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赤ひげ
船越英一郎 中村蒼 主演 18年9月1日〜10月20日 NHK 夜6時5分から
小芝風花 主演 25年1月5日〜2月23日放送 NHK 毎週日曜 朝6時10分から
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一人も傷つけず大金を奪い、雲か霧のように消えてしまうところから、人呼んで雲霧一党。今度の雲霧の狙いは、武士を金で縛り付けて
荒稼ぎをしてきた悪徳札差の金蔵。しかしその札差の筆頭となる大熊屋三太夫(伊武雅刀)は、かつて雲霧の小頭だった木鼠の吉五郎の兄でした。
吉五郎が仁左衛門によって盗人の道に堕ちて死んだと思い込んでいる三太夫は、雲霧を憎み、復讐のために捕らえることに執念を燃やします。
その手始めとして、引き込みとして大熊屋に潜り込んでいたおもん(遠藤久美子)を斬り殺します。仁左衛門はおもんの無念を晴らすため、
彼女を斬った名刀・数珠丸恒次も狙います。三太夫の後ろには、老中の平野(中村梅雀)も付いています。
一方、過去に父の店を乗っ取られ、辛酸をなめた三国屋の女主・おりょう(観月ありさ)もまた、三太夫を深く恨んでいました。そのおりょうは、
善哉の勘助(片桐仁)が贋作づくりの道に堕ちたきっかけの人物であり、当時とは全く違う顔つきになっていることに勘助は驚きます。
雲霧一党を捕らえようとする阿部式部(國村隼)率いる火付盗賊改には、助っ人として堀十内(浜野謙太)が加わります。眼鏡をかけた見た目通り、
剣の腕はからっきしですが、夜目が効くという特技があり、闇に乗じて盗みを働く雲霧一味を追い詰めます。そしてなかなか雲霧一味を捕らえられない
式部は、過労が高じて病に倒れます。
そのほかのレギュラー陣は、前作から変わらず。雲霧、火盗改、そして札差の三つ巴の戦いとなります。
10年以上に渡って、池波正太郎の原作を描き終わった第三シリーズからはオリジナル脚本で制作されてきた中井貴一版雲霧仁左衛門のシリーズ、
第七シリーズにして最終作品。BSプレミアムで同年1月から放送された作品の地上波初放送です。全8回。(26.1.11改稿)
野村萬斎 主演 08年1月17日〜3月6日 NHK 木曜夜8時から
白馬にまたがり颯爽と現れる、宗十郎頭巾の正義の剣士、鞍馬天狗! 大佛次郎の懐かしのヒーローの復活です。演ずるは狂言師の野村萬
斎。
京の町に突然現れた謎のヒーローの正体は、公家の嫡男でありながら叔父・小野宗行(村井国夫)に父を殺され、忠臣・浦部甚太夫(苅谷俊介)
によって鞍馬の山奥に逃げ伸び、仇を取るようにと天狗並の武芸を身につけた小野宗房。浦部が死んだことで、幕末の京の町に下りてきた彼は、
佐幕派と倒幕派の血なまぐさい抗争におびえる庶民の姿を目の当たりにし、また仇の宗行も殺されたことで、すべてのしがらみを捨て、倉田典膳と
名を変え、鞍馬天狗として正義のために闘うことを決意。
そんな彼の協力者は、ひょんなことから知り合った桂小五郎(石原良純)。勤皇派志士の筆頭でありながら、お天気豆知識を披露したり(石原良
純だけに)と、なかなか気さくな兄ちゃん。恋人の幾松(羽田美智子)は京一番の芸妓で、肝の据わり方は彼以上。それから倉田の従兄弟の白菊
(京野ことみ)。姫様でありながら、弓の名手で、父の宗行亡き後は、芸妓になるという、これまた肝っ玉の据わった女性。危機を救ってくれた鞍馬
天狗に熱い思いを寄せるが、彼の正体が倉田だと知ったのは最終回。そして忘れちゃいけない杉作(森永悠希)。子供ながらも、命の恩人である
鞍馬天狗を命を張って助けた、勇気ある賢い少年。登場は残念ながら7回目から。
もう一方の幕末のヒーロー、新選組とは、初対面の印象の悪さと、桂たちを助けたことで、敵対関係の鞍馬天狗。しかしその局長である近藤勇
(緒形直人)とは、敵どおしながらも互いの力量を認め合い、同じ敵に対した時には背中を預けて戦った仲。いつかは決着をつけなければならない
間柄ながらも、二人の間には、一種の友情に近い感情も。鞍馬天狗は勤皇派ではあるけども、あくまで正義の味方。勤皇派といえども庶民を苦し
める志士には鉄槌を下すし、新選組隊士の女であっても誠を貫く女性には肩入れする。そんな真のヒロニズムが満載。
素顔の時は、子供のように純真で、ちょっと惚れっぽい、とてもスゴ腕とは見えない華奢な体躯の倉田典膳。しかし一度、無為に命を奪われよう
としている人あれば、白馬にまたがり鞍馬天狗に変身! その強さときたら、残像が見えるほどの剣捌きも見事ながら、天狗を名乗るだけあって、
鞍馬の山で鍛えた身の軽さは、屋根の上まででもひとっ飛び。あちらかと思えばこちらに現れる、奇術としか思えないワープ技に、隠し技の短筒の
早抜きもお手の物。味方のピンチに絶妙のタイミングで現れ、さわやかに去っていく、まさしく正義の変身ヒーロー。いまどき珍しい勧善懲悪、愉快
痛快、昔懐かしいお年寄りから子供までワクワク楽しめる、爽快活劇時代劇でした。が、残念ながら、全八回で終了。続編が作られることを期待し
ます。(08.4.4改稿)
岡田准一 主演 14年1月5日〜12月21日 NHK 日曜夜8時から
この男がいなければ、豊臣秀吉の天下統一はなかった…、と、言われる、黒田官兵衛の生涯を描いた物語です。
播磨の姫路城主だった黒田家の嫡男として生まれた黒田官兵衛。血気盛んな青年時代、友人でもあった荒木村重(田中哲司)に裏切られ、土牢に入れられ命を削り、助けられたのちは凄みを増した壮年時代、天下を獲った秀吉との間に生じ始めた確執、そして出家し「如水」と名を改め、豊前で暮らした晩年を、 ジャニーズきってのアクション俳優の地位を獲得しつつある岡田准一が演じ分けました。
脇には、深い絆で結ばれた黒田家家臣団の栗山善助(濱田岳)、母里太兵衛(速水もこみち)、井上九郎右衛門(高橋一生)、生涯愛し続けた妻・光(中谷美紀)、まっすぐな気性の嫡男・長政(松阪桃李)など、演技派の俳優が占めました。中でも、1996年の『秀吉』でも豊臣秀吉を演じた竹中直人が同じ秀吉役を演じて話題になりました。
歴史上、それほど有名ではない黒田官兵衛の生涯を描いたことで、戦国時代の播磨の情勢や、織田信長の中国攻め時の毛利家、キリシタン大名の悲劇、朝鮮半島への侵攻、九州の戦国武将など、今まであまり描かれることのなかった部分が詳しく描かれた作品でもありました。(15.01.26改稿)
番組公式サイト http://www9.nhk.or.jp/kanbe/
慶次郎縁側日記2
高橋英樹 主演 05年10月7日〜12月9日 NHK 金曜夜9時15分から
昨年放送された『慶次郎縁側日記』の続き。原作は北原亞以子の「慶次郎縁側日記」です。
森口慶次郎(高橋英樹)は元・南町奉行所定町廻り同心。同心時代の彼の哲学、『同心は下手人を捕まえるのが役目じゃない、下手人を作らな
いのが役目だ』から、ついたあだ名が『仏の慶次郎』。現在は隠居して、寮番(管理人)をしている。
一人娘・三千代が、祝言の直前に乱暴されたことが原因で自害したという過去を持つ慶次郎。その彼と、その事件に関わった人たちの心情と流
れていく時間を描いて、「生きる」とは、そして「罪を許す」の意味を考える作品。
今回は、慶次郎の養子夫婦、晃之助(比留間由哲)と皐月(安達祐実)に子が生まれ、八千代と名づけるところから、三千代に乱暴した犯人・常
蔵の娘・おぶん(邑野みあ)が幸せになるまでが、描かれました。またそれぞれの登場人物の過去にスポットを当てた回が多かったのも、ファンに
はうれしい作りでした。(05.12.24改稿)
各回ごとの感想はこちら 慶次郎縁側日記3高橋英樹 主演 06年10月12日〜12月21日 NHK 木曜夜8時から
同名シリーズ三作目。今作のテーマは、『人は人を、本当に救えるのだろうか?』でした。
養子夫婦の家を訪れた慶次郎は、その帰り道に襲われ怪我を負います。襲ってきたのは、慶次郎が11年前、隠居する前に手がけた事件で、自
暴自棄になっていた下手人を、慶次郎自身が「生きて償え」と島送りにした男だった。その彼と因縁深い「仏の喜兵衛」と呼ばれるもう一人の「仏」
も登場したこのシリーズでした。
また、慶次郎の養子・晃之助(比留間由哲)の嫁・皐月(安達祐実)の母が気鬱の病になり、皐月が実家に帰ることが多く、二人の仲がぎくしゃくし
たりといった話もありました。
慶次郎と、同居の佐七(石橋蓮司)との仲も、お互いがお互いを必要とする間柄に進展。二人の掛け合いの息もぴったりです。(07.1.11改稿)
各回ごとのあらすじはこちら 北大路欣也 主演 08年1月18日〜3月14日 大阪 金曜夜7時から
一度は死んだはずの男が、死神となって悪を斬る!……原作は、黒崎裕一郎の「冥府の刺客」シリーズ。余談ながら、黒崎裕一郎は、脚本家中
村勝行のペンネームで、中村敦夫の弟でもあります。
南町定町廻り同心の神山源十郎は、愛妻・織江(奥貫薫)を凌辱した同僚・隠密同心の吉見を切り殺し、5年の投獄の末、斬首刑となる。ところ
が実際に斬首されたのは、身代わり。彼の命を助けたのは、楽翁(中村敦夫)と名乗る隠居。実は彼の正体は松平定信で、自分を追い落とした一
橋治斉と田沼意正に恨みを抱き、今の世の腐敗ぶりに一矢報いようと日ごろから画策、その手駒として、源十郎を助けたのだった。
死んだ身となった源十郎は、幻十郎と名を変え、同じく被害者である騙されて妻を襲った吉見の妻・志乃(戸田菜穂)の手助けもあって、5年前の
事件の裏にあったアヘンの密売を突き止め、真の仇を討つ。その後も楽翁は、幻十郎に金をエサに政治の悪の暴露を命じるが、幻十郎は己の正
義感でのみ動き、悪人を殺す死神としてその剣をふるう。(08.4.6改稿)
スペシャルの紹介はこちら 上野樹里 主演 11年1月9日〜11月27日 NHK 日曜夜8時から
「姫たちの戦国」とサブタイトルのついた今作は、大河ドラマ50作品目でした。
織田信長(豊川悦司)の妹・お市(鈴木保奈美)の三女として、籠城中に生まれた江。信長から「自分の信じる道を思うままに生きよ」という言葉を
もらい、城の中を自由に動き奔放な幼少期を送るも、その信長も滅ぼされ、母と二番目の父とも死に別れ、実の父を攻めた秀吉(岸谷五朗)の養
女とさせられ、自らの意思を無視された三度の結婚に、ただ流されて生きるしかできないだと諦めを持つ。だが三度目の結婚相手である徳川秀忠
(向井理)も、偉大すぎる父・家康(北大路欣也)を前に同じような思いを持っていることを知り、戦国の世をともに終わらせたいと考えるようになる。
サブタイトルのように、江の姉である茶々(後の淀・宮沢りえ)と、初(水川あさみ)との三姉妹を中心に、戦国三傑の時代を翻弄されながらも、多く
の子を産み、最後には将軍の妻となり、将軍の母となった江の半生を描いた作品でした。
『篤姫』と同じ田渕久美子の、オリジナル脚本でした。(11.12.13改稿)
功名が辻仲間由紀恵 主演 06年1月8日〜12月10日 NHK 日曜夜8時から
NHK大河ドラマ初とも言える、戦国ホームドラマ。原作は司馬遼太郎の同名小説。
戦国時代、一介の浪人から最後には土佐の領主にまでになった山内一豊の出世を、影に日向に支えて助けた、「内助の功」の代名詞も言うべき
その妻・千代の話。とはいうものの、戦国ものを女性視点だけでは描くことは困難だったのか、主役の千代より、夫の一豊や、他のヒーロー的戦国
武将、信長、秀吉、家康の出番が多い回も多数。
女性の脚本(大石静)だったせいか、全体に恋愛の話が多く、秘めた恋仲の明智光秀とお濃や、相思相愛の信長とお市の兄妹、愛に飢えた悪
女な淀君、そして臨終の言葉が愛の告白だった竹中半兵衛や、千代の幼馴染の六平太など、際立った役が目立つ作品でした。また、主軸が夫婦
愛だったこともあり、主役が等身大の人物だったことと重なって、女性や若い社会人といった新たなの視聴者を集めたのか、昨今のテレビ低迷化
の中、高視聴率をキープしました。
本能寺で銃撃戦をやった舘ひろしの織田信長や、千代をずっと好きだったのに千代が一豊に恋したため、一生を千代を守るために捧げた忍・
六平太(香川照之)など、NHKの大河ドラマとは思えないような、民放に負けない突飛な面白さが走った作品でした。
反面、歴史の重大シーンに一豊をもぐりこませるため、やや強引な展開があったり、合戦シーンなのに個人戦しか描かれなかったりと、歴史ド
ラマとして見ると、やや見劣りする点もありましたが、楽に楽しく見れる大河ドラマという、新たなジャンルを切り開いたある意味革命的な作品だと思
います。(07.1.2改稿)
1〜24回までのコメントはこちら
25〜最終回までのコメントはこちら 沢口靖子 古田新太 主演 19年7月27日〜9月21日 NHK 土曜夜6時5分から江戸、本所に暮らす勝家。戦国の世から徳川家に仕える由緒正しき家柄ではありますが、婿養子の小吉がいるのは小普請組。泰平の今の世では無役で、家禄はあれど役料はありません。それゆえ勝家はいつも貧乏で、おばば様こと登勢(江波杏子)と朝食の時に嫌味を言い合うのが日課になっています。その勝敗の判定をひそかに下すのが、利発な嫡男・麟太郎(鈴木福・福冨慶士郎)。のちの勝海舟です。そしてそれをにこにこと眺めているのは、妻のお信。何があってもほんわかとした笑顔で受け止めてしまいます。
曲がったことが大嫌いなまっすぐな性格で、無鉄砲だけど憎めない小吉と、そんな彼にめっぽう惚れている天真爛漫なお信。幼きころの勝海舟の逸話もたっぷり見れる、小吉とお信の波乱万丈だけど、仲睦まじい夫婦の朗らかな作品です。
同年1月からBSプレミアムで放送されていた作品の地上波初放送でした。(19.10.26改稿)番組紹介サイト https://www4.nhk.or.jp/P5370/沢口靖子 古田新太 主演 22年1月8日〜3月12日 NHK 毎週土曜 夜6時5分からのちの勝海舟の両親、豪快で型破りな父親・小吉と、一見ぐうたらな彼の素質をいち早く見抜いて惚れ抜いている朗らかな母親・お信の話の続編です。
江戸の本所で暮らす勝家で、麟太郎(鈴木福・稲葉友)に家督を譲って、暇そうにしている小吉の元に、大家の大身旗本・岡野家からやっかいごとの相談を持ちこまれたことを皮切りに、いろいろな事件が起こります。初めは面倒にしながらも、頼られれば一肌脱いで取り組む頼りになる男です。しかし今ごろになって過去の罪を問われ押し込めとなり、住み慣れた本所から虎ノ門へ引越し。江戸煩いにも苦しめられます。
一方で、青年となった麟太郎は、道場に通い剣と心を鍛え、さらに蘭学に目覚め、そして恋にも目覚めます。その妹のお順(稲垣来泉)も、話ができるほどに成長し、怖かったおばば様(江波杏子)になぜか似てきて小吉を驚かせます。そんな家族を暖かく見守る、天真爛漫なお信。貧乏な勝家を明るく切り盛りします。
勝家の親類縁者、小吉の子分の元巾着切りの銀次(小松利昌)などの配役も引き続いて登場。麟太郎の剣術道場の師・島田虎之助(姜暢雄)も加わります。
時は天保の改革真っ只中。奢侈禁止令に庶民たちは苦しめられ、小吉たちも窮屈な思いをしますが、なんとか一泡吹かせてやろうと智恵を絞ります。さらに小吉はなんと自伝を書き始めます。
2019年7月に放送された作品の続編です。2021年4月にBSプレミアムで放送された作品の再編集、地上波初放送です。全7回。(22.4.18改稿)
高橋克典 主演 20年9月19日〜10月31日 NHK 毎週土曜 夜6時5分から長屋暮らしの浪人・松村信兵衛は、道場破りで金を稼ぎ、その金で長屋の男たちに酒をおごる人気者。しかし隣に越してきた赤ん坊連れの浪人・沖石主殿(原田龍二)から、貧乏人に施しをしていい気になっていると言われ、ひどく傷つきます。一晩荒れて帰ってくると、沖石は信兵衛に、子・鶴之助を頼むと書置きを残していなくなっていました。
一方、信兵衛の身の回りの世話をしてくれているおぶん(小島梨里杏)の祖父・重助(左とん平)が、剣術道場の侍たちから暴行を受けます。相手が御家人なので、町方同心も手が出せません。信兵衛は鶴之助の父親となって、真面目に働こうと心を入れ替えます。そして重助に代わって、夜泣きそば屋の屋台を引くことに。重助に暴行を加えた侍たちが、以前に道場破りをした折笠道場の者たちだと気づき、頼りない道場主の折笠五郎衛門(笹野高史)に代わって懲らしめます。
訳あって武士に未練はなく、長屋で気ままに暮らす凄腕剣客の、育児を交えた人情長屋物語です。
全六回。原作は山本周五郎の『人情裏長屋』です。(20.12.7改稿)
高橋克典 主演 20年11月7日〜12月26日 NHK 毎週土曜 夜6時5分から人情あふれる貧乏長屋で、夜泣き蕎麦の屋台を引きながら、赤ん坊・鶴之助を育てる凄腕の浪人・松村新兵衛。
知り合いの道場主・折笠五郎左衛門(笹野)に頼まれ、父を亡くした剣術道場の跡取り娘・本郷美玖(黒谷友香)を助けたことがきっかけで、美玖が信兵衛に求婚したから、さあ大変。今まで信兵衛の世話を焼き、家族ぐるみで付き合いのあった長屋の娘・おぶん(小島梨里杏)も気が気でありません。信兵衛を巡る三角関係も交えつつ、長屋の周りで起こる事件を描いた人情時代劇です。
全七回。原作は山本周五郎の『人情裏長屋』です。(21.2.1改稿)
本木雅弘 阿部寛 香川照之 主演 09年11月29日〜11年12月25日 NHK 日曜夜8時から
司馬遼太郎が十年の歳月をかけて執筆した同名小説を初映像化。09年11月から第1部放送、全5回、10年12月には第2部放送、全4回、11年
12月には第3部放送、全4回という、3年に渡りこの3部作を放送するというNHK渾身のスペシャルドラマ。スペシャルというだけあって、明治の街
並みや海戦の様子をCGをふんだんに使って再現したり、海外ロケも大規模に行うなど、贅沢な作りでした。
開国、維新と日本が大きく生まれ変わったばかりの明治という時代を、たとえば坂の上に見える一朶の雲のみを見つめて登るように、ただ前に
前にとひたむきに生きた、三人の男たちを軸に据えて描く壮大な物語。一人は、連合艦隊参謀を務め、バルチック艦隊を沈めて日清戦争を勝利
に導いた秋山真之(本木雅弘)。そしてその兄であり、「日本騎兵の父」と言われた秋山好古(阿部寛)。そして真之の幼なじみであり、俳人の正岡
子規(香川照之)。
気まじめで、子供のころは誰よりもケンカが強かったのに、実は繊細な心も持つ真之、秀才で努力の人ながら、なにかにつけ豪快な好古、お調
子者で食い意地が張っているが憎めない、病との壮絶な戦いをしながらも近代日本文学に多大な影響を与えた子規、そして彼を献身に看病した
妹・律(菅野美穂)、それぞれそのほかの登場人物たちも非常に似合っており、また誰も良い演技でした。また映像も美しく、特に戦争の映像は迫
力があり、痛々しかったです。(12.1.31改稿)
番組公式サイト http://www9.nhk.or.jp/sakanoue/
成海璃子 主演 10年1月9日〜3月27日 NHK 夜7時30分から
「どうかこの一年、目立ちませんように…!」初詣の願い事でこんなことを祈る、小さなころからなにかにつけて(いい意味で)人目を惹いてしまうの
が悩みの漬物屋の娘、こい・17歳。だが江戸一の大店・百敷屋が「大江戸かるた腕競べ」を開催することになり、百人一首が得意なこいは、出場さ
せられることに…。
はじめは嫌々腕比べに出たこいだったが、父親の敵討ちを目指す浪人・由良(平岡祐太)と出会い、だんだんと心惹かれ、そして彼女が勝ち進
むことが由良を助け救うことになると気付き、真剣に取り組むようになる。そんな彼女を見守り、時に適切な助言を与えてきた、寺子屋の師匠・は
な先生(松坂慶子)の助けもあって、こいはどんどんと勝ち進んでいくが…。
百人一首をテーマにしたオリジナルの脚本だけあって、細部にまでちりばめられた百人一首にまつわる小ネタ、伏線が、まるで推理小説のように
すばらしいドラマでした。また、恋の歌が多数ある百人一首がテーマということで、見ていてかゆくなったり、泣きたくなったり、温かくなったりする恋
のエピソードももりだくさん。恋愛に年齢は関係ありません。それでいて、何度も用意されているどんでん返しに、予定調和なラストなど、ストーリー
は秀逸でした。
ヒロインの成海璃子と、ヒーロー役の平岡祐太は、時代劇初出演。でも二人ともそうとは思えないほどよく似合っていました。そして土曜時代劇に
なって初の女性主人公。百人一首がテーマとなるのはNHK時代劇初。と、初物尽くしのこの作品。こいの成長と初恋とを描く、さわやか大江戸青
春グラフィティーです。(10.5.13)
生涯二度に渡り徳川家康の軍を退かした智将・真田昌幸(草刈正雄)、徳川家康に仕え、幕末まで続く大名真田家の基礎を作った真田信之(大泉洋)、そして、大坂の陣で徳川家康を自害直前まで追い詰め、敵ながら「日の本一の兵(つわもの)」と言わしめたという真田信繁(幸村)。その親子を中心に真田一族を、戦国時代の荒波にもまれながら進む、一艘の船に見立てた作品です。現代でもゲームなどで大人気の真田幸村ですが、大河ドラマの主役になるのは、意外にもこの作品が初めてでした。信繁(幸村)が若き頃に仕えた豊臣秀吉(小日向文世)の人間臭さと天下人としての恐ろしさや、真田家と敵対する徳川家康(内野聖陽)の小心者が次第に天下人としてのふてぶてしさをまとっていく感じなど、脇を固める大物武将たちの演技が光る作品でした。
脚本は、堺雅人を一躍有名にした『新選組!』の脚本も書いていた三谷幸喜でした。(17.2.6改稿)伊藤淳史 主演 13年4月11日〜6月6日 NHK 夜8時から
猿飛佐助の孫が主役の痛快忍者活劇です。昨年の10月からNHKのBSプレミアムで放送された作品が、地上波に登場です。
佐助は、忍びの里で仲間たちと修業に励みながらも、鬱屈した日々を過ごしていた。偉大な祖父を持ち、その祖父と同じ名を与えられた佐助だっ
たが、幼少期の忍びの手ほどきを受ける前に父が家を出て行っており、家に伝わる「忍、天、風、人、同、殺、活」の七字からなる秘伝の意味も分
からない。また生き物を殺すことができない佐助は、自分の存在価値を見失っていた。
そんなある日、里に高波藩・京留守居役の娘・お市(水川あさみ)が里にやってくる。高波藩はお家騒動の渦中にあり、お市の父親・梅宮主膳(堺
正章)は命を狙われていた。お市を京まで送って行くことになった佐助は、その道中、お市から、小さくても石垣を築くのに重要な役目を果たしてい
るごろた石の話を聞き、自分の目指す道をおぼろげながらに見つけた佐助は、お市を守りたいと決意を固めて自分も京に残ることにする。
生計を立てることから、人の心の見破り方、主膳・お市親子を真に助けるにはどうしたらいいかなど、仲間や、母・お辰(浅野ゆう子)、長屋の人
たち、そして主膳が信頼する商人・徳三郎(柳葉敏郎)(実は父)の手を借りながら、佐助は成長し、秘伝の極意も一つ一つ体得していきます。
忍術の監修が付いたり、千葉真一がオープニングのナレーションをしていたり、かなり本気な心意気を感じる作品です。が、一番の見どころは、
大物悪役な梅沢登美男でもなく、佐助の強敵となる服部半蔵の孫・服部伴蔵(浪岡一喜)とのアクション対決でもなく、柳葉敏郎の身のこなしの素
晴らしさだったりします。アクションも完璧です。
アクション満載で送る痛快時代劇、佐助の、人として、忍びとしての成長の物語です。(13.7.8改稿)
三匹が斬る!高橋秀樹 役所公司 春風亭小朝 主演 87年10月22日〜88年3月31日 テレビ朝日
記念すべきシリーズ一作目! すべてのお話はここから始まりました!
ただし、始まり始まりっぽいのは一回目のみ。二回目からは後のシリーズのノリと大きな違いはありません。一回目の星空の下であだ名を付ける
シーンはファン必見ですよ! このシーン以外に仲良くなっていく『過程』は見れませんから。
浮世離れした思想と家柄の良さを感じさせる物腰から『殿様』と呼ばれる矢坂平四郎(高橋英樹)。夢は剣の腕を千石で買ってもらうこと、の浪人
『千石』こと久慈慎之介(役所公司)。「たこの吸出し」を売っていたから付けられた『たこ』こと、実は甲賀忍者の末裔、燕陣内(春風亭小朝)。この
三人に、全国のおいしい物を覚えて料理屋をするのが夢のお恵(杉田かおる)を加えた珍道中。
まだ各役のイメージが固まっていないようで、殿様が袴だったり、たこが着流しだったり、千石が悪人っぽかったりと、模索の跡が見えて新鮮で
す。EDの画像も毎回変わるし、たこも弱そうだし(笑)、千石の笠も新しいし(笑)。(05.8.26改稿)続々・三匹が斬る!高橋秀樹 役所公司 春風亭小朝 主演 90年1月4日〜6月28日 テレビ朝日
あまりに有名で、人気のあった番組なので説明はいらないかと思う『三匹が斬る!』シリーズの3作目。ヒロインは、お蝶(長山洋子)です。
今でも思い出の時代劇話をしたら、知らない人同士でも20代後半より上は必ず名が上がり、盛り上がること受け合いの名作です。
3作目というとで、キャラクターイメージも固まり、見せ場のパターンも決まり、なおかつ毎回の話のネタに勢いがある、というシリーズ中もっともバ
ランスのとれた作品だと思います。
私事ながら、流之介のもっとも好きな時代劇です。コメント書くのに手が震える作品は、きっと後にも先にもこれだけでしょう(笑)。
今回、執筆に当たって検索かけたら出るわ出るわ、数年前に見たコアなファンサイトも残ってました。十年以上前の作品ですよ。すごいことです。(05.7.7) 村上弘明 主演 08年7月18日〜9月12日 大阪 金曜夜8時から
ちょうど1年前の放送から、再び帰って来たシリーズ第2弾。
凄惨な過去から宮仕えがほとほと嫌になり、脱藩して浪人となり、叩かれ屋を営む松葉刑部。その剣の腕を見込み、江戸の裏社会で「助っ人屋」
を取り仕切る徳松(柄本 明)が、手伝いを頼みこむ。助っ人屋の手伝いをするうち、徳松の商売敵、闇猫のお吉(若村麻由美)と敵対関係に。闇猫
一味の刺客をことごとく倒し、壊滅に追いこむ。と、ここまでが第1シリーズのお話でした。
以降、闇の仕事から離れ、叩かれ屋一筋の刑部。徳松からまた仕事を手伝ってほしいと頼まれ、再び闇の世界へ。第一シリーズの後、江戸を離
れていたお吉も江戸に舞い戻ってくるが、今度は江戸最大の闇組織「闇法師」にかくまわれるという、微妙な立場。刑部と闇法師の実力者「七人
衆」との対決がメインになるかと思いきや、みなへぼへぼで、闇法師壊滅まっしぐら。なので見どころは、猫姐さんことお吉の立ち位置と七変化で
す。
一方、刑部行くところなにかともめ事が起こることで北町奉行同心・岩切伊十郎(山田純大)にも目をつけられ付きまとわれ、徳松、お吉に続いて
第1シリーズにもましてさらに方々から引っ張りだこの刑部。でもひときわ異彩を放っていたのは、蝙蝠もびっくりなほど、変わり身しまくりかつ、お
吉にメロメロさ加減がヤバい七人衆の一人・道八(本田博太郎)。もう一人のお吉の手下、若い燕ならぬ雀(河野朝哉)とともに、今回も楽しそうな
闇猫一家でした。
敵キャラクターの面白さで話題騒然となった第一シーズンの良いところは受け継ぎつつ、さらに面白みと深みを増した第二シーズン。最終回で
は、お吉をかばって火縄銃の包囲網の中に突っ込んでいった刑部。はたして彼の生死は? そして次シリーズはあるのかいかに?(08.10.11改稿)
将軍の隠密!影十八三田村邦彦 主演 96年1月27日〜6月29日 テレビ朝日
闇奉行ものと必殺シリーズとを足したようなこの作品。
番組冒頭でオープニング代わりに流れるナレーションによると、将軍家には17の組の隠密がいるそうで、その正規の隠密では裁けない悪を成敗
するため密かに作られたのが、一橋宗尹公が管轄する、十八組目の隠密、この影十八。もともと隠れた秘密組織である隠密のさらに影って、どこ
まで隠れれば気が済むんだ?とツッコミたくなる秘密組織です。
彼らは普段は医者だったり板前だったり軽業師(裏の仕事の隠れ蓑にしては際どすぎると思う職業)だったりと普通の江戸の住人なのだが、一
度、悪の匂いをかぎつけると、捜査に乗り出し、表からでは裁けないと分かると、闇にまぎれて繰り出しそれぞれの得意技で始末する。その技が
「刺のついたメリケンサックで殴り殺す」だったり、「2、30センチぐらいある針を首に貫通させる」とまあ、給金の出どこが違うだけで、どこかで見た
ような展開。
今までコロッケや西岡徳馬と組んでの主役だった三田村邦彦、初の一人主役か!とや思いきや、一橋宗尹役の里見浩太朗が準レギュラーでし
た。
全体的にチープな雰囲気が漂うものの、そこそこ面白かったと思うのだが、『必殺シリーズ』のぱくりっぽいのがいけなかったのか、わずか一シリ
ーズで終わってしまったかわいそうな作品。(05.12.15)次郎長背負い富士中村雅俊 主演 06年6月1日〜8月31日 NHK 木曜夜8時から
ご存知、清水の次郎長の半生記です。侠客の話というよりは、人情ものに近い感じで、次郎長の幼少時から丁寧に描いた作品です。
この次郎長、侠客の親分でありながら、威張ることなく控えめで、それでいてここぞというときにはしっかりとその役目を果たす、理想の長像といっ
た感じで、好感が持てました。いわゆる人間の魅力あふれる人でした。
子分もなかなかいい味のある人たち揃いで、特に次郎長のブレーンの大政(草刈正雄)と、若いながらも次郎長の兄弟分の親分となった仁吉(安
田顕)が、男として惚れ惚れするかっこよさでした。
全十回と、NHK木曜時代劇の中では長いほうでしたが、毎回非常に展開が早く、コメディ部分もありで、途中だれることなく楽に気持ちよく見れる
作品です。
原作は、山本一力の「背負い富士」。主題歌は、男ばかりの登場人物だからということで、中島みゆき作詞作曲で華原朋美が歌うという女性の歌
でした。このエンディングの背景が、パッチワーク手芸のコマ撮り風の、三度傘の旅がらすが旅をするアニメーションで、とてもかわいらしく好評でし
た。(06.9.26改稿)
各回ごとのコメントはこちら 大沢たかお 主演 09年10月11日〜12月20日 毎日 日曜夜9時から
脳外科医の南方仁は、恋人・未来(中谷美紀)の脳腫瘍手術を執刀するも失敗し、植物状態にしてしまい、難しい手術は避けるという逃げ腰な生
活を過ごしていた。そんなある日、病室から抜け出した身元不明患者を追いかけて、仁は階段から落ちる。気を失った仁が目覚めた時、そこは林
の中で、すぐ先では本物の侍たちが斬り合いをしていた。自らも額を切られつつも切られそうになった仁を助けた橘恭太郎(小出恵介)を助けるた
め、仁は持っていた救急医療用の道具だけで、彼を手術することに。
なぜか幕末の江戸にタイムスリップしてしまっていた仁。その世界で、目の前で死にかけている人たちを無我夢中で救ううちに、彼の中で何かが
変わり出す。歴史に名を残すことになる坂本龍馬(内野聖陽)、緒方洪庵(武田鉄矢)、勝海舟(小日向文世)などとの出会い、そして未来に瓜二つ
な花魁・野風(中谷美紀・二役)と出会ったことで、彼が未来から持ってきていた未来との写真に変化が起こる。野風との出会いが未来の運命を変
えるのか、そして彼は元の世界に戻れるのか、そしてはるかに進んだ医療技術を持つ彼が動くことで歴史の流れはどう変わるのか、その結果
は?
他に類を見ない、医療時代劇。タイムスリップものの面白さに加えて、江戸時代は脅威の病だったコレラや梅毒の治療に立ち向かう医者ドラマの
面白さ、そしてたった一人で知る者のいない世界に暮らす仁の悩みなど、深みのある見せ場が盛りだくさんのストーリー展開でした。またCGで作ら
れた江戸の街の再現度のすばらしさや、息をのんで見つめてしまう緊迫の手術シーンも必見の出来でした。おそらくこれほどクオリティの高い作品
は、しばらく出てこないのではないでしょうか。
原作は村上もとかの同名マンガです。(10.1.26改稿)
番組公式サイト http://www.tbs.co.jp/jin2009/
大沢たかお 主演 11年4月17日〜6月26日 毎日 日曜夜9時から
脳外科医の南方仁は、病院の非常階段から落ちた瞬間、幕末の江戸時代にタイムスリップしてしまう。驚きながらも、目の前の患者を助けようと
奔走しているうちに、江戸に住む人たちの助けもあり、ペニシリンを開発したり、ついには江戸の医者として『仁友堂』を開業。そんな前作から二
年。仁はまだ江戸にいた。
完結編と銘打った今シリーズながら、初回(二時間スペシャルでした)から、坂本龍馬(内野聖陽)に動乱の京都に連れて行かれ、瀕死の佐久間
象山(市村正親)を治療したり、西郷隆盛(藤本隆宏)の虫垂炎の手術をしたりと、歴史上の人物に関わって大活躍してしまう仁。果ては、皇女・和
宮(黒川智花)に、脚気の薬として咲の母に食べさせるために作った菓子・安道名津(あんドーナツ)を献上することに。しかしその席で和宮が昏
倒、仁は暗殺の疑いを掛けられ、牢へ入れられてしまったりと、今作も次々と事件発生な波乱万丈のストーリー展開でした。
目の前の命を助けても、結局は人の運命を変えることはできない、歴史の修正力の前では自分は無力なのに、なぜこの時代に来たのかと悩み
続ける仁。だが咲(綾瀬はるか)の助言もあり、だんだんと歴史に関わることのルールを探っていく。そして少しでもこの時代の医療技術のレベル
を上げようと奔走。しかし時代は激動期。龍馬の活躍で大政奉還がなされ、戊辰戦争が始まる。そんな中、仁は自分に脳腫瘍があることを悟る。
戦争負傷者の手当てを続けるも、だんだんと体調も崩していってしまう。
一方で、仁が親友となった坂本龍馬の暗殺の日も迫る。なんとしてでも龍馬を救いたいと行動する仁の願いは届けられるのか。
歴史上の人物との関わり合いもですが、今作では仁とそのすぐ周りの人々との気持ちのつながりに重点が置かれていました。特に龍馬との互い
の信頼関係と、仁を慕いながらもその心を隠して医の道を進む、咲の切なすぎる恋心には、心を揺さぶられました。
少しでもいいものを作りたい、見せたい、という熱意が伝わってくる本当にいい作品で、初回と最終回が二時間スペシャル、途中回でも五分拡大
など数回、また最終回で平均視聴率26.1%、瞬間最高視聴率31.7%を記録(民放ドラマでは25%を超えたのは前作最終回以来。ただし同日のNH
K大河・『江』は19%)というテレビ史に残るような高視聴率を出しました。
タイムスリップ+幕末+医療という、正確には時代劇の枠からはみ出した作品ですが、その時代に生きる人たちや世界の描き方がすばらしいの
で、あえて時代劇としてここで取り上げています。しかしながら、タイムスリップものとしても、ここまで伏線を完璧に回収した作品はないのではない
かと思うほど、完成度は高いです。
原作は村上もとかの同名マンガです。(11.7.11改稿)
永井大 主演 12年4月15日〜7月28日 NHK 日曜昼1時05分から
11年4月にBS時代劇の第一弾として放送された作品が、満を持して地上波に登場です。
司馬遼太郎原作の『新選組血風録』をドラマ化。敬愛する近藤勇(宅間孝行)のため、鬼になる覚悟をした土方歳三。「鬼の副長」と呼ばれた彼
を中心に、新選組の日々を一話完結で綴ります。
主演の永井大からして時代劇初主演で、新選組隊士たちはほぼ無名な若い役者たち。顔と役を覚えるのが大変でしたが、それゆえに多摩の田
舎から出てきて一旗揚げようとしているまだ無名の新選組隊士たちの雰囲気がよく出ていました。中でも沖田総司(辻本祐樹)は、透明感のある風
貌に子供のような無邪気さと残酷さを併せ持っていて、イメージにぴったりでした。
各話のゲストで出てきた役者も、独特の雰囲気を持った人が多く、人斬りが日常となっている特異な環境の中で生きている人の感じがよく出てい
ました。
有名な役者の少ない、地味な作品でしたが、一話一話丁寧に作られていると感じる、良作です。
全12回。一回目は73分の拡大版でした。(12.8.22改稿)
須賀健太 主演 10年1月15日〜3月19日 毎日 金曜深夜0時29分から
時は幕末。父と母を長州人に殺された恨みを持つ市村鉄之助は、敵討ちのために強くなりたいと新撰組への入隊を希望。だが15歳とは思えな
い幼い容貌に、子供扱いされる日々。人を斬るということの意味をまだ知らない鉄之助は、激しい抗争の渦巻く京都で人斬りと恐れられる新撰組
の中で、何を見、何を感じ、どう成長を遂げるのか。池田屋事件を下敷きに、新撰組と長州の維新志士、そして鉄之助の心の傷と、それを乗り越
える様を描きます。
原作は黒乃奈々絵の漫画『新撰組異聞PEACEMAKER』。若手美男子をふんだんに起用して、ポップなノリと暗いテーマが交錯するストーリー
展開は漫画原作ならでは。が、いかんせん深夜30分のドラマのせいか、細かいところが非常にもったいない。とりあえず着付けが気になっては、ド
ラマに入り込めません。そして真夏の話を真冬に撮影しているため(そして放送も真冬)、見ていて痛々しいほど寒そう。とはいえ、マンガの雰囲気
作りは努力たっぷり、よく出ていたと思います。とくに元気いっぱいの鉄之助を、天才子役と言われる須賀健太が体当たりの熱演でした。
放送日がなぜか関西の方が関東よりに5日早かったのも、毎回のように放送時間が違ったのも深夜放送ならではでした。(10.5.2改稿)
番組公式サイト http://新撰組peacemaker.jp/
吉沢亮 主演 21年2月14日〜12月26日 NHK 毎週日曜 夜8時から幕末の武蔵国で、養蚕と藍玉作りを営む地主の家に産まれた栄一。おしゃべりで、強情っぱりで、さびしがりの少年は、多くのことに興味を持ち、温かい家族と親戚に囲まれ育ちます。成長するにつれて経済の才を発揮しつつも、時代の流れに乗って従兄の喜作(高良健吾)とともに勤皇思想に染まりますが、徳川慶喜(草g剛)の腹心・平岡円四郎(堤真一)に出会い、幕臣に。慶喜の弟・昭武(板垣李光人)のパリ万博行きに付き従い、西洋諸国の知識を身に付けます。帰国後、明治政府の大蔵省で働き、民間に下って銀行を作ります。
近代日本経済の父と言われ、数々の事業を立ちあげた渋沢栄一の、時代の波に翻弄されつつも、日本をよくしたい、みなが幸せになってほしい、その一心で駆け抜けた前半生を中心に描いた作品でした。
全41回。(22.1.31改稿)
鈴木亮平 主演 18年1月7日〜12月16日 NHK 日曜夜8時から英雄視される西郷隆盛。その銅像の除幕式で、妻の糸(黒木華)が、「旦那さぁは、こんな人ではなかっ」と叫んだところから始まった、18年のNHK大河ドラマ。聖人君子ではないが、愚鈍でもなく、革命家であり、戦上手。実像は謎に満ちているが、ただ一つ確かなことは、この男、男にも女にも大層モテたということ。
少年時代に肩を怪我し、侍でありながら刀が振れなくなり、挫折しそうになった吉之助(のちの隆盛)は、藩主・島津斉彬(渡辺謙)に出会い、踏みとどまり、成長してのち、藩の相撲大会で優勝し、斉彬に取り立てられます。吉之助は、迫る列強国から国を守ろうと先進的な考えを持っていた斉彬の元で、篤姫(北川景子)の将軍家輿入れ実現のために奔走。しかし、作品前半大きな存在感を放っていた斉彬の突然の死で、敬愛する主君を失った吉之助は失意のどん底へ。その後、沖永良部島へ流刑に。自暴自棄になっていた吉之助は、島の娘・愛加那(二階堂ふみ)の献身的な愛に、生きる希望を見出します。明治政府で陸軍参謀になるも、新政府に失望し、薩摩へ帰郷。栄達と二度の流刑、そして最後は罪人として死ぬも、英雄となる…波乱に満ちた人生を歩んだ西郷隆盛を、素朴で実直で、それでいて柔軟で、人への愛にあふれた魅力ある男性として描いたこの作品。後半では、少年時代からずっと友だった大久保利通(瑛太)との関係が、次第に変化していくところも見どころでした。演じたのは、役に対してストイックな姿勢で臨む、体作りで有名な鈴木亮平。特に後半は、肥満から医者に散歩を勧められたという西郷そっくりの巨漢でした。原作は林真理子の『西郷どん!』、脚本は中園ミホの女性コンビでした。タイトルの読みは「せごどん」です。(19.1.26改稿)番組公式サイト https://www.nhk.or.jp/segodon/銭形平次村上弘明 主演 05年7月4日〜9月12日 ABC 月曜夜7時から
おなじみ、村上弘明の銭形平次。さすがはミスター時代劇中堅・村上弘明(?)、動きもセリフも見ていて安心できます。
そして元々の長身に加えての、なぜか全身から噴出す威圧感。新米同心なんてなんのその、上司の笹野新三郎(西岡徳馬)様はもちろん、他の
与力の旦那に対してだって一目置かせる貫禄は、誰よりも頭が切れることと、人間できてるっていうだけじゃ説明がつきますめぇ。
腕っ節もめちゃくちゃ強く、刀を振り回すお侍にも強気に飛び掛り、十手でバシンとねじ伏せる無敵のヒーロー!
恋女房・お静に東ちずる。子分、八五郎にはアリtoキリギリスの石井正則という、超デコボココンビ。石井の相方、石塚義之は、平次をライバル
視する三輪の万七親分(渡辺哲)の子分・清吉役という、凝った配役。(05.9.28改稿)
各回ごとの感想はこちら 中田青渚 主演 23年12月24日〜24年2月18日 NHK 毎週日曜 朝6時10分から江戸にある千七長屋は、店子も差配も善人ばかりで、善人長屋と呼ばれています。しかしその実態は、スリに泥棒に騙りに贋作づくりにネタ売り、
おまけに差配一家は盗品売りという、住人全員が裏稼業を持つ悪人ばかり。裏で悪を働いているからこそ、表の顔は必要以上に善人になってしまう、小悪党の集まりでした。
そこに大泥棒一家の錠前破りが逃げ込んでくるという知らせが。その直後に現れた、錠前屋の加助(溝端淳平)。一見底抜けに良い人間に見えますが、
勘働きが良く一目見たらどんな人間か見抜く特技を持つ差配の娘・お縫でも、加助の性根が見えません。正体を隠した住人たちは、お人好しで困っている人を見過ごせない
おせっかいな加助が持ち込む厄介ごとに巻き込まれます。果たして加助は本当に錠前破りなのか、ただの善人なのか。そして妻子を火事で一度に亡くして悲しみのあまり
泣くことができなくなった加助に、住人たちは正体を気づかれずに過ごせるのか。
娘と妻にはめっぽう甘いが頼りになるまとめ役・千七屋義右衛門(吉田鋼太郎)に、その妻・お俊(高島礼子)や、とんでもない美人に化ける文吉(溝口琢矢)など、
悪党たちが助け合って情に厚い活躍を見せる、エンタメ時代劇です。
2022年7月にBSプレミアムで放送された作品の地上波初放送でした。全八回。(24.3.31改稿)
向井理 主演 18年5月19日〜7月21日 NHK 土曜夜6時5分から時は文政。戦のない時代の続いた武士の台所事情は苦しく、そんな武士の家計を期間限定で預かる、渡り用人という仕事がありました。
唐木市兵衛は侍でありながら、上方の商人の家を渡り歩いて修業を積んだ変わり者。ひょろりとした風貌ながら、そろばんの腕だけでなく、凄腕の剣の遣い手でもあります。その剣を抜けば、風が吹くという、風の剣を使います。
用人を斡旋する『宰領屋』矢藤太(渡辺いっけい)の口利きで、仕事に入った先で、不審な金の流れを見つけた市兵衛は、「鬼渋」と呼ばれる同心・渋井鬼三次(原田泰造)の強力も得て、謎を解いていきます。その中で出会った筆頭目付の片岡信正(筒井道隆)。彼は市兵衛の実の兄でした。市兵衛は目付の家の次男だったのです。父が亡くなり、家出をした市兵衛と再会した信正は、市兵衛に家に戻って自分を手伝うように頼みますが、市兵衛は断り、渡り用人として生きていくことを選びます。
原作は、辻堂魁の『風の市兵衛』シリーズ。三話で一つの話が完結の、全九回の放送でした。(18.8.27改稿)太閤記 天下を獲った男・秀吉中村橋之助 主演 06年10月31日〜12月12日 ABC 火曜夜7時から
NHK大河ドラマ『功名が辻』の後追いのような形で放送されたこの作品。『太閤記』という大作を、全6回の8時間で描いたせいか、非常に展開が
早い印象でした。また、話題性を狙ったのか、『功名が辻』で秀吉を演じた柄本明が、渥見侘助役でナレーションでした。
秀吉と信長の妹・お市の方(相田翔子)が両思いという新解釈に、驚いた作品でもありました。織田信長に村上弘明、明智光秀に風間トオルは、
役を押さえた演技で似合っておりました。また秀吉を上役と思わない態度の蜂須賀小六(的場浩司)が小気味よく、片耳だけのドクロのピアスがか
わいかったです。足利義昭の京本政樹は、周りの武将から浮いている感じがぴったりでした。(07.1.5改稿)
各回ごとのあらすじはこちら
中村隼人 主演 19年10月5日〜20年1月11日 NHK 土曜夜6時5分から南町奉行所に新たに就任した見習い同心・八巻卯之吉。先輩同心にお茶を淹れられても「すまないねぇ」と涼しい顔で受け取ってしまう不思議な大物感で、南の狂犬を名乗る同心・村田(池内博之)から目を付けられてしまいますが、本人は全く気づかず。実はこの卯之吉、江戸随一の両替商・三国屋徳右衛門(竜雷太)の孫で、彼を溺愛する徳右衛門が行く末を案じて彼のために同心株を買ったのでした。徳右衛門の根回しで、卯之吉は上役からの覚えも上々。
走るの苦手でおばけが怖い、剣なんて抜いたこともない卯之吉ですが、辻斬りに襲われたところを、徳右衛門が雇った用心棒・水谷弥五郎(村田雄浩)がこっそり助けたのを誰にも見られなかったこともあり、剣豪同心と瓦版で評判に。実は以前、医者の修業をしていたこともあって、死体の検分や毒物の見分けもお手の者。病人と家族の辛そうな顔を見るのが嫌で医者を辞めたという優しさで、鬼姫と呼ばれた女剣士・溝口美鈴(新川優愛)の心もつかんでしまいます。身請けした深川一の芸者・菊野(稲森いずみ)と話しているうちに、事件の真相にたどり着くなど頭もよい。とはいえ、捕物では、相手に殺気を向けられたら立ったまま気絶してしまうという弱さ。ところが、剣豪同心と呼ばれる卯之吉のあまりにも無防備な構えに、相手の方が勝手に恐怖に捕らわれ負けを認めてしまいます。すかさず美鈴や、卯之吉の御曹司から同心への転職に従って、太鼓持ちから岡っ引きへと転職した銀八(石井正則)、卯之吉のことを凄腕同心と信じて疑わない荒海一家の親分(渡辺いっけい)とその子分たちの助けで、見事、本人が気絶している間に下手人たちを一網打尽にしてしまいます。
そんな大手柄を上げたのにもかかわらず、威張ることもなく、常にのほほんと構えているだけ。そんな卯之吉ですが、実は心の奥にはぽっかりと穴が…。それを埋めることは叶うのか…。
大富豪だけど、事件の謎解きは頭脳派な、ほんわか雰囲気の捕物帳です。
2019年5月にBSプレミアムで放送されていた作品の地上波初放送でした。(20.2.18改稿)
中村隼人 主演 23年3月26日〜23年5月21日 NHK 日曜夜6時10分から江戸一の剣豪同心と言われる、八巻卯之吉。その正体は、実は江戸随一の両替商三国屋の若旦那。三国屋徳右衛門(竜雷太)が、
かわいい孫が将来困らないためにと同心株を買い、与力の沢田(小沢仁志)に頼んだのでした。ぼんぼん育ちの卯之吉は、走るのもお化けも
苦手で、もちろん剣術もからっきし。捕物で刀を向けられると、立ったまま気絶。そこで助けに入るのが、卯之吉を慕う女武芸者の美鈴
(荒川優菜)や、徳右衛門が雇った用心棒の水谷弥五郎(村田雄弘)。他にも、姉のように卯之吉を見守る深川一の芸者・菊野(稲森いずみ)や、
卯之吉を妄信する荒海一家の親分・荒海ノ三右衛門(渡辺いっけい)の助けに、時にはお金も使って、おっとりした見た目と違い、頭が良く、
医術の心得もある卯之吉は、事件を解決していきます。
この第二シーズンでは、そんな卯之吉のそっくりさんが登場。なんと将軍の実弟で、次期将軍と目される幸千代君。正義感が強く武に優れた
幸千代に対し、裏で暗殺計画が立てられており…。もともと同心と若旦那という二つの顔を持つ卯之吉に、さらにお殿様との入れ替わりも加わって、
将軍家を脅かす陰謀に立ち向かう(でも本人は至ってマイペース)、今作。
2021年5月からBSプレミアムで放送された作品の、地上波放送です。全九回。原作は、幡大介の大富豪同心シリーズです。
大富豪同心3中村隼人 主演 24年9月8日〜10月27日 NHK 毎週日曜 朝6時10分から江戸一の剣豪同心と名高い八巻卯之吉。しかしその実態は、剣を突き付けられると気絶してしまう、両替商の大店・三国屋の若旦那。
いつもおっとり変わらない卯之吉のほんわか捕物帳、大富豪同心のシリーズ第三弾です。
甘利(松本幸四郎)に頼まれ甲府へ出向いた徳右衛門(竜雷太)の代わりに、三国屋に卯之吉の叔母・おカネ(若村麻由美)が上方からやってきます。
おカネは三国屋の切り盛りに加え、美鈴(荒川優菜)が卯之吉の嫁にふさわしいか厳しく指導。剣術以外は苦手な美鈴は苦労することになりますが、
卯之吉は「美鈴さんは美鈴さんらしくいてくれたらいい」と、いつものマイペース。
一方、不況が長引く江戸の町では、世直し衆と名乗る義賊が暗躍。南町奉行所にもお上から賊を捕らえるように命が下り、与力の沢田(小沢仁志)
以下、卯之助たち同心も見回りに精を出します。そんな中卯之吉は、蘭学者・濱島(古川雄輝)と出会います。濱島は、世の乱れを憂うあまり、
今の幕府になり替わろうとする尾張藩家老の坂田(新藤栄作)の口車に乗せられ、世直し衆を率いていたのでした。
世直し衆を追っていた卯之吉たちですが、爆発に巻き込まれて美鈴が行方不明に。卯之吉は仕事をするなどらしくない様子に。果たして美鈴さんは
戻ってくるのか、二人の仲はどうなるのか、そして幕府滅亡の危機は防げるのか。
第一シリーズから登場していた、卯之吉のお付きの銀八(石井正則)や、卯之吉に心酔する荒海の親分(渡辺いっけい)、深川芸者の菊野(稲森いずみ)、
卯之吉を狙う公家殺人鬼・清少将(辻本祐樹)などに加え、第二シリーズから登場の将軍の実弟の幸千代(中村隼人・二役)なども引き続き総登場します。
2023年6月からBSプレミアムで放送された作品の、地上波初放送です。全8回。原作は幡大輔の『大富豪同心』シリーズです。(2024.12.1改稿)
太平記真田広之 主演 91年1月6日〜11月8日 NHK
大河ドラマ。鎌倉幕府滅亡から南北朝時代に掛けての覇者・足利尊氏の一代記です。
若く頼りなげな青年から、勇猛な武将、苦悩する壮年と、まだ幼さの残る顔から貫禄のある顔まで、真田広之が見事に演じました。もちろん立ち
振る舞いも乗馬も刀さばきもお手の物。
共演陣も、高嶋政伸、柄本明、萩原健一、根津甚八、武田鉄矢、大地康雄など見ごたえある人ばかり。中でも若き尊氏と駆け落ち騒動を起こす
芸人一座の娘に宮沢りえ、彼女の義兄で侍嫌いの忍(?)に柳葉敏郎、そして傾き者(当時はバサラ大名というらしい)以外の何者にも見えなかっ
た佐々木道誉役の陣内孝則が、子供心に大好きでした。
苦悩も多い話ですが、うじうじせずに、決めるときには決めて、歴史の流れもしっかりと抑えつつ、それぞれの人間ドラマもおなざりにしないとい
う、非常にバランスの取れた見ていて気持ちいい作品です。オープニングもとてもかっこよく、さすが大河と言うべき、他のドラマとは一線を画した
良作品です。(06.5.2)松山ケンイチ 主演 12年1月8日〜12月23日 NHK 日曜夜8時から
平安時代末期、長く続いた貴族の隆盛もすたれ、世は乱れていた。とはいっても国を仕切るのは朝廷であり、その周りにいるのは依然として貴
族であり、武士の身分は低く、朝廷から盗賊の退治などを命じられ、命を賭けて働いても蔑まれる、番犬のような存在だった。そんな中、武士の世
を作りたいと真剣に思い、行動を起こした男がいた。
この世で意のままにならぬのは賀茂川の水・双六の賽・山法師のみと言った白河法皇(伊東四朗)の隠し子でありながら、武士の一門・平家の棟
梁・平忠盛(中井貴一)の嫡男として、育てられた平清盛。その境遇から若い時は無頼として過ごしていたが、同じく源氏一門の御曹司でライバル
となる源義朝(玉木宏)や、出家したのちも生涯の友となる西行(藤木直人)との出会いと、父の教えから、しだいに棟梁としての自覚と武士の世を
作るという夢を持つようになる。同じ理想を追った同士・信西(阿部サダヲ)や、同じように世の乱れを正そうとしながら政敵となった藤原頼長(山本
耕史)、そして生涯の政権争いのライバルとなった後白河法皇(松田翔太)など、様々な人との出会いが清盛を成長させ、強くして行きます。やがて
「平家でなければ人にあらず」とまで言うほど巨大な権力を手に入れた平家一族。しかし登りつめた先に待つのは、盛者必衰の運命だった。そして
その歯車を回したのは、語りを務めた源頼朝(岡田将生)。清盛の悲願は、武士による初の幕府を開いた彼に受け継がれたのでした。
「遊びをせんとや生まれけむ」の今様の歌詞さながら、おもしろく生き、武士でありながら国の頂に立った平清盛の物語です。
画面が汚い、最低視聴率を記録など、作品自体よりも悪評で名を上げた作品ですが、清盛を取り巻く登場人物は好演の俳優が多かったと思い
ます。(13.1.28)
溝端淳平 主演 21年1月9日〜3月6日 NHK 毎週土曜 夜6時5分から医者を目指して出羽亀田から出てきた立花登は、江戸の叔父・小牧玄庵(古谷一行)の家で居候をしながら、修業に励んでいます。玄庵から小伝馬町の牢屋敷の牢医者の仕事を任され、柔術の道場では師範代。家に帰れば、すぐに酒を飲みに出かけてしまう玄庵の代わりに、叔母・松江(宮崎美子)から雑用を押し付けられたり、なにかとちょっかいをかけてくるいとこのちえ(平祐奈)の相手をしたりと多忙な日々。
どんな患者も丁寧に診察し、腕も確かな登に、時には頼みごとをしてくる罪人も。逆に様子のおかしな罪人が気にかかることも。岡っ引きの藤吉(石黒賢)や下っぴきの直蔵(波岡一喜)から事件のあらましを聞いて、解決に乗り出します。
第一シリーズでは不良娘で生意気だったちえも、登への恋心に自覚が出てきて、二人の関係も見どころです。
2017年4月にBSプレミアムで放送された作品の、地上波放送です。全8回。(21.4.12改稿)
溝端淳平 主演 21年4月17日〜6月12日 NHK 毎週土曜 夜6時5分から牢医者の仕事も堅実にこなし、従姉妹のちえ(平祐奈)との仲も家族公認になった、医者の立花登。青年医師のさわやか青春物語、第3シリーズです。
世話になっている叔父・小牧玄庵(古谷一行)が倒れたり、ちえの不良時代の友達・おあき(樋井明日香)が事件に巻きこまれたりと、いろいろなことが起きますが、登は落ち着いて対処。また牢屋の囚人絡みの事件も岡っ引きの藤吉親分(石黒賢)と手下の直蔵(波岡一喜)や、柔術道場の後輩・久坂(渡辺佑太朗)の手を借りて解決。男女の仲の奥深さを知らされます。
そのうちに、玄庵と叔母の松江(宮崎美子)から、医者の修業のために大坂へ留学も勧められ、ちえと仮祝言を挙げ、正式に小牧家の跡取りとなることが決まります。
2018年11月からBSプレミアムで放送された作品の、地上波初放送です。全7回。原作は藤沢周平の小説『獄医立花登手控え』です。(21/7/12改稿)
ちいさこべ〜若棟梁と九人の子小沢征悦 主演 06年9月7日〜10月5日 NHK 木曜夜8時から
大火事で両親も店も失ってしまった大工の若棟梁と、孤児になった九人の子供たちとの交流を描いた、人情時代劇。
頑固で一本気で反骨精神の塊のような「大留」の若棟梁・茂次を小沢征悦(ゆきよし)が好演。はじめは距離があった子供たちとも、次第に打ち
解けていき、互いに成長していきます。
そして彼を巡る二人の女性。一人は茂次に黙って九人の子供の面倒を見始めたりつ(上原多香子)。茂次の幼馴染で、やはり火事で身内をなく
し、大留で下女として働くことになる。誰よりも子供たちのことを考える、若いながらも母のような優しい娘。もう一人が、老舗の質屋の娘・ゆう(奥菜
恵)。茂次とは親が決めた許婚同士で、子供たちの教育を担当する。この二人の、茂次をはさんだ恋模様も見どころの一つです。
九人の子供たちも、それぞれに事情を抱えており、子供どうしの世界でもいろいろあることがうまく描かれています。その子供たちを演じたのは、
全国から選ばれた子たちというだけあって、彼らだけでもなかなか見ごたえあります。
背景は重いながらも、どこか心温まる、和みのある微笑ましい時代劇です。
原作は山本周五郎の同名小説。全五回の短編でした。(06.10.14改稿)
各回ごとのあらすじはこちら ちかえもん
青木崇高 松尾スズキ 主演 16年1月14日〜3月3日 NHK 木曜夜8時からスランプ中の戯作者・近松門左衛門(松尾スズキ)、50歳。以前は歌舞伎や人形浄瑠璃で傑作を生み出し、救い主と言われたこともある近松だが、近ごろは何を書いても閑古鳥で、座付作家をしている浄瑠璃の竹本座の座長・竹本義太夫(北村有起哉)からは催促、母の喜里(富司純子)からも小言の毎日。
そんな彼の前に現れたのが、不孝糖売りの万吉(青木崇高)。世の中は、将軍徳川綱吉が親孝行を奨励し、なめれば親孝行がしたくなるという「孝行糖売り」が流行る中、なめれば親不孝したくなるという「不孝糖」を軽妙な歌を歌いながら売り歩く、一見阿呆にも見える万吉。万吉は近松に妙に懐いて「ちかえもん」と呼び、近松の行きつけの遊女・お袖(優香)がいる堂島新地の「天満屋」で、ワケありの美しい遊女・お初(早見あかり)に一目惚れしたり、なぜか喜里に気に入られて家に居付いたりと、近松の行先に現れては、竹本座の金主でもある豪商の平野屋忠兵衛(岸部一徳)と放蕩息子の徳兵衛(小池徹平)の親子問題や、平野屋の地位を狙う黒田屋九平治(山崎銀之丞)や、徳兵衛とお初の恋愛に近松を巻き込み、神出鬼没の万吉に近松の日常はひっかきまわされます。
近松の心のボヤキとツッコミと、時にはバラードも下地に、時には線絵のアニメーションも登場して、藤本有紀のオリジナル脚本(第34回向田邦子賞受賞)で描かれる、先の展開が全く読めない、新感覚!痛快時代劇。さてさて近松は、いかにしてスランプを抜け出し、傑作『曾根崎心中』を書くにいたったのか? そして万吉はいったい何者なのか? 全八回で描く、時代劇好きはもちろん、普通の時代劇には飽きた人、時代劇なんて見たことない人にもオススメの、必見の作品です。てな陳腐な言い回しは私のプライドが許さんのである(笑)(16.4.25改稿)
武井咲 主演 16年9月24日〜17年2月25日 NHK 土曜夜6時10分から半年に渡って放送された土曜時代劇の2作目の作品で、忠臣蔵と、将軍の母となる月光院を描いたものでした。
浅野家の江戸屋敷で正室・阿久利(田中麗奈)の身の回りの世話をしている奥女中のきよは、得意の琴を披露した席で、鼓を打っていた磯貝十郎左衛門(福士誠治)と出会います。十郎左衛門は、幼い頃、兄とともに遊んだ幼馴染みでもあり、二人は恋に落ちます。しかし側用人の十郎左衛門と違い、きよは、病の妻のために浪人となった父の子で、身分違い。会うこともままならない中、それでも愛を育んでいった十郎左衛門は、殿に婚姻の許しをもらうときよに約束します。ところがその矢先、殿が刃傷事件を起こし、浅野家は取りつぶしに。十郎左衛門たち浅野家の家臣たちは、無念のうちに亡くなった殿の仇を討つことを固く決意。きよは阿久利の命を受け、また十郎左衛門の悲願をかなえるため、女ならではの働きで吉良邸討ち入りの助けを命がけでこなします。最愛の人を失ったきよに、またも運命の歯車が。きよは浅野家のため、その運命に乗り込み、当時の女性の最高の出世を果たし、悲願をかなえます。二部構成で、美しくも強く、忠義と愛に生きた娘の波乱万丈の半生を描いた作品でした。きよの恋心が丁寧に描かれており、相手の男性も清々しく誠実で、とても切ない恋物語です。原作はサブタイトルにもなっている『四十八人目の忠臣』。作者は諸田玲子です。全20回でした。(17.4.3改稿)塚原卜伝堺雅人 主演 13年1月24日〜3月7日 NHK 木曜夜8時から
戦国時代初頭に剣の聖地・鹿島に生まれ、鹿島中古流の太刀を学び、生涯多数の立ち会いに負けなかったという伝説の剣豪・塚原卜伝。回国
修業に出た青年時代から、「一つの太刀」を会得に至るまでを描いた作品です。
剣豪ものでありながら、鹿島神宮の神官の家の出であり、鹿島の神の剣を遣うという設定のために、神秘的な演出も多く、またどちらかというと
優しげな風貌の堺雅人が演じることにより、純粋ででひたむきな剣士という、普通の剣豪ものとは一味違った作品となっていました。殺陣も、NHK
お得意のスーパースローカメラで撮影するという画的にも新鮮でしたが、内容も剣技を極めていけばこうなるかもしれないと思わせるものもあり、チ
ャンバラ時代劇とは一味違ったものとなっていました。
原作は、津本陽『塚原卜伝十二番勝負』。全七回です。
市川染五郎 瀧本美織 主演 13年6月20日〜8月22日 NHK 夜8時から
前月までNHKのBSプレミアムで放送されていた、星と海にしか興味がない一途な男と、くノ一の掟に生きる女との、切ない恋物語が、地上波に
登場です。
平戸藩で船手方を務める雙星彦馬のところに嫁が来た。暖かく幸せな新婚生活を送る彦馬だが、その妻・織江は一カ月で姿をくらます。二人で
拾った対の貝殻の一つと「そのままで」という書置きを残して。彦馬は、何か事情があったのだろうと考え、養子を取って家督を譲り、単身江戸へ織
江を探しに行く。妻は平戸藩を探りに来た密偵であったというのが藩としての見方だったが、彦馬は織江には真心があったと想いを貫く。夫が自分
を追って来たと知った織江は戸惑いながらも、その一途な想いにだんだんと心が揺れて行く。
初めの頃こそ、町の事件を彦馬が知識を使って解決したりとほのぼのした話ですが、海に面し海外へと目を向ける平戸藩と、それを危険視する
幕府お庭番との対立は日増しに激しくなり、水面下では忍びどおしの戦いとなっていきます。織江を含む、心を捨て任務に身を捧げるくノ一たちの
姿も見どころです。
政治にまったく興味がなく武芸も駄目だけど、子供のように純真でまっすぐな心を持つ彦馬と、武にも技術にも長けたくノ一だが、心の隅に空虚を
抱えた織江。すぐそばにいながら、二度と出会うことはできないさだめの二人。それでもお互いを命懸けで想い合う姿が、なんとも切ない恋物語で
す。織江たちお庭番の体術も素晴らしいので、アクションものとしても楽しめます。全八回
妻夫木聡 主演 09年1月4日〜11月22日 NHK 日曜夜8時から
戦国時代、越後の覇者となった上杉謙信の養子・上杉景勝の家臣・直江兼続の物語。『愛』の文字の前立ての兜で知られる人物です。
なにごとも『義』の一言で片を付けたり、上杉家旧知の裏には必ずといっていいほど遠山泰満(螢雪次朗)の陰謀があるといった、単純明快なスト
ーリーと、イケメン大河の異名を取るほど、主演の妻夫木聡をはじめとして、兼続の仕える主人の景勝を北村一輝、兼続の親友となった石田三成
を小栗旬が演じるなど、話題の若手男優を多数起用して、人気を取りました。また、「わしはこんなところに来とうはなかった」、「紅葉のような家
臣」、「北斗の七星になりなさい」など、数々の名言も残しました。
いろいろな意味で、大河ドラマの歴史に残る一作品になったことは間違いありません。
原作は火坂雅志の『天地人』です。(2009.12.8改稿)
遠山の金さん松平健 主演 07年1月16日〜3月20日 ABC 火曜夜7時から
桜吹雪でおなじみの、説明も不要な国民的時代劇、『遠山の金さん』が久々に復活。演じたのは松平健。『暴れん坊将軍!』のイメージが強すぎ
て、はじめのころは遊び人姿はともかく、お奉行様の正装では、どう見ても将軍の変装にしか見えなかった、カルト色強い作品でした。
今回の金さんは、表向き、口入屋で仕事を紹介してもらうも、どの仕事も長続きしないという遊び人。それを恰幅の良すぎる松平健が演じている
のが、かなりミスマッチで絵的面白さ満載。
唯一金さんの正体を知っている、口入屋兼料理屋「つるや」の女将・おまきに萬田久子、いつも奉行所からお奉行様に逃げられてしまう役人・東
条八太夫に森本レオと、重要な役にベテランを、その一方で、おまきの娘・おいとに、時代劇の娘役で実力を伸ばしている芳賀優里亜、見習い同
心・三浦真次郎に、『功名が辻』で加藤清正を演じた金児憲史、岡引・松吉に中村繁之と、脇役も充実。
パターンが、お奉行自ら事件の捜査のために、口入屋を通じて潜入するというものなので、毎回職業を変える金さんの七変化も見所でした。ま
た、重要な鍵を握る女性から情報を聞き出すときの、金さんのくどいているとしか思えないセリフや、桜吹雪を見せる時の決めゼリフが毎回変わっ
ていた(凝りすぎて変なのものも多数)のも、楽しみの一つでした。もう一シリーズぐらい見てみたかったです。
毎回、側近の目を盗んで町に出て行ってしまう、松平健。将軍から奉行に変わっても、やっていることは、今回も同じなのですね。(07.4.14改稿)
各回ごとのあらすじはこちら
松本潤 主演 23年1月8日〜12月17日 NHK 毎週日曜 夜8時から戦国の乱世に松平家の嫡男として産まれた徳川家康。今川家の人質として暮らしながらも、大樹公と慕われる今川義元の元で、
京にも劣らない文化都市駿河での生活に幸せを感じていました。しかし今川と織田信長(岡田准一)の戦で義元が破れ、世界は一変。昔から松平家に仕える家臣たちに担がれ、
家を背負って乱世を生き抜かなくてはいけなくなります。重圧のかかる選択の連続に家康は逃げ出したい日々を送りますが、愛妻・瀬名(有村架純)と息子を信長に殺されたことで、
天下を獲り戦のない世を作ると決意します。
江戸幕府を開いた近世の覇者、誰もが知る徳川家康を、家族や家臣たちの絆とともに描いた今作。
毎回のように入るナレーション(寺島しのぶ)が家康のことを「我が君」と呼び、神のような扱いをしたり、その一方で家康がいつまでも頼りなかったり、なかなか斬新な脚本と演出が
目立った、今までにない大河ドラマでした。(2024.1.27改稿)
番組公式サイト https://www.nhk.or.jp/ieyasu/徳川無頼帳西城秀樹 主演 92年4月14日〜9月29日 テレビ東京
徳川三代将軍・家光の剣術指南役だったはずの柳生十兵衛。ふらりと訪れた吉原で、浮橋太夫(成田和未)に一目惚れ。ところが彼女のそばに
は廓幻之介(JJサニー千葉)と名乗る怪しい(白の着流しに、真っ黒でフリンジのついたショール。おまけに超ロングのポニーテール。見るからに
怪しい)男がいて。
実はこの幻之介、正体は徳川忠輝。徳川家康の子でありながら、生まれた時から鬼っ子と呼ばれ、政権から遠ざけられていた男。浮橋大夫は、
元は武将の娘であり、関ヶ原の戦いの折り、諫言を嫌った忠輝に無残に殺された父の仇を取るため、苦界に身を落としていたのだった。第一回目
で、それは忠輝を厭うた者の策略だったと分かり、見事、浮橋は本物の父の仇を討つ。目的を失った浮橋たちに、これからは世直しのために戦お
うと幻之介は言ったのだった。そして十兵衛と幻之介は、吉原総名主・京屋庄左衛門(ハナ肇)の客人となる。
というわけで、放蕩剣士・十兵衛を中心に、吉原を舞台に、十兵衛と腕は互角の幻之介、浮橋大夫、そして彼女付きの花魁たち(その正体はくノ
一。でもなぜか男も一人混じっている)の活躍劇が始まる。
が、そこはただの勧善懲悪話にはならない。叔父のことを疎ましく思う家光の刺客と戦ったり、柳生家の後継者争いがあったり、そうかと思えば
大名の姫君が花魁になりたいとやってきたり、とにかくスケールがでかくて、話が深く、そして荒唐無稽の面白さ。それもそのはず、企画協力を深
作欣二、監修をJJサニー千葉(千葉真一)、となればJACもふんだんに登場、というより製作がジャパンアクションクラブ、テレビ東京。しかも撮影
は日光江戸村。これでもかという、慣習にとらわれない面白作品生み出す要素が詰め込まれまくり。これで面白くならないはずがない! ただ一つ
の欠点(?)は、あまりに千葉=十兵衛の印象が強すぎて、つい西城秀樹の十兵衛を見て、なんか千葉真一、顔変わった?と勘違いをしてしまうこ
と(私だけか?)。そこらへんも含めて楽しめること請け合いの作品です。(09.8.22)殿さま風来坊隠れ旅三田村邦彦 西岡徳馬 主演 94年4月2日〜10月1日 テレビ朝日
次期将軍候補の、紀州の殿様・治貞公(三田村邦彦)と、尾張の殿様・宗睦公(西岡徳馬)。ところが二人とも「将軍なんてやりたくない」と勝手に
城を抜け出し旅に出てしまう。
浪人に化けた治さんと、町人(渡世人?)に化けた宗さん。それに二人を慕う、素性を知らないお供たちも加えての、お互い「おまえが将軍になれ
よ」と言い合う、付かず離れずの珍道中。彼らの後ろには、城に連れ戻そうとするそれぞれのじいたちも追いかけて来るが、所詮はじい。すぐに二
人にまかれては、じいどおし慰めあったり。でも大丈夫、二人は謎の色男隠密・村垣市蔵(京本政樹)がちゃんと見守っているから。
そんな二人も根は善人。旅先で、苦しんでいる人を見ると、手助けし、その背後に悪政ありと分かるや、二人して乗り込んでいく。
見栄を切り、名を問われた二人が、ばっ!と着物を脱ぐと、紫と緑の殿さま装束に身を包んだ二人が現れる!着物は元より、下着、髷、さらに武
器までもが変わっている大変身!
ばったばったと敵を退治した後は、また何事もなかったかのように、旅に戻る。最後には水戸の殿様まで家出(城出?)してきて合流するという、
国の政治が心配になる一作。
余談ながら、西岡徳馬はこのときの殿様装束とそっくりの格好で、『暴れん坊将軍』で将軍職を狙って、吉宗を暗殺しようとする尾張の殿様を演じ
てました。実は将軍になりたかったのか?(05.9.11)窪田正孝 栗山千明 主演 09年1月10日〜3月7日 NHK 夜7時30分から
武家の三男に生まれながらも、体が弱く、刀に至っては医学書を買うために売ってしまって竹光という、ヘタレ青年・緒方章。その章が大嫌いな
大坂の町で出会ったのは、剣の達人で男装の美女・左近。目を引く左近が気にかかる章だが、おどおどはっきりしない章に、左近の方はけんもほ
ろろ。住む世界が違うと、ぴしゃり。だが医者を目指す章が、誰よりも心優しく、命を守ることに関しては強い心を持ち、医学にかけては誰にも負け
ないものを持っているとわかり、左近も章を認め始める。
左近が厳しく、他人を寄せ付けないのには訳があった。実は彼女は、浪花の宮の昔から大坂の町を守ってきた闇の組織「在天別流(ざいてんべ
つりゅう)」の一員だったのだ。事件に巻き込まれた章を助け、時には怪我して助けられ、2人は次第に心を通わせていく。だが所詮は日の光の元
を歩む医者の卵・章と、影から町を守る左近の道は交わらない。正直な大坂の町が好きになってきた章だが、江戸に留学することになり、別れを
迎える。
後に大阪に「適塾」を作り多くの逸材を輩出し、天然痘の撲滅に尽力した蘭法医・緒方洪庵となる章。だがまだここでは頼りない等身大な彼の成
長と、感嘆するほどの凛々しい美貌と武芸を持つ左近とのもどかしい関係、そして2人の切ない別れを描いた青春時代劇です。
原作は、築山桂の「禁書売り」、「北前船始末」。大阪局制作の30分時代劇。全九回。浪花の華が今開く!(09.4.7)
かつて「馬喰町の猪鹿蝶」と呼ばれ、ブイブイ言わせていた三人娘。男勝りで喧嘩っ早いお以乃(ともさかりえ)、おとなしいけど実は剣の達人のお志花(佐藤江梨子)、男にもてて目利きもできるお蝶(田中麗奈)。ゴロツキよりも強く、娘たちの憧れの的だった三人でしたが、華やいでいたのは昔の話。三十路を前にした今、お志花は身分の高い武家に嫁に行き、玉の輿に乗ったと思ったものの、意地の悪いお姑にいびられ、夫は上司のゴマすりしか興味なし。お蝶は家の小間物屋を自分の才覚で建て直し、婿も取ったものの、家族からは疎まれ、家に居場所がない。お以乃にいたっては、火消しの纏い持ちや料理人に憧れ弟子入りするものの、どれも長続きせず、自分のやりたいことも分からず、実家の一膳めし屋を手伝う日々。どうにもぱっとしない毎日に愚痴を言い合ううちに、伊勢へ抜け参りに行くことを思いつき、着の身着のまま、ひしゃくをお供に旅に出る。旅先では、だまされて一文無しになったり、老夫婦を助けて商売を始めたのが大当たりしたり、関所抜けをしたり、いなせな渡世人と恋に落ちたり、波乱万丈。何があっても猪鹿蝶の三人がそろえば、怖いものなし。才覚と度胸と愛嬌と人情で切り抜ける。はたして三人は、昔のいっち輝いていた自分を取り戻せるのか? そして無事に伊勢に着けるのか?現代の女性の悩みにも通じる内容でありながら、楽しく見れてスカッとさわやかな気持ちになれる、近年珍しい旅もの娯楽時代劇でした。原作は、浅井まかての同名小説です。(19.2.4改稿)猫侍北村一輝 主演 13年10月2日〜12月18日 サン 水曜夜8時54分から
元加賀藩剣術指南役で、かつては「まだら鬼」と呼ばれ恐れられた、堅物の浪人・斑目久太郎。妻子を残して江戸に出てきたものの、金はなくな
る一方。そんな時、飼い主を腑抜けにしてしまう化け猫を切ってくれと頼まれる。謝礼金目当てに引き受けたものの、いざ猫を前にすると、その愛
らしさに、殺せなくなってしまい、殺したことにして、連れ帰ってしまう。
それまで猫など飼ったこともない斑目は、突然始まった白猫・玉之丞との生活に戸惑うことばかり。猫見屋のお七(高橋かおり)のアドバイスや、
長屋の隣に住む若菜(平田薫)のひたむきさに助けられ、玉之丞と暮らしていくうちに、段々と閉ざしていた心を開いて、人ととしての大切なものを
思い出していく。
ところが、水責めの政(ユキリョウイチ)と呼ばれる凄腕の同心(強面なのに実は猫大好き)が、玉之丞殺しの下手人探しを始める。せっかく心を
通わせ始めた斑目と玉之丞との生活はどうなってしまうのか。
時代劇というよりは、動物癒し時代劇なこの作品。癒しと笑いをくれる、一回30分の日光江戸村作品でした。来春には映画も公開です。(14.1.27
改稿)
北村一輝 主演 15年4月4日〜6月20日 サン 土曜夜11時からこわもての元・加賀藩剣術指南役の浪人・班目久太郎と、愛くるしい白猫・玉之丞のコンビが、一年半ぶりに復活です。再び士官の道を求めて、玉之丞とともに江戸に戻ってきた班目久太郎。ところが、新しい長屋の大家・菊乃(森カンナ)は猫を飼うことを禁止します。士官先はなかなか見つからず、口入屋「ぴんはね」(モト冬樹)は変な仕事を押し付けてくるし、なぜか久太郎の家の前が野良猫のたまり場になったり、「猫見屋」(高橋かおり)の店番をしたり、猫神様に会いに行ったり、『大江戸猫選び』で蜂谷孫三郎(本宮泰風)から勝負を挑まれたりと、毎回いろんことが起こります。前作よりゆるく、遊びの多い作風になった今作。玉之丞のかわいさと、班目との絆の深さが楽しめます。秋には映画も公開予定です。(15.7.24改稿)前シリーズの紹介文はこちら大野拓朗 主演 17年1月10日〜3月21日 サンテレビ 火曜夜10時30分から世は泰平。忍びの里での厳しい修業を終えて、任務のために江戸に出てきた霧生家の新米忍者・久世陽炎太。初仕事で忍び込んだ屋敷で、陽炎太は一匹の猫(金時)と出会う。
実は、陽炎太の尊敬する父・剣山(船越英一郎)は15年前に失踪していた。父を追いかけた林の中で幼い陽炎太(鈴木福)は一瞬、父によく似た猫を見かける。屋敷で出会った猫は、その時の猫にそっくりだった。猫を父が変化した姿だと信じた陽炎太は、忍びの掟を破り、猫を連れて帰ってしまいます。猫の父上と暮らし、町の人たちと交流するうちに、固く閉ざしていた陽炎太の心は和らいでいきます。果たして猫は本当に父親なのか? そして掟破りの陽炎太の運命は?『猫侍』のスタッフが再集結して作られた、猫と若い忍びの物語です。全11回。(17.4.24改稿)滝沢秀明 主演 14年1月9日〜3月20日 NHK 夜8時から
甘酒屋(でも誰も商売をしているところを見たことがない)の次郎吉と呼ばれる遊び人風の男。その正体は、夜な夜な武家屋敷に忍び込んでは千
両箱を盗み出し、小判を貧しい庶民に配る義賊、怪盗・鼠小僧!
でもこの鼠小僧、普段は斜に構えているわりに、底抜けのお人よし。千両箱の代わりに、頼まれごとを持って帰ってきてしまうこともしばしば。そ
んな彼に協力するのが、妹の小袖(忽那汐里)。女ながらに剣術道場に通い、小太刀の名手です。巻き込まれた難事件も、二人が力を合わせれ
ば華麗に解決します。
次郎吉のすぐそばにいながら、いつも鼠小僧を取り逃がし、鼠を捕まえることに執念を燃やす岡っ引きの徳五郎(嶋政宏)や、次郎吉の正体に
うすうす気づいている美人医師の千草(片瀬那奈)たちも、話に色を添える大事な存在。
今夜も江戸の町を、ダークヒーロー鼠小僧が、駆けていく…。タッキーこと滝沢秀明の鼠小僧は、数々の舞台で鍛えた身の軽さを活かしてのアク
ションもたっぷり、甘いマスクにスタイリッシュな装束で、文句なしのかっこいい鼠小僧に仕上がってました。猫っぽい妹・小袖との掛け合いもみどこ
ろです。
原作は赤川次郎の同名小説他、鼠シリーズ。一話完結の全九回でした。(14.4.14改稿)
鼠、江戸を疾る2
滝沢秀明 主演 16年4月14日〜6月2日 NHK 木曜夜8時から2年前に放送され、好評を得たタッキーの鼠小僧が帰ってきました。
働いている気配のない甘酒売り・次郎吉の正体は、庶民の味方・鼠小僧。軽い身のこなしで夜な夜な悪どい金を盗み出しては、貧しい者へと配る。腕っぷしはめっぽう強いのに、その心は困っている人を見るとほおって置けないかなりのお人よし。せっかく盗んだお金を全部あげてしまったり、騒動に巻き込まれたり。
そんな鼠をそばで助けるのは、小太刀の名手で、彼といっしょに暮らす妹・小袖(青山美郷)。
素の姿は意外と子どもっぽいところのある次郎吉ですが、鼠の時はクールでかっこいい、そのギャップと華麗なアクションが見どころのヒーロー娯楽時代劇。赤川次郎原案の全八回の作品でした。前シリーズの紹介文はこちら
逃亡者おりん
青山倫子 主演 06年10月20日〜07年3月23日 大阪 金曜夜8時から
唐突に復活したテレビ東京系の時代劇。しかも三ヶ月間放送が主流の中で、いきなり半年間の長丁場、さらに主役は時代劇はもちろんドラマ初
主演の女性、原作なしという、チャレンジ精神全開の作品でした。しかしこれがなかなか、内容もチャレンジ精神溢れるもので、昨今はなくなってし
まったエンタメアクション時代劇の歴史に、新たな一ページを刻み込んだ大作となりました。
時代は、九代将軍・徳川家重の御世、御庭番頭領が八代将軍・吉宗を暗殺したことにより、御庭番は解散、変わって将軍を守るために作られた
のが暗殺集団『手鎖人』。御庭番頭領を父に持つおりんは、追跡者から身を守るため、この手鎖人に入れられる。しかし、手鎖人頭領・植村道悦
が、実は天下を狙っていると知ったおりんは、手鎖人を脱走。道悦に乱暴されて産み落とした子が、殺されずに生きていると知って、その子に会う
ために、逃亡の旅に出る、というストーリー。
おりんを追って、毎回、道悦の放った刺客が登場するのですが、なにせ忍者のようなやつらなので、とてつもなく個性的。金棒振り回したり、水の
中から現れたり、フリスビー型爆弾を投げてきたり。対するおりんの武器は、小太刀と、右手首の鎖。この鎖、普段はただの鉄の輪ですが、ひとた
び腕を振るえば、相手を串刺しにしたり、首を締めたりと変幻自在。一体、材質はなんなのか、最後まで謎でした。その上、おりんの戦闘服はなぜ
か黒のレオタード(片肩出し)。お色気もばっちりです。
はじめのころは、アクションや演技、CGの下手さ具合が気になってしかたなかったのですが、回を追うごとにめきめき上達。最終回は、興奮して
眠れないほどの面白さでした。
共演者は、宅麻伸、あおい輝彦、左とん平、梶芽衣子、倉田てつを、田中健と時代劇ベテランばかり。特に悪役は初めてと言う榎木孝明演じる
植村道悦は、その憎々しさと不死身加減がかなり楽しめました。
「逃亡者」と書いて「のがれもの」と読ませたりと、セリフや演出もなかなか興味深く、おりんの刺客を倒した後の決め言葉「闇の鎖、また一つ切りま
した」は、ひそかに流行らないものかと期待してみたり。続編の製作も決まっていないのに、最終回で新たに伏線を張ってみたりと、作り手は続編
やる気満々。なんとしてでも続編を作ってもらいたいものです。(07.4.15)
各回ごとのあらすじはこちら
2時間スペシャルはこちら
番組公式サイト http://www.tv-tokyo.co.jp/orin/ 青山倫子 主演 12年1月21日〜4月7日 大阪 土曜深夜2時25分から
06年〜07年に放送された『逃亡者おりん』が、三つのスペシャルを経て、連続ドラマになって帰ってきました!(深夜の30分枠ですが)
長く続いた手鎖人頭領・植村道悦との戦いを終え、闇の鎖をすべて断ち切ったおりん。だがその戦いの中で、吉原炎上の罪を着せられ、再び
「逃亡者(のがれもの)」となった。生きる目的を見失い廃人同然となったおりんだったが、逃亡の旅の最中、道連れとなった娘・おみね(小峰玲奈)
が、おりんをかばって死んでしまう。多くの人の命を救うためにすべきことがあったというおみねの、いまわのきわに託した願いを聞いて、おりんは
再び立ち上がる。おみねの願いは、彼女の持っていた書状を、次の新月までに美濃藩の筆頭家老・水谷へ届けること。しかしその書状を狙って、
刺客集団・剣草がおりんに襲いかかる。そしてもう一人、謎の若侍・望月誠之助(渡辺大)もまた、書状を狙っておりんに近づいてくる。
あまりの非道さに伊賀を追われた抜け忍で構成された刺客集団・剣草。書状を奪うために、おりんと関わった人たちを容赦なく殺していく。その
仕打ちに思わず叫ぶおりん。どうして罪のない人たちを殺める? その答えは、おまえが逃げるからだと。このシリーズのおりんにとって、「逃げる
ことは生きること」。逃げ続けなければ、その先に待っているのは死。せっかく生きる目的を見出したおりんに、過酷な運命が襲いかかります。
キーパーソンとなるのが、「だちかん」(美濃の方言)が口癖の望月誠之助。侍のくせに剣がめっぽう弱く、怖がり。初めは書状を狙うおりんの敵
のようであったが、目的が同じと知り、しだいに二人の距離は縮まっていきます。
非常に過酷な物語ですが、一方で、首領の酉兜幽玄(福本清三)に呼び出されて毎回一組登場する、東映剣会の役者たち総出演の剣草の刺客
たちは、奇をてらっていて、そのキャラクターに圧倒されます。番組内だけでも抱腹の面白さなのですが、公式サイトに新設された『剣草図鑑』に載
っている各剣草の説明は、剣草の生い立ちや裏話的な記述もあり、スタッフが遊んでいるとしか思えないような面白さでした。
そんな剣草と対決するおりんのレオタード姿への変身や、必殺技「手鎖御免!」も毎回趣向を変える手の込みよう。わずか30分に、時代劇な話
に、お約束も抑え、迫力ある殺陣シーンも入れるという、非常に内容の濃い作品でした。
愛用の短刀を抜いて「りんどうが泣いている」、とどめにはおなじみの手鎖を使い「剣草一輪、散らしました」と、新しい決めゼリフとともに始まった、
薄幸の変身ヒロインおりんの新たな修羅の旅、深夜番組とは思えないボリュームと、深夜番組だからできるチープさの、珠玉の結晶時代劇。民放
最後の連続時代劇の看板に恥じない作品でした。(12.5.7改稿)
小栗旬 主演 14年10月13日〜12月22日 関西 月曜夜9時から
修学旅行で歴史テーマパークに来ていた高校生のサブローは、塀から飛び降りた拍子に戦国時代にタイムスリップ。そこで自分そっくりの顔をし
た織田信長と名乗る侍に、自分の代わりに信長をやってほしいと頼まれる。テーマパークのアトラクションだと勘違いしたサブローは、ノリノリで承
諾。だが城に行くなり敵襲の知らせを受けて戦場へ。そこでこれが本当の戦国時代だと知る…。
当時の信長はまだ織田家を継いだばかりで、他国だけでなく身内にも命を狙われている状況。乳兄弟である池田恒興(向井理)を初めとする家臣からも偽物の信長だとバレると殺される。元々、逃げ癖のあるサブローは、何度となく逃げ出そうとしますが、そのたびに思い直して戻ってきて、現状を良い方向に変えるべく、頑張ります。そんな彼に、家臣たちの信頼も厚くなっていきます。
正室の帰蝶(柴咲コウ)も、はじめは形だけの夫婦だったのが、サブローの奇抜な物言いを面白く思うようになり、優しい心に次第に気持ちを寄せていきます。2人のラブコメっぽいやりとりも見どころです。
一方で、信長に恨みを持つ、元・忍びの木下藤吉郎(山田孝之)や、本物の信長が顔を隠し、明智光秀と名乗って、家臣に加わります。一難去ってまた一難の繰り返しの中で、この2人の策謀によって、家臣一番の知恵者の竹中半兵衛(藤木直人)が殺されたところで、最終回。続きは15年12月公開予定の映画でと予告が出て、驚かされました。
軽いノリが好きで、優しい心根を持つ今時の男子高校生が、厳しい戦国の世で、歴史上の傑物・織田信長として、アイデアと人情でなんとか生き抜いていく、時代劇というより、タイムスリップトレンディドラマな作品です。
フジテレビ開局55周年記念プロジェクトの作品であり、最も注目されていると言われる月9ドラマ枠での放送だけあって、キャストは旬の人ばかり
でした。原作は石井あゆみの同名マンガ『信長協奏曲(のぶながコンツェルト)』です。
玉森裕太 主演 13年1月11日〜3月15日 ABC 金曜深夜0時24分から
平成のフレンチシェフのケンが、記憶を失くして目覚めたところは戦国時代だった。
Kis-My-Ft2・玉森裕太を初単独主演にした金曜ナイトドラマ初の時代劇で、タイムスリップものと聞いて、なんちゃって時代劇かと思ったら、時代
考証や史実をしっかり抑えた勉強にもなるような堅実派な作品でした。
ケンはなにも分からないまま織田信長(及川光博)の軍勢に捕まり殺されかけるも、行き場のないケンを助けた刀鍛冶の夏(志田未来)の、ケン
の作る料理はうまいから食べてくれという説得で、命をつなぐ。夏の打った包丁を手に作った料理が認められ、ケンは信長の料理番になる。
ケンは「戦を終わらせる料理」や「相手を心変わりさせる料理」など信長の出す無茶な注文を、次々とこなしていき、しだいに信長の信頼を得てい
く。またケンも信長やその家臣たち、この時代で出会った人たちに親しみを覚えていく。そんな中、ケンの記憶に残る女性・瑤子(香椎由宇)もまた
タイムスリップしてこの時代に来ていることが分かり…。果たしてケンは死と隣り合わせのこの時代を生き抜くことができるのか、そして平成には帰
れるのか?「いざ参らん、戦国のキュイジーヌ」
森可成(宇梶剛士)や木下藤吉郎秀吉(ゴリ)、明智光秀(稲垣吾郎)など信長の家臣を初め、足利義昭(正名僕蔵)や顕如(市川猿之助)といっ
た仇役も登場。丁寧な時代考証や史実をベースに、アニメキャラのようにかっこいい信長と、ただのシェフとは思えない知識と技術豊富なケン(な
にせ牛の乳からバターを作ったり、酵母を自作しパンを焼いたりする)の、乱世を切り開いて進んでいく物語でした。
原作は同名漫画(原作 西村ミツル 漫画 梶川卓郎)。です。(13.4.1改稿)
玉森裕太 主演 14年7月10日〜9月4日 ABC 木曜夜7時58分から
平成のフレンチシェフが戦国時代にタイムスリップ。そして信長の料理人になる…、そんな奇抜な設定ながら、しっかりとした時代考証で人気を博
し、深夜ドラマの放送から一年半。続編がゴールデンタイムへと進出して放送となりました。しかも初回は2時間スペシャルでした。
話は信長(及川光博)包囲網が続く元亀元年から始まります。石山本願寺の顕如(市川猿之助)、浅井長政(河合我聞)、将軍・足利義昭(政名
僕蔵)と、信長の周囲は敵ばかり。さらに身内も誰がいつ裏切るか分からない状況。信長の料理人・ケンは、特に松永弾正(笹野高史)と明智光秀
(稲垣吾郎)に気をつけるが、光秀もまたケンを注視していて、なにかとあれば未来の情報を聞き出そうとしてくる。さらには濃姫(斉藤由貴)から捕
えられたり、武田信玄(高嶋政伸)に拉致され、甲斐に連れて行かれたりと、ケン自身にも危険が迫る。そんな中で、信長の信頼もますます深ま
り、彼の出す命令も困難なものに。時に命懸けでケンは、それらの危機を料理の腕で切りぬけていく。合言葉は、「いざ参らん、戦国のキュイジー
ヌ!」
一方で、ケンの命の恩人で、常になにかと助けてくれる夏(志田未来)との関係の進展も注目でした。
本能寺の変は起こるのか?、いつ起こるのか? とハラハラさせられたのですが、今回も起こらず、含みをもたせた終わり方だったので、きっと
続編があると信じています。(14.10.9改稿)
一作目の紹介文はこちら
山本耕史 主演 12年10月18日〜12月27日 NHK 木曜8時から
同年7月〜9月にNHKのBSプレミアムで放送された作品が、地上波で早くも放送です。
品行方正で性格は穏やか、剣を取れば江戸随一と言われる丹下典膳。そして縁あって彼の元に嫁いできた、上杉家家老の娘で、たぐいまれな
る美貌の持ち主・千春(柴本幸)。仲睦まじい夫婦となった二人だが、その先には過酷な運命が待ちかまえていた。時は奇しくも元禄時代。まだ赤
穂藩に仕える前の中山安兵衛(高橋和也)と知り合う典膳。友情を結ぶ二人を、赤穂藩断絶の事件が引き裂く。
以前にも映画化された五味康祐の同名小説を原作に、ジェームス三木が脚本。片腕の剣豪・丹下典膳を、山本耕史が美しくはかなくさわやかに
演じます。
忠臣蔵の裏側が隠し味の、妻の名誉を守るため、片腕を斬り落とされた丹下典膳と、その彼を深く愛し続けた千春の、剣と愛の物語です。
八丁堀の七人片岡鶴太郎 主演 06年1月16日〜3月6日 ABC 月曜夜7時から
人情厚いことから「仏の旦那」と呼ばれる北町奉行所町方同心・仏田八兵衛(片岡鶴太郎)と、「剃刀」と呼ばれる切れ者与力・青山久蔵(村上弘
明)、そして八兵衛の同僚五人で「八丁堀の七人」。
シリーズ七作目にして最終シリーズ。(たぶん。少なくても放送時の公式サイト発表ではそうなっていた)。全七話の短いものでしたが、最後だけあ
って全体に見ごたえたっぷりの話ばかり。
シリーズ初めこそ、上司青山対部下たちの構図があったものの、すっかり強い絆で結ばれてしまった七人。そこにさらに厳しい上司・年番方与力
黒沢左門(平泉成)が赴任。同心が本来は世襲制でないことを上げ、北町奉行所のてこ入れを計る。だが、そこには別の思惑もあるようで、青山
の右腕である八兵衛にことさら強くあたり、いきなり物書き同心に左遷命令。
一方、このシリーズの裏のメインストーリーでもある、八兵衛と、同居中の女医の弥生(萬田久子)の恋仲に発展しそうでしないラブコメ。前シリー
ズ末で預かっていた少女・おやいもいなくなり、いよいよ進展かと思ったところに、なんと弥生に思いを寄せる男出現! しかもその正体は黒沢左
門!
とまあネタ盛りだくさんな設定を、毎回派手なあおり文句をつけて進展させるという、一話完結の時代劇では難しい手法を使ってくれました。しか
も最終回残り五分が、時代劇ではおそらく初めてだろうと思われるような誰の予想も裏切る衝撃的なラスト!
元々、時代劇というより、刑事もの、もしくは平会社員と中間管理職の会社ドラマという感じのハードボイルドな作品色が、さらに洗練されたような
シリーズでした。(06.3.24改稿)
各回ごとのコメントはこちら
井上真央 主演 15年1月4日〜12月13日 NHK 日曜夜8時から幕末の長州で、下級武士の娘として産まれ育った文は、河原で一人涙を流していた小田村伊之助(後の楫取素彦・大沢たかお)を、兄の吉田松陰(伊勢谷友介)と引き合わせます。親友となった二人は、文には人と人を結びつける才能があるのかもしれないと感じます。そして小田村は、文の姉・寿(優香)と結婚。藩政の中核人物となっていきます。一方、11歳にして藩主に兵学を指南するなど、天才の名高い松陰が開いた松下村塾には、様々な若者が集まり、日夜議論を闘わせていた。文は時には彼らに交じり、彼らを支えていきます。そして塾生の一人、久坂玄瑞(東出昌大)と結婚。
しかし、時代は列強国が日本に押し寄せ、一刻の猶予もない時。松陰は己の志と情熱を抑えきれずに行動した結果、投獄されます。そして塾生たちもその意志に続くように戦乱に身を投じていきます。久坂もまた京都の動乱の中で命を落とし、家名断絶となります。
文は才能ある若者たちの死に対する憤りのぶつけ先を探して、長州藩の奥御殿への勤めを希望。美和と名を変え、産まれた藩主の嫡男の養育係になります。しかし明治の世となり、奥御殿はなくなります。
その後、楫取素彦と名を変えた小田村伊之助は、群馬の県令に。病気の寿と楫取の身の回りの世話のため、美和も群馬で暮らすことになります。生糸産業で大きく飛躍しようとしていた群馬で、美和は楫取を支えながら、働く女性たちの教育問題に取り組みます。そして…。人と人との縁をつなぐ能力を持った文が、吉田松陰や高杉晋作(高良健吾)など、熱い志を持つ若者たちを集め、時に支え、奮い立たせ、見守っていきます…。キャッチコピーは「幕末男子の育て方。」でした。ポスターでも使われていた大きな丸いおにぎりを、皆に配るシーンも印象的でした。幕末から明治にかけて、長州を舞台に多くの志士たちの生き様と、辛い経験を乗り越え、志を貫いて学ぶことをやめなかった一人の女性の物語です。(16.2.19改稿)新はんなり菊太郎
内藤剛志 主演 07年1月11日〜3月1日 NHK 木曜夜8時から
過去に二度放映されたシリーズの、三年ぶりの第三シリーズ。
公事宿『鯉屋』に居候する田村菊太郎は、京都奉行所の同心組頭を務める田村家の長男でありながら、正妻の子である弟に家督を継がせるた
めに出奔した、心優しい男。人情にも厚く、それでいて腕も立つ菊太郎が、現代で言うところの宿泊所つきの弁護士事務所な公事宿を舞台に、熱く
奔走するという、人情探偵もの。
第二シリーズの最後で「すぐに戻る」と言い置いて、江戸に旅立った菊太郎が、三年ぶりに帰ってくるところから話は始まります。三年も音沙汰が
なかったことに、菊太郎の恋人・お信(南果歩)を取り巻く人々は怒り、お信を隠れさせてしまいます。その上、そこに江戸から菊太郎を追いかけて
きたという娘・お凛(星野真里)まで現れて、三角関係のまま、菊太郎とお信は会えずに最終回までもつれこむ、恋愛話が今シリーズ通しての筋に
なっています。
京都が舞台の、京都で撮影された作品。原作は澤田ふじ子の『公事宿事件書留帳』シリーズです。全八回でした。
各回ごとのあらすじはこちら 吉高由里子 主演 24年1月7日〜12月15日 NHK 毎週日曜 夜8時から長く無役が続く学者の娘に産まれたまひろ。父・為時(岸谷五朗)の蔵書を読みふけり、「男子であったなら」と惜しまれるほど
賢く育ちます。猿楽を見ていた広場で出会ったのは、名門藤原家の三男でありながら、地位や出世に興味を示さない変わった少年、のちの藤原道長(柄本佑)。成長して再会した二人は
密かに激しい恋に落ちますが、家柄の違いから正妻にはなれず、二人は別れます。
時が経ち、寡婦となったまひろは、女房たちに和歌を教えつつ、自作の物語を聞かせていました。一方の道長は、偶然が重なり藤原家の当主となり、以前にまひろが願った
良い世の中にするため政の頂を目指し、娘を帝の后にしておりました。そして帝の寵愛を娘に向けさせるため、まひろに出仕し、娘のそばで物語を書いてほしいと頼みます。
そしてまひろは、『源氏の物語』を書き始めます。
源氏物語を書いた紫式部を主人公に、栄華を極めた藤原道長との長く複雑な絆を描いた、2024年のNHK大河ドラマでした。平安時代を舞台にしながら、きらびやかな宮廷の貴族社会よりも、
一人の女の生涯と、政治の世界、そして二人の男女の複雑な絆を描いた歴史ドラマらしい作品でした。
脚本は大石静のオリジナルです。全48話。(25.1.21改稿)
秘太刀 馬の骨内野聖陽 主演 05年8月26日〜9月30日 NHK 金曜夜9時15分から
藤沢周平の同名小説が原作の金曜時代劇。
石橋銀次郎(内野聖陽)は剣のこととなると、子供のようになってしまう青年。それだけに剣の腕は神道無念流の免許皆伝。彼が浅沼半十郎(段
田安則)とともに、伯父の小出帯刀(近藤正臣)に、家老の暗殺に使われた、馬の首を一撃で落とす剛剣『秘太刀 馬の骨』の使い手を探すように
命じられたことから話は始まる。ところが、話は藩政を揺るがす意外な方向へと発展していく。
みどころは、「馬の骨」の創始者がいたという矢野道場の門弟との試合で使われる、いわゆるチャンバラとは違う、木刀を使った実戦に近い迫力
ある殺陣。
CGを多用する一方で作り物の蝶を飛ばしたり、不思議な舞台装置、場面転換の演出など、実験的な演出を精力的に取り入れていた。またED
は和装のトランペッター。この過剰なまでの迷走する演出に、賛否両論。同じ時間帯に放送された、同じ藤沢周平原作・内野聖陽主演の『蝉しぐ
れ』が原作のイメージを忠実に再現し、好評だったために比較されて、一部で大論争を巻き起こしました。
演出の影に隠れがちだが、主役の内野聖陽がとてもいきいきと楽しげに銀次郎を演じており、とても魅力的。他の出演者もベテランぞろいで、と
てもいいキャラクターがそろっている。
全六回という短い放送でしたが、時代劇史上に残る(と私は思う)迷作。(05.10.7改稿)
毎回ごとの感想はこちら 東山紀之 主演 09年1月9日〜6月26日 ABC 金曜夜9時から
必殺シリーズ第一弾の『必殺仕掛人』の放送開始から37年、シリーズの中でも特に人気の高かった『必殺仕事人』の放送から30周年を記念し
て、17年の時を経て始まった新シリーズです。2007年と、2009年の正月に放送されたスペシャルの続きでもあります。
新たな仕事人となったのは、三人。南町奉行所見廻り同心で、入り婿だけどどこかの誰かさんと違って大事にされているのにもかかわらず、やる
気なしなしの渡辺小五郎(東山紀之)。食道楽で派手好きで、絵師でもある経師屋の涼次(松岡昌宏)、愛した人の忘れ形見・作太郎(前田航基)と
小料理屋を切り盛りする、からくり屋の源太(大倉忠義)。源太は仕事人であることに悩んだ末、人を信じて殉職。源太に代って加わったのが、奇
抜なファッションに身を包んだ悪たれだけど、根はいい奴な、仕立て屋の匳(田中聖)。また、常磐津の師匠で仕事人を束ねる情報屋・花御殿のお
菊(和久井映見)に、なんと中村主水(藤田まこと)も健在! 毎回、殺しの的、頼み人等、ゲストも豪華でした。
主役3人がジャニーズという異色作ながら、仕事人シリーズのお約束もきちんと踏まえたつくりとなってます。特に殺し技は往年のものを踏まえて
おり、小五郎は刀での殺陣、涼次は笛に仕込んだ長い針で心臓を一突き、しかもそれをレントゲンの演出、源太はからくり蛇での首絞めと首刺し、
匳は針付きのしつけ糸での、アクション+首絞めとなっていました。
前半は、夜早い時間帯に放送されたことや、規制の厳しい昨今の事情を踏まえて、おとなしい演出、話の筋となっていたのですが、匳が加わった
13話あたりから、必殺シリーズの真髄ともいうべき残虐でグロい描写が盛り込まれるようになり、ぐっと面白くなりました。源太の死や、最終回にか
けては、二話にかけての続きものにするなど、ストーリーの深さもたっぷり。特に21話から最終回にかけての仕事人狩りの話は盛り上がりました。
(09.7.11改稿)
スペシャルの紹介文はこちら
番組公式サイト http://hissatsu2009.asahi.co.jp/
姫将軍大暴れ本倉さつき 主演 95年4月3日〜96年3月25日 テレビ東京
他の地域では知りませんが、関西では再放送でもないのに平日の朝(金曜の8時半からだったと思う)からやっていた。しかも日光江戸村で撮
影、製作されていたというカルトな番組です。
主人公は天秀尼といって、豊臣秀頼の子・千姫の養女、つまり豊臣と徳川両家を親戚筋に持つ、スーパー高貴血筋の尼さん(実在の人物)。な
のに徳川家康より天下世直し勝手の印を受け、旅に出ちゃうというとんでもないおてんば娘なのです。
普段は男装のはではでしい侍の格好で、お供にお付の尼さんやら柳生十兵衛(!)を引き連れ、若い娘らしく甘い物をぱくついたり(尼さんなのに
いいのか?)しているが、ひとたび悪政や悪人に悩まされているか弱き庶民を見つけると、原因究明に乗り出し、時には天秀尼みずから太夫に変
装して色仕掛けで真相を探る。そして最後にはお決まりの悪の本拠地へ殴りこみ。要するに水戸黄門そっくりの筋立てなのだが、最後の見せ場が
すごい!
悪人たちに誰だと問われれば「上野のお山の姫天狗。そなたらの悪行明々白々」と神々しい尼さん姿で登場。逆切れ悪人たちを錫杖で殴りまく
る。免許皆伝の腕前とやらで、強い強い。しかもアクション俳優だから、高飛びやらアクション激しい殺陣するものだから、時々太ももチラリ(これの
前番組「細川隆一郎の天下御免」の看板コーナー『世直し天秀尼』では毎回、丸見えだったのだが、この番組に昇格するにあたり、大幅に減らされ
た)。最後には「この方をどなたと心得る!」の決まり文句に、はらりと一枚脱ぐと、印籠代わりに家康公直々にいただいた「葵の袈裟(赤地の袈裟
にどど〜んと胸に金で葵の紋の刺繍!)」が現れる!
アクション得意で殺陣も完璧、容姿もスタイルも良し、お色気も厭わない、の三拍子揃った江戸村劇団一押しの本倉さつき。久々に大河ドラマ(タ
イトルど忘れ。ごめんなさい)に女中役で一回だけ出てきてトンボを切った後、とんと見ていない。今は、どうしてるんだろう? 埋もれさせるには惜
しい人材だと思うのだが。(05.7.14)阿部サダヲ 主演 24年6月23日〜7月7日 NHK 毎週日曜 朝6時10分から文政13年、定火消しの安藤重右衛門は物見やぐらの上で空を見上げていました。別名、歌川広重。歌川一門の絵師ですが、人気絵師の葛飾北斎(長塚京三)や
同門の歌川国貞(吹越満)と違い絵が全然売れず、貧乏暮らしで祖父には嫌味を言われる日々ですが、妻の加代(優香)だけは何事にも「承知しました」と笑顔で寄り添ってくれていました。
ある日、ベロ藍という舶来の染料を使った浮世絵を見て、自分もこの色で描きたいと痛烈に心を動かされます。ベロ藍を使って描いた名所絵は多少は売れたものの、
絵を描くこと以外に何も頓着しない北斎や、求められる絵を描くと割り切っている国貞と比べてしまい、小さいことが気になる性分で、まだ自分が描きたいものさえ見つからない広重は、
絵師を辞めようかと悩みます。ですが加代は、辞めるなら定火消しの方だと励まします。
最後のお勤めに京への護送を終えて江戸に戻ってきた広重を待っていたのは、新たに絵草子屋を始めた保栄堂の竹内孫八(高嶋政伸)でした。加代が通っていた質屋で出会った孫八は、
広重に『東海道五十三次』を描くように依頼します。そして浮世絵を買うのはつましく暮らす庶民であり、「つましくつまらぬお人ゆえ、描けるものもございましょう」と焚きつけます。
広重の描いた、日常を切り取ったような温かい絵は、とても売れました。広重の元には名所絵を頼む版元が押し寄せます。次々と頼まれるまま依頼をこなす広重は、描きたいものが
分からないまま。ある日、縁側で繕い物をする加代の横顔を見て、ふと心動かれます。しかし広重が売れっ子作家となり、懐の心配もなくなった矢先、加代が倒れます。
『東海道五十三次』を描き、海外にまでファンを作った歌川広重の半生をいた今作。青空と雨の対比がよく効いた作品でした。3月にBS4K、4月にBSで放送された作品を、
全3回に分けて地上波での初放送です。 原作は梶よう子の同名小説です。(24.7.14改稿)
風雲!江戸の夜明け織田裕二 主演 89年1月10日〜3月28日 テレビ東京
日光江戸村で撮影された一回30分の時代劇。
主人公は将軍になったばかりの徳川家光。まだまだ遊びたい盛りのお年頃の彼は、市中見回りと称して、春日局の隙を見てはお忍びで江戸の
町にふらふらと出て行ってしまう。
超世間知らずな家光のサポートをするのは、専属のお庭番役を仰せつかった美雪(杉浦幸)と小太郎(片桐光洋)の姉弟。普段は芝居一座の座
長と、女形もできる看板役者(元チビ玉ですから!)として暮らす彼ら。その芝居小屋に城を抜け出した家光が遊びに来るとこから、だいだい話は
始まる。
もともと正義感が強く、剣の腕もひそかにお庭番二人よりも強いっぽい家光。事件に巻き込まれることもあれば、自分から関わっていく場合もあ
り、周りの人間は心休まるときがない。しかし30分でしっかり解決する手腕は、ひそかに歴代時代劇ヒーローよりも上かも。
主役三人がとにかく若い。こっそり家光と美雪は恋に落ちてる様子もあり、ナレーションでやたらと「まだまだ青春したい家光……」やら「青春真っ
盛りの家光」等々、『青春』が強調される。
一方で、忍装束になったとたんに量と長さが増える小太郎の髪の毛や、雪の降る中、防寒具なしで素足の将軍・家光(痛々しいほど寒そう)等の
チープさ加減もなかなか笑わしてくれます。時代村作品おなじみの、池上公司の柳生十兵衛も時々出てますよ。(05.9.23)内野聖陽 主演 07年1月7日〜12月16日 NHK 日曜夜8時から
戦国の乱世を、力いっぱい生きた、愛した武将、山本勘助の物語。武田信玄に仕えた天才軍師で、隻眼で片足を引きずるという異形の彼を主
役に据えた、07年のNHK大河ドラマです。原作は井上靖の同名小説。
主役が、一説には実在となかったとも言われる謎多き人物であることもあり、群雄割拠の時代に生きた武田晴信(後の信玄)をはじめとする武田
家臣団、近隣の敵でもある武将たちとその家臣たちを、余すことなく重厚に、また魅力的に描ききった、まさに大河ドラマな作品でした。またそれを
演じた役者たちも、個性的な実力者が多く、演技のぶつかりあいも魅力の一つでした。
見た目だけではなく、知的で野心家で自信家で、けれども心の内の内には弱い部分もあるという一癖も二癖もある勘助を、のぴのぴと奔放か
つ、重厚でどこか憎めず、不思議と魅力的に体現した内野聖陽。彼が心奪われ、すべてをささげようと誓った武田晴信を、幅広い演技と歌舞伎独
特の顔のしぐさ、声の張りで演じた市川亀治郎。その団結力強い家臣団には、甘利虎泰(竜 雷太)、飯富虎昌(金田明夫)、教来石景政(高橋和
也)、小山田信有(田辺誠一)、真田幸隆(佐々木蔵之介)。そして中でも晴信の守役でもあった板垣信方を演じた千葉真一は、板垣の最期ととも
に自分も引退宣言をするほどの完全燃焼で演じました。そしてその板垣亡き後には、長髪をそのまま垂らし、カラーコンタクトを入れ、直垂の登場
人物の中で一人狩衣姿でとおし、戦ともなれば西洋鎧で白馬にまたがるという、前代未聞のビジュアル系な上杉謙信を演じたGacktが登場。途中
参加でありながら、その存在感と貫録は主役たちと十分に渡り合えるものでした。その軍師・宇佐美定満(緒形拳)も、勘助とは対照的に落ち着い
た知的さを備えた演技でライバルの存在感を発揮。また、その他の近隣武将たちも、今川義元(谷原章介)や北条氏康(松井誠)と、一筋縄ではい
かない者ばかり。死力を尽くした彼らがぶつかりあう物語が面白くないわけがありません。
男臭い色の濃いこのドラマですが、女性の話も、生涯でただ一人、勘助のことを好きになり、勘助の本質を見抜いていたミツ(貫地谷しほり)をは
じめとして、滅ぼされた国の姫や武将の妻や娘の話などあります。また、ミツのいた葛笠村出身で、勘助にくっついて武士になった元農民たちとの
掛け合い等、笑える部分も要所に盛り込まれています。熱いドラマだけではない、非常にバランスのとれた作品でした。
全編を通して、画面にくぎづけ、心を震わす、まさしくカッコイイ男たちの夢(勘助は番組当初からずいぶんと長い間、仕官先を探す浪人だった)と
愛の物語。まれに見る良作でした。(08.1.20)瀬戸康史 主演 17年6月10日〜7月15日 NHK 土曜夜8時15分から勤番で江戸に出てきた、高野藩衣紋方の坂田伴四郎。気弱でのんき者涙もろい伴四郎は、食べることと妻のすず(三吉彩花)が大好きで、故郷に残してきた妻と娘のことを思い出しては泣いてばかり。同じ衣紋方の、出世ばかり考えている叔父の宇治井平三(平田満)と、幼馴染みの矢沢五郎右衛門(田中圭)も少し呆れ顔。
江戸名物を食べに入った店で知り合った同郷の中間に、「冷めたものばかり食べている我が藩の殿はみじめで哀れだ」と似顔絵付きでからかった伴四郎。ところがその中間は、お忍び中のその殿様・松平茂照(草刈正雄)本人だった!
叔父からやっかいごとを押しつけられたり、弱みを握られた殿から無茶振りをされたりする人の良い伴四郎は、そのたびにすずが書いて持たせてくれた料理指南書の料理を作ります。
いつもおっとり、ごはんを食べればにこにこの伴四郎と、いつもは切れ者なのに伴四郎の前ではちょっと子どもっぽい殿様を始め、高野藩士と江戸の人々たちの、30分一話完結ほのぼのグルメ時代劇です。同年1月からBSプレミアムの夜ドラの枠で放送されていた作品ですが、事情あって急遽、地上波での放送となり、一話削られたり、最終回が編集で短くされたりと、ひどい扱われ方でした。原作は土山しげるの漫画『勤番グルメ ブシメシ!』です。(17.8.21改稿)瀬戸康史 主演 19年1月19日〜3月9日 NHK 土曜夜6時5分から18年1月に、BSで30分枠として放送された作品が、38分の拡大版となって地上波に登場。
幕末の江戸を舞台に、食べることと妻のすず(三吉彩花)のことが大好きで、他のことはからっきし、涙もろくて出世にも興味がない、武士らしくない高野藩衣紋方酒田伴四郎。前シリーズでは、すずが書いてくれた料理指南書を見ながら料理を作ることで、数々の難問を解決してきた伴四郎。そのことで殿(草刈正雄)から褒美をもらい、街でも評判に。ところが何が起こったのか運命は一変して、切腹を申しつけられ、逃げたところを捕えられ、気が付いた時には、南海藩の人足部屋に売り飛ばされていた!
衝撃的な始まり方をした今作。実は、南海藩は高野藩と折り合いが悪く、殿の嫡子・清之助(若山耀人)の出自にまつわる書状が南海藩に盗まれ、それを伴四郎に取り返してきてほしいという、殿からの密命でした。やる気なしの伴四郎。しかし南海藩は財政が厳しく、起死回生の策として、エゲレス公使(厚切りジェイソン)と手を組んで、討幕をもくろんでいた。この陰謀に巻き込まれていく伴四郎。やがて好色家のエゲレス公使の魔の手がすずにも…。
一方で、殿に続いて、清之助に奥方の千代(戸田恵子)までが変装して町に出てきたりと、コメディ要素もたっぷり。
話も連続ものとなり、登場人物も大幅に増えて、スケールアップした今作でした。
原作は、土山しげるの漫画『勤番グルメ ブシメシ!』。全7回の放送でした。 横浜流星 主演 25年1月5日〜12月14日 NHK 毎週日曜 夜8時から時は十代将軍・徳川家治の御世、天下泰平が長く続き、人々の欲がはびこる時代でした。親に捨てられた重三郎は、吉原で拾われ、茶屋・蔦屋で働くかたわら、
片手間に貸本屋で小遣い稼ぎをする若者でした。
幕府公認の色街である吉原は、当時、岡場所や宿場町に客を取られ、女郎は食うものにも困る日々。重三郎は吉原に客を取り戻そうと、案内書である『吉原細見』を
大幅に刷新。そして本を発行できる地本問屋を目指します。
紆余曲折の末、日本橋に店を構えることのできた重三郎。しかし重三郎になにかと影響を与えていた平賀源内(安田顕)が投獄の末、亡くなり、源内と懇意にしていた
老中・田沼意次(渡辺謙)も失脚。次の老中・松平定信(井上祐貴)は、倹約令を発布し、重三郎の店・蔦屋や、作る本や浮世絵の作者たち、そして吉原は大打撃を受けます。
一方、意次失脚の黒幕だった徳川治済(生田斗真)は、第十一代将軍の父となり、絶大な権力を手に入れます。鬱屈する世の中に、重三郎が放った一矢とは…。
重三郎と、吉原の幼馴染みでのちに伝説の花魁・五代目瀬川となる花ノ井(小芝風花)との悲恋、重三郎とのちの喜多川歌麿(染谷将太)との絆、数々の戯作者、絵師たちを
描いた、エンターテインメントドラマ。江戸の娯楽文化の産みの親・蔦重こと蔦屋重三郎を森下佳子のオリジナル脚本で描く大河ドラマでした。(26.1.17改稿)
清原果耶 主演 20年1月25日放送開始 NHK 毎週土曜 夜6時5分から母を亡くした16歳の菜々は、生きていくために素性を隠し風早家の女中となります。主人の市之進(町田啓太)は奉公人にも家族のように接する好青年で、奥方の佐知(谷村美月)も優しく、子どもたちにもすぐに懐かれます。しかし穏やかな日々は長く続かず、佐知が病で亡くなります。市之進と子どもたちのことを頼むと言い残された菜々でしたが、藩の勘定方に勤める市之進に不穏な影が近づいてきます。
実は菜々の父は濡れ衣を着せられ殺された武士でした。父の仇・轟平九郎(北村有起哉)は、風早家とも因縁があるようで、藩の財政立て直しのための建白書を提出した市之進に、平九郎の手が延び、市之進はとうとう捕まってしまいます。
菜々は市之進が戻ってくるのを信じて、子どもたちを育てることを決意。実は菜々には、一度見た動きを真似できるという特技があることが分かり、剣の修業にも励みます。
一見、大人しそうな菜々ですが、芯は強く、また機転や度胸もなかなかのもの。彼女の周りには一癖ある協力者が増えていきます。そんな菜々は、父の仇を討ち、市之進を助け出せるのか。
菜々の静かな戦いの話ですが、菜々が健気で明るい性格のためか、全体の雰囲気はほのぼのしていて、楽しく見れるヒロイン時代劇作品です。
BSプレミアムで2019年7月から放送された作品の地上波初放送でした。原作は葉室麟の小説『螢草』。全7回です。(20.5.4改稿)
番組紹介サイト https://www4.nhk.or.jp/P5823/岸谷五朗 主演 14年10月16日〜12月18日 NHK 木曜夜8時から
井筒平四郎は、南町奉行所の見廻り方同心。見廻りかたがた鉄瓶長屋の煮売屋で、お徳(松阪慶子)の手料理屋をつまむのを楽しみにしている。そんな笑顔の絶えない鉄瓶長だったが、人殺しがあったことを皮切りに、長屋の住人が次々に出て行ってしまうようになる。お徳は、新たに来た差配人の佐吉(風間俊介)のせいにするが、平四郎は他に裏があるのではないかと気にかかる。
怠け癖のある平四郎と、利発な甥っ子・弓之助(加部亜門)は、事件を調べていくうちに、その下に隠された大きな謎に突き当たる。
人情時代劇っぽい雰囲気ですが、原作はミステリー作家の宮部みゆきの同名小説で、人の気持ちが絡み合う、ドロドロとしたミステリーの要素がたっぷりでした。(15.1.26改稿)
ぼんくら2
岸谷五朗 主演 15年10月22日〜12月3日 NHK 木曜夜8時から一年前に放送された同名作品の続編です。
周囲からぼんくら扱いされている見廻り方同心・井筒平四郎。昼寝をしたり、煮売り屋のお徳の店でおかずをつまんだり、いつものように過ごしている平四郎の元に、佐吉(風間俊介)が湊屋総右衛門(鶴見辰吾)の愛人・葵(小西真奈美)殺しで捕まったと知らせが入る。佐吉は自分を捨てたと聞いている実の母親の葵を恨んでおり、湊屋は佐吉を犯人と信じて役人に手を回す。だが状況は調べれば調べるほど、佐助が犯人ではないことを示していて…。
葵や湊屋に恨みを持つ者、湊屋の関係者、通りすがり、果たして葵を殺したのは誰なのか? 平四郎の甥で、美貌と聡明な頭脳を持つ弓之助(加部亜門)が、大人顔負けの推理を披露し、もつれた糸をほどくように、解いていきます。
宮部みゆきの小説「日暮らし」を原作とした、人情時代劇ミステリードラマです。(16.2.15)まっつぐ〜鎌倉河岸捕物控
橘慶太 主演 10年4月17日〜8月14日 NHK 土曜夜7時30分から
『陽炎の辻』、『密命〜寒月霞斬り〜』と立て続けにドラマ化された佐伯泰英の作品が、またまた土曜時代劇に登場です。しかもこの枠お得意の青
春グラフィティーです。
舞台は金座と呼ばれる江戸の金融中心地で、江戸城にも近い日本橋の裏、鎌倉河岸。そこのむじな長屋で育った、政次(橘慶太)、亮吉(中尾
明慶)、彦四郎(小柳友)の三人は幼馴染み。政次は江戸有数の呉服屋『松阪屋』の手代で、将来を期待される好青年。亮吉は金座裏の宗五郎
親分(松平健)の元で働く新米の手先で、身も軽いが性格も軽い。彦四郎は船宿の船頭で、体が大きいが涙もろい人情家。そんな三人が大事に
思う、しほ(柳生みゆ)は、絵が得意な娘。夜は田楽と酒を売る酒問屋『豊島屋』の看板娘のしほですが、ある日、彼女の父親が斬り殺されます。
実は彼女の両親は、越藩家老の不正の証拠を持って逃げてきた脱藩者でした。
しほを狙う川越藩の者たちからしほを守った政次は、その度胸と機転から、宗五郎に跡取りにと望まれるようになります。しかし松阪屋の隠居・
松六(山本學)もまた、政次を気に入っており…。
政次の活躍が見ていて心地いいです。また彼をはじめとする若者たちを、距離を置いて見守る宗五郎親分や、その女房・おみつ(南野陽子)の
視線が温かい、青春捕物話であります。
主役にw-inds.の橘慶太を据え、また主題歌もw-inds.。オープニング画像には、現代の日本橋を入れ、語りで、豊島屋の主人・清蔵役の竹中直
人が現代の衣装で出てくるなど、若い人をターゲットにした造りになっていました。
初回は73分スペシャル版でした。(10.10.7改稿)
まんまこと〜麻之助裁定帳〜
福士誠治 主演 15年7月16日〜10月1日 NHK 木曜夜8時から
江戸の町名主の跡取り息子・高橋麻之助(福士誠治)。子供のころは神童といわれるほど頭もよく、父親の宗右衛門(高橋英樹)も自慢の真面目な好青年だったが、16歳に自分の力ではどうにもできない失恋をきっかけに頑張ることを止めてしまい、お気楽なのんき者になってしまいます。父親の手伝いもせず、幼馴染みの隣町の名主の跡取り息子で女たらしの遊び人・八木清十郎(桐山漣)と遊んで暮らす毎日。見かねたもう一人の幼馴染みの同心見習いで生真面目な堅物・相馬吉五郎(趙a和)が、又従兄の武家の娘・お寿ず(南沢奈央)との縁談を持ってくる。ところがこのお寿ずもある事情を抱えていて…。
普段はのほほんとしている麻之助ですが、一度事件に関わると、清十郎や、同心見習いで生真面目な堅物・相馬吉五郎(趙a和)の幼馴染み二人の手を借りて、持ち前の素晴らしい推理を見せて、うまく解決してしまいます。
時が止まったままだったような麻之助の心も少しずつ動き始め、周りの者たちの環境も少しずつ変わっていきます。
「まんまこと」とは「真真事」と書き、「真実」のこと。大きな事件は起きないけれど、人と人との小さなすれ違いから起こる事件を、麻之助が「真実」を見つけ、絡まった思いの糸をほぐしていきます。
原作は畠中恵の「まんまこと」、「こいしり」、「こいわすれ」、「ときぐすり」です。(15.11.23改稿)番組公式サイト http://www.nhk.or.jp/jidaigeki/manmakoto/
密命〜寒月霞斬り
榎木孝明 主演 08年4月18日〜6月13日 大阪 金曜夜8時から
長屋のおかみさんから「惣三郎さんには何を言っても馬の耳に念仏だねぇ」なんて言われてしまう、「ふぬけ惣三郎」こと、浪人の金杉惣三郎(榎
木孝明)。しかしその正体は、かつて相良の龍と呼ばれた直心影流の使い手。ふぬけた姿は、十年前に起こった事件から殿と相良藩を守るため
にとった、惣三郎の忠義の証だったのだ。
以前は藩の武芸指南役をも務めた惣三郎は、殿である斎木高玖との秘密を守るため、職を解かれ国元でふぬけた生活を送っていた。しかし
今、藩の存続にもかかわる危機に、その陰謀を暴くよう高玖からの密命を受け、脱藩して江戸へと向かう。味方は江戸留守居役の寺村重左衛門
(寺田農)のみ。
とまあ、硬派で真面目な作品なのですが、その頼りの寺村様は、警護もなしでふらふら出歩き敵勢力から襲撃を受けるし、仕事は全部子飼いの
密偵・九一(宮内敦士)任せだし、殿は殿で自分じゃ何もしないし、そもそも敵勢力の黒幕からして、もう表舞台から立ち退いた柳沢吉保が後ろ盾
になってくれると信じて藩乗っ取りを企むお人好しという、なんともツッコミどころの多い作品でした。
主役の惣三郎は、年老いた母と幼い子供たちを国元に残しての、辛い単身での密命遂行のはずが、根がのんきなのか、人が良すぎるのか、ち
ょっとでも困っている人を見ると助けずにはいられない性分で、密命そっちのけで、人助け。結果として、豪商の札差、冠阿弥の娘のお杏(安達祐
実)に惚れられ、火事始末の荒神屋喜八(加藤剛)やめ組の頭取・芝鳶の辰吉(伊吹吾郎)といった江戸で力を持つ人たちと親しくなり、最終的に
は密命遂行を彼らが助けてくれるようになるので、まあその甲斐はあるわけですが。でも一方で、惣三郎の亡くなった妻に生き写しな寺村の娘で小
料理屋の女将・しの(とよた真帆)と、こっそり愛も育んでいたり。
そんな敵も味方もやる気あるのかないのか分からない中、唯一、自分の使命にまっすぐだったのが、惣三郎と同門で相良の虎と言われた日下
左近(松方弘樹)。彼との対決のために編み出した必殺剣・寒月霞斬りを頼りに、彼との対決を匂わしながら、話は、主要人物のあっさりとした死
亡による退場をからめつつ、核心へ、そして最後の対決へとゆっくりと進んでいきます。
原作は佐伯泰英の「密命」シリーズ。(08.7.19改稿)
水戸黄門里見浩太朗 主演 05年10月10日〜06年3月6日 毎日 月曜夜8時から
第35部は、印籠も新しく豪華にずしりと重くなって、水戸光圀の実子が養子に入った高松藩からスタート。そのまま四国、九州を回りました。
新しくなったのは印籠だけでなく、徳川に恨みを持つ闇の商人・闇の布袋(遠藤太津朗)と、その血を引くくノ一・北斗の桔梗(原史奈)が率いる忍
者軍団との対決というストーリー上の新風もあったのですが、なぜか闇の布袋側の刺客が回を追うごとにしょぼくなり、黄門様との絡みもなく鬼若
に一蹴されたりする始末。そして半年の放送期間真ん中で、闇の布袋の恨みは誤解であることが発覚し、部下の裏切りで自滅。せっかくの新くノ
一・北斗の桔梗も行方不明に。後半三ヶ月は、普通にいつもどおり世直し旅をした黄門様たちでした。
レギューラー陣は、前回から変更なし。おなじみ黄門様に助さん(原田龍二)、格さん(合田雅吏)。疾風のお娟(由美かおる)、よろず屋の千太
(三波豊和)、風の鬼若(照英)。アキ様(斉藤晶)は少し強くなって戦いに参加するようになりました。(06.3.28改稿)
各回ごとのコメントはこちら 水戸黄門里見浩太朗 主演 06年7月24日〜12月18日 毎日 月曜夜8時から
第36部は、黄門様の姉・明芳院(淡島千景)から、孫の加賀藩前田家の若君・利久(渡辺大)が婚礼を上げる知らせがきたところから始まりまし
た。明芳院の文には、簡素に執り行いたいから出席無用と書いてあったにもかかわらず、かわいがっていた利久の門出を祝いたい黄門様は、加
賀に向けてお忍びで出発します。
レギューラー陣は、よろず屋の千太が抜けて六人からスタート。おなじみ黄門様に助さん(原田龍二)、格さん(合田雅吏)。疾風のお娟(由美か
おる)、風の鬼若(照英)。アキ(斉藤晶)は今回もさらに少し強くなって戦いに参加しました。
準レギュラーの八重さんや、鳴神の夜叉王丸、助さんの母上・静枝さん、助さんのお見合い相手の美加さんも健在です。また十話から、江戸出
身のお調子者、おけらの新助(松井天斗)が、レギュラーに加わりました。
中盤に到着した加賀から、後半は西日本を回り、最終回の京では、利久と新妻の菊姫(藤井麻衣子)が再登場しました。(07.1.11改稿)
各回ごとのコメントはこちら 里見浩太朗 主演 08年1月7日〜6月30日 毎日 月曜夜8時から
小藩の騒動から始まった第38部。江戸から一行は、騒ぎの元である瀬戸内の花崎藩と赤津藩を目指します。
元は一つの藩だった、花崎藩と赤津藩。元から仲の悪かった両藩は、松の木を巡って領地争いが勃発。幕府の裁定を受けることになり、柳沢吉
保(橋爪淳)は、賄賂を受けていた花崎藩に一方的に優位な判決を下す。そんな裏事情は知らず、なんとか赤津藩を救おうとするお留守居役の山
内裕之進(中村繁之)。友人である彼の窮地に、助三郎が奔走。黄門さまも、自ら調査のためにお供を引き連れ、赤津藩へと向かいます。
黄門様たちの活躍で騒ぎは一件落着。そもそも花崎藩が赤津藩を狙ったのは、山師・伊之助(山本圭)が両藩の間にある山で銀の鉱石を見つ
け出したことだった。鉱石を知り合いの腕利き山師に見せるために藩を離れた伊之助を追おうとする、彼を親とも慕う裕之進の妹・山内志保(小沢
真珠)を加えて、一行は東に向けて旅立ちました。
この志保、はじめは医者の手伝いをしていて医学の心得がある程度だったのが、旅の最中に、手術の手伝いをしたり、赤子を取り上げたりと、
めきめき医者としての腕を上げ、最終回の江戸では立派な医者になるために高名な先生に弟子入り。医者というだけでも重宝するのに、普通の
若い娘さんとして、お娟以上に役立つ場面もあり。たまに一行から外れて別行動のこともあって、レギュラーなのに必ず登場するとは限らないとい
う希少価値もついて、かなりいい感じでした。
その他のレギュラーは引き続き、黄門さま(里見浩太朗)に、助さん(原田龍二)、格さん(合田雅吏)。疾風のお娟(由美かおる)に、おけらの新助
(松井天斗)、風車の弥七(内藤剛志)も健在。なぜか突然彼の幼馴染のくの一が出てくる話もありました。
番組公式サイト http://www.tbs.co.jp/mito
里見浩太朗 主演 08年10月13日〜09年3月23日 毎日 月曜夜8時から
第39部では、準レギュラー陣が一新されました。まずは初回の冒頭から怒鳴って登場、うるさいじいの代名詞・山野辺兵庫(長門裕之)。そして
今回も悪だくみしまくりの柳沢吉保(石橋蓮司)。その貫禄のあるふてぶしさは、黄門様に勝てそうな凶悪さです。江戸城といえば、この方、将軍綱
吉(中村繁之)。そしてその母親・桂昌院(岩崎加根子)に、怪しい僧・隆光(麿赤兒)まで登場。悪人勢ぞろいのわりには、あんまり大したことしてな
かったような…。
レギュラーにも新風が。兵庫の孫娘・早月(磯山さやか)は、江戸で出会った橋場大二郎(徳重聡)という青年と恋に落ちます。彼の兄は、もうすぐ
長崎奉行に任命されるというが、その長崎ではもう一人の奉行ぐるみの不正が行われているらしいと気づいた黄門様。いつものお供、助さん(原
田龍二)、格さん(合田雅吏)、そして疾風のお娟(由美かおる)に、おけらの新助(松井天斗)、風車の弥七(内藤剛志)を連れて、長崎に向かって
旅立ちます。その旅に、早月も見識を深めるためにと付いて来ます。この早月、お嬢様でありながら、無鉄砲で、思いこみの激しいおてんば娘で、
旅先で、潜入捜査しようとして悪人につかまったりと、つっこみどころ満載でした。そんな早月も最終回では、黄門様たちに見守られて、お嫁入り。
水戸の西山荘に戻る黄門様たちと兵庫と涙の別れをして、新妻になりました。(21.4.23改稿)
番組公式サイト http://www.tbs.co.jp/mito/ 里見浩太朗 主演 09年7月27日〜12月21日 毎日 月曜夜8時から
放送40周年を迎えての、第40部です。第一回目は二時間スペシャルでした。
津軽藩で起こった陰謀に関わった、水戸藩江戸屋敷。その陰謀を暴くため、江戸に出てきた黄門様。元は津軽にあると見て、奥州へと旅立つ。
江戸に出てきた黄門様が出会ったのが、なんと、うっかり八兵衛(高橋元太郎)。彼のことを父親のように慕う、ちゃっかり八兵衛(林家三平)も登
場して、一行に加えてほしいと頼み込む。いつもの助さん(原田龍二)、格さん(合田雅吏)、疾風のお娟(由美かおる)に、風車の弥七(内藤剛
志)、そして前半では第一話で知り合った材木問屋の娘・お千代(三津谷葉子)を加えての道中。
江戸城では相変わらず、柳沢吉保(石橋蓮司)が黄門様の命を狙い、伊賀忍者(高知東生)を送り込んでくる。そして同じく実は伊賀忍者の俳人・
松尾芭蕉(堺正章)も、肉体派の弟子・河合曽良(田宮五郎)を連れて、敵か味方か、奥州へと旅立つ。
奥の細道から始まった節目のシリーズ、帰りは北陸を通り、また江戸へ。いつものお話でした。(10.2.2改稿)
里見浩太朗 主演 10月4月12日〜6月28日 毎日 月曜夜8時から
三か月間の放送だった第41部は変革の時でした。25年に渡り出演していた由美かおる、そして助さん役の原田龍二、格さん役の合田雅吏がこ
の部限りでレギュラー引退発表しました。
原田龍二が降板するせいか、助さんが許婚として登場していた美加(須藤温子)と結婚しました。またちゃっかり八兵衛(林家三平)に懐いている
少年・新吉(伊澤柾樹)が、生き別れた母親を探すため旅の仲間に加わります。風車の弥七(内藤剛志)も健在。
柳沢吉保(石橋蓮司)は、黄門様に一行に新たな刺客・虚空無幻斎(大沢樹生)なる幻術使いを送り込みます。そして彼に師匠を殺され敵討ちを
誓う薩摩の剣術家・東条隼斗(市瀬秀和)も準レギュラーとして登場。ほぼ毎回、黄門様の敵方へ力を貸したりと命を狙う無幻斎と対決しました。
また、オープニング背景を一新、一行の立ち寄り先の風景や工芸品を流し、しかも毎回変わる力の入れようでした。(10.7.27改稿)
里見浩太朗 主演 10年10月11日〜11年3月21日 毎日 月曜夜8時から
リニューアルして始まった第42部。黄門様役こそ変わらなかったものの、原点に戻ることを意識した大幅なレギュラー陣の交代がありました。
6代目助さん格さんとなった、東幹久と的場浩司。この二人、以前に御前試合で面識があったものの、ほぼ初対面。もちろん黄門様の旅のお供
をするのも初めての設定。助さんこと佐々木助三郎は西山荘で黄門様に仕えていたが、格さんこと渥美格之進は、黄門様が旅立つことになり、水
戸から呼び出されました。旅の前に二人で、危険を避けるために町人姿を取ることや、呼び名を「助さん」、「格さん」とすることに決めたり、格さん
が助さんをうらやましがって印籠を持つようになるエピソードなど、不慣れな様子が笑いをさそいました。
一方で、前シリーズまでレギュラーだった疾風のお娟(由美かおる)が、黄門様もよく知る塩問屋の主人に乞われてお嫁に行きます。そして護衛
の人手不足を感じた風車の弥七(内藤剛志)の知り合いの元忍びの娘、楓(雛形あきこ)がおしかけで加わります。そして、同道を願い出た八兵衛
(林家三平)も加えて、六人での旅立ちとなりました。
黄門様が旅に出ようとしたきっかけは、長男の頼常が治める高松藩で、世継ぎを巡る騒動が起きていることを知ったこと。しかしその騒動に老中
たちが絡んでいることを知った黄門様は真の目的を伏せ、亡き妻の節目の時に妻の実家を訪ねたいと、甲州街道から中山道を経て、京都へ行く
許しを得て、出発します。
主題歌も、新・助格コンビが歌っております。そして半分終わった一月に、さらに伴奏が豪華なものへとリニューアルしました。(11.4.12改稿)
番組公式サイト http://www.tbs.co.jp/mito/ 里見浩太朗 主演 11年7月4日〜12月19日 毎日 月曜夜8時から
キャストなどの変更もなく、静かに始まった第43部。しかし始ってしばらくしたころに、42年間続いた『水戸黄門』の放送をこの第43部で終了す
るという重大発表がありました。
将軍・綱吉(風間トオル)から江戸へと呼ばれ、伊勢神宮への代参を頼まれた黄門様。その頼みには、庶民の暮らしを見てきてほしいという綱吉
の願いが込められていた。黄門様はおなじみのお供、助さん(東幹久)と格さん(的場浩司)、そして八兵衛(林家三平)、風車の弥七(内藤剛志)、
楓(雛形あきこ)とともに伊勢を目指します。水戸から江戸、江戸から伊勢への往復、そしてまた水戸に戻って本編は終了でしたが、その翌週にシ
リーズ終了の2時間スペシャルがありました。
シリーズ本編から数年後、格さんには子供ができ、久々に水戸に戻ってくる助さんの歓迎に家族そろって大わらわ。というのも、助さんの祝言が
行われるからだった。当の本人の知らぬ間に。
それからしばらくして、江戸の街を散策していた黄門様がさらわれる事件が起こる。その裏には浪人たちの幕府転覆の企てが関わっていた。
レギュラー陣に加え、歴代の水戸黄門に関わってきた俳優たちが多数ゲスト出演していました。お娟(由美かおる)に、柘植の飛猿(野村将希)、
うっかり八兵衛(高橋元太郎)、柳沢吉保(石橋蓮司)、僧の隆光(麿赤兒)。そして宮園純子に、歴代の助さん格さんを演じた、横内正、大和田伸
也、伊吹吾郎、あおい輝彦。特に横内、大和田、伊吹、的場の格さん4人が一堂に会しての殺陣シーンで、印籠をリレーし、「控おろう」というシーン
は最終回スペシャルらしい見ものでした。(12.1.15改稿)
番組公式サイト http://www.tbs.co.jp/mito/
黒木華 主演 17年5月13日〜7月8日 NHK 土曜夜6時05分から大坂から江戸へ、料理屋『天満一兆庵』の主人夫婦とともに出てきた奉公人の澪。主の跡取り息子が江戸で店を出しているはずだったのですが、その店はつぶれていて、息子も行方が分かりません。主人の嘉兵衛(国広富之)は心労で亡くなり、その妻の芳(安田成美)も倒れてしまいます。途方に暮れた澪は、長屋のそばにあった荒れ果てた稲荷の社の掃除を始めます。そんな澪に声を掛けたのは、そば屋『つる屋』の種市(小日向文世)でした。
種市は腰を痛めてそばを打てなくなった自分の代わりに、澪に店の料理を任せます。澪はその舌を認められ、嘉兵衛から料理人として仕込まれていました。しかし女の料理人などいなかった時代、上方と江戸の習慣の違いもあり、客は離れていくばかり。澪は料理に工夫を凝らし、次第に客にも受け入れられ、ついには料理番付に載るほどに。
幼少時に水害で家族を亡くした澪ですが、母のように慈しんでくれる芳や、種市、なにかと澪たちのことを気にかけてくれる医者の永田源斉(永山絢斗)たちに囲まれ、彼らのためにと次々に襲い来る困難にも負けず、料理人として成長していきます。また、つる屋が閉まった頃に来る、料理に詳しい謎の浪人・小松原(森山未來)との出会いも、澪に大きな影響を与えます。そして幼い頃に泣き虫だった澪を何度も慰めてくれた親友の野江(成海璃子)が、水害の後も生きていて、吉原で幻の花魁と呼ばれるあさひ太夫となっていたことも分かります。
人相見に雲外蒼天の相と言われた澪が、幾多の苦境を乗り越え、料理人として成長する、心温まる人情と料理の物語です。
原作は田郁の同名小説。全八回の放送です。(17.8.15改稿)
福士蒼汰 主演 21年11月6日〜22年1月1日 NHK 毎週土曜 夜6時5分から明治初期の東京に、洋行帰りの若者が現れます。容姿端麗で頭脳明晰、剣術も嗜むその若者は、警視庁から特命探偵を任ぜられた結城新十郎。一見華やかなれど、時代の移り変わりで成功した者の裏側で取り残された者の不平が蓄積する明治の世に起こる不可解な事件を、鋭い観察眼で解き明かしていきます。
勧められるままに勝海舟(高橋克典)の家に住むようになった新十郎ですが、勝を見る目は時に冷ややか。実は新十郎は、戊辰戦争で家族を亡くした元幕臣の出で、多大な犠牲の上に成り立ったものの平穏とは言い難い今の世を作った者たちに複雑な想いを抱いていたのでした。
家族も友も亡くし暗い影を背負っていた新十郎ですが、勝の剣術の弟子で押しかけ相棒の泉山虎之介(矢本悠馬)や、最初の事件で知り合って以来、新十郎のことが気にかかるお転婆な令嬢・加納梨江(内田理央)からの干渉を受けるうちに、少しずつ表情を和らげていきます。
また西郷隆盛(鶴見辰吾)や大久保利通(篠井英介)、勝の妻・民(稲森いずみ)も登場。
華やかな明治を舞台に起こる、暗く不気味な謎も、万華鏡をのぞきながら「something stranges(なにかがおかしい)」とつぶやけば、たちまち解決の糸口を見つける結城新十郎の活躍を描く、一話完結の推理時代劇。2020年12月からBSプレミアムで放送された作品の、再編集、地上波初放送です。
原作は坂口安吾の小説『明治開化 安吾捕物帖』。全八回の放送でした。(22.2.7改稿)
名奉行! 大岡越前北大路欣也 主演 05年4月18日〜6月20日 ABC 月曜夜7時から
越前さんというと、どうしても加藤剛さんの真面目であくのないイメージが強いのですが、ここの越前さんは一味違います。
お酒が大好きで、毎夜ふらふら飲みに出かけては、翌朝、二日酔いでお白州に出るのを嫌がって駄々をこねて娘に怒られたりしています。
作品の雰囲気としては、どっちかというと推理中心で「名奉行 遠山の金さん」に似てます。同じ「名奉行」だしね(笑)。時々、「本格推理もの?」と
いうような話もあって、面白いです。
与力たちが調べ上げてもう判決直前の事件に疑問を持っては、出かけていって自分で調べる。味方は内与力の池田大介くん(富田翔)だけ。この
若い大介くんが一生懸命で、またかわいいんだ。で、大岡様の聞き込みはもちろん居酒屋で、飲みながらw。相手が勝手に貧乏旗本やら八丁堀
やらと間違えてくれます(笑)。そして最後のお白州では、お天道様もびっくりのはちゃめちゃなお裁きをやってくれます。このお裁きを予想するのも、
また楽し。
6月20日に早、十回目にして、最終回となってしまいました(泣)。
金曜時代劇といい、最近の時代劇の入れ替わりの早さにはびっくりさせられます。 名奉行!大岡越前北大路欣也 主演 06年4月18日放送開始 ABC 火曜夜7時から
ちょうど一年ぶりに放送されたシリーズ二作目。キャッチコピー「火曜の夜は、サプライズお裁き。」が示すとおりの、ワンマンとんちお白州は変わ
らず健在。他のまじめな大岡様イメージをぶち壊す、型破りな大岡越前です。
レギュラー陣の配役そのまま。世話女房のような勝気で怒りっぽい娘・香織(水橋貴己)。そして今シリーズでは越前さんよりも香織に振り回され
っぱなしの内与力の池田大助(富田翔)。でも部下を率いて捕り物の指揮を取ったりと、仕事の面ではしっかりとした一面も。二人とも若くてかわい
いです。門番の与平(奥村公延)も犬のさくらも重要な役回り。そしてお奉行様に振り回されっぱなしだった筆頭与力の笹倉さん(金田明夫)も、すっ
かり越前さんに感化されて、北町の筆頭与力と渡り合ったりの成長振り。きれいどころの、実は元・雲霧仁左衛門の女だった密偵・おりん(涼風真
世)も、尾行に変装にと大活躍です。
少しチームワークにまとまりが出たものの、やっぱり相変わらずな越前さんのワンマン振りと掛け合いが、楽しい作品。越前さんがお白州で裁く
前に、事件の真相を考えて当てるのも、楽しみ方の一つです。(06.7.29改稿)
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新・桃太郎侍高嶋政宏 主演 06年7月25日〜9月5日 ABC 火曜夜7時から
あの『桃太郎侍』を、高島政宏主演でリメイク!…と思いきや、その内容は、山手樹一郎の原作とも、高橋英樹版ともまったく違う別物だったこの
作品。ひとまず『桃太郎侍』というタイトルは忘れてしまったほうが、楽しめます。
桃太郎こと桂木新二郎は、彼を溺愛する母の元を飛び出し、浅草奥山にある矢場「あたり矢」で用心棒兼、居候をする浪人。用心棒とは言って
も、昼間からダラダラごろ寝して、矢場の女将のお葉(富田靖子)に怒鳴られるだらしない、粗野で、喧嘩っ早く、美人に弱くて惚れっぽいお調子者
だが、その実は正義感が強く、涙もろくてまっすぐな男。女の手一つで育ててくれた母・千代(中村玉緒)を誰よりも大切に思う一面も。剣の腕も一
流。
実は桃太郎は、四国・丸亀藩の若君の双子の弟、そして千代は元女中であり、母子に血のつながりはない。また高嶋二役による、そうとは知ら
ないもの同士の双子の対面お約束は顕在。
やたらと桃太郎が、母上になんでも結びつけるマザコン振りを発揮するため、ストーリーは親子の情に絡めたものが多めでした。
知り合った美人が事件に巻き込まれ、善人が心無い悪人によって殺され、桃太郎が奮起するという、勧善懲悪パターンもの。この事件解明に
は、千代にひそかに思いを寄せる桂木家の使用人・伊之助(左とん平)が、元「ましらの喜十」という義賊だったことを生かして大活躍。やたらと悪
党に詳しく、武家屋敷に忍び込むなんてことも平気でやってくれます。
そして悪人の正体を突き止めるやいなや、桃太郎は着物を裏返し、赤地に桃の絵の夜目にも鮮やかな着物に、薄物をかづきにし、白マフラーで
口元を隠して、夜の町をひた走る。そして祝いの宴を開く悪人の屋敷の庭に飛び降り、白マフラーを剥ぎ取り、名乗る口上が、「桃から生まれた桃
太郎、天に代わって鬼退治に参上!その方らの悪事、天は許すまじ!」
自慢の大ぶりの刀・天魔不動剣を振り回し、豪快すぎる(美しさは皆無)殺陣で、悪人たちをばったばったと一刀の元に切り伏せる。そして最後に
残ったボスを前に、上段に構えた刀をゆっくりと下段に回転移動させ、返した刃に写った相手の顔を、「鬼に見えたり」とズバンッ!
血をぬぐった懐紙をばらまき、天を見上げて桃太郎。「母上、斬り捨てたのは、皆、人の顔をした鬼でございます」。
ここまでの一連のラス殺陣の演出が、セリフは同じながら毎回違うことをするという、なかなか気合の入った作りになっておりました。
母上への心の声にはじまり、母上とのコントで終わる、時代劇一のマザコン侍と、大げさすぎる芝居が売りの、この作品。おそらく歴史に残る超
迷作なのは間違いありません。ちなみに主題歌は吉川晃司の「サバンナの夜」。要するに、時代劇の枠を越えたニュー時代劇にしたかったのだと
思うのですが、ちょっと空回り感は否めませんでした。もったいない。(06.9.26改稿)
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松平健 主演 08年10月20日〜12月8日 大阪 月曜夜7時から
その年の正月2日に放送された10時間時代劇『徳川風雲録外伝』で、主役の一人だった剣豪・土屋主水之助を主役に据えた、スピンオフ作品。
原作は柴田錬三郎の『徳川太平記〜吉宗と天一坊〜』、『剣鬼』シリーズ。タイトルどおり、全7回です。
直参旗本の若隠居で、一刀流の使い手である主水之助。八代将軍・徳川吉宗からの仕官の話も断り、彼が放浪の旅を続けるのには理由があっ
た。15年前、一子相伝の一刀流の後継者を決める決闘で、兄弟子・大峰ノ善鬼(三田村邦彦)に傷を負わされ、師である一刀流の開祖・伊藤一刀
斎景久(峰蘭太郎)を殺されたのだ。主水之助は許婚だった景久の娘・お勢伊(かたせ梨乃)に、「すまぬ」というたった一言の書置きを残し、武者
修行の旅に出たのだった。
その後、金で雇われる刺客となった善鬼は、5年前、役人に捕まり死罪となった。しかしその善鬼が実は生きており、逃亡したという話を聞き、主
水之助は善鬼を追う旅に出る。その旅の途中、父の仇を捜す村井秋津(佐藤藍子)、信太郎(加治将樹)の若い姉弟と出会う。彼女たちは仇の名
は知らなかったが、その仇は善鬼だった。それに気づいた主水之助は、2人に仇打ちは空しいことだと説くが…。一方、お勢伊もまた、主水之助を
探して旅に出ていた。
ほぼ同じルートで旅をしている、3人と一組だが、なぜか善鬼と主水之助とお勢伊は出会わない。その代わり主水之助は、旅の先々で善鬼と関
わったことで剣鬼となってしまった人たちと出会い、最後には立ち合うこととなる。
かつては交替で同じ時間枠の時代劇の主役を演じていた、松平健と三田村邦彦の共演、しかも敵対する間柄という、夢のドリームマッチ。寡黙
な役柄演じるマツケンと、ニヒルな殺人鬼役を演じる三田村、どちらも珍しい作品でした。
斬られたらちゃんと着物も切れて、刀には血糊がべったりというのも、昨今では珍しい演出。毎回、ゲストの生い立ちや関わり方もよく考えてあ
り、非常に見ごたえある作品でした。(08.12.23改稿)
綾瀬はるか 主演 13年1月6日〜12月15日 NHK 日曜夜8時から
会津藩の砲術師範の家に産まれた山本八重は、文武両道に優れのちに視力を失いながらも京都府議会初代議長となった兄・覚馬(西島秀俊)
の影響を受けて成長する。そして女ながらに鉄砲に興味を持ち、その道を極め、鶴ヶ城の籠城戦では夫の川崎庄之助(長谷川博巳)とともに戦う。
戦後、覚馬を頼って京都に出てきた八重は、米国に密航し宣教師となって帰ってきた新島襄(オダギリジョー)と出会い、二番目の結婚をする。襄
の同志社大学設立を影に日なたになって支え、自らもキリスト教の洗礼を受ける。そして襄が亡くなった後は、日本赤十字社で日本初の従軍篤志
看護婦として敵味方の区別なく治療に当たった。
幕末の時代、京都守護職を任命され過酷な状況に置かれた会津藩は、その後朝敵となり、会津戦争に巻き込まれていく。そして会津藩士は敗
戦後も賊軍として新政府の要職に就くことはできず、苦しい立場に立たされていた。時代に翻弄されつつも、会津武士の志を忘れず、自分の進む
べき道を果敢に生き抜いた女性、八重の物語です。その革新的な生き方は、「幕末のジャンヌ・ダルク」、「ハンサム・ウーマン」、「日本のナイチン
ゲール」と数々のあだ名を付けられました。
会津から見た幕末から明治、女から見た幕末から明治を描いた作品でした。幕末や明治維新を描いた作品は数あれど、西南戦争までで終わっ
たり、新政府の中枢の話が多く、幕末から明治を続けて、戦後の混乱期から文明国家へと進んでいった様子を政府の外側(特に高等教育の面)
から描かれていたのが新鮮でした。
ポスターに使われた戦闘服はもちろん、銃の稽古姿や、薙刀の稽古着、明治に入ってからの洋装など、主演の綾瀬はるかの変化も見どころの
一つでした。(14.1.20改稿)
柳生十兵衛 あばれ旅千葉真一 主演 82年10月19日〜83年4月26日 テレビ朝日
千葉真一・十兵衛の代表作は『柳生一族の陰謀』だと思うのですが、こっちのほうがコメディタッチで私は好きです。
主役は十兵衛となっていますが、どっちかというと影の役回りで、表の主役は妹の縫之介(志穂美悦子)。というのも、十兵衛は巡検使として全国
を回ること言い付かるも、乱心のため、妹・茜が男装して縫之介と名乗り、代わりをすることに。
実は十兵衛の乱心は、お忍びで全国を回るためのお芝居。かくして、縫之介一行を影で追っていく一人旅になるのだが…。
公儀の使いと言えど、むしろ公儀だからこそ旅先では悪代官等に狙われる縫之介一行。それなりに善戦するも、柳生の娘とは言え所詮は女、ピ
ンチに陥ってしまう。そこに現れるのが夜目に鮮やかな蛍光塗料の布を足に巻いた馬に跨り、同じく蛍光塗料のテングの面を被った(格好は違うこ
ともあり)我らがヒーロー十兵衛! かっこよく悪人退治! だけどその格好、夜道で出会ったらかなり怖いと思うのですが…。
十兵衛がかっこいいのはもちろん、男装の女剣士・縫之介もお決まりの派手めの衣装にポニーテールでかっこいいですよ。お約束の、男に間違
われて女の子に惚れられる話もあります。(05.8.2)柳生十兵衛七番勝負〜最後の闘い村上弘明 主演 07年4月5日〜5月31日 NHK 木曜夜8時から
『柳生十兵衛七番勝負』シリーズの三作品目にして、タイトルどおり最後の作です。前回、前々回と、幕府転覆を企てる者の黒幕に見え隠れして
いた由比正雪(和泉元彌)と、とうとう全面対決。なのですが、正雪の出番が多くなった分、正雪の主張や生い立ちなんかも語られる機会が増えた
わけで、三シリーズ中、一番いい人っぽく、ことごとく十兵衛に計画をつぶされる彼があわれにさえ見えます。黒幕なのに。
十兵衛が本来なら争いたくない人たちと闘わざるをえなくなり、最後には斬ってしまうという十兵衛苦労の旅は、今シリーズも健在。特に今回は、
十兵衛に逆らえない命令を下していた父・宗矩が死んだというのに、死んでいると思っていた母が生きていて人質にとられていたり、いることさえ知
らなかった実の弟と斬りあったりと、さらに心の苦しみ倍増。修羅の道を歩くしかなかった十兵衛は、最後にどこにたどり着くのか。
でも何よりも見どころは、正雪の腹心でありながら、十兵衛とも心を通わせあってしまう丸橋忠弥。善悪で言えば悪側なのに、どこまでもさわやか
でいい人な彼に、照英がぴったりでした。十文字槍もかっこよかったです。
全八回。(07.6.7改稿)
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柳生十兵衛七番勝負・島原の乱村上弘明 主演 06年4月6日〜5月25日 NHK 木曜夜8時から
05年4月に同じNHKの金曜時代劇で放送された『柳生十兵衛七番勝負』の続編。
前作品で幕府転覆をもくろむ計画を、一人奔走し、事前に防いだ柳生十兵衛。今度は島原の乱を舞台に、やはり国家安寧のために幕府転覆を
防ぐために戦う。
今回の黒幕は公家。幕府というより、幕府の柱である柳生宗矩の失脚を狙って、島原の乱を起こすように仕向けるという、大胆解釈。初めは父
の命令で動いていた十兵衛だが、次第に父の暗黒面に気づき、民のために乱を収めようと一人奔走することになるという、ある意味、十兵衛の苦
労話です。しかしこの十兵衛、いじいじと悩んだりしない、男惚れするような気持ちのいい性格なので、見てて暗くならないのが良いです。
毎回、さまざまな事情で戦うことになる剣客たちも、正統派から中国拳法まで、バラエティーに富んでる上、うまい人たちばかりなので、安心して
見れます。
そしてなんと言ってもすごかったのが、黒幕の円条寺業平(杉本哲太)。悪知恵の思いつき具合もなかなかのものながら、性格も公家にしては即
物的な残虐さを持っていて、その上公家なのに強いのなんの。独特の剣の使い手で、対決シーンでは十兵衛さえ苦戦させる技量の持ち主。それ
でいて公家特有のおほほ笑いもあの顔でしてくれるという、一歩間違えばお笑いになってしまいそうな強烈な人物でした。側にいた前回から引き続
きの黒幕の一員、後の由比正雪(和泉元彌)の影がなくなるぐらいに。
そして忘れてはいけない荒木又右衛門(嶋政宏)が、十兵衛の兄弟子であり、敵方に付くというおいしい話も盛り込まれています。
昨今の時代劇では珍しい硬派な話で、古き良き時代のファンにもおすすめです。全七回という短さが残念ですが、その分内容が凝縮されてテン
ポよく見れたとも言えるかも。(06.6.1改稿)
各回ごとのコメントはこちら 夜桜お染若村麻由美 主演 03年10月14日〜04年1月27日 フジテレビ
とにかく主役のお染(若村麻由美)が、綺麗で艶っぽくてかわいくて多芸で強い。男も女も魅了されずにはいられない、すごい姐さんです。
お染は、幼少のころに火事で両親を亡くし、兄とは生き別れ、見世物小屋の一座に育てられ、現在は踊りの師匠をしています。かつて夜桜お染
の名で一世を風靡した艶やかな踊りと美貌は、今も健在。さらにそんじょそこらの男じゃ太刀打ちできないほど、剣の腕も確か。しかも人の話を聞
きながら皿を回して見せたりと、とっても器用。この多芸を生かして、毎回最低二つの、しかも二度と同じのはない、お姫様から花魁から女壺振り
から夜鷹までと、七変化振りを見せてくれます。そのどれもがぴたりと決まっているから、さすがは若村麻由美。特に踊りは特訓したそうで、本当に
目を奪われる美しさです。
実は両親を亡くした火事には、裏になんらかの事件が絡んでいた可能性が高く、父は実は密偵だったという。その父のかつての上司から、仕事
を手伝ってほしいと頼まれるのですが、毎回その関連の話かと言うとそうでもなく、兄探しの話もあったりと、バラエティー豊富。どの回も満足できる
こと間違いなしの渾身の出来。
また脇役が、一癖ありそうな義賊の男(片岡愛之助)やら、やたらと付きまとってくる貧乏浪人(内藤剛志)やら、いわくありげな過去を持ってそう
な献残屋(遠藤憲一)やらと、ストーリー的に面白そうな人たちばかり。これだけおいしそうなネタが満載なら、いくらでも話できそうなものですが、1
シリーズで終わってしまい、もったいない限りです。(08.8.31)義経滝沢秀明 主演 05年1月9日〜12月11日 NHK 日曜夜8時から
NHK大河ドラマ・最年少主役を迎えたこの作品。タイトルどおり、源義経の話。
伝説的なヒーロー、源義経をジャニーズ事務所の「タッキー」こと滝沢秀明が熱演しています。その優しげで少しさびしげで高貴な香りのする顔
が、義経のイメージにぴったりな上に、回を重ねるごとにその目に強さと険しさが加わるという成長ぶり。
女性の原作のせいか、軍記ものというよりは、義経主従を家族に見立てるぐらいの強き絆が中心に描かれていたのが印象的でした。義経から
見れば敵となる平家の面々や、源頼朝も好意的に丁寧に描かれており、いわゆる悪役がいなかったのも興味深かったです。
また、大河ドラマにしては珍しく、個人戦の殺陣シーンが多かったり、ワイヤーアクションを取り入れたり、また金粉舞い散る中での決闘など、エン
ターティメントな演出が多かったのも、今までとは違った形で面白かったです。(05.12.28改稿)
第24回以降の毎回ごとの感想はこちら 小出恵介 主演 14年6月26日放送開始 NHK 木曜夜8時から
神守幹次郎と汀女(貫地谷しほり)は、豊後岡藩の下級武士の家の幼馴染。しかし汀女は父親の借金を取り消す代わりに藤村壮五郎(皆川猿
時)の妻となる。藤村に暴力を振るわれている汀女を見かねた幹次郎は、汀女を連れて駆け落ちする。逃避行の末、幹次郎の剣の腕が江戸の吉
原を束ねる四朗兵衛会所の七代目頭取(近藤正臣)の目に留まり、四郎兵衛に求められ、吉原を治める手伝いをすることに。そして汀女も吉原の
女たちに文の手ほどきをすることになる。
吉原一のおいらん・薄墨太夫(野々すみ花)を初めとする吉原の女たちと接していくうちに、幹二郎は弱い立場にある彼女たちを守る仕事に使命
感を持ち始めていく。彼女たちや吉原を狙う者たちは絶えず、一方で藤村の動向も気にかかる。そんな日々の中でも、汀女との愛のある暮らし
は、幹二郎にとって幸せな時間となっていきます。
原作は佐伯泰英の同名シリーズ。
時代劇初主演の小出恵介が、年上の妻を守る、少しこどもっぽいところのある剣の達人を演じました。
世直し順庵!人情剣藤田まこと 主演 05年10月17日〜12月12日 ABC 月曜夜7時から
主人公・河合順庵は元御家人の町医者。長崎でシーボルトに学んだというのだが、針治療もできるマルチ医者だったりする。日ごろの心がけが
悪い患者に対して、「おまえさん、手遅れだ」というのが口癖で、『手遅れ先生』と呼ばれて親しまれている。
北町奉行所の与力の長谷部総十郎(島田順司)と元道場友達だったり、弟子のおみつ(中村瑠璃亜)の父親・吉松(内藤剛志)が岡っ引で、かつ
飲み友達(恋のライバル?)だったりする関係か、監察医も勤めている。
そんな彼のところには、事件の話も舞い込んでくるわけで。町奉行所が手を出せない悪人の存在が明らかになると、彼は針を持って出かけていく
…。
必殺仕事人を意識した一作。 神木隆之介 主演 23年4月3日〜9月29日 NHK 月曜〜金曜 朝8時から幕末の土佐に生まれ、明治、大正、昭和と研究を続けた、日本の植物学の父と呼ばれる植物学者・牧野富太郎をモデルにしたオリジナルストーリー
で描くNHK朝の連続テレビ小説です。
土佐の佐川にある大きな造り酒屋の跡取り息子として産まれた槙野万太郎。好奇心が旺盛で、特に花や草などの植物に強い興味を抱き、
時間を忘れて裏山で過ごし、通い始めた学問所・名教館では貪欲な知識欲とたぐいまれなる記憶力を発揮します。
植物学を極めたく、東京に出てきた万太郎は、出会った寿恵子(浜辺美波)に一目惚れ。また東京大学の植物学教室に出入りすることを許され、
いつか日本中の植物を網羅した図鑑を作ることを目指します。
この万太郎が、自分を曲げない人物でありながら、人が良く前向きで、タイトルのような天真爛漫な性格で、学問に妥協しない反面、妻と
家族に対する愛情があふれており、とても良い主人公でした。また妻の寿恵子も、美人なだけでなく、実は肝が据わっており、でも愛嬌もあって、
いつまでも見ていたくなる素敵な夫婦でした。
全話通じてとてもエピソード多く、明るい気分になれる話が多く、暗い話はできるだけダメージが小さく作られ、万太郎と寿恵子が見ていて
気持ちよく、毎朝見続けるのにとても配慮された、まさに毎日が楽しくなる朝ドラでした。また植物に対する愛情だけでなく、家族愛や人との
つながりも大切にされ、使い捨てにされる登場人物がいない、とても面白く見れる素晴らしい作品でした。(23.11.18改稿)
番組公式サイト https://www.nhk.jp/p/ranman/福山雅治 主演 10年1月3日〜11月28日 NHK 日曜夜8時から
土佐の地下浪人の身分から後に三菱財閥を築く岩崎弥太郎の視線から、坂本龍馬を描いた大河ドラマ。国民的ヒーローの龍馬ですが、彼も最
初から坂本龍馬だったわけではない、その龍馬になるまで日々迷い、悩んで成長していった進化を描いたと、脚本の福田靖のいうとおり、よく涙を
流す龍馬でした。
主演は、音楽から俳優まで幅広い世界で活躍する福山雅治。演出の大友啓史が「誰も見たことのない福山雅治」と語るように、時代劇初出演と
なる福山雅治が、地毛で演じるなど、体当たりの演技を魅せます。
「新しい龍馬像、幕末観を描く」がキャッチコピーだっただけあって、土佐の街のほこりっぽさを、コーンスターチを役者といわずセットといわず大
量に振りかけることで再現するなど、今までの大河っぽくない作品でした。またナレーションも担当の岩崎弥太郎(香川照之)は歯jまで黒いという、
画面に映して大丈夫なのかというほどの汚い姿で登場。一回目から龍馬が大嫌いだと言いきる嫌な奴ながら、どこか憎めないという、財閥を築い
た人物とは思えない描かれ方でした。(11.1.24改稿)
若大将 天下ご免!橋爪淳 主演 87年3月4日〜12月22日 テレビ朝日
最近、ケーブルテレビで放送しておりまして、見直してます。
主役の橋爪淳といえば、最近では『水戸黄門』の柳沢吉保役で有名ですが、お小姓上がりの美青年が違和感なく演じられちゃうきれいな顔は、こ
こでも健在。しかも若い分、より良いですよ!
主人公の結城小太郎くんは、水野忠邦(山村聰)を親代わりとする孤児。十歳の時から神田・お玉が池の千葉周作(加藤武)の道場、玄武館に預
けられ、現在は師範代を勤める腕前。正義感の強い好青年。
講武所風の髷(縦一本線のような細い月代にポニーテール。沖田総司イメージです)も初々しく、あれだけの器量良し、女の子にもモテモテなん
だけど、真摯に接するも決して溺れたりはしない。どこまでもさわやかな好青年。水野様の女密偵・お遊(片平なぎさ)にからかわれて、本気で怒っ
たり。
しかし一度事件が起これば、自分から首を突っ込んで行ってしまう、お人よし。
そして、その事件、法では裁けない黒幕を見つけてしまったならば、千葉先生と別れの杯を交わし、決死の覚悟で乗り込んでいく。そのとき名乗る
のが『隅田の小天狗 結城小太郎!』。って本名名乗ってどうするねん!
このときの大立ち回りは、小天狗を名乗るだけあって元気いっぱい。飛んだり跳ねたり、大きく動き回ってくれます。オープニングも殺陣尽くしで
す。
勝小吉(橘田剛)が出てくるので、もしかしたらと思っていたら、途中から幕末ネタも絡んできます。息子・麟太郎(生駒恭明)はまだ子供。
そうそう、昔の時代劇らしく、主題歌も歌ってますよ、橋爪淳。
わっか〜い竹中直人がおちゃらけ同心役で出てるのもミソ。若すぎて、テロップ見るまで気づきませんでした。
(05.7.1) 永瀬廉 主演 22年1月8日〜1月29日 NHK 土曜 夜9時からペリー来航の4年前の長崎へ、一人の青年がたどり着きます。江戸で暮らしていた伊嶋壮多は、母が亡くなり、そのことを伝えに長崎で通詞をしていた父を訪ねてきたのでした。ところが父はどこにもおらず、通詞をしていた記録すらなく…。
耳が良く、独学で学んだオランダ語を流ちょうに話す壮多を主役に、彼が世話になる置屋で出会った人々や、通詞たちを通じて、長崎の街が隠している謎と、彼の成長を描いていきます。
「おまえはまだ長崎を知らない」などとあおりのある予告で、何が起きても不思議ではない、鎖国下の日本で特殊だった長崎を舞台に描いた異色の作品でした。
全4話。(22.3.7改稿)
参照 アスペクト発行『みんなのテレビ時代劇』NHKサービスセンター発行『NHKテレビ時代劇の世界』
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