、鎖国下の日本で特殊だった長崎を舞台に描いた異色の作品でした。
全4話。(22.3.7改稿)
参照 アスペクト発行『みんなのテレビ時代劇』
NHKサービスセンター発行『NHKテレビ時代劇の世界』