母を亡くした16歳の菜々は、生きていくために素性を隠し風早家の女中となります。主人の市之進(町田啓太)は奉公人にも家族のように接する好青年で、奥方の佐知(谷村美月)も優しく、子どもたちにもすぐに懐かれます。しかし穏やかな日々は長く続かず、佐知が病で亡くなります。市之進と子どもたちのことを頼むと言い残された菜々でしたが、藩の勘定方に勤める市之進に不穏な影が近づいてきます。
実は菜々の父は濡れ衣を着せられ殺された武士でした。父の仇・轟平九郎(北村有起哉)は、風早家とも因縁があるようで、藩の財政立て直しのための建白書を提出した市之進に、平九郎の手が延び、市之進はとうとう捕まってしまいます。
菜々は市之進が戻ってくるのを信じて、子どもたちを育てることを決意。実は菜々には、一度見た動きを真似できるという特技があることが分かり、剣の修業にも励みます。
一見、大人しそうな菜々ですが、芯は強く、また機転や度胸もなかなかのもの。彼女の周りには一癖ある協力者が増えていきます。そんな菜々は、父の仇を討ち、市之進を助け出せるのか。
菜々の静かな戦いの話ですが、菜々が健気で明るい性格のためか、全体の雰囲気はほのぼのしていて、楽しく見れるヒロイン時代劇作品です。
BSプレミアムで2019年7月から放送された作品の地上波初放送でした。原作は葉室麟の小説『螢草』。全7回です。(20.5.4改稿)
岸谷五朗 主演 14年10月16日〜12月18日 NHK 木曜夜8時から
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井筒平四郎は、南町奉行所の見廻り方同心。見廻りかたがた鉄瓶長屋の煮売屋で、お徳(松阪慶子)の手料理屋をつまむのを楽しみにしている。そんな笑顔の絶えない鉄瓶長だったが、人殺しがあったことを皮切りに、長屋の住人が次々に出て行ってしまうようになる。お徳は、新たに来た差配人の佐吉(風間俊介)のせいにするが、平四郎は他に裏があるのではないかと気にかかる。 怠け癖のある平四郎と、利発な甥っ子・弓之助(加部亜門)は、事件を調べていくうちに、その下に隠された大きな謎に突き当たる。 人情時代劇っぽい雰囲気ですが、原作はミステリー作家の宮部みゆきの同名小説で、人の気持ちが絡み合う、ドロドロとしたミステリーの要素がたっぷりでした。(15.1.26改稿)
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ぼんくら2
岸谷五朗 主演 15年10月22日〜12月3日 NHK 木曜夜8時から
一年前に放送された同名作品の続編です。
周囲からぼんくら扱いされている見廻り方同心・井筒平四郎。昼寝をしたり、煮売り屋のお徳の店でおかずをつまんだり、いつものように過ごしている平四郎の元に、佐吉(風間俊介)が湊屋総右衛門(鶴見辰吾)の愛人・葵(小西真奈美)殺しで捕まったと知らせが入る。佐吉は自分を捨てたと聞いている実の母親の葵を恨んでおり、湊屋は佐吉を犯人と信じて役人に手を回す。だが状況は調べれば調べるほど、佐助が犯人ではないことを示していて…。
葵や湊屋に恨みを持つ者、湊屋の関係者、通りすがり、果たして葵を殺したのは誰なのか? 平四郎の甥で、美貌と聡明な頭脳を持つ弓之助(加部亜門)が、大人顔負けの推理を披露し、もつれた糸をほどくように、解いていきます。
宮部みゆきの小説「日暮らし」を原作とした、人情時代劇ミステリードラマです。(16.2.15)
番組公式サイト http://www.nhk.or.jp/jidaigeki/bonkura2/index.html
まっつぐ〜鎌倉河岸捕物控
橘慶太 主演 10年4月17日〜8月14日 NHK 土曜夜7時30分から
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『陽炎の辻』、『密命〜寒月霞斬り〜』と立て続けにドラマ化された佐伯泰英の作品が、またまた土曜時代劇に登場です。しかもこの枠お得意の青 春グラフィティーです。
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舞台は金座と呼ばれる江戸の金融中心地で、江戸城にも近い日本橋の裏、鎌倉河岸。そこのむじな長屋で育った、政次(橘慶太)、亮吉(中尾 明慶)、彦四郎(小柳友)の三人は幼馴染み。政次は江戸有数の呉服屋『松阪屋』の手代で、将来を期待される好青年。亮吉は金座裏の宗五郎 親分(松平健)の元で働く新米の手先で、身も軽いが性格も軽い。彦四郎は船宿の船頭で、体が大きいが涙もろい人情家。そんな三人が大事に 思う、しほ(柳生みゆ)は、絵が得意な娘。夜は田楽と酒を売る酒問屋『豊島屋』の看板娘のしほですが、ある日、彼女の父親が斬り殺されます。 実は彼女の両親は、越藩家老の不正の証拠を持って逃げてきた脱藩者でした。
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しほを狙う川越藩の者たちからしほを守った政次は、その度胸と機転から、宗五郎に跡取りにと望まれるようになります。しかし松阪屋の隠居・ 松六(山本學)もまた、政次を気に入っており…。
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政次の活躍が見ていて心地いいです。また彼をはじめとする若者たちを、距離を置いて見守る宗五郎親分や、その女房・おみつ(南野陽子)の 視線が温かい、青春捕物話であります。
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主役にw-inds.の橘慶太を据え、また主題歌もw-inds.。オープニング画像には、現代の日本橋を入れ、語りで、豊島屋の主人・清蔵役の竹中直 人が現代の衣装で出てくるなど、若い人をターゲットにした造りになっていました。
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初回は73分スペシャル版でした。(10.10.7改稿)
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まんまこと〜麻之助裁定帳〜
福士誠治 主演 15年7月16日〜10月1日 NHK 木曜夜8時から
江戸の町名主の跡取り息子・高橋麻之助(福士誠治)。子供のころは神童といわれるほど頭もよく、父親の宗右衛門(高橋英樹)も自慢の真面目な好青年だったが、16歳に自分の力ではどうにもできない失恋をきっかけに頑張ることを止めてしまい、お気楽なのんき者になってしまいます。父親の手伝いもせず、幼馴染みの隣町の名主の跡取り息子で女たらしの遊び人・八木清十郎(桐山漣)と遊んで暮らす毎日。見かねたもう一人の幼馴染みの同心見習いで生真面目な堅物・相馬吉五郎(趙a和)が、又従兄の武家の娘・お寿ず(南沢奈央)との縁談を持ってくる。ところがこのお寿ずもある事情を抱えていて…。
普段はのほほんとしている麻之助ですが、一度事件に関わると、清十郎や、同心見習いで生真面目な堅物・相馬吉五郎(趙a和)の幼馴染み二人の手を借りて、持ち前の素晴らしい推理を見せて、うまく解決してしまいます。
時が止まったままだったような麻之助の心も少しずつ動き始め、周りの者たちの環境も少しずつ変わっていきます。
「まんまこと」とは「真真事」と書き、「真実」のこと。大きな事件は起きないけれど、人と人との小さなすれ違いから起こる事件を、麻之助が「真実」を見つけ、絡まった思いの糸をほぐしていきます。
原作は畠中恵の「まんまこと」、「こいしり」、「こいわすれ」、「ときぐすり」です。(15.11.23改稿)
番組公式サイト http://www.nhk.or.jp/jidaigeki/manmakoto/
密命〜寒月霞斬り
榎木孝明 主演 08年4月18日〜6月13日 大阪 金曜夜8時から
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長屋のおかみさんから「惣三郎さんには何を言っても馬の耳に念仏だねぇ」なんて言われてしまう、「ふぬけ惣三郎」こと、浪人の金杉惣三郎(榎 木孝明)。しかしその正体は、かつて相良の龍と呼ばれた直心影流の使い手。ふぬけた姿は、十年前に起こった事件から殿と相良藩を守るため にとった、惣三郎の忠義の証だったのだ。
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以前は藩の武芸指南役をも務めた惣三郎は、殿である斎木高玖との秘密を守るため、職を解かれ国元でふぬけた生活を送っていた。しかし 今、藩の存続にもかかわる危機に、その陰謀を暴くよう高玖からの密命を受け、脱藩して江戸へと向かう。味方は江戸留守居役の寺村重左衛門 (寺田農)のみ。
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とまあ、硬派で真面目な作品なのですが、その頼りの寺村様は、警護もなしでふらふら出歩き敵勢力から襲撃を受けるし、仕事は全部子飼いの 密偵・九一(宮内敦士)任せだし、殿は殿で自分じゃ何もしないし、そもそも敵勢力の黒幕からして、もう表舞台から立ち退いた柳沢吉保が後ろ盾 になってくれると信じて藩乗っ取りを企むお人好しという、なんともツッコミどころの多い作品でした。
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主役の惣三郎は、年老いた母と幼い子供たちを国元に残しての、辛い単身での密命遂行のはずが、根がのんきなのか、人が良すぎるのか、ち ょっとでも困っている人を見ると助けずにはいられない性分で、密命そっちのけで、人助け。結果として、豪商の札差、冠阿弥の娘のお杏(安達祐 実)に惚れられ、火事始末の荒神屋喜八(加藤剛)やめ組の頭取・芝鳶の辰吉(伊吹吾郎)といった江戸で力を持つ人たちと親しくなり、最終的に は密命遂行を彼らが助けてくれるようになるので、まあその甲斐はあるわけですが。でも一方で、惣三郎の亡くなった妻に生き写しな寺村の娘で小 料理屋の女将・しの(とよた真帆)と、こっそり愛も育んでいたり。
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そんな敵も味方もやる気あるのかないのか分からない中、唯一、自分の使命にまっすぐだったのが、惣三郎と同門で相良の虎と言われた日下 左近(松方弘樹)。彼との対決のために編み出した必殺剣・寒月霞斬りを頼りに、彼との対決を匂わしながら、話は、主要人物のあっさりとした死 亡による退場をからめつつ、核心へ、そして最後の対決へとゆっくりと進んでいきます。
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原作は佐伯泰英の「密命」シリーズ。(08.7.19改稿)
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水戸黄門
里見浩太朗 主演 05年10月10日〜06年3月6日 毎日 月曜夜8時から
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第35部は、印籠も新しく豪華にずしりと重くなって、水戸光圀の実子が養子に入った高松藩からスタート。そのまま四国、九州を回りました。
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新しくなったのは印籠だけでなく、徳川に恨みを持つ闇の商人・闇の布袋(遠藤太津朗)と、その血を引くくノ一・北斗の桔梗(原史奈)が率いる忍 者軍団との対決というストーリー上の新風もあったのですが、なぜか闇の布袋側の刺客が回を追うごとにしょぼくなり、黄門様との絡みもなく鬼若 に一蹴されたりする始末。そして半年の放送期間真ん中で、闇の布袋の恨みは誤解であることが発覚し、部下の裏切りで自滅。せっかくの新くノ 一・北斗の桔梗も行方不明に。後半三ヶ月は、普通にいつもどおり世直し旅をした黄門様たちでした。
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レギューラー陣は、前回から変更なし。おなじみ黄門様に助さん(原田龍二)、格さん(合田雅吏)。疾風のお娟(由美かおる)、よろず屋の千太 (三波豊和)、風の鬼若(照英)。アキ様(斉藤晶)は少し強くなって戦いに参加するようになりました。(06.3.28改稿)
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水戸黄門
里見浩太朗 主演 06年7月24日〜12月18日 毎日 月曜夜8時から
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第36部は、黄門様の姉・明芳院(淡島千景)から、孫の加賀藩前田家の若君・利久(渡辺大)が婚礼を上げる知らせがきたところから始まりまし た。明芳院の文には、簡素に執り行いたいから出席無用と書いてあったにもかかわらず、かわいがっていた利久の門出を祝いたい黄門様は、加 賀に向けてお忍びで出発します。
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レギューラー陣は、よろず屋の千太が抜けて六人からスタート。おなじみ黄門様に助さん(原田龍二)、格さん(合田雅吏)。疾風のお娟(由美か おる)、風の鬼若(照英)。アキ(斉藤晶)は今回もさらに少し強くなって戦いに参加しました。
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準レギュラーの八重さんや、鳴神の夜叉王丸、助さんの母上・静枝さん、助さんのお見合い相手の美加さんも健在です。また十話から、江戸出 身のお調子者、おけらの新助(松井天斗)が、レギュラーに加わりました。
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中盤に到着した加賀から、後半は西日本を回り、最終回の京では、利久と新妻の菊姫(藤井麻衣子)が再登場しました。(07.1.11改稿)
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里見浩太朗 主演 08年1月7日〜6月30日 毎日 月曜夜8時から
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小藩の騒動から始まった第38部。江戸から一行は、騒ぎの元である瀬戸内の花崎藩と赤津藩を目指します。
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元は一つの藩だった、花崎藩と赤津藩。元から仲の悪かった両藩は、松の木を巡って領地争いが勃発。幕府の裁定を受けることになり、柳沢吉 保(橋爪淳)は、賄賂を受けていた花崎藩に一方的に優位な判決を下す。そんな裏事情は知らず、なんとか赤津藩を救おうとするお留守居役の山 内裕之進(中村繁之)。友人である彼の窮地に、助三郎が奔走。黄門さまも、自ら調査のためにお供を引き連れ、赤津藩へと向かいます。
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黄門様たちの活躍で騒ぎは一件落着。そもそも花崎藩が赤津藩を狙ったのは、山師・伊之助(山本圭)が両藩の間にある山で銀の鉱石を見つ け出したことだった。鉱石を知り合いの腕利き山師に見せるために藩を離れた伊之助を追おうとする、彼を親とも慕う裕之進の妹・山内志保(小沢 真珠)を加えて、一行は東に向けて旅立ちました。
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この志保、はじめは医者の手伝いをしていて医学の心得がある程度だったのが、旅の最中に、手術の手伝いをしたり、赤子を取り上げたりと、 めきめき医者としての腕を上げ、最終回の江戸では立派な医者になるために高名な先生に弟子入り。医者というだけでも重宝するのに、普通の 若い娘さんとして、お娟以上に役立つ場面もあり。たまに一行から外れて別行動のこともあって、レギュラーなのに必ず登場するとは限らないとい う希少価値もついて、かなりいい感じでした。
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その他のレギュラーは引き続き、黄門さま(里見浩太朗)に、助さん(原田龍二)、格さん(合田雅吏)。疾風のお娟(由美かおる)に、おけらの新助 (松井天斗)、風車の弥七(内藤剛志)も健在。なぜか突然彼の幼馴染のくの一が出てくる話もありました。
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里見浩太朗 主演 08年10月13日〜09年3月23日 毎日 月曜夜8時から
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第39部では、準レギュラー陣が一新されました。まずは初回の冒頭から怒鳴って登場、うるさいじいの代名詞・山野辺兵庫(長門裕之)。そして 今回も悪だくみしまくりの柳沢吉保(石橋蓮司)。その貫禄のあるふてぶしさは、黄門様に勝てそうな凶悪さです。江戸城といえば、この方、将軍綱 吉(中村繁之)。そしてその母親・桂昌院(岩崎加根子)に、怪しい僧・隆光(麿赤兒)まで登場。悪人勢ぞろいのわりには、あんまり大したことしてな かったような…。
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レギュラーにも新風が。兵庫の孫娘・早月(磯山さやか)は、江戸で出会った橋場大二郎(徳重聡)という青年と恋に落ちます。彼の兄は、もうすぐ 長崎奉行に任命されるというが、その長崎ではもう一人の奉行ぐるみの不正が行われているらしいと気づいた黄門様。いつものお供、助さん(原 田龍二)、格さん(合田雅吏)、そして疾風のお娟(由美かおる)に、おけらの新助(松井天斗)、風車の弥七(内藤剛志)を連れて、長崎に向かって 旅立ちます。その旅に、早月も見識を深めるためにと付いて来ます。この早月、お嬢様でありながら、無鉄砲で、思いこみの激しいおてんば娘で、 旅先で、潜入捜査しようとして悪人につかまったりと、つっこみどころ満載でした。そんな早月も最終回では、黄門様たちに見守られて、お嫁入り。 水戸の西山荘に戻る黄門様たちと兵庫と涙の別れをして、新妻になりました。(21.4.23改稿)
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里見浩太朗 主演 09年7月27日〜12月21日 毎日 月曜夜8時から
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放送40周年を迎えての、第40部です。第一回目は二時間スペシャルでした。
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津軽藩で起こった陰謀に関わった、水戸藩江戸屋敷。その陰謀を暴くため、江戸に出てきた黄門様。元は津軽にあると見て、奥州へと旅立つ。
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江戸に出てきた黄門様が出会ったのが、なんと、うっかり八兵衛(高橋元太郎)。彼のことを父親のように慕う、ちゃっかり八兵衛(林家三平)も登 場して、一行に加えてほしいと頼み込む。いつもの助さん(原田龍二)、格さん(合田雅吏)、疾風のお娟(由美かおる)に、風車の弥七(内藤剛 志)、そして前半では第一話で知り合った材木問屋の娘・お千代(三津谷葉子)を加えての道中。
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江戸城では相変わらず、柳沢吉保(石橋蓮司)が黄門様の命を狙い、伊賀忍者(高知東生)を送り込んでくる。そして同じく実は伊賀忍者の俳人・ 松尾芭蕉(堺正章)も、肉体派の弟子・河合曽良(田宮五郎)を連れて、敵か味方か、奥州へと旅立つ。
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奥の細道から始まった節目のシリーズ、帰りは北陸を通り、また江戸へ。いつものお話でした。(10.2.2改稿)
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里見浩太朗 主演 10月4月12日〜6月28日 毎日 月曜夜8時から
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三か月間の放送だった第41部は変革の時でした。25年に渡り出演していた由美かおる、そして助さん役の原田龍二、格さん役の合田雅吏がこ の部限りでレギュラー引退発表しました。
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原田龍二が降板するせいか、助さんが許婚として登場していた美加(須藤温子)と結婚しました。またちゃっかり八兵衛(林家三平)に懐いている 少年・新吉(伊澤柾樹)が、生き別れた母親を探すため旅の仲間に加わります。風車の弥七(内藤剛志)も健在。
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柳沢吉保(石橋蓮司)は、黄門様に一行に新たな刺客・虚空無幻斎(大沢樹生)なる幻術使いを送り込みます。そして彼に師匠を殺され敵討ちを 誓う薩摩の剣術家・東条隼斗(市瀬秀和)も準レギュラーとして登場。ほぼ毎回、黄門様の敵方へ力を貸したりと命を狙う無幻斎と対決しました。
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また、オープニング背景を一新、一行の立ち寄り先の風景や工芸品を流し、しかも毎回変わる力の入れようでした。(10.7.27改稿)
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里見浩太朗 主演 10年10月11日〜11年3月21日 毎日 月曜夜8時から
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リニューアルして始まった第42部。黄門様役こそ変わらなかったものの、原点に戻ることを意識した大幅なレギュラー陣の交代がありました。
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6代目助さん格さんとなった、東幹久と的場浩司。この二人、以前に御前試合で面識があったものの、ほぼ初対面。もちろん黄門様の旅のお供 をするのも初めての設定。助さんこと佐々木助三郎は西山荘で黄門様に仕えていたが、格さんこと渥美格之進は、黄門様が旅立つことになり、水 戸から呼び出されました。旅の前に二人で、危険を避けるために町人姿を取ることや、呼び名を「助さん」、「格さん」とすることに決めたり、格さん が助さんをうらやましがって印籠を持つようになるエピソードなど、不慣れな様子が笑いをさそいました。
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一方で、前シリーズまでレギュラーだった疾風のお娟(由美かおる)が、黄門様もよく知る塩問屋の主人に乞われてお嫁に行きます。そして護衛 の人手不足を感じた風車の弥七(内藤剛志)の知り合いの元忍びの娘、楓(雛形あきこ)がおしかけで加わります。そして、同道を願い出た八兵衛 (林家三平)も加えて、六人での旅立ちとなりました。
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黄門様が旅に出ようとしたきっかけは、長男の頼常が治める高松藩で、世継ぎを巡る騒動が起きていることを知ったこと。しかしその騒動に老中 たちが絡んでいることを知った黄門様は真の目的を伏せ、亡き妻の節目の時に妻の実家を訪ねたいと、甲州街道から中山道を経て、京都へ行く 許しを得て、出発します。
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主題歌も、新・助格コンビが歌っております。そして半分終わった一月に、さらに伴奏が豪華なものへとリニューアルしました。(11.4.12改稿)
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里見浩太朗 主演 11年7月4日〜12月19日 毎日 月曜夜8時から
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キャストなどの変更もなく、静かに始まった第43部。しかし始ってしばらくしたころに、42年間続いた『水戸黄門』の放送をこの第43部で終了す るという重大発表がありました。
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将軍・綱吉(風間トオル)から江戸へと呼ばれ、伊勢神宮への代参を頼まれた黄門様。その頼みには、庶民の暮らしを見てきてほしいという綱吉 の願いが込められていた。黄門様はおなじみのお供、助さん(東幹久)と格さん(的場浩司)、そして八兵衛(林家三平)、風車の弥七(内藤剛志)、 楓(雛形あきこ)とともに伊勢を目指します。水戸から江戸、江戸から伊勢への往復、そしてまた水戸に戻って本編は終了でしたが、その翌週にシ リーズ終了の2時間スペシャルがありました。
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シリーズ本編から数年後、格さんには子供ができ、久々に水戸に戻ってくる助さんの歓迎に家族そろって大わらわ。というのも、助さんの祝言が 行われるからだった。当の本人の知らぬ間に。
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それからしばらくして、江戸の街を散策していた黄門様がさらわれる事件が起こる。その裏には浪人たちの幕府転覆の企てが関わっていた。
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レギュラー陣に加え、歴代の水戸黄門に関わってきた俳優たちが多数ゲスト出演していました。お娟(由美かおる)に、柘植の飛猿(野村将希)、 うっかり八兵衛(高橋元太郎)、柳沢吉保(石橋蓮司)、僧の隆光(麿赤兒)。そして宮園純子に、歴代の助さん格さんを演じた、横内正、大和田伸 也、伊吹吾郎、あおい輝彦。特に横内、大和田、伊吹、的場の格さん4人が一堂に会しての殺陣シーンで、印籠をリレーし、「控おろう」というシーン は最終回スペシャルらしい見ものでした。(12.1.15改稿)
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黒木華 主演 17年5月13日〜7月8日 NHK 土曜夜6時05分から
大坂から江戸へ、料理屋『天満一兆庵』の主人夫婦とともに出てきた奉公人の澪。主の跡取り息子が江戸で店を出しているはずだったのですが、その店はつぶれていて、息子も行方が分かりません。主人の嘉兵衛(国広富之)
は心労で亡くなり、その妻の芳(安田成美)も倒れてしまいます。途方に暮れた澪は、長屋のそばにあった荒れ果てた稲荷の社の掃除を始めます。そんな澪に声を掛けたのは、そば屋『つる屋』の種市(小日向文世)でした。 種市は腰を痛めてそばを打てなくなった自分の代わりに、澪に店の料理を任せます。澪はその舌を認められ、嘉兵衛から料理人として仕込まれていました。しかし女の料理人などいなかった時代、上方と江戸の習慣の違いもあり、客は離れていくばかり。澪は料理に工夫を凝らし、次第に客にも受け入れられ、ついには料理番付に載るほどに。 幼少時に水害で家族を亡くした澪ですが、母のように慈しんでくれる芳や、種市、なにかと澪たちのことを気にかけてくれる医者の永田源斉(永山絢斗)たちに囲まれ、彼らのためにと次々に襲い来る困難にも負けず、料理人として成長していきます。また、つる屋が閉まった頃に来る、料理に詳しい謎の浪人・小松原(森山未來)との出会いも、澪に大きな影響を与えます。そして幼い頃に泣き虫だった澪を何度も慰めてくれた親友の野江(成海璃子)が、水害の後も生きていて、吉原で幻の花魁と呼ばれるあさひ太夫となっていたことも分かります。 人相見に雲外蒼天の相と言われた澪が、幾多の苦境を乗り越え、料理人として成長する、心温まる人情と料理の物語です。 原作は田郁の同名小説。全八回の放送です。(17.8.15改稿)
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福士蒼汰 主演 21年11月6日〜22年1月1日 NHK 毎週土曜 夜6時5分から
明治初期の東京に、洋行帰りの若者が現れます。容姿端麗で頭脳明晰、剣術も嗜むその若者は、警視庁から特命探偵を任ぜられた結城新十郎。一見華やかなれど、時代の移り変わりで成功した者の裏側で取り残された者の不平が蓄積する明治の世に起こる不可解な事件を、鋭い観察眼で解き明かしていきます。
勧められるままに勝海舟(高橋克典)の家に住むようになった新十郎ですが、勝を見る目は時に冷ややか。実は新十郎は、戊辰戦争で家族を亡くした元幕臣の出で、多大な犠牲の上に成り立ったものの平穏とは言い難い今の世を作った者たちに複雑な想いを抱いていたのでした。
家族も友も亡くし暗い影を背負っていた新十郎ですが、勝の剣術の弟子で押しかけ相棒の泉山虎之介(矢本悠馬)や、最初の事件で知り合って以来、新十郎のことが気にかかるお転婆な令嬢・加納梨江(内田理央)からの干渉を受けるうちに、少しずつ表情を和らげていきます。
また西郷隆盛(鶴見辰吾)や大久保利通(篠井英介)、勝の妻・民(稲森いずみ)も登場。
華やかな明治を舞台に起こる、暗く不気味な謎も、万華鏡をのぞきながら「something stranges(なにかがおかしい)」とつぶやけば、たちまち解決の糸口を見つける結城新十郎の活躍を描く、一話完結の推理時代劇。2020年12月からBSプレミアムで放送された作品の、再編集、地上波初放送です。
原作は坂口安吾の小説『明治開化 安吾捕物帖』。全八回の放送でした。(22.2.7改稿)
名奉行! 大岡越前
北大路欣也 主演 05年4月18日〜6月20日 ABC 月曜夜7時から
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越前さんというと、どうしても加藤剛さんの真面目であくのないイメージが強いのですが、ここの越前さんは一味違います。
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お酒が大好きで、毎夜ふらふら飲みに出かけては、翌朝、二日酔いでお白州に出るのを嫌がって駄々をこねて娘に怒られたりしています。
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作品の雰囲気としては、どっちかというと推理中心で「名奉行 遠山の金さん」に似てます。同じ「名奉行」だしね(笑)。時々、「本格推理もの?」と いうような話もあって、面白いです。
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与力たちが調べ上げてもう判決直前の事件に疑問を持っては、出かけていって自分で調べる。味方は内与力の池田大介くん(富田翔)だけ。この 若い大介くんが一生懸命で、またかわいいんだ。で、大岡様の聞き込みはもちろん居酒屋で、飲みながらw。相手が勝手に貧乏旗本やら八丁堀 やらと間違えてくれます(笑)。そして最後のお白州では、お天道様もびっくりのはちゃめちゃなお裁きをやってくれます。このお裁きを予想するのも、 また楽し。
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6月20日に早、十回目にして、最終回となってしまいました(泣)。
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金曜時代劇といい、最近の時代劇の入れ替わりの早さにはびっくりさせられます。
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名奉行!大岡越前
北大路欣也 主演 06年4月18日放送開始 ABC 火曜夜7時から
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ちょうど一年ぶりに放送されたシリーズ二作目。キャッチコピー「火曜の夜は、サプライズお裁き。」が示すとおりの、ワンマンとんちお白州は変わ らず健在。他のまじめな大岡様イメージをぶち壊す、型破りな大岡越前です。
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レギュラー陣の配役そのまま。世話女房のような勝気で怒りっぽい娘・香織(水橋貴己)。そして今シリーズでは越前さんよりも香織に振り回され っぱなしの内与力の池田大助(富田翔)。でも部下を率いて捕り物の指揮を取ったりと、仕事の面ではしっかりとした一面も。二人とも若くてかわい いです。門番の与平(奥村公延)も犬のさくらも重要な役回り。そしてお奉行様に振り回されっぱなしだった筆頭与力の笹倉さん(金田明夫)も、すっ かり越前さんに感化されて、北町の筆頭与力と渡り合ったりの成長振り。きれいどころの、実は元・雲霧仁左衛門の女だった密偵・おりん(涼風真 世)も、尾行に変装にと大活躍です。
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少しチームワークにまとまりが出たものの、やっぱり相変わらずな越前さんのワンマン振りと掛け合いが、楽しい作品。越前さんがお白州で裁く 前に、事件の真相を考えて当てるのも、楽しみ方の一つです。(06.7.29改稿)
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新・桃太郎侍
高嶋政宏 主演 06年7月25日〜9月5日 ABC 火曜夜7時から
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あの『桃太郎侍』を、高島政宏主演でリメイク!…と思いきや、その内容は、山手樹一郎の原作とも、高橋英樹版ともまったく違う別物だったこの 作品。ひとまず『桃太郎侍』というタイトルは忘れてしまったほうが、楽しめます。
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桃太郎こと桂木新二郎は、彼を溺愛する母の元を飛び出し、浅草奥山にある矢場「あたり矢」で用心棒兼、居候をする浪人。用心棒とは言って も、昼間からダラダラごろ寝して、矢場の女将のお葉(富田靖子)に怒鳴られるだらしない、粗野で、喧嘩っ早く、美人に弱くて惚れっぽいお調子者 だが、その実は正義感が強く、涙もろくてまっすぐな男。女の手一つで育ててくれた母・千代(中村玉緒)を誰よりも大切に思う一面も。剣の腕も一 流。
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実は桃太郎は、四国・丸亀藩の若君の双子の弟、そして千代は元女中であり、母子に血のつながりはない。また高嶋二役による、そうとは知ら ないもの同士の双子の対面お約束は顕在。
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やたらと桃太郎が、母上になんでも結びつけるマザコン振りを発揮するため、ストーリーは親子の情に絡めたものが多めでした。
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知り合った美人が事件に巻き込まれ、善人が心無い悪人によって殺され、桃太郎が奮起するという、勧善懲悪パターンもの。この事件解明に は、千代にひそかに思いを寄せる桂木家の使用人・伊之助(左とん平)が、元「ましらの喜十」という義賊だったことを生かして大活躍。やたらと悪 党に詳しく、武家屋敷に忍び込むなんてことも平気でやってくれます。
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そして悪人の正体を突き止めるやいなや、桃太郎は着物を裏返し、赤地に桃の絵の夜目にも鮮やかな着物に、薄物をかづきにし、白マフラーで 口元を隠して、夜の町をひた走る。そして祝いの宴を開く悪人の屋敷の庭に飛び降り、白マフラーを剥ぎ取り、名乗る口上が、「桃から生まれた桃 太郎、天に代わって鬼退治に参上!その方らの悪事、天は許すまじ!」
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自慢の大ぶりの刀・天魔不動剣を振り回し、豪快すぎる(美しさは皆無)殺陣で、悪人たちをばったばったと一刀の元に切り伏せる。そして最後に 残ったボスを前に、上段に構えた刀をゆっくりと下段に回転移動させ、返した刃に写った相手の顔を、「鬼に見えたり」とズバンッ!
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血をぬぐった懐紙をばらまき、天を見上げて桃太郎。「母上、斬り捨てたのは、皆、人の顔をした鬼でございます」。
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ここまでの一連のラス殺陣の演出が、セリフは同じながら毎回違うことをするという、なかなか気合の入った作りになっておりました。
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母上への心の声にはじまり、母上とのコントで終わる、時代劇一のマザコン侍と、大げさすぎる芝居が売りの、この作品。おそらく歴史に残る超 迷作なのは間違いありません。ちなみに主題歌は吉川晃司の「サバンナの夜」。要するに、時代劇の枠を越えたニュー時代劇にしたかったのだと 思うのですが、ちょっと空回り感は否めませんでした。もったいない。(06.9.26改稿)
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松平健 主演 08年10月20日〜12月8日 大阪 月曜夜7時から
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その年の正月2日に放送された10時間時代劇『徳川風雲録外伝』で、主役の一人だった剣豪・土屋主水之助を主役に据えた、スピンオフ作品。 原作は柴田錬三郎の『徳川太平記〜吉宗と天一坊〜』、『剣鬼』シリーズ。タイトルどおり、全7回です。
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直参旗本の若隠居で、一刀流の使い手である主水之助。八代将軍・徳川吉宗からの仕官の話も断り、彼が放浪の旅を続けるのには理由があっ た。15年前、一子相伝の一刀流の後継者を決める決闘で、兄弟子・大峰ノ善鬼(三田村邦彦)に傷を負わされ、師である一刀流の開祖・伊藤一刀 斎景久(峰蘭太郎)を殺されたのだ。主水之助は許婚だった景久の娘・お勢伊(かたせ梨乃)に、「すまぬ」というたった一言の書置きを残し、武者 修行の旅に出たのだった。
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その後、金で雇われる刺客となった善鬼は、5年前、役人に捕まり死罪となった。しかしその善鬼が実は生きており、逃亡したという話を聞き、主 水之助は善鬼を追う旅に出る。その旅の途中、父の仇を捜す村井秋津(佐藤藍子)、信太郎(加治将樹)の若い姉弟と出会う。彼女たちは仇の名 は知らなかったが、その仇は善鬼だった。それに気づいた主水之助は、2人に仇打ちは空しいことだと説くが…。一方、お勢伊もまた、主水之助を 探して旅に出ていた。
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ほぼ同じルートで旅をしている、3人と一組だが、なぜか善鬼と主水之助とお勢伊は出会わない。その代わり主水之助は、旅の先々で善鬼と関 わったことで剣鬼となってしまった人たちと出会い、最後には立ち合うこととなる。
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かつては交替で同じ時間枠の時代劇の主役を演じていた、松平健と三田村邦彦の共演、しかも敵対する間柄という、夢のドリームマッチ。寡黙 な役柄演じるマツケンと、ニヒルな殺人鬼役を演じる三田村、どちらも珍しい作品でした。
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斬られたらちゃんと着物も切れて、刀には血糊がべったりというのも、昨今では珍しい演出。毎回、ゲストの生い立ちや関わり方もよく考えてあ り、非常に見ごたえある作品でした。(08.12.23改稿)
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綾瀬はるか 主演 13年1月6日〜12月15日 NHK 日曜夜8時から
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会津藩の砲術師範の家に産まれた山本八重は、文武両道に優れのちに視力を失いながらも京都府議会初代議長となった兄・覚馬(西島秀俊) の影響を受けて成長する。そして女ながらに鉄砲に興味を持ち、その道を極め、鶴ヶ城の籠城戦では夫の川崎庄之助(長谷川博巳)とともに戦う。 戦後、覚馬を頼って京都に出てきた八重は、米国に密航し宣教師となって帰ってきた新島襄(オダギリジョー)と出会い、二番目の結婚をする。襄 の同志社大学設立を影に日なたになって支え、自らもキリスト教の洗礼を受ける。そして襄が亡くなった後は、日本赤十字社で日本初の従軍篤志 看護婦として敵味方の区別なく治療に当たった。
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幕末の時代、京都守護職を任命され過酷な状況に置かれた会津藩は、その後朝敵となり、会津戦争に巻き込まれていく。そして会津藩士は敗 戦後も賊軍として新政府の要職に就くことはできず、苦しい立場に立たされていた。時代に翻弄されつつも、会津武士の志を忘れず、自分の進む べき道を果敢に生き抜いた女性、八重の物語です。その革新的な生き方は、「幕末のジャンヌ・ダルク」、「ハンサム・ウーマン」、「日本のナイチン ゲール」と数々のあだ名を付けられました。
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会津から見た幕末から明治、女から見た幕末から明治を描いた作品でした。幕末や明治維新を描いた作品は数あれど、西南戦争までで終わっ たり、新政府の中枢の話が多く、幕末から明治を続けて、戦後の混乱期から文明国家へと進んでいった様子を政府の外側(特に高等教育の面) から描かれていたのが新鮮でした。
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ポスターに使われた戦闘服はもちろん、銃の稽古姿や、薙刀の稽古着、明治に入ってからの洋装など、主演の綾瀬はるかの変化も見どころの 一つでした。(14.1.20改稿)
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柳生十兵衛 あばれ旅
千葉真一 主演 82年10月19日〜83年4月26日 テレビ朝日
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千葉真一・十兵衛の代表作は『柳生一族の陰謀』だと思うのですが、こっちのほうがコメディタッチで私は好きです。
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主役は十兵衛となっていますが、どっちかというと影の役回りで、表の主役は妹の縫之介(志穂美悦子)。というのも、十兵衛は巡検使として全国 を回ること言い付かるも、乱心のため、妹・茜が男装して縫之介と名乗り、代わりをすることに。
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実は十兵衛の乱心は、お忍びで全国を回るためのお芝居。かくして、縫之介一行を影で追っていく一人旅になるのだが…。
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公儀の使いと言えど、むしろ公儀だからこそ旅先では悪代官等に狙われる縫之介一行。それなりに善戦するも、柳生の娘とは言え所詮は女、ピ ンチに陥ってしまう。そこに現れるのが夜目に鮮やかな蛍光塗料の布を足に巻いた馬に跨り、同じく蛍光塗料のテングの面を被った(格好は違うこ ともあり)我らがヒーロー十兵衛! かっこよく悪人退治! だけどその格好、夜道で出会ったらかなり怖いと思うのですが…。
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十兵衛がかっこいいのはもちろん、男装の女剣士・縫之介もお決まりの派手めの衣装にポニーテールでかっこいいですよ。お約束の、男に間違 われて女の子に惚れられる話もあります。(05.8.2)
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柳生十兵衛七番勝負〜最後の闘い
村上弘明 主演 07年4月5日〜5月31日 NHK 木曜夜8時から
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『柳生十兵衛七番勝負』シリーズの三作品目にして、タイトルどおり最後の作です。前回、前々回と、幕府転覆を企てる者の黒幕に見え隠れして いた由比正雪(和泉元彌)と、とうとう全面対決。なのですが、正雪の出番が多くなった分、正雪の主張や生い立ちなんかも語られる機会が増えた わけで、三シリーズ中、一番いい人っぽく、ことごとく十兵衛に計画をつぶされる彼があわれにさえ見えます。黒幕なのに。
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十兵衛が本来なら争いたくない人たちと闘わざるをえなくなり、最後には斬ってしまうという十兵衛苦労の旅は、今シリーズも健在。特に今回は、 十兵衛に逆らえない命令を下していた父・宗矩が死んだというのに、死んでいると思っていた母が生きていて人質にとられていたり、いることさえ知 らなかった実の弟と斬りあったりと、さらに心の苦しみ倍増。修羅の道を歩くしかなかった十兵衛は、最後にどこにたどり着くのか。
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でも何よりも見どころは、正雪の腹心でありながら、十兵衛とも心を通わせあってしまう丸橋忠弥。善悪で言えば悪側なのに、どこまでもさわやか でいい人な彼に、照英がぴったりでした。十文字槍もかっこよかったです。
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柳生十兵衛七番勝負・島原の乱
村上弘明 主演 06年4月6日〜5月25日 NHK 木曜夜8時から
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05年4月に同じNHKの金曜時代劇で放送された『柳生十兵衛七番勝負』の続編。
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前作品で幕府転覆をもくろむ計画を、一人奔走し、事前に防いだ柳生十兵衛。今度は島原の乱を舞台に、やはり国家安寧のために幕府転覆を 防ぐために戦う。
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今回の黒幕は公家。幕府というより、幕府の柱である柳生宗矩の失脚を狙って、島原の乱を起こすように仕向けるという、大胆解釈。初めは父 の命令で動いていた十兵衛だが、次第に父の暗黒面に気づき、民のために乱を収めようと一人奔走することになるという、ある意味、十兵衛の苦 労話です。しかしこの十兵衛、いじいじと悩んだりしない、男惚れするような気持ちのいい性格なので、見てて暗くならないのが良いです。
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毎回、さまざまな事情で戦うことになる剣客たちも、正統派から中国拳法まで、バラエティーに富んでる上、うまい人たちばかりなので、安心して 見れます。
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そしてなんと言ってもすごかったのが、黒幕の円条寺業平(杉本哲太)。悪知恵の思いつき具合もなかなかのものながら、性格も公家にしては即 物的な残虐さを持っていて、その上公家なのに強いのなんの。独特の剣の使い手で、対決シーンでは十兵衛さえ苦戦させる技量の持ち主。それ でいて公家特有のおほほ笑いもあの顔でしてくれるという、一歩間違えばお笑いになってしまいそうな強烈な人物でした。側にいた前回から引き続 きの黒幕の一員、後の由比正雪(和泉元彌)の影がなくなるぐらいに。
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そして忘れてはいけない荒木又右衛門(嶋政宏)が、十兵衛の兄弟子であり、敵方に付くというおいしい話も盛り込まれています。
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昨今の時代劇では珍しい硬派な話で、古き良き時代のファンにもおすすめです。全七回という短さが残念ですが、その分内容が凝縮されてテン ポよく見れたとも言えるかも。(06.6.1改稿)
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夜桜お染
若村麻由美 主演 03年10月14日〜04年1月27日 フジテレビ
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とにかく主役のお染(若村麻由美)が、綺麗で艶っぽくてかわいくて多芸で強い。男も女も魅了されずにはいられない、すごい姐さんです。
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お染は、幼少のころに火事で両親を亡くし、兄とは生き別れ、見世物小屋の一座に育てられ、現在は踊りの師匠をしています。かつて夜桜お染 の名で一世を風靡した艶やかな踊りと美貌は、今も健在。さらにそんじょそこらの男じゃ太刀打ちできないほど、剣の腕も確か。しかも人の話を聞 きながら皿を回して見せたりと、とっても器用。この多芸を生かして、毎回最低二つの、しかも二度と同じのはない、お姫様から花魁から女壺振り から夜鷹までと、七変化振りを見せてくれます。そのどれもがぴたりと決まっているから、さすがは若村麻由美。特に踊りは特訓したそうで、本当に 目を奪われる美しさです。
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実は両親を亡くした火事には、裏になんらかの事件が絡んでいた可能性が高く、父は実は密偵だったという。その父のかつての上司から、仕事 を手伝ってほしいと頼まれるのですが、毎回その関連の話かと言うとそうでもなく、兄探しの話もあったりと、バラエティー豊富。どの回も満足できる こと間違いなしの渾身の出来。
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また脇役が、一癖ありそうな義賊の男(片岡愛之助)やら、やたらと付きまとってくる貧乏浪人(内藤剛志)やら、いわくありげな過去を持ってそう な献残屋(遠藤憲一)やらと、ストーリー的に面白そうな人たちばかり。これだけおいしそうなネタが満載なら、いくらでも話できそうなものですが、1 シリーズで終わってしまい、もったいない限りです。(08.8.31)
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義経
滝沢秀明 主演 05年1月9日〜12月11日 NHK 日曜夜8時から
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NHK大河ドラマ・最年少主役を迎えたこの作品。タイトルどおり、源義経の話。
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伝説的なヒーロー、源義経をジャニーズ事務所の「タッキー」こと滝沢秀明が熱演しています。その優しげで少しさびしげで高貴な香りのする顔 が、義経のイメージにぴったりな上に、回を重ねるごとにその目に強さと険しさが加わるという成長ぶり。
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女性の原作のせいか、軍記ものというよりは、義経主従を家族に見立てるぐらいの強き絆が中心に描かれていたのが印象的でした。義経から 見れば敵となる平家の面々や、源頼朝も好意的に丁寧に描かれており、いわゆる悪役がいなかったのも興味深かったです。
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また、大河ドラマにしては珍しく、個人戦の殺陣シーンが多かったり、ワイヤーアクションを取り入れたり、また金粉舞い散る中での決闘など、エン ターティメントな演出が多かったのも、今までとは違った形で面白かったです。(05.12.28改稿)
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小出恵介 主演 14年6月26日放送開始 NHK 木曜夜8時から
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神守幹次郎と汀女(貫地谷しほり)は、豊後岡藩の下級武士の家の幼馴染。しかし汀女は父親の借金を取り消す代わりに藤村壮五郎(皆川猿 時)の妻となる。藤村に暴力を振るわれている汀女を見かねた幹次郎は、汀女を連れて駆け落ちする。逃避行の末、幹次郎の剣の腕が江戸の吉 原を束ねる四朗兵衛会所の七代目頭取(近藤正臣)の目に留まり、四郎兵衛に求められ、吉原を治める手伝いをすることに。そして汀女も吉原の 女たちに文の手ほどきをすることになる。
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吉原一のおいらん・薄墨太夫(野々すみ花)を初めとする吉原の女たちと接していくうちに、幹二郎は弱い立場にある彼女たちを守る仕事に使命 感を持ち始めていく。彼女たちや吉原を狙う者たちは絶えず、一方で藤村の動向も気にかかる。そんな日々の中でも、汀女との愛のある暮らし は、幹二郎にとって幸せな時間となっていきます。
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時代劇初主演の小出恵介が、年上の妻を守る、少しこどもっぽいところのある剣の達人を演じました。
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世直し順庵!人情剣
藤田まこと 主演 05年10月17日〜12月12日 ABC 月曜夜7時から
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主人公・河合順庵は元御家人の町医者。長崎でシーボルトに学んだというのだが、針治療もできるマルチ医者だったりする。日ごろの心がけが 悪い患者に対して、「おまえさん、手遅れだ」というのが口癖で、『手遅れ先生』と呼ばれて親しまれている。
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北町奉行所の与力の長谷部総十郎(島田順司)と元道場友達だったり、弟子のおみつ(中村瑠璃亜)の父親・吉松(内藤剛志)が岡っ引で、かつ 飲み友達(恋のライバル?)だったりする関係か、監察医も勤めている。
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そんな彼のところには、事件の話も舞い込んでくるわけで。町奉行所が手を出せない悪人の存在が明らかになると、彼は針を持って出かけていく …。
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神木隆之介 主演 23年4月3日〜9月29日 NHK 月曜〜金曜 朝8時から
幕末の土佐に生まれ、明治、大正、昭和と研究を続けた、日本の植物学の父と呼ばれる植物学者・牧野富太郎をモデルにしたオリジナルストーリー
で描くNHK朝の連続テレビ小説です。
土佐の佐川にある大きな造り酒屋の跡取り息子として産まれた槙野万太郎。好奇心が旺盛で、特に花や草などの植物に強い興味を抱き、
時間を忘れて裏山で過ごし、通い始めた学問所・名教館では貪欲な知識欲とたぐいまれなる記憶力を発揮します。
植物学を極めたく、東京に出てきた万太郎は、出会った寿恵子(浜辺美波)に一目惚れ。また東京大学の植物学教室に出入りすることを許され、
いつか日本中の植物を網羅した図鑑を作ることを目指します。
この万太郎が、自分を曲げない人物でありながら、人が良く前向きで、タイトルのような天真爛漫な性格で、学問に妥協しない反面、妻と
家族に対する愛情があふれており、とても良い主人公でした。また妻の寿恵子も、美人なだけでなく、実は肝が据わっており、でも愛嬌もあって、
いつまでも見ていたくなる素敵な夫婦でした。
全話通じてとてもエピソード多く、明るい気分になれる話が多く、暗い話はできるだけダメージが小さく作られ、万太郎と寿恵子が見ていて
気持ちよく、毎朝見続けるのにとても配慮された、まさに毎日が楽しくなる朝ドラでした。また植物に対する愛情だけでなく、家族愛や人との
つながりも大切にされ、使い捨てにされる登場人物がいない、とても面白く見れる素晴らしい作品でした。(23.11.18改稿)
福山雅治 主演 10年1月3日〜11月28日 NHK 日曜夜8時から
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土佐の地下浪人の身分から後に三菱財閥を築く岩崎弥太郎の視線から、坂本龍馬を描いた大河ドラマ。国民的ヒーローの龍馬ですが、彼も最 初から坂本龍馬だったわけではない、その龍馬になるまで日々迷い、悩んで成長していった進化を描いたと、脚本の福田靖のいうとおり、よく涙を 流す龍馬でした。
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主演は、音楽から俳優まで幅広い世界で活躍する福山雅治。演出の大友啓史が「誰も見たことのない福山雅治」と語るように、時代劇初出演と なる福山雅治が、地毛で演じるなど、体当たりの演技を魅せます。
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「新しい龍馬像、幕末観を描く」がキャッチコピーだっただけあって、土佐の街のほこりっぽさを、コーンスターチを役者といわずセットといわず大 量に振りかけることで再現するなど、今までの大河っぽくない作品でした。またナレーションも担当の岩崎弥太郎(香川照之)は歯jまで黒いという、 画面に映して大丈夫なのかというほどの汚い姿で登場。一回目から龍馬が大嫌いだと言いきる嫌な奴ながら、どこか憎めないという、財閥を築い た人物とは思えない描かれ方でした。(11.1.24改稿)
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若大将 天下ご免!
橋爪淳 主演 87年3月4日〜12月22日 テレビ朝日
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最近、ケーブルテレビで放送しておりまして、見直してます。
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主役の橋爪淳といえば、最近では『水戸黄門』の柳沢吉保役で有名ですが、お小姓上がりの美青年が違和感なく演じられちゃうきれいな顔は、こ こでも健在。しかも若い分、より良いですよ!
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主人公の結城小太郎くんは、水野忠邦(山村聰)を親代わりとする孤児。十歳の時から神田・お玉が池の千葉周作(加藤武)の道場、玄武館に預 けられ、現在は師範代を勤める腕前。正義感の強い好青年。
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講武所風の髷(縦一本線のような細い月代にポニーテール。沖田総司イメージです)も初々しく、あれだけの器量良し、女の子にもモテモテなん だけど、真摯に接するも決して溺れたりはしない。どこまでもさわやかな好青年。水野様の女密偵・お遊(片平なぎさ)にからかわれて、本気で怒っ たり。
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しかし一度事件が起これば、自分から首を突っ込んで行ってしまう、お人よし。
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そして、その事件、法では裁けない黒幕を見つけてしまったならば、千葉先生と別れの杯を交わし、決死の覚悟で乗り込んでいく。そのとき名乗る のが『隅田の小天狗 結城小太郎!』。って本名名乗ってどうするねん!
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このときの大立ち回りは、小天狗を名乗るだけあって元気いっぱい。飛んだり跳ねたり、大きく動き回ってくれます。オープニングも殺陣尽くしで す。
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勝小吉(橘田剛)が出てくるので、もしかしたらと思っていたら、途中から幕末ネタも絡んできます。息子・麟太郎(生駒恭明)はまだ子供。
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そうそう、昔の時代劇らしく、主題歌も歌ってますよ、橋爪淳。
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わっか〜い竹中直人がおちゃらけ同心役で出てるのもミソ。若すぎて、テロップ見るまで気づきませんでした。
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永瀬廉 主演 22年1月8日〜1月29日 NHK 土曜 夜9時から
ペリー来航の4年前の長崎へ、一人の青年がたどり着きます。江戸で暮らしていた伊嶋壮多は、母が亡くなり、そのことを伝えに長崎で通詞をしていた父を訪ねてきたのでした。ところが父はどこにもおらず、通詞をしていた記録すらなく…。
耳が良く、独学で学んだオランダ語を流ちょうに話す壮多を主役に、彼が世話になる置屋で出会った人々や、通詞たちを通じて、長崎の街が隠している謎と、彼の成長を描いていきます。
「おまえはまだ長崎を知らない」などとあおりのある予告で、何が起きても不思議ではない、鎖国下の日本で特殊だった長崎を舞台に描いた異色の作品でした。
全4話。(22.3.7改稿)
参照 アスペクト発行『みんなのテレビ時代劇』
NHKサービスセンター発行『NHKテレビ時代劇の世界』
